<<目次へ 【声 明】自由法曹団


中村法務大臣の罷免を求める談話

 中村正三郎法務大臣は、公式な式典のなかで「軍隊を持てないような憲法をつくられて、改正もできないというなかでもがいている」旨発言しました。
 この発言は、日本国憲法の極めて重要な平和的原則及び憲法第九条の存在・意義を明らかに否定・敵視するものです。同時に通常国会で、憲法「改正」を目論む「憲法調査委員会」設置法案が国会に提出されると言われ、さらに、右の平和的原則・第九条に抵触し憲法に違反する新「ガイドライン」に関連する周辺事態法案等が審議されようとする今日、右の発言を私たちは絶対許すわけにはいきません。
 そもそも法務大臣をはじめとする国務大臣は、憲法第九九条により「憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と定められています。中村法務大臣の右発言は、憲法を擁護すべき立場を自ら否定するものです。とりわけ法務大臣は、その職責からして憲法尊重・擁護義務を誰よりも積極的に担う必要があります。したがって、中村法務大臣は法務大臣として全く不適格と言わざるを得ません。
 私たちは小渕恵三内閣総理大臣に対し、直ちに憲法六八条二項により中村法務大臣を罷免するよう求めるものです。

1999年1月7日
内閣総理大臣 小渕 恵三殿

自由法曹団 団長 豊田 誠