<<目次へ 【声 明】自由法曹団


東京都迷惑防止条例「改正」案の廃案を求める声明

東京都迷惑防止条例「改正」案は、労働運動や市民運動、マスコミ等の報道・取材活動など憲法が保障する言論・表現の自由、労働基本権を幅広く規制し、警察の権限を拡大するものであり、廃案を求める。
「つきまとい行為等の規制」は、「職場、学校、地域社会等における関係」「売買、雇用、貸借等の契約関係」「交通事故等の不法行為関係」に起因する@つきまとい、待ち伏せ、立ちふさがり、見張り、押しかけ、A面会等の要求、B電話・ファックス、C文書図画(チラシ・ステッカー・横断幕等)の送付・配布・掲示等(知り得る状態におくこと)を規制対象とし、常習の場合は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金、常習でなくとも6月以下の懲役又は50万円以下の罰金という重い処罰規定を設けるものである。
 会社や企業、行政等に対する要請行動、抗議行動、取材活動は、正当な労働運動や市民運動、マスコミ等の報道・取材活動等として日常的に行なわれており、労働、公害、薬害、住民運動、消費者事件等で重要な役割を果たしている。しかし、この「改正」案では、そうした憲法上の正当な活動がのきなみ規制対象とされることになる。また、人権尊重のための濫用禁止規定すらない。
このような条例がもし成立すれば、警察の一方的な判断で憲法の保障する正当な諸活動まで弾圧され、刑法の共犯規定により、団体等に対する組織弾圧に活用される危険が大きい。
 また、被害者からの援助の申出があれば、警視総監等が「必要な援助をおこなうことができる」と定めるが、一方当事者が「被害」を告知するだけで、犯罪がないにもかかわらず警察が紛争の一方当事者に加担することになり、労働運動・市民運動に警察が介入することになる。
自由法曹団は、警察権力の不当な弾圧から労働者・市民の権利を擁護してきた80年の歴史に鑑み、憲法の保障する基本的人権を侵害し、警察の権限を拡大する条例案の廃案を求める。

2002年6月15日
東京都文京区小石川2−3−28−201
TEL 3814−3971
FAX 3814−2623
自 由 法 曹 団
団  長  宇 賀 神  直