<<目次へ 【声 明】自由法曹団


戦争法制反対

可決強行に抗議し、発動を許さず、参院選での国民の審判をめざす声明

2004年6月14日
自由法曹団
団長 坂本  修

 2004年6月14日、自由民主党と公明党ならびに民主党は、参議院本会議で、戦争法案(7法案3条約協定承認案件)の可決を強行した。
 自由法曹団は、衆議院に続くこの暴挙に対して満腔の怒りを表明し、重ねてきびしく抗議する。
 とりわけ、この国とアジアと世界の平和に深くかかわるこれらの重大法案について、審議を尽くすどころかきわめてなおざりにし、法案の全体像をあきらかにする論議さえ行われることなく、ひたすら今国会で成立させることのみを最優先課題として衆参両院で可決強行する暴挙をくりかえしたことは、議会制民主主義を根底からふみにじるものであり、断じて許しがたい。

 自由法曹団は、法律家団体としての綿密な検討にもとづき、戦争法案が日本の国土と国民を守るものではなく、アメリカの行う戦争のためにこの国と国民を総動員するものであること、米軍に対する武器弾薬などの供給が事実上無制限となること、周辺公海上での臨検拿捕など憲法が明文で禁止する交戦権の行使を法律上認めること、空港・港湾・道路・電波などについての日米軍事優先使用が認められること、国民・自治体・マスメデイアはじめ指定公共機関などが平時からの軍事優先により権利・自由などを制限侵害されることなどを、法文にてらして具体的に指摘、解明した。

 自由法曹団はまた、「武力攻撃事態等」とならぶきわめて重要な概念である「緊急対処事態」なるものが、突如として「国民保護法案」に登場したこと、そればかりか、こともあろうに同法案の「修正案」によりいわば母法にあたる武力攻撃事態法に「緊急対処事態」をもりこむという立法クーデターともいうべき事態がほとんど全く密室作業で進められたことを、いちはやく指摘、批判した。

 戦争法の「成立」によって、今後5年間にわたり、各地方自治体などは国民保護協会の設立、避難マニュアルの作成などを強要されることになる。
 自由法曹団は広く各自治体に対し、戦争法への協力を拒否するようによびかけるものである。

 自由法曹団は今後ともひき続き、上記の解明、批判をふまえて、戦争法制の危険きわまる内容と問題点をひろく内外にあきらかにする諸活動を継続強化し、戦争法制の発動を許さず、自衛隊のイラク多国籍軍参加反対とすみやかな撤退を求め、参院選での国民の審判をめざして力を尽くすものである。
 あわせて自由法曹団は、反戦平和・人間の尊厳の実現に寄与するため、当面とりわけ日本国憲法改悪阻止と全面実施のために総力をあげるものである。

 この国も世界も今、激動と変化のさなかにさしかかりつつある。
 21世紀初頭の今、平和と自由の確保と確立、国民主権と民族自決の実現
と実行、平和で民主的な国際秩序の確立と発展、諸国・諸国民間の共同の促
進などなどの要求と行動がつよまりつつある。
 この日本においてもまた、この国の政治がこのままでよいのかと懸念する人々が多数を占め、憲法9条を支持する声が過半数をかぞえている。
 自由法曹団は、今後ともひき続きこれらの人々との共同をつよめるとともに、とりわけ、往くべきは平和の道の共同をこの国の内外で推進するために尽力するものである。
 以上のとおり声明する。