<<目次へ 【声 明】自由法曹団


司法制度改革推進法案に対する声明

1、政府は、司法制度改革審議会の最終意見を受け、司法改革を推進するための基本法案である「司法改革推進法案」を、9月27日からの臨時国会に提出する予定である。

2、法案1条(目的)は、今回の司法改革を「国の規制の撤廃又は緩和の一層の進展その他の内外の社会経済情勢の変化に伴い、司法の果たすべき役割がより重要になることにかんがみ、司法制度改革審議会の意見の趣旨にのっとって行われる」ものと位置づけている。

3、しかし法案が司法改革を規制緩和路線の一環として位置づけている点は到底容認できない。司法制度改革審議会の最終意見も、今回の司法改革を「政治改革、行政改革、地方分権推進、規制緩和などの経済構造改革などの一連の諸改革の最後のかなめ」と位置付けている。しかし司法改革は、財界などの要求する規制緩和、新自由主義諸政策のためのものではなく、憲法の保障する国民の基本的人権の擁護に資するものでなければならない。目的や基本理念においてこのことを明確にする必要がある。

4、また法案が「司法制度改革審議会の意見の趣旨にのっとって行われる」ものと位置づけている点も問題である。自由法曹団は審議会の最終意見公表後、「国民のための司法改革をー司法制度改革審『最終意見』とわたしたちの見解ー」を発表した。その中で詳しく述べたように、最終意見には、国民のための司法改革にとって評価すべき改革案が含まれているものの、刑事裁判・行政裁判や労働裁判など改革を急ぐべきものの多くは手つかずとなっており、また国民を一層司法から遠ざける弁護士報酬敗訴者負担制度の導入を打ち出すなど、絶対に容認できない内容も含んでいる。国民のための司法改革を推進するためには、最終意見のもつ積極的な面を立法で具体化させるとともに、その問題点を克服し、手つかずの点については積極的な改革を行っていくことが重要である。その意味で最終意見は、批判的検討の対象とされなければならない。

5、法案4条は「日弁連は、弁護士の使命及び職務の重要性に鑑み、第2条に定める基本理念に則って司法制度改革の実現のために必要なとり組みを行うよう努めるものとする」という日弁連の責務条項を定めている。しかし、日弁連は、在野の弁護士の強制加入団体であり、国民の人権擁護のために自治権を保障された団体である。したがって、行政府の進める施策に拘束されることなく、独立した自由な意見表明の権利が保障されなければならない。よって、日弁連に対する責務条項を設けることには反対である。
 仮に何らかの形で、日弁連の責務にかかわる条項が定められたとしても、この条項について、日弁連に対し、審議会の最終意見を所与の前提として無条件にその実現に努力する責務を課すものとすることは到底許されない。

6、「推進体制」は、全閣僚を本部員とする司法改革推進本部(本部長・小泉内閣総理大臣)を設置し、事務局は法曹三者と官僚で構成されている。また、本部内に司法制度改革審議会の佐藤幸治会長、竹下守夫会長代理らによる顧問会議を置き、実務家や有識者で構成される個別テーマごとの検討会を事務局の下におくことが報道されている。
 しかし司法改革は、国民の基本的人権の擁護に資するものでなければならず、その内容は常に国民の視点から検証されなければならない。したがって、推進本部は国民各層の代表が参加するものでなければならず、閣僚のみで構成されるべきでない。また、司法制度改革審議会委員のうち、労働団体や消費者団体、弁護士の委員が顧問会議から除外されており、国民各層からの参加という点で極めて不十分である。推進体制の各部署に国民各層の代表を参加させ、幅広い国民の声を反映させることを強く求める。

7、推進本部、顧問会議、検討会の審議はすべて公開されなければならない。議事録の公開は当然のことであるが、審議自体の傍聴はもとより、マスコミの傍聴は必須のものとして保障されなければならない。このようにすべての情報を国民に公開し国民各層の意見を集約した上で、公正かつ民主的に審議が行われることを強く求める。

2001年9月22日

自由法曹団常任幹事会