<<目次へ 【声 明】自由法曹団


続発する沖縄米兵の犯罪に厳重に抗議する声明

 沖縄サミットを直前に控えた七月三日、在沖海兵隊所属の米兵が沖縄市内のアパートに不法侵入して、女子中学生に対して、わいせつ行為をした事件が発生した。沖縄県議会をはじめ、県民から抗議が集中し、在沖米軍のトップである四軍調整官が在沖米総領事とともに沖縄県庁を訪れ、県知事に異例の謝罪をして再発防止のために努力することを表明した。ところが、右事件発生後わずか六日後の七月九日、今度は、飲酒運転の沖縄米兵が青信号の横断歩道を歩行中の会社員をはねて逃走するひき逃げ事件を起こした。
 沖縄における米兵による犯罪はいっこうに減少しないばかりか、今年にはいって昨年の二倍の刑法犯が発生しているといわれている。九五年九月の少女暴行事件の際にも、米兵の犯罪の再発防止や綱紀粛正が強調されてきたが、今回の経過から見ても、結局は、基地が存在する限り問題が解決しないことが、あらためて明らかとなった。刑事司法手続きを含め米軍及び米兵を特別扱いしている日米地位協定についても、これを抜本的に見直すことが急務である。
 しかし、日米両政府は、在沖米軍基地の縮小・撤去を進めようとしないばかりか、地位協定の抜本的な見直しをも怠り続けてきた。のみならず、今回のわいせつ行為事件について、森首相は「政府がどうこうという話じゃない。これ以上、政府として処罰することはできないので、どう処理していくかは海兵隊が考えること」などと責任放棄の発言に終始している。そして、北部振興策と引きかえに、また県民投票・市民投票を無視して、普天間基地の本島北部・名護市への移設を強行しようとしている。これは、著しい環境破壊をもたらすものであるばかりか、普天間基地よりはるかに強大な最新鋭基地を建設しようとするものである。
 私たち自由法曹団は、続発する米兵の犯罪及びこれに対して無責任な態度をとり続けている日米両政府に対して、厳重に抗議するとともに、沖縄米軍基地の縮小撤去、日米地位協定の抜本的見直しをあらためて強く求めるものである。

二〇〇〇年七月一四日
自由法曹団
団長  豊田  誠