<<目次へ 【決 議】自由法曹団


全国で憲法改悪を許さない
たたかいを


 本年7月24日、自民党憲法調査会の改憲プロジェクトチームは、改憲要綱案として、集団的自衛権の確認、自衛軍及び軍事裁判所の設置、国民の国防義務、首相による国家緊急事態宣言と緊急命令権など重大な内容を打ち出しました。そして、小泉首相は、8月25日、2005年11月までに自民党の改憲案を作成することを指示し、9月30日の参議院本会議の答弁では、「2年後の自民党結党50周年をひとつの契機として、自民党としてかくあるべしという案をまとめていきたい」と表明して、改憲への日程を示しました。
 国会においては、来年2004年を調査期限としている憲法調査会が、改憲への方向を打ち出す「最終報告書」づくりにむけて動きを強めています。さらには、憲法調査議員連盟の名のもとに多くの議員を結集し、憲法改正手続きを法制化する国民投票法案をつくり、来年の通常国会に提出する準備がされています。
 この間、有事法制3法案の成立、教育基本法改悪の準備など日本を戦争する国にするための動きが着々と進められています。自衛隊の海外派兵も拡大・本格化されつつあります。実際、アメリカの要請により、テロ特措法が延長されて自衛隊艦船のインド洋での補給活動が継続され、イラク特措法により自衛隊のイラク派兵が準備されています。
 第9条を中心とした憲法改悪の危険は現実のものとなりつつあることを直視しなければなりません。
 しかし、アメリカは国連をも無視して地球的規模で先制攻撃戦略を展開しています。このアメリカの戦争に日本が参加したり、ましてや平和憲法を改悪することは、平和を求める国際世論に逆行するものです。侵略戦争への深い反省のうえに立ち、戦争を放棄して軍隊を保持しないとした憲法の平和原則は、平和的手段によって紛争を解決する立場を前提としています。この憲法の立場で平和を実現する道を求めることこそ、アメリカのイラク攻撃に反対する声を挙げた数千万の世界の人々が示す平和の流れにほかなりません。
 国内に目を向ければ、国全体を長期に覆っている底なしの不況のもとで、倒産、リストラ・解雇が横行して国民の生活破壊が深刻化しています。年金や医療の改悪がそれに追い打ちをかけています。沖縄をはじめとする米軍基地により受けている被害はいっこうに改善されません。平和のうちに生きる権利が踏みにじられているのです。人間らしい生活と権利を確保するためにも、憲法で保障する基本的人権の実現が不可欠となっています。
 世界と日本の平和にとっても、また私たち国民一人ひとりにとっても、かけがえのない価値を持つ憲法の改悪は絶対に許してはなりません。多くの国民に訴えて、全国各地で憲法改悪の動きに反対の声をあげることが求められています。
 私たち自由法曹団は、平和と人権のためにたたかい続けてきた法律家団体として、いまこそ憲法改悪を許さないたたかいに全力をあげて取り組むことを決意するものです。

2003年10月25日
自由法曹団2003年総会