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中野 直樹 二〇〇三年秋田五月集会特集(1)
自由法曹団五月集会 秋田市内で開催
南里 禎司 平和を求めるたたかいに終わりはない!
―二〇〇三年秋田五月集会に参加してー
毛利 正道 決して戦争をせず、みんなで生きていこう
―コリア・日本二億民衆の共同署名運動で戦争の危機打開をー
城塚 健之 地方独立行政法人制度
―この恐るべき自治体版「企業再編リストラ」法
宮西   香 リレールポ憲法調査会(4)
衆議院憲法調査会金沢地方公聴会への取り組み
西村 依子 夜の「公聴会」も大成功
後藤富士子 報酬と司法制度―「敗訴者負担」をめぐって
村田 智子 教育基本法ブックレットができました教育基本法改正阻止対策会議



二〇〇三年秋田五月集会特集(1)

自由法曹団五月集会 秋田市内で開催

事務局長  中 野 直 樹

 二〇〇三年の研究討論集会が、五月二五日、二六日の日程で、「山笑う」新緑の秋田温泉「さとみ」で開催された。参加は五六九名(弁護士三三四名、事務局一八九名、他四六名)であった。一九九九年の宮城・秋保温泉五月集会を抜いて、団史上最高人数参加の全国会議となった。
 三月二〇日に米英が、国連憲章にも国際法にも、そして世界中で未曾有の規模で沸き上がったストップ・ウォーの反戦・非戦の声にも反して、イラクに対する予防戦争を開始した。そして四月半ばフセイン政権を倒した後も、引き続き軍事占領を続けている。
 昨年四月以来二つの国会で採決を阻止してきた有事法制関連三法案が、四月後半から民主党の修正協議への妥協を期に一気に情勢が動き、五月一五日衆議院で採決を強行された。米の海外侵攻を支える国民動員法制という基本的性格はいささかも変わっていない。舞台は参議院に移り、団は街頭宣伝・議員要請にと廃案を求めるたたかいを続けている。同時に、労働法制改悪法案の衆議院審議、裁判迅速化法案の衆議院での修正可決、教育基本法改悪の法案準備というめまぐるしい情勢の動きのなかでこの五月集会を迎えた。

二 一日目 全体会
 議長団として秋田県支部の山内滿団員、大阪支部の西晃団員が選出された。
 冒頭、宇賀神直団長から開会のあいさつ、秋田県支部・金野和子団員から歓迎のあいさつがあった。金野団員は、秋田の基幹第一次産業であった鉱山、林業がつぶされ、そしていま農業衰退のなかで、自殺者数が全国一の県となっていること、そこに株式会社の農地取得の合法化の動きが経済のグローバル化としてでてきていることを批判された。続いて、来賓として秋田弁護士会の虻川高範会長(団員)から挨拶をいただいた。虻川会長は、同会が四九名の会員にとどまり、県民の権利擁護のために会員拡大が大事な課題になっていることを強調された。
 島田修一幹事長は問題提起で、有事法制、イラク戦争・北朝鮮問題、労働法制・司法改革などあらゆる分野で橋本内閣時の六大改革がすさまじい勢いで進行していることに触れ、このなかで団は果敢に運動に打って出ていること、教育基本法改悪の動きに対しては全教との共同企画・宣伝を重ね、孤立化させられている教員に大きな励ましを与えていることを強調された。
 組織財務委員会の荒井新二委員長から、団の厳しい財政状況を克服するため、今年の総会以降、古稀団員の表彰制度と団費免除制度を切り離し、団費免除制度の開始年齢を満七七歳とすることを提案し、総会までに討議してほしい旨の発言があった。
 続いて事件報告が四本あった。
 吉川健司団員・福井から「もんじゅ原子炉建設設置処分取消高裁逆転勝訴判決」、富永由紀子団員・東京から「えひめ丸事件和解解決」、森徳和団員・熊本から「川辺川利水訴訟高裁逆転判決と確定」の報告があり、参加者を勇気づけた。また、大賀浩一団員・北海道から原爆認定が大量原告訴訟として立ち上がったこと、河野善一郎団員・大分から豊後高田市で公選法(戸別訪問・文書違反)弾圧事件が起訴されたことの緊急報告があり、それぞれ全国で代理人・弁護団になってほしい旨の呼びかけがあった。

三 分科会
 今回は二日間を通じ、意欲的に一三の分科会を準備した。分野は様々であるが、共通する支配層の国家改造戦略の現れがあることを自覚し、対抗する民衆のたたかいの軸と共同について展望した。括弧内は参加人数である。
 一日目後半 
 (1)イラク・北朝鮮問題―北東アジアの平和構築の道すじ(一三六)
 (2)憲法―改憲策動の深まりと正念場の憲法運動(四五)
 (3)教育基本法―進行する国家戦略としての教育基本法改悪阻止のたたかい(七五)
 (4)リストラ―暴走するリストラ攻撃と労働者の反撃(六〇) 
 (5)不公正取引の是正―下請け・フランチャイズを題材に(三七)
 (6)住民監視社会―「安全なまちづくり」と脅かされる市民的自由(四六)
 (7)司法民主化―大詰めを迎えた検討会と財界・官の攻勢に抗して(三八)
 二日目前半
 (8)有事法制―有事法制阻止と平和の構築をめざして(八六)
 (9)地方自治―自治体破壊に抗して自治権の確立を(二六)
 (10)労働法制―労働法制改悪を阻止し、働くルールの確立を求めて(五五)
 (11)国際人権―自由権規約の国内における活用(三四)
 (12)公害・環境―ムダな公共事業・環境破壊と住民はどうたたかうか(二九)
 (13)ヤミ金・商工ローン・消費者金融―たたかい・救済の取り組みと到達点(一九〇)
 外部講師は、住民監視社会、国際人権、ヤミ金・商工ローン・消費者金融分科会で各一名に参加いただいた。
 「住民監視社会」は警察問題委員会と東京支部生活安全条例対策プロジェクトチームとの協同、地方自治分科会は受け皿委員会がない状態での開催となり、しかも重要課題の闘争が全開状態での準備となり、運営主体となっていただいた方には大きな苦労をかけたと思う。

四 二日目 全体会
 分科会終了後一一時四五分から一二時二〇分まで全体会を再開した。今回は弁当なしで、終了時間を従前の一時から早める進行とした。
 発言は、予めお願いした四人で、有事法制、教育基本法、労働法制、弁護士報酬敗訴者負担に関する行動提起を中心においたものであった。
 全体会で次の決議が採択された。
  衆議院採決強行に抗議し、有事三法案の廃案を求める決議
  教育基本法改悪法案の国会提出に反対する決議   
  労働法制全面改悪に反対する決議      
  弁護士報酬の敗訴者負担に反対する決議  
 福岡支部の稲村晴夫団員から、一〇月二四(金)・二五日(土)の日程で、約三〇年ぶりの福岡総会の案内がなされ、最後に秋田県支部の狩野節子団員からのあいさつで集会を閉じた。

五 プレ企画
 前日二四日の午後には次の三つのプレ企画を行った。
(1)新人学習会
  佐藤博文団員(北海道支部)が「弁護士は労働事件にどう立ち向かうか」、沼田敏明団員(秋田県支部)が「秋田で生活保護裁判をたたかって」と題する講演を各一時間ずつ行い、質疑応答を行った。五五期を中心に四一名が参加した。この期にとって、後期修習時の「団と修習生の交流会」、岡山総会時の「新人交流会」に続く三度目の企画である。二人の講師のお話が大変好評で団員弁護士の魅力が溢れ出た会となった。
(2)事務局員交流会
 大江京子団員(東京支部)が「事務局とともにー大気汚染訴訟のたたかい」のテーマで講演を行い、その弁護士活動を支える事務局労働者からの報告を受けた。こちらに参加した担当次長も、その協同関係に感動した話であった。今回は全体会形式のみで行った。参加者は一三六名であった。
(3)「これからの自由法曹団を考える」
 昨年の五月集会、七月名古屋常幹、総会に合わせて開催したものに続く第四弾である。今回は、(1)合格者向けプレ研修の経験交流、(2)地方の実情と地方で活動する団員をつくっていく課題、(3)大学における学生の自主的活動の支援運動、(4)法科大学院関連の四つの小テーマで意見交換をした。実情把握と問題意識の共有化、実践の広がりが着実に進んでいることを確認できた。組織論に偏らず、若い世代に団員弁護士の魅力をどう語っていくかという中味の議論も深めていくことの大切さを指摘するアドバイスもいただいた。
 参加者は一九都道府県五五名であった。
 なお、この一〇月に、一二年ぶりに秋田県支部に新人団員が生まれる予定となった。
六 懇親会では、なまはげが登場して皆を驚かし、全体会司会の山内団員のお兄さん(県議)が秋田民謡で歓迎していただいた。散会後、満員御礼となった一泊旅行や半日旅行の参加者が旅立った。この日夕刻東北地震に遭遇し、帰路に苦労した方々も少なからずいたこともまた思い出となった。
 私たちを迎えていただいた地元秋田県支部の団員と事務局の皆さん、どうもありがとうございました。



平和を求めるたたかいに終わりはない!

―二〇〇三年秋田五月集会に参加してー

三多摩法律事務所事務局員  南 里 禎 司

 高校生の娘と、平和を祈る自転車パネルの通勤・通学を続けて二ヶ月余り(団通信一〇九〇号をご参照下さい)。タイトルを『NO WAR』に発展させて、走っています。
 今回の秋田五月集会では、イラク戦争からいままで、そしてこれからについて、ささやかな 実践を通じて考えてきたことをお伝えし、教えを乞う気持ちで参加しました。
 有事法案が衆議院を通過し、法案成立が濃厚となるなかで、いよいよアメリカが再び戦争へと動き始めてしまうのではないかという大変重い情勢の中での会議でしたが、どの発言も聞き逃せない、大変集中した中身の濃い内容であったかと思います。聞いていて、時より目頭が熱くなりました。
 結論として、平和を求めるたたかいに終わりがないことを固く確かめあったと思います。ブッシュ大統領の戦争責任の追及。全力をあげて参議院での廃案をめざす。たとえ成立しても、今後体制の整備にはいくつの法律等が必要で、これらを阻止するたたかい。有事法発動の現場となる地方自治体に対する要請行動。北東アジアの多国間の協議をすすめる運動、市民レベルでの連帯。アメリカ自身に戦争をさせないための、アメリカ国民との交流や働きかけ。それぞれ、たいへん困難の伴うことですが、平和のためにやれることはいくらでもあることが示されました。
 私は、自らのとりくみに関し、パネル通学の娘が先日、高校の前で警察官から呼び止められ、氏名などを聞かれた出来事を紹介しました。職務質問の何の必要性もない状況です。子どもは傷つき、カミさんと私は激怒し、すぐに子どもに携帯電話を買い与えました。 これは、有事法制下での事態そのものなのではないか。戦争に協力する義務が国民に押しつけられるなかで、人を殺すなという人としての当然の声が封殺されることは本当に恐ろしいことです。
 余談ですが、帰りの仙台駅で地震にあいました。復旧を待つ電車のなかで考えたことは、天災は人間の力で防ぐことはできないが、戦争は人間が起こすものである以上、人間の力で防ぐことができるはずのものだということです。
 最後になりましたが、秋田の現地スタッフの皆様および集会スタッフの皆様には大変お世話になりました。「なまはげ太鼓」にはとてもパワーを頂きましたし、交流会の、その次の交流会とたいへんご面倒をおかけしました。おかげさまで本当に思いを一つにすることができたと思っています。
また、行きます! VIVA あきた!



決して戦争をせず、みんなで生きていこう

―コリア・日本二億民衆の共同署名運動で戦争の危機打開をー

長野県支部  毛 利 正 道

 内閣府が今年一月に実施した世論調査によると、「日本が戦争に巻き込まれる危険がある」との答えが、三年前から一三%増えて四三%に、「ない」が一二%減少して一一%になった。一二年前には「危険がある」二二%、「ない」三一%だったから、顕著な逆転現象である。同じ調査で、「日本の安全と平和の面から関心を持っていること」として、「朝鮮半島」を挙げた人が一二年前の一七%から三年前の五七%を経て、今回七四%となった。今年五月の共同通信世論調査で、有事法案に対する賛否が一年前と「逆転して」賛成五四%となったのも、同じ調査での答え「武力攻撃される心配がある」二五%、「ない」六%という四倍の開きが相当影響している。要するに、朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国という)を巡って戦争がおこる不安を多くの国民が抱いている。
 これは、保守勢力とマスコミが共和国の「暗黒面」をセンセーショナルに取り上げ、共和国から日本の周辺事態法・有事法制などのきな臭い動きがどう見えているかという複眼的視点を欠落させていることもおおいに影響している。韓国では、朝鮮戦争以来五〇年間にわたり戦争になればソウルで一〇〇万人が死傷する危険を背負いつつ、一方で、対共和国太陽政策を採る大統領を二代続けて選んで来ている。これと比べ日本の保守勢力とマスコミの冷静さを欠いた姿勢は、過去の日本の植民地支配に対する無反省な姿勢とともに厳しく批判されなければならない。
 これに加え、現実の状況もきな臭さが急速に増して来ている。アメリカが、武力行使の現実的危険性がなかったイラクに対して、国際法を踏みにじって先制攻撃を加えてこれを倒し、さらに今年四月二四日に共和国が自らも関与した数多の国際取きめをこれまた踏みにじって「核兵器を保有していて」今後も造る旨を表明したことによって、戦争がおこる不安が単なる杞憂に過ぎないとは言えなくなっている。アメリカは、共和国に核兵器開発を放棄させるための一九九四年米朝枠組み合意後も同国が核兵器開発を秘密裏に進めていると見ており、米韓両軍連合作戦計画が、既に一九九八年の段階において共和国に軍事的動きの兆候があっただけで先制攻撃を行うと改訂されていたが、ブッシュ政権発足後さらに米軍が韓国軍と事前協議することなく、共和国を攻撃できると改訂された。共和国は、核兵器開発のフリーハンドを得るべく、今年一月にNPT(核拡散防止条約)からの脱退を正式に表明した後、四月六日には、「国際世論もアメリカのイラク戦争を防ぐことが出来なかった。これはアメリカから先制攻撃されないためにはイラクのように武装解除するのではなく、強力な軍事的抑止力を保有することのみしかないことが証明された」旨表明していた。いまや、アメリカが、イラクと同じく「悪の枢軸」と呼ぶ共和国に対して武力行使しないという保障も、追い込まれた共和国が「窮鼠猫をかむ」の如く破れかぶれ的に先制攻撃することがないとの保障もない、一触即発ともいえる状況に近づきつつある(但し、追い込まれてもいないのに、共和国から先制攻撃することは、これに対するアメリカからの第二撃によって、共和国にとっての至上命題=金正日体制が完全に叩き潰されるため、現実的可能性はないと思われる)。幾多の国際取極めを平気で踏みにじる両国政府とそのアメリカに追随する日本政府は厳しく批判されなければならない。
 ひとたび朝鮮半島=コリアで戦争が起これば、少なくとも数万人単位の死傷者と数十万・数百万人の難民が生み出され、日本もかなりの戦禍を被る危険がある。これを阻むことが、日本とコリアの約二億人の民衆にとって至上命題となって来ている。この点、日本国憲法は、武力を持たないと誓約したことによりいのちを奪う戦争を決してしないことを、そして国際協調主義を国際公約とした。世界有数の軍隊=自衛隊を持ち、好戦国アメリカの同盟国となっていても、日本では世界に比べ、イラク戦争について「理由の有無を問わずいのちを奪う戦争反対」との声が特に強かった。このかけがえのないいのちを奪う戦争を自らもせず、他国に対しても同じ姿勢を求める日本国民の声は根強いものがある。戦争か非戦かが鋭く問われている今、この声を国際協調の視点から「戦争せずみんなで生きていこう」と表に示すべき時だ。
 最近、武蔵工大大学院教授青山貞一氏らによって、「共和国問題に対し日本政府がとるべき紛争抑止政策の提言について」の署名活動がスタートした。アメリカの共和国攻撃にも共和国の核兵器開発にも反対し、多国間協定で共和国の改革と東アジア非核地帯化を求めるとの趣旨であり、大いに賛同できるものである。これに加え、私は、戦争によって多くの犠牲が出る日本・コリアの二億民衆が、六三万在日コリアンとも手を携え、共和国・アメリカ・日本・韓国の四か国政府に対して「コリア・日本地域で、決して戦争することなく、交渉と協定によってすべての国際紛争を解決すること」を求める国際共同署名運動にともに立ち上がることを提起したい。これなら分かりやすく、コリア・日本の平和を願うすべての人々から賛同してもらえるのではないか。むろん、拉致事件もあくまで一連の交渉の中で解決すべきであり、これを理由に交渉を閉ざしてはならない。多くの犠牲を生む当の地域からの、隣国でありながらこれまで「近くて遠い国」として乏しかった対話と連帯を今ここで築きつつ進める切実かつ壮大なムーブメントは、日本から発した原水爆禁止運動が世界を揺るがし半世紀にわたり新たな核兵器の使用を阻んで来たように、必ずや世界の共感を生むであろう。全国各地で連帯の第一歩を踏み出そう。



地方独立行政法人制度

―この恐るべき自治体版「企業再編リストラ」法

大阪支部  城 塚 健 之

 今国会には、地方独立行政法人法案が提出されている。これは国の特殊法人改革で出された独立行政法人にならった形となっているが、その実質は究極の自治体版「企業再編リストラ」法である。
 地方独立行政法人とは、住民サービスの見地から必要であるが、自治体が直接実施する必要はなく、とはいえ採算性に乏しく民間に委ねては実施されないおそれがある事業を自治体から切り離して独立した法人とするものである。対象業務は、(1)試験研究、(2)大学の設置・管理、(3)地方公営企業法適用八事業(水道、工業用水道、軌道、自動車運送、鉄道、電気、ガス、病院等)、(4)社会福祉事業、(5)公共施設の設置・管理ときわめて広範であり、しかもそのほとんどが「不採算部門」である。これを自治体から切り離すというのであるから、これは分社化リストラの自治体版にほかならない。もちろんそれは公的責任の放棄である。
 地方独立行政法人は、(1)特定地方独立行政法人(公務員型)と(2)一般地方独立行政法人(民間型)に分けられる。両者の区分は抽象的で、どちらにするかは自治体の判断に委ねられるが、大した違いはないように思われる。(2)民間型ではなく(1)公務員型に止まればよい、などというものではない。
 いずれの形式によるも、企業会計原則がとられ、(1)中期目標(首長が三〜五年の目標を作成・指示、議会の議決)、(2)中期計画(地方独立行政法人が作成、首長の認可)、(3)各年度計画(地方独立行政法人が作成、首長に届出)の各段階で目標管理がなされ、これを自治体に設けられる「評価委員会」がチェックする。「評価委員会」の選任は条例に委ねられるが、公正な選任が行われる保証はない。また、評価基準は、あくまで「経営主体」としての立場からの評価である。これは近頃はやりのNPM(New Public Management)の具体化といえる。さらにいずれの段階でも住民に公表される。
 そして、その評価によっては業務が継続されないこともありうるとされる。したがって、地方独立行政法人として切り離されて三〜五年後には解散(=全員解雇)という可能性もありうる。それどころか、元々の対象業務が不採算部門であることからすれば、地方独立行政法人は三〜五年で沈没する「泥舟」である可能性が大きいのである。
 地方独立行政法人へ移行する際、当該業務に従事する自治体職員は当然に地方独立行政法人の職員となる(別に辞令が発せられた場合は別)。民間型の場合は自動的に公務員の身分を喪失する。異議申立もできない。この場合、「労働契約」が擬制されるのであるが、その理論的根拠は不明である。しかも、民間の会社分割の場合と違って、賃金その他の労働条件が承継されるとはどこにも書いていない。したがって、移行時にいきなり賃金労働条件が引き下げられることも、理論上はありうる。「労働契約承継」ではないからである。
 職員団体も自動的に地公企労法または労組法上の労働組合となるとされる。そして法人組合の場合は六〇日以内に登記しなければ解散とみなすというのである。うっかりすれば解散させられて残余財産が国庫に帰属させられるのである。
 移行後の職員の給与・手当については、(1)公務員型では、「職務の内容と責任に応ずるもの」であり、かつ「職員の発揮した能率が考慮されるもの」とされる。地公企法三八条二項に類似しているが、同項では「職務の内容と責任に応ずるもの」の前に「その職務の遂行に必要とされる技能、職務遂行の困難度等」という文言がつけられていた。これが消滅したということは、職員の専門性は意に介さないということではないか。また、給与等の支給基準は「同一または類似の職種の国・自治体職員、他の地方独立行政法人、民間事業者の従事者の給与」、「業務の実績」、「中期計画の人件費の見積り」を考慮するものとされている。地公企法三八条三項の冒頭に掲げられていた「生計費」が消え、「経営の状況」が「業務の実績」、「中期計画の人件費の見積り」に置き換えられているのである。これは生活できない給与水準もありうるということであろう。(2)民間型でも「勤務成績が考慮されるもの」とされ、支給基準は「業務の成績」を考慮し、「社会一般の情勢に適合」するものとされる。これは成果主義賃金である。その最大値が自治体正規職員の給与となるのであろう。
 しかも、(1)(2)ともに、給与基準のみならず、勤務時間、休憩、休日及び休暇規定までもが住民に公表される。地方独立行政法人の職員はそこまで住民に監視されるべきなのか。これは住民と公務員(独立行政法人職員)とを対立させるためのツールではないだろうか。
 地方独立行政法人法の問題をまとめると、その最大は、(1)住民サービスが後退させられることである。経営判断がすべてに優先するから、人権保障という公共的責任が不明確になる。また、(2)業績不振による賃金労働条件の引き下げが容易にできる。競争相手は年収二〇〇万円未満の民間の不安定雇用労働者である。そしてなお業績が悪ければ解散・全員解雇となる。使用者責任を問おうにも、労働条件を事実上左右する「評価委員会」や、背景資本ならぬ分離前の自治体の責任を法律上追及できるかは問題である。持株会社の使用者責任を問う困難が想起される。さらに(3)議会の民主的コントロールも及ばず、行政サービス向上を求める真の住民参加は困難になる。
 まことに究極の分社化リストラの自治体版である。各方面に警鐘乱打すべきと考え、急遽投稿した次第である。
 (なお、尾林芳匡団員が責任者となって自治労連弁護団意見書がとりまとめられつつある)。



リレールポ憲法調査会(4)

衆議院憲法調査会

金沢地方公聴会への取り組み

北陸支部  宮 西   香

1、去る五月一二日、金沢市内のホテルで衆議院憲法調査会金沢地方公聴会が開かれました。意見陳述者の公募の対象は、新潟、富山、石川、福井、長野でした。
 これに先立ち、団の北陸支部では、公聴会が改憲派に利用されないよう、護憲派の立場できちんと発言できるように、まず一人でも多く意見陳述希望の申込みをすることとなりました。
 そのため、北陸支部の団員は全員がほぼ義務的に申込みをすることになり、また、青法協北陸支部の会員や、石川憲法会議などとも連携して、多数の申込みをしました。その結果、意見陳述申込者の多くが護憲の立場でした。
 しかし、護憲の立場で選ばれたのは六名の意見陳述者のうちの三名でした。

2、ところで、今回の公聴会の公募対象が北陸信越ブロックであったことから、北朝鮮の「拉致問題」「核関連問題」が改憲の立場からは大いに利用されることが予想されました。
 そして、その予想どおり、当日の議論の多くが「拉致問題」に費やされました。
 そもそも、意見陳述者に選ばれた六名のうちの一名は蓮池薫氏の母の蓮池ハツイ氏(但し、当日は身内の不幸のため欠席され、事務局が代読しました)であり、もう一名は「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」副会長で福井県立大教授の島田洋一氏でした。

3、代読された蓮池ハツイ氏のご意見は、息子を拉致された母親の気持ちを訴えるものでしたが、それ以外の五名の意見陳述者の基本的立場は、概要、以下のとおりでした。
 山本利男氏は、「憲法の規定は権利のみで義務が少ない。」「時代は変わっている。日本国憲法の時代は終わった。」と述べ、「愛国心、郷土愛」を強調しました。
 前述のとおり、島田洋一福井県立大教授は、「救う会」の全国協議会副会長の立場にありますが、「拉致被害者全員が解放されるには、北朝鮮の現体制を倒すべき。」「経済的しめつけなど厳しい姿勢を示すべきである。」「日本国憲法はいわば敵前逃亡憲法であり、憲法九条(及びこれに関連する前文)は削除されるべきである。」旨を述べました。
 このような島田洋一氏の意見に対し、弁護士の岩淵正明氏は、真っ向から反対の立場を述べました。すなわち、「日本国憲法は平和の実現のためのあらゆる努力をする積極的平和主義の立場をとり、戦争放棄の九条を有している。」「九条を改憲するとますます歯止めのない軍拡路線をとる危険が大きい。」「武力によらなければ安全は確保できないという考えは軍拡論争を呼び起こし、かえって北東アジアの軍事的緊張を高め、平和を阻害する。」「拉致は犯罪行為ではあるが、軍事行為ではない。それに対する軍事力の行使は憲法上も論理上もない。」「拉致問題は日朝平壌宣言の枠組みで解決されるのが現実的である。」との意見を述べました。
 松田(渡邊)智美団員は、「新しい人権は憲法一三条の幸福追求権で包括的に保障されている。」「改憲論議よりもまず具体的立法化をすべきである。」「特に立法が急がれている権利はプライバシーと環境権である。」ことを述べました。
 鴨野幸雄金沢大学名誉教授は、「憲法九二条の『地方自治の本旨』の重要性、規範性」を強調し、「地方自治は単なる制度ではなく人権と主権の問題である。」旨を述べました。

4、意見陳述者に対する質疑は、拉致の問題に対するものが多かったのですが、意見陳述者の回答は、先に述べたそれぞれの立場が示すとおりでした。特に島田氏と岩淵氏の立場の違いが鮮明でした。この中で、質疑者の春名眞章氏から、島田氏に対し、「経済制裁をする(島田氏は「しめつけ」と表現)と(北朝鮮が)宣戦布告と見做すのだから先制攻撃をするということが、どうして拉致問題の解決になるのか」との鋭い問いがなされたのに対し、島田氏の回答は充分な説得力のあるものとは思えませんでした。
 また、憲法調査会の中山会長は、教育のあり方について同一の質問を全意見陳述者に対してなされました(質問は教育基本法の「改正」を意識していると思われるものでした)。
 山本氏は「道徳の欠如」の問題を指摘し、島田氏は「(安全保障に関して)現実の世界がどうなっているのかから入ってゆくべき。」ことを述べました。
 これに対し、護憲派の三名は、それぞれ、現在の社会では子どもたちが夢や希望を持てないことの問題や、知識偏重の教育の問題を指摘しつつ、学級崩壊などの教育の問題が、教育基本法や憲法の「改正」の問題ではないことを明確にしました。

5、質疑の後、少し時間がありましたので、会場からの意見聴取がありました(四名)。
 このうち、最初に発言した方は、日本国憲法が押しつけ憲法であること等を述べました。しかし、改憲の立場に立つのは四名の発言者のうち、この一名のみでした。
 二番目に発言した方は、島田氏の「(北朝鮮に対する)経済的しめつけ」発言につき、「しめつけられるのは誰か、それは、罪のない人々。」であること、また、教育の問題についても「世界に輝く憲法の立場」で対応すべきであることを述べました。
 三番目に発言したのは菅野昭夫団員でしたが、島田氏の発言の中で「拉致の問題につき、国内でギャングが犯罪を行った時には力の行使が可能なのに、国境線を越えたら力の行使ができないのは矛盾である。」旨を述べられたことに関し、このような考えは法律的に誤っていることを指摘しました。すなわち、前者(国内での犯罪)は各国の国内法の問題であり、後者は国際法が律するもので同列に扱えないことを明確に述べました。また、日本国憲法九条は一九九九年のハーグ平和市民会議で高く評価されているように、世界的に尊敬を集めていることも紹介しました。
 四番目に発言された方(女性)は、子育てでも体罰では解決しないように、力では物事が解決せず、平和的話し合いの立場の大切さを訴えられました。

6、以上が公聴会の概要ですが、拉致問題を軸に改憲を進めようとの意図がうかがわれる中、全体を通して平和憲法の重要性、先駆性がより明確になり、「護憲」の立場が優勢な内容になったことと思います。
 今後も公聴会が開かれる際には、より多くの意見陳述の申込や傍聴の申込等の取組みを行い、安易な改憲論に流れることのないよう注意する必要があります。
 このような取組みも含めて、憲法調査会が「日本国憲法について広範かつ総合的に調査を行う」という目的を逸脱し、改憲方向に進んでいくことを阻止するよう、充分な監視が必要と思います。



夜の「公聴会」も大成功

北陸支部  西 村 依 子

 日中の北信越五県の衆議院憲法調査会が、成功裡に終わった後、夜の「あなたならどうする?『市民が開く憲法公聴会』」も大成功のうちに終わった。

 この市民の公聴会は、共産党の春名なおあき議員が指摘したように、(1)広範な団体が共闘した点でも、(2)日中の公聴会以上の多くの市民(四〇〇名)が集まったという点でも、また、(3)共産党の議員及び社民党の議員(金子哲夫議員)のみならず、民主党の議員(桑原豊議員)が参加した点でも画期的なものであった。

 この集会は、以下の一〇の団体が実行委員会を構成した。すなわち、石川憲法会議、石川県憲法を守る会、自由法曹団北陸支部、石川県社会法律センター、青年法律家協会弁学合同部会北陸支部、憲法九条を広める会、住基ネット差し止め訴訟を進める会石川、聖戦大碑撤去の会石川、石川県勤労者協議会連合会、及び、平和憲法を守り暮らしに生かす加賀市民の会の一〇団体であった。
 この共同代表としては、団員で、石川憲法会議の代表である菅野昭夫弁護士、社会法律センター員で石川県憲法を守る会の代表である北尾強也弁護士、さらに金沢大学教授で憲法九条を広める会の共同代表の五十嵐正博氏の三氏がなった。
 石川県における、このような広範囲の共闘は、旧来も日米新ガイドライン反対、一昨年の憲法集会及び本年三月三〇日のイラク戦争に反対する市民集会と続いてきたもので、もともとは、小松基地反対訴訟における弁護士の旧社共の共闘に端を発するもので、従来、青年法律家協会弁学合同部会北陸支部を中心に、法律家団体も共闘し、市民団体も後援ないし共催するという形で開催されてきた歴史があり、このような運動における法律家の役割は、貴重なものであった。
 本集会も、これらの流れを受けて、今回は、憲法問題であることから、憲法に関する市民団体を前面に、従来以上の幅広い共闘を実現し得たものである。

 集会では、日中の公聴会の陳述人であった岩淵正明弁護士(現金沢弁護士会会会長)、渡邊智美弁護士(団員)及び鴨野幸雄氏(金沢大学名誉教授)がまず報告し、それに続いて憲法調査委員の議員から報告があった。
 共産党の春名議員からは、この集会が、前述のような意味で画期的なものであるとの評価を受けた上で、憲法のあらゆる原則に反する有事法制をストップさせるために声を上げようという点、及び、憲法を巡り、今激しいせめぎあいの状況にあり、改憲の力もかつてないものであるが、これに対し、憲法を守る意見も幅広くかつ多様なもので、公聴会の応募者も八、九割が憲法を守れという声であり、恣意的に公聴人は改憲派三名対護憲派三名の比率で選ばれたものの、調査会としても無視できない勢力であったことを指摘された。

 また、金沢で開かれた公聴会では、蓮池氏のお母さんが公聴人として予定されていたり(身内の御不幸のため欠席)、救う会の副会長であるという福井県立大学教授の島田洋一氏が意見を述べるなど、拉致問題を最大限に利用しての改憲議論であったが、公聴会全体としては、護憲派の奮闘で、イラク戦争をみても、憲法九条及び前文が、むしろ、世界の一歩先を行くものであることが明らかになったことが確認・評価された。

 その後、飯森和彦団員から、有事法制についての問題提起があり、その他、教育基本法や個人情報保護法、住基ネットの問題点について、市民からの問題提起も受けた。

 集会の終わりには、アピールが採択されたが、共闘の幅広さを示すように、キリスト教の教会の方の採択文の朗読で、まるで神の御声を聞くようなトーンでの朗読もまた新鮮であった。

 そして、集会は、広範な共闘をもとに、改憲阻止のために心を一つにして大同団結しようという菅野昭夫団員の挨拶で終了した。



報酬と司法制度―「敗訴者負担」をめぐって

東京支部  後 藤 富 士 子

1 裁判官の報酬
 アメリカの裁判官制度は法曹一元であり、「裁判官」という職は、身分・権限・処遇において同格であるから、報酬には昇進制が適用されない。これに対し、ドイツや日本では、統一修習を経るものの、裁判官制度はキャリアシステムであり、昇進制の下に置かれている。司法制度において、かように裁判官の報酬制度が異なるのは、歴史的に形成された訴訟の「型」ないし「構造」に起因しているように思われる。
 「法の支配」とは無縁に司法制度が構築された大陸法系の国では、訴訟は国家が実体的真実を究明する手続とされている。したがって、刑事・民事を問わず職権主義であり、真実を究明する役割を負わされる裁判官は、「優れた資質を持っているか」という指標で選任するよりも、「先輩の指導監督の下に職務を見習いながら一人前に育てる」という「子飼い」の方法で供給するのである。かくて、裁判官制度はキャリアシステムになる。
 しかし、アメリカの場合には、裁判は当事者双方の言い分を公平な第三者に判断してもらうものとして観念されており、しかも陪審制だから、訴訟制度は当事者対等主義であり、裁判官は公平なアンパイヤーにすぎない。したがって、裁判官に昇進制など考える余地はなく、その地位に相応しい人物を選任するための合理的方法が考案される。給源を広く法律職経験者に求め、選任のための情報収集・評価機関などの工夫がなされるのもそのためであり、建前の民主性=公選制に拘泥しない。また、当事者主義・陪審制ということからすると、その訴訟に関与した弁護士(検察官)・裁判官・陪審員によって結果が異なることがあっても不思議とは思われない(むしろ当然と思われている)。すなわち、「誰がやっても同じ」とは考えられていないのである。そして、それは単に現実認識として形成されたのではなく、そのような現実を生む制度なのである。

2 弁護士業務と訴訟
 弁護士の報酬についてみると、それが法定されているにせよ自由契約であるにせよ、業務内容や質量によって異なるものである。そして、訴訟代理は、広義の弁護士業務の一部であって、全てではない。
 弁護士業務の中で訴訟がどの程度の位置を占めるかは、紛争解決手段としてどのような手続・方法が備えられているかという、その国の社会制度にもよる。また、弁護士の側から見ると、弁護士二元主義をとる国では、「法廷弁護士」と「事務弁護士」とに区分されているから、「法廷弁護士」は訴訟以外の業務を行うことは殆どないと思われるのに対し、弁護士一元主義をとる国では、弁護士業務は訴訟事件に限られない。しかし、一元主義といっても、日本のように弁護士人口が少ないうえ司法書士など隣接職人口が多いという事情の下では、弁護士が独占しているのは訴訟事件だけであり、他方、訴訟以外の分野の業務を獲得することも少なかったが、アメリカのように、膨大な弁護士人口に支えられて多様な紛争解決チャンネルが設けられている国では、訴訟は弁護士業務のごく一部にすぎない(法廷へ行かない弁護士などザラにいる)。
 そして、社会の「法化」は世界の趨勢であり、法曹人口増大、紛争解決チャンネルの多様化とともに、弁護士二元主義は名目的にも実質的にも一元化の方向に向かっているし、弁護士業務の内容も広範化している。グローバル・スタンダード=「外圧」に押されて始まった今般の司法改革も、かような国際的・歴史的情勢の反映であろう。

3 弁護士報酬は誰が負担すべきか?
 「敗訴者負担」問題をめぐる議論において、導入論の根拠とされるのは、勝訴しても弁護士報酬の分だけ「権利が目減りする」として、負担の公平化を図るということである。
 しかしながら、「権利目減り」現象は、訴訟固有のものではない。訴訟でなくても、例えば、交渉だけで相手方が降参したような場合に、弁護士報酬の分だけ「権利が目減り」している。さらに、「敗訴者負担」ということになると、訴訟提起しても和解で解決し判決に至らなかった場合にも、同じ現象が生じる。他方、「敗訴者負担」制は、弁護士報酬を「訴訟費用」とみなすことを前提にしているので、報酬全額を「訴訟費用」とみない限り、「権利目減り」現象は解決しない。
 こうしてみると、弁護士報酬は、本来的に「権利実現のためのコスト」であって、「訴訟費用」ではない。問題は、その「コスト」を誰に負担させるのが公平か、ということにある。そうすると、結局、広い意味での「賠償法」の領域に属する問題なのだと思われる。
 日本の司法は、例えば人身事故損害賠償における損害算定方式を、あたかも数学的真理であるかのように「神話」化しているが、逸失利益について、男女賃金格差を前提にしたり、低金利時代に合わない中間利息控除がなされたり、およそ「公平」という理念が顧みられることがない。また、加害者の利得が被害者の実損を上回って「不法行為やり得」にならないように図ったり、加害者の資力が大きいときに再犯防止効果を図ったりする、「懲罰的賠償」という考え方を学ぼうともしない。しかし、「賠償法」の領域を支配する基本理念こそ「公平」ということであり、「権利実現のためのコスト」も賠償法として解決すべきである。したがって、「敗訴者負担」は時代錯誤の妄論というほかない。



教育基本法ブックレットができました

教育基本法改正阻止対策会議
担当次長  村 田 智 子

 お待たせしました。自由法曹団の教育基本法「改正」反対のブックレットができました。五月集会でも大好評でした。まだご覧になっていない方は買ってください。
題名 「変えてはいけない!教育基本法〜みんなで知ろう、その大切な内容。そして『改正』のねらうもの」(発行 有限会社 唯学書房)
内容 (1)教育基本法の内容、及び「改正」の狙いを分かりやすく的確に描いており、特に初めての方には最適です。
(2)今の教育現場の抱える諸問題に触れながら、それらの問題が教育基本法をないがしろにしてきた故にでてきたことを解き明かし、「今の教育は問題あるから、改正は必要なんじゃないかなぁ」という素朴な疑問に答えています。
(3)教育基本法「改正」が有事法制と一体であること、雇用の流動化・柔軟化と密接な関連があることを明らかにしています。
 いろいろな意味で、今の自由法曹団の到達点が結実したブックレットに仕上がっています。
価格 市価は消費税別で八〇〇円
   団員配布価格は消費税込みで七五〇円
注文方法 団本部にご注文ください。
   書面に、事務所住所、電話番号、事務所名(あれば弁護士名も)、注文冊数を明記の上、団本部にFAXしてください。五月集会で配布した団専用の注文書をご利用いただくと便利です。
 ご注文の後、出版社から直接送付されます。
 *三〇冊以上ご注文の場合、送料は出版社負担となります。
 *一般書店でのご注文もできますが、その場合は市価になります。
 教育基本法改悪阻止対策会議のメンバーの、そして自由法曹団の知恵と熱意がひしひしと伝わってくるブックレットです。個人的な思いで恐縮ですが、対策会議の担当次長として、このブックレット誕生に立ち会えて、光栄だと思っています。
 一人でも多くの団員とこの知恵と熱意を分かちあい、ブックレットの内容について意見や感想を交わすことによって今後の教育基本法「改正」阻止の運動がますます前進するよう、願っています。