<<目次へ 【決 議】自由法曹団


警察の抜本的民主化と徹底した情報公開を求める決議

1 全国各地で警察の腐敗・犯罪行為が続発する中、警察刷新会議は「警察刷新に関する緊急提言」を発表し、警察庁はこれを受けて「警察改革要綱」を公にした。その後、公安委員会の管理機能強化、文書による苦情申出・回答制度の創設、「警察署評議会」の設置を骨子とする警察法改正が行われた。しかしこれらは抜本的民主化とはほど遠いものと言わざるを得ない。
この間自由法曹団は、警察腐敗の原因を分析したうえ、公安委員会の民主的改革と警察情報公開の徹底を中心とする「警察改革への緊急提言」(2000年6月)を発表(なお10月にはこれを増補した)するほか、全国各地で警察の抜本的民主化を求めるための活動を行ってきた。

2 警察庁や各県警察本部等が全国の警察に対して行った特別監察につき、2000年12月に発表された総務庁の行政監察結果(「警察庁における不祥事案対策に関する行政監察結果」)は、特別監察の実施対象の範囲と対象数が不十分であり、またその評価も不十分であること等を指摘し「不祥事案の発生が後を断たない状況を踏まえ、不祥事案対策の徹底のための総合的な監察を新たに実施すること」など「やり直し」を勧告する状況にある。
 更には2001年に入り、奈良県警において奈良佐川急便との間の贈収賄事件をはじめとする構造的癒着につき県警ぐるみの組織的隠蔽が行われ、自らは組織内の犯罪行為をまともに摘発することもできないことが白日の下にさらされた。
 これらの例をみただけでも、警察は自浄能力を決定的に欠いているというほかない。  他方2001年4月から情報公開法が施行されるに至ったが、警察庁の「国家公安委員会・警察庁における情報公開審査基準」(なおこれは2001年10月から施行予定の各都道府県条例による公安委員会・県警等の情報公開においても横滑りさせることが予想される)においても、実質情報秘匿のしかけを縦横にはりめぐらし、法の趣旨に反した運用を策そうとするなど秘密体質を自発的に改善しようとする姿勢は伺われない。 3 自由法曹団は、警察庁が情報公開法の趣旨に則り、その秘密体質をあらため、情報公開に応じるよう強く求める。これは、警察の民主化、抜本的改革にとって必要不可欠である。そして、引き続き国民各層とともに警察の構造的問題を直視して、「警察改革への緊急提言」の視点から警察組織の民主化、抜本的改革を求めていくとともに、徹底した情報公開を実現しつつ警察組織の問題点を具体的に明らかにしてこれを監視していくなど真の警察改革のために奮闘するものである。

上記 決議する。

2001年5月21日
自由法曹団2001年研究討論集会