<<目次へ 【声 明】自由法曹団


沖縄米兵による女性暴行事件に抗議し、米軍基地の縮小撤去と地位協定の抜本的改正を求める声明

 本年6月29日、沖縄県北谷町でおきた米兵による女性暴行事件は、沖縄における米軍基地問題が何ら解決していない現状を明らかにするものである。とりわけ、事件直後に裁判所による逮捕状が発せられたにもかかわらず、日本側が求めた米兵の身柄拘束に応じない在日米軍の理不尽な態度をあらためて明らかにした。私たちは、このような事件及び米軍の対応に対して、強い怒りを禁じえないものである。
 そもそも、戦後50年以上にもわたって、アメリカ軍が沖縄に駐留しつづけていること自体が異常であり、米軍基地が撤去されていれば、今回のような悲惨な事件はおこりえなかったものである。95年9月の少女暴行事件の際にも、米兵の犯罪の再発防止や綱紀粛正が強調されてきたが、その後も、在日米兵による犯罪はいっこうに減少していない。  日米地位協定(17条5項(C))では、事件を起こした米兵が日本側から現行犯逮捕などでの身柄拘束を受けない限り、起訴されて勾留されるまで日本側に身柄を拘束されることはない仕組みとなっている。この地位協定については、前記少女暴行事件を契機にして、95年10月、「米国は、殺人または強姦という凶悪な犯罪では、被疑者の起訴前の拘禁の移転についてのいかなる要請にも好意的な考慮を払う」という運用の見直しがなされている。けれども、今回の女性暴行事件でも、米軍は、速やかな身柄引き渡しに応じようとせず、沖縄県民の世論におされ、7月6日になって、ようやく身柄引き渡しに同意した。
 このような米軍及び米兵を特別扱いしている日米地位協定そのものを抜本的に改正することが急務である。
 今回の事件に関しては、7月5日に沖縄県議会が、米兵の身柄を即時引き渡し、地位協定の抜本的改正を求める抗議決議と意見書を全会一致で決議した。そして、沖縄県下の自治体での決議や婦人団体を含め様々な立場からの抗議が相次いでいる。
 ところが、日米両政府は、在沖米軍基地の縮小・撤去を進めようとしないばかりか、地位協定の抜本的な見直しをも怠り続けてきた。今回の女性暴行事件に関しても、日本政府は、米軍や米政府に対して抗議すらせず、身柄引渡をも真剣に求めようとしてこなかった。のみならず、小泉首相は、「ぎすぎすするな」などと発言をして、国民とりわけ沖縄県民の怒りを押さえつける態度すら示した。そればかりか、日米両政府は、著しい環境破壊をもたらす海兵隊の新たな基地建設をも強行しようとしている。
 私たち自由法曹団は、続発する米兵の犯罪及びこれに対して無責任な態度をとり続けている日米両政府に対して、厳重に抗議するとともに、沖縄米軍基地の縮小撤去、日米地位協定の抜本的改正をあらためて強く求めるものである。

2001年7月9日
自由法曹団 団長 宇賀神   直