<<目次へ 【決 議】自由法曹団


橋本内閣の悪政と対決し、労働法制の全面改悪、盗聴法、新「ガイドライン」具体化の有事立法を阻止するために奮闘しよう!

  1. 橋本内閣は、国民の強い反対を押し切って、「裁量労働制」や「短期雇用契約」の導入を内容とする労働基準法「改正」案、警察に盗聴の権限を与える盗聴法案、アメリカの戦争に協力するための「周辺事態法」等の新「ガイドライン」関連法案を今国会に提出した。
     労働基準法「改正」案は、八時間労働制を根本から破壊し労働者に過酷な長時間労働を強いるとともに、企業に「首切りの自由」を認めようとするものである。これは、男女共通の労働時間規制や解雇規制など人間らしく働く権利の確立を求める労働者・国民の要求に反し、家族も含めた大多数の国民の生活と権利を侵害するものにほかならない。盗聴法案は、憲法や刑事訴訟法で規制された警察権限の濫用防止に大きな例外を与え、広範な国民を警察の監視下におき、そのプライバシーを侵害するものである。新「ガイドライン」関連法案は、自衛隊の海外での武力行使を公然と認めるとともに、国民や自治体をアメリカの引き起こす戦争に動員しようとするものであり、憲法の平和主義や基本的人権、地方自治などの民主的諸原則を根本から破壊するものである。
     われわれは、国民の基本的人権を侵害し、憲法の基本原則をじゅうりんするこれらの法案の成立を断じて許すことはできない。

  2. われわれは、昨年来、これらの法案に対するたたかいを重点課題として取り組んできたが、法案の本質が明らかになるにつれ、法案に反対する運動が急速に広がっている。
     労働法制全面改悪反対の要求は、ナショナルセンターの枠を超えた労働者共通の要求になり、画期的な共同の取り組みが広がっている。また、盗聴法に対しても、法律家団体をはじめとする反対運動の広がりの中で、党派を超えて反対する議員の動きも起こっている。さらに、五月一四日には、「新ガイドラインとその立法化に反対する国民連絡会」が結成され、全国的な反対運動の体制ができつつある。
     法案をめぐる国会の状況は、予断をゆるさない緊迫した段階にある。しかし、この間の運動は、われわれが法案の本質と内容と国民の中に広く訴えることができれば、法案の成立を阻止する条件を大きく切り開くことができることを示している。

  3. 橋本内閣は、消費税増税や社会保障改悪などを行う一方で銀行やゼネコンには税金をつぎこむという政策に端的に示されているように、国民の生活や権利を破壊しながら大企業とアメリカの利益を最優先する悪政を強行しようとしている。これに対して、あらゆる分野で国民の怒りがうずまいている。
     われわれは、橋本内閣の悪政と対決する国民のたたかいと連帯しながら、労働法制の全面改悪、盗聴法、新「ガイドライン」具体化のための有事立法を阻止するために全力で奮闘することをあらためて表明する。

一九九八年五月二五日
自由法曹団一九九八年研究討論集会