<<目次へ 【決 議】自由法曹団


震災から三年 いますぐ公的支援立法の実現を

 本日一月一七日は、未曾有の被害をもたらした阪神・淡路大震災が発生して三周年にあたる。
 この三年間、鉄道・港湾・道路などの復旧や産業基盤の復興・整備には巨額の公費が投じられ、一見すると被災地は復興を遂げたかのような外観を呈してはいる。しかし、その一方で、震災によって家族を奪われ、住居や営業を破壊された被災者は、立ち上がるすべもないままで放置され、生活再建の展望と生きていく希望を見出しえないでいる。依然として五万人近くが取り残された仮設住宅では「孤独死」があとを断たず、中小零細企業の復興が進まないなかで地域経済・地域社会の再建も大きく立ち遅れている。  こうした実情は、インフラの再建を被災者の生活再建より優先した、一面的な復興政策の所産にほかならない。金融機関の破綻処理に巨額の公的資金を投入しようとしている政府が、震災被災者への公的支援を拒否し続けてきた責任は甚大と言わねばならない。
 自由法曹団は、震災発生以来、生活再建の立ち遅れが深刻な事態に立ち至ることを指摘し、被災者への公的支援の必要性を提言・要求してきた。

 深刻な被災地の実情の前に、この間、公的支援を求める声が彷彿と広がり、世論調査で「公的支援実現」が八割を占めるなど、すでに国民的世論になっている。九七年に行なわれた「公的支援実現の住民投票」が八六万名に達したこと、神戸市長選挙で「公的支援」を掲げた大西候補が現職に僅差で迫ったことなど、被災者の要求の切実さを示す事実は枚挙にいとまがない。
 こうした被災地と全国の声を受け止めて、公的支援の早期の実現をはかることは、政府と国会の焦眉の責任である。
 国会には、九七年五月に超党派の議員によって参議院に提出された「災害被災者等支援法案」が継続審議になっており、野党各党による法案や与党自民党による法案も提起されている。公的支援立法は、広範な被災者に生活再建の展望を保障できるものでなければならず、それには住宅全壊世帯に上限五〇〇万円、半壊世帯に上限二五〇万円の支給などを実施する超党派議員法案の水準が必要である。金融機関の破綻に三〇兆円を投じようとするわが国において、こうした水準の公的支援が不可能なはずはない。  震災からすでに三年、生活再建への支援は一刻の猶予もできない。
 自由法曹団は、すべての政党・議員が「災害被災者等支援法案」に賛同し、九八年通常国会において必ず立法化を実現することを強く要求するとともに、その実現のために全力を尽くす決意を表明する。

一九九八年一月一七日
自由法曹団全国拡大幹事会