<<目次へ 【声 明】自由法曹団


比例代表制を大きく歪める「非拘束名簿式」の導入に反対する

 与党三党は、今年二月の参議院「選挙制度改革に関する各派協議会」における「当面は現行の拘束名簿式比例代表制を維持することを前提として議論をすすめる」との全会派の合意に反して、参議院の拘束名簿式比例代表制を「非拘束名簿式」に改悪する法案を国会に提出した。そのうえ、参議院議長が選挙制度特別委員を一方的に指名し特別委員会の開会を強行し、衆議院では全野党欠席のまま本会議を開会し法案の趣旨説明を強行するなど、与党三党によって異常事態が次々とつくりだされている。
 与党三党は「非拘束名簿式」比例代表制と称して、候補者個人に投票したものをその投票のすべてを候補者所属政党の得票とみなし、政党得票にもとづき議席配分する制度を導入しようとしている。これでは、有権者がある候補者個人を当選させたいと思って投票した一票が、実は自分の支持しない政党の議席を増やすという結果になりかねない。そもそも名簿式比例代表席は、各政党にその得票率に応じて議席を配分することによって民意を反映させようとする選挙制度である。したがって、候補者個人に投票したものを政党の得票に読みかえる与党三党の法案は、民意の反映を大きく歪め、名簿式比例代表制の制度趣旨を没却させるものである。
 今年六月の総選挙で比例区の得票率が二〇%台にまで低落した自民党が、特定の個人の人気で票を獲得できる「非拘束名簿式」を導入して来年の参議院選挙で実力以上の得票増をねらう党利党略である。このような党利党略で法案をつくり審議をすすめることを許すならば、「良識の府」としての参議院の自殺行為となる。
 私たちは法律家として、与党三党が議会制民主主義をふみにじる暴挙を繰り返していることに抗議し、民意を歪め名簿式比例代表制の趣旨を没却させる「非拘束名簿式」の導入に強く反対するものである。

二〇〇〇年一〇月七日
自由法曹団