<<目次へ 【声 明】自由法曹団


司法審・敗訴者負担に関する団長声明

 昨年11月20日の司法制度改革審議会の中間報告は、弁護士費用の敗訴者負担制度の導入につき基本的導入の立場を明確にした。
 中間報告は「弁護士費用の高さから訴訟に踏み切れなかった当事者に訴訟を利用しやすくするものであることなどから、基本的に導入する方向で考えるべきである」としつつ、導入の例外を検討をするとしている。
 しかし、提訴時に勝敗が明確な訴訟はごく少数である。敗訴すれば相手方の弁護士費用を負担しなければならないというリスクは国民の訴訟提起を萎縮させ、裁判を受ける権利の大きな障害となり、司法の権利救済機能にとって極めて甚大な弊害をもたらすことは明白である。
 また、弁護士費用の敗訴者負担による経済的損失は、社会的・経済的弱者ほど甚大であり、制度導入は社会的・経済的弱者の裁判による権利行使を著しく妨げることとなる。
 中間報告は敗訴者負担制度の導入の例外として労働訴訟・少額訴訟を例示するが、敗訴者負担制度導入による訴訟提起の萎縮効果の弊害は、広く民事事件全てに及ぶことは明白である。
 自由法曹団は、国民のための司法を実現する立場から、弁護士費用の敗訴者負担制度の一般的導入に強く反対する。
 審議会が、今後敗訴者負担制度に関して再度審議をし、最終報告において敗訴者負担を撤回するよう強く求める。

2001年2月8日
自 由 法 曹 団
団 長 宇賀神   直