<<目次へ 【決 議】自由法曹団


全動労事件の勝利と国鉄採用差別争議の全面解決を求める決議

一 国鉄分割民営化から一三年が経過しようとしているが、当時採用差別を受け、更に清算事業団を解雇になった国労と全動労の組合員一〇四七名は、未だに職場復帰を果たすことができず、全面解決に至っていない。
 これまで全国の一九地方労働委員会と中央労働委員会の救済命令および東京地裁における審理を通じて、国鉄が国労と全動労に対して行った凄まじい差別の実態は余す所なく明らかにされた。
 それにもかかわらずJR会社は裁判において、「採用候補者名簿は国鉄が作成したもので、設立委員やJR会社には責任がない」との主張を取り続けている。
 しかし、採用権限が設立委員にあったことは明白であり、設立委員の示した採用基準にしたがって採用候補者名簿を作成すべき国鉄が、不当労働行為を行ったのであるから、その責任を設立委員およびJR会社が負うのは当然のことである。
 また、国鉄総裁の杉浦喬がJR会社の設立委員であった以上、「国鉄と設立委員およびJR会社は別法人だ」という論理でJR会社に不当労働行為責任がないなどということは、法的正義及び国民の常識に照らして到底許されない。

二 そのような中、東京地裁民事一九部(高世三郎裁判長)で審理が続けられていた全動労北海道採用差別事件が、去る九月二日に結審し、来年三月二九日に判決をむかえることになった。
 昨年五月二八日に出された国労採用差別事件に関する東京地裁民事一一部および一九部の判決は、不当労働行為の実態を無視した、極めて形式的な論理の展開で、中労委命令を取り消したものであり、非常識な判決として多くの批判を受けたことは当然のことであった。
 来るべき全動労一九部判決は、高世裁判長が「JR会社の不当労働行為責任の帰属につき、原点に戻って考え直したい」と所信を表明したこともあって、全面解決へ向けて大きな力を発揮することが期待される。それだけでなく、今、全国で吹き荒れている大企業・大銀行等の「企業合併」「分社化」「営業譲渡」といったリストラによる労働者の一方的解雇の嵐を阻止し、二一世紀に向けて労働者の権利を守る上でも極めて重要な判決である。
三 そこで、私たちは、「早期・公正判決を求める一〇〇万人署名」をはじめ、考えられる全ての運動をやり切り、全動労事件の勝利と国鉄採用差別争議の全面解決を勝ち取るために全力を尽くして闘うことを決意し、ここに決議する。

一九九九年一〇月二五日
自由法曹団 一九九九年総会