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藤田 温久 第一軍団司令部来るな!
座間大集会に一一〇〇〇人
三上 孝孜 日弁連の弁護人処置規程(案)の問題
山口 真美 マイコープエクスプレス事件
―生協子会社による就労拒否に勝利命令
板井 俊介 ノーモア・ミナマタ国家賠償等請求訴訟
〜水俣で育った者として〜
吉原  稔 永源寺第二ダムは、公共事業の姉歯問題だ
松本 恵美子 雇用促進住宅の廃止明渡問題に関する
市民問題委員会開催のお知らせ




第一軍団司令部来るな!

座間大集会に一一〇〇〇人

神奈川支部  藤 田 温 久


一 神奈川労連、安保廃棄県統一促進会議などで組織する集会実行委員会が主催する「米陸軍第一軍団司令部のキャンプ座間への移転を阻止しよう一一・二六大集会」が、一一月二六日(土)午後一二時から、紅葉で色づく座間市谷戸山公園で開催され、一一〇〇〇人もの市民、労働者、若者が会場を埋め尽くしました。集会後、二コースに別れてデモをしてキャンプ座間を包囲しましたが、その隊列はどこまでもどこまでも続いていました。

 この集会は、日米政府が、一〇月二九日に発表した「中間報告」で、キャンプ座間に、米国の陸海空・海兵隊四軍を統括する米陸軍司令部をワシントン州から改編移転させることを明らかにしたこと、陸上自衛隊の中央即応集団司令部を同じくキャンプ座間に新設しようとしていること、更に二〇〇八年に横須賀に原子力空母(後日「ジョージ・ワシントン」と発表された)を配備する(母港化)ことで日米政府が合意したことに強く抗議し、その撤回と基地の縮小返還を求める運動の大きな飛躍点となりました。

 集会では、はじめて、相模原市長から連帯のメッセージが寄せられ、逗子市長の代理の方、更には日本平和大会に参加していた韓国、米国、コスタリカなどの代表も連帯を表明しました。

 第一軍団司令部来るな!というオレンジ色の六〇センチほどのステッカーが参加者全員に配布され、三時二〇分と三〇分に一斉に頭上に掲げ、そのオレンジの輪がキャンプ座間を包囲している写真を全国に届けようと、ヘリコプターまでチャーターした実行委員会の「工夫」もありました。

 団支部からは、黒澤知弘団員(馬車道・新入団員)、高橋宏、藤田温久、森卓爾の各団員が実行委員会からの要請を受けて弁護士警備要員として参加し、そのほかに畑山譲団員、岡村共栄団支部長、岡村美保団員、横浜合同、川崎合同の事務局員なども参加しました。

 第一軍団司令部は、あのイラクのファルージャで女性子どもを含む市民を大虐殺した緊急即応部隊ストライカー旅団戦闘チームの司令部でもあり、テロがあるとすれば、標的になること必至です。陸上自衛隊の中央即応集団司令部は、その侵略軍司令部と一体化して自衛隊が侵略に荷担することを狙ったものであり、これもテロの標的となる可能性が著しく高いものです。

 また、原子力空母は、情報操作により隠蔽されていますが、実際には、度々、核・放射能汚染事故を起こしており、原子力発電所建設以上に県民の命と健康に対する脅威となること必至です。そして、いずれも、侵略戦争の中核を担うものであり、平和憲法をもつ我が国に絶対に存在を許してはならないものです。 

 日本を「戦争できる国」に変えるための改憲を葬るためにも、第一軍団司令部NO!陸上自衛隊中央即応集団司令部NO!原子力空母NO!の声を神奈川から発信し、日本の声にするために、団神奈川支部は、闘っていきたいと思っています。村雨橋で米軍戦車を阻止した闘いが、日本におけるベトナム反戦運動の金字塔になったように、基地再編強化を阻止し、九条の実効化を実現する闘いのエポックとなるような闘いにしたいものです。

 そのために、当面支部拡大幹事会を開き、行動へ踏み出すとともに、団本部全国常任幹事会を神奈川(座間か横須賀)で開催して欲しい旨を阪田本部事務局次長を通じて要望しました。神奈川常幹開催の折りには、全国から多くの団員の皆さんの出席をお願いします。



日弁連の弁護人処置規程(案)の問題

大阪支部  三 上 孝 孜


 今回の刑訴法改正(私は、証拠の一部開示を除き、ほとんどが改悪だと思っている)を受け、日弁連は、「裁判所の処置請求に対する取扱い規程」及び「開示証拠の複製等の交付等に関する規程」を理事会(二〇〇五年一二月の予定とのこと)で決め、二〇〇六年三月の臨時総会にかけようとしている。

 両方の規程(案)とも色々な問題を含んでいるが、私は弁護人に対する処置規程(案)の問題について述べ、団員の注意を喚起したい。

 処置規程(案)は、裁判所の弁護人に対する出頭・在廷命令、尋問・陳述制限命令等の違反に関し、裁判所から弁護士会へ、当該弁護人の処置請求(改正刑訴法二七八条の2第5項、二九五条3項、刑訴規則三〇三条2項)があった場合の処置の手続を定めるものである。処置の内容は、不処置、助言、勧告のみならず、綱紀委員会への懲戒請求まで含まれている。そして、裁判所から処置請求があったときは、弁護士会は、原則として、三ヶ月以内に、いずれかの処置をするか、あるいは、処置をしないのかを決定するものとする、と定めている。これは、裁判所の職権主義の強化を目的とする処置請求に対し、弁護士会が対応しようとするものである。

 裁判迅速法の制定後、裁判所は、刑事事件に限らず、民事事件においても、証人を制限し、尋問時間を制限する傾向が目立っている。それに苦労している弁護士は私だけではなく、多いと思う。

ところが、刑訴法改正で、裁判所の制限命令に従わない弁護人について、弁護士会に対する処置請求権が与えられた。

 私は、今後、この制度が裁判所から濫発(濫用)されてくることを危惧している。

かつて、昭和四〇年代に、大阪でビラ貼り弾圧が多発したことがあった。その裁判で、団員の弁護人三名に対し、裁判所が、法廷での言動を理由に、法廷秩序維持法に基づく制裁裁判(だったと記憶しているのだが)の呼出をしてきたことがあった。この問題は、弁護士会等の働きかけで、制裁裁判が取消され(細部については、私の記憶に間違いがあるかもしれないが)、事なきを得た。制裁裁判当日、坂本現団長も東京から駆けつけられ、新米弁護士の私も、団の旗を持って、裁判所前に集まった多くの団員の後について行ったことを覚えている。

最近の刑事裁判の実態はどうであろうか。私は、裁判所の強権的、職権的傾向が非常に強くなってきていると感じている。

最近、ビラ配りへの弾圧事件等の表現の自由に対する刑事弾圧事件が増えている。有事法制下で、今後、市民運動や労働運動に対する弾圧事件の増大も心配される。裁判員制度による審理の迅速化も強調されるだろう。

法廷においては、弁護人の意見陳述や、証人の採否・尋問をめぐり、裁判所の不当な訴訟指揮と闘わなければならない場面が増えてくると思う。そのような厳しい法廷闘争に対し、処置請求が濫発された場合、弁護士会は、被告人の防禦権、弁護権を最大限に尊重する立場に立ち、弁護人を擁護しなければならない。決して、裁判所の処置請求に動揺したり、安易に対応したりするようなことがあってはならないと思う。

 したがって、処置規程は、このような観点から、弁護権を擁護すると共に、処置のための調査手続は拙速なものであってはならず、十分時間をかけて、慎重に行うことを明記しなければならないと思う。

 具体的には、処置規程(案)の中の、処置のための調査・決定期間は、原則「三ヶ月以内」とするとの条項(四条4項、八条4項)は、拙速的に過ぎるものである。調査をして結論を出す期間が、三ヶ月とはいかにも短すぎる。裁判所と厳しく対決したようなケースでは、弁護人から意見を聞き、資料の提供を求めるだけでも三ヶ月はすぐに過ぎてしまう。

 もっとも、「事案が複雑なときその他特別な事情があるときは、この限りではない。」との例外は規定されている。しかし、原則的な運用が重視されれば、裁判所から処置請求を受けた弁護士会が、三ヶ月という短期間に縛られ、当該弁護人から十分な意見を聴取し、慎重な調査をした上で結論を出すことが軽視されるおそれがある。

また、処置規程(案)では、処置をするときは、「当該弁護士に意見を述べる機会を与えなければならない。」とされているが(四条2項、八条2項)、これは手続をより慎重にし、「意見を述べる『十分な』機会を与えなければならない。」とするべきだと思う。

皆さん、将来にわたって問題のない、より良い規程を作るように努力しようではありませんか。



マイコープエクスプレス事件

―生協子会社による就労拒否に勝利命令

東京支部  山 口 真 美


一 都労委で勝利の命令

 一二月六日、東京都労働委員会は、生協の子会社であるマイコープエクスプレスに対し、労災による傷病が回復した労働組合員の復職を拒否したり、組合との団交を拒否したことが不当労働行為であるとしてポストノーティスを命じ、すでに退職した一名を除く組合員二名について、復職を前提とした賃金の支払を命じた。

 救済命令は、会社が「組合活動を嫌悪して、・・復職を拒み、あるいは雇用契約を更新しなかった」などとして会社の就労拒否に理由がないことを明白に認定した。

 その上、一年単位の契約社員の地位を、会社から契約を打ち切られた二〇〇四年以降も継続するものと認めて復職するまでの賃金の支払いを命じた点で画期的な内容となった。

二 生協の配送員の過酷な労働実態と労組敵視

 マイコープエクスプレスは、大手の生協である東京マイコープの配送部門を独立・外注化させた子会社である。東京マイコープが、パルシステムと呼ばれる個別宅配によって急成長を遂げる一方で、外注化した配送部門では、青年労働者が一年単位の契約社員として過酷な労働条件の下に使い捨てにされている実態がある。

 青年労働者は、重いものでは一軒あたり四〇sから六〇sもある荷物を一日約六五件も配送しなければならない。その上、連日のように生協の組合員を勧誘する拡大業務があり、時間外労働は月約九〇時間から一〇〇時間にも及んでいたが、残業代も支払われていない状態であった。

 二〇〇一年夏、腰痛等の労災に罹患した三名の従業員が、労災申請と過酷な労働条件の改善を求めて組合に加入し分会を結成した。

 しかし、会社は、組合のビラ配布に対して、組合員個人を被告とする損害賠償訴訟を提起し、労災から治癒して就労を開始しようとした三名の就労を拒否し職場から排除し、賃金も支払わないという露骨な組合敵視の姿勢で対応した。

その後、会社は、団交を打ち切り、二〇〇四年以降は雇用契約の更新をも打ち切り、組合員の就労を拒否し続けている。

 今回出された都労委の救済命令は、これらの会社の行為が不当労働行為であるとする組合の申立を認容した勝利命令である。

三 関連事件の取り組みと勝利判決

 会社が起こした組合員三名のビラまき・HP公開に対する損害賠償請求事件については、会社の上告が棄却され、最高裁で会社敗訴が確定している。また、残業代不払事件は、一部であるが残業代の支払を認める高裁判決がなされ、最高裁に係属中である。

東京地方裁判所八王子支部には、労災による休業及び就労拒否の期間中の賃金及び損害賠償の支払を求める訴訟が係属中である。

四 全面的解決に向けて

 一連の勝利判決及び今回の都労委勝利命令は、組合員に対する就労拒否や会社の組合攻撃の不当性を明らかにするとともに、生協関係で働く青年労働者の過酷な労働を是正する必要性を提起している。不当な就労拒否を止めさせ、違法な残業代未払や労災の続発する過酷な労働条件を改善させ、全面的な解決をはかることが急務である(担当弁護士は、吉田健一弁護士、河村文弁護士と私である)。



ノーモア・ミナマタ国家賠償等請求訴訟

〜水俣で育った者として〜

熊本支部  板 井 俊 介


一、美しい不知火の海と「ノーモア・ミナマタ」国家賠償訴訟

 熊本県南部に位置する水俣市。波打ち際に立てば、澄み切った美しい空と穏やかな波に浮かぶ小島の向こうに遠く天草まで見渡せる。誰が、この美しい風景画の海の底に水銀で高濃度に汚染されたヘドロが埋まっていると想像できようか。美しい海の底に今も眠る世界最大級の産業廃棄物。ここに水俣の悲しさがある。この水俣で一五歳まで育った私には「ノーモア・ミナマタ」の思いがある。

 二〇〇五年一〇月三日、私と同じく「ノーモア・ミナマタ」の思いを抱く五〇名の水俣病患者が、再び熊本地裁にチッソ、国、熊本県を相手取って訴訟を提起した。一一月一四日には第二陣として五〇四名の大量提訴を行った。

二、一〇・一四小池百合子発言

 「原告側は和解を狙っているようだが、現時点で和解は考えていない。」

 昨年一〇月一五日の水俣病関西訴訟最高裁判決から一年を迎えようとしていた今年一〇月一四日の閣議後の記者会見で、小池環境大臣は、最高裁判決を無視する発言を行った。これは、法の支配と三権分立を完全に無視した許し難い暴言である。

 水俣病は、現在でこそ、原因企業であるチッソ株式会社から排出されたメチル水銀に起因する水銀中毒症であるとの認識が一般になったが、その発生当時、原因不明の「奇病」とされ、公式発見された昭和三一年以降も、多くの方々が偏見差別を恐れて熊本県外に移住した。その中で、関西圏に移住された方々が、あえて自らの過去を明かし、国及び熊本県の法的責任を追及して、ついに勝ち取った判決、それが昨年の最高裁判決であった。

三、二〇〇四年一〇月一五日関西訴訟最高裁判決

 判決は、国及び熊本県が、水質二法及び熊本県漁業調整規則に基づいて、水俣病の被害が拡大しないように規制権限を行使すべき義務があったにもかかわらず、これを怠った結果、水俣病被害が拡大したとして、国及び熊本県の責任を肯定した。

 また、現在の公害健康被害補償法に基づく行政認定制度が採用する認定基準が、余りに厳格に過ぎ、「行政では水俣病ではない人」であっても「司法では水俣病」となることも明らかにされた。

 この判決が出て、「私も水俣病である」として行政認定申請を行った人が三〇〇〇名を超えたが、このことからも改めて水俣病が終わっていなかったことがわかる。この判決の評価については、種々の御意見があろうが、私は、一〇年前の政治決着では、やむなく果たせなかった国及び県の法的責任を確定づけるものであり、水俣病の真の根深さを明らかにした点を極めて高く評価すべきと考える。

 ここに、この判決を獲得に尽力された全ての方々に対し、改めて敬意と感謝の意を表したい。

四、判決により明らかになった制度的破綻

 この判決では、法的には、これまで国が固執してきた水俣病判断条件が狭きに失し、妥当ではないことが断じられたわけであるが、判決後一年間、国は「判断条件は変えない」との姿勢に終始した。

 一方で、認定申請制度は運営されていない。最高裁判決を前提とする限り、自らのした判断の結果が、訴訟で覆る恐れが大きいのであるから、審査会の構成員になろうとする医師がいないのも当然といえる。環境省は、従来の誤った水俣病の判断基準に固執し、その結果、本来の認定行政を運営することができず制度的破綻を迎えたにもかかわらず、その破綻の原因が判断条件の誤りであることを認めないばかりか、新たに「新保険手帳」という医療費支給制度を患者の目の前にブラ下げて、「あなたを水俣病とは認めないが、医療費が欲しければ、認定申請も訴訟もやるな」という、およそ、加害者とは思えない姿勢に終始しているのである。

 私は、そもそも、この訴権の放棄を条件とする新保険手帳制度は憲法三二条に反し違憲であると考えるが、本来の行政認定制度を運用しない行政の態度に、「法の支配」の意味すらも理解していないのではないか、という疑念を感じてならない。「法の支配」を実践できない行政を是正することこそが、我々弁護士の第一次的役割である。

五、公式発見五〇周年のけじめ

 二〇〇六年五月一日、水俣病は、昭和三一年の公式発見から五〇周年の節目を迎える。公式発見から五〇年の年月を経ても未だに訴訟が継続し、三〇〇〇名を超える認定申請者がいるにもかかわらず、制度が運用されていない現実がある。

 熊本の弁護士として、この問題を放置できない二〇名の弁護士が弁護団に名を連ねた。なお、この中には、久留米から紫藤、高峰の両弁護士も含まれている。我々、熊本及び久留米の団員は、必ず五〇年目のけじめを付ける所存である。



永源寺第二ダムは、公共事業の姉歯問題だ

滋賀支部  吉 原  稔


一、永源寺第二ダム計画取消訴訟の大阪高裁判決は、「ダム計画に必要な地質調査をせずに、机上の計算で計画を立てたため、設計を誤った。その結果、事業費が三倍の一一〇〇億円になったのは、まともな調査をしないで計画を立てた、計画に原始的な瑕疵がある」として違法だとして取り消した。

 裁判所は、農林水産大臣の計画をコテンパチン、ケチョンケチョン、ぼろくそにこき下ろした。

、新聞によれば、宮村忠・関東学院教授(河川工学)は、「計画段階でボーリング調査をせず、現地近くのデータから、地質を類推することは、工学技術の専門家から見ると不自然ではない。施行段階できちんと調査するからだ。司法の判断と専門家の常識とはしばしば異なる。

 しかし、司法がノーといった以上、行政は手続を十分に踏まえ、ダムが必要か不要かの本質的議論に徹底すべきだ」といい、このような、手抜きはどこでもやっているといっている。五十嵐敬喜教授が、「事前の調査もされず、専門家の学者の鑑定も国のいいなりで、費用がかさんで効果も上がらない。この判決の物差しで、ほかのダムや道路・空港・新幹線など大規模公共事業をチェックしたら多くの事業は違法になる可能性が強い」という。この判決は、活用できる。

、国土交通省の幹部も、「正規の手続きなしにやった公共事業の姉歯問題だ」といっている。多額の経費を使い、自然を破壊する公共事業が、このように杜撰にやられていることを暴露し、中止させた点でこの裁判の意義は大きい。しかも、この計画を、今年、文化勲章をもらった農業用ダムの権威、澤田敏男京大名誉教授の門下生の二名の京大教授が、「専門技術者」として「適正」とお墨付きを与えた点で、姉歯問題の建築確認機関と似ている。

、原告団も、まさかボーリングなどの地質調査すらしていなかったなど夢にも考えなかった。一審の争点は、土地改良法が要件とする費用対効果、経済性であった。調査の手抜き問題は、一六年二月の計画変更のための地元説明会で明らかになって、高裁段階で、大きな争点となり、にわかに勝つ可能性が浮上した。もし、もっと早く気づいていたら、もっと早く勝っていた。農水省は、計画が遅れ、受益面積が減り、工事費が増えることから、変更計画を策定したが、その中で、ボーリング等の地質調査をしていなかったことが暴露され、自ら墓穴を掘ることとなった。

、大津地裁で敗訴のときに、控訴しておいてよかったし、時間がたって、かえってよかった。提訴以来一一年の訴訟遅延は必ずしも悪くない。その点で、裁判の早期終結のみを追及し、被告人の防御権を制限する裁判員制度には疑問がある。

、ともあれ、永源寺第二ダムは完全に止まったと思われる。滋賀県では、八つの巨大ダムのうち、大戸川ダム、永源寺第二ダムと、関電の金居原ダムがなくなり、丹生ダムは三分の一に縮小された。残るは、滋賀県がつくる芹谷ダムと、北川第一、第二ダムだ。これも住民の運動でつぶさねばならない。

、私は、中高年から登山に懲り、鈴鹿をホームグラウンドにしてきたので、その自然が守られて大満足だ。地元で、一五年の長期にわたり闘った、野田清司議員を先頭にした、粘り強い闘いに、心からの敬意を表し感謝する。

、弁護団は、団長藤原猛爾、山田隆夫、赤津加奈美、和田重太と私。



雇用促進住宅の廃止明渡問題に関する

市民問題委員会開催のお知らせ

担当事務局次長  松 本 恵 美 子


 就労支援の目的で国が設置した雇用促進住宅(現在は、独立行政法人雇用・能力開発機構が運営)は、現在全国に一五三一カ所あり、約三五万人が入居しています。

 ところが、二〇〇一年一二月一九日に閣議決定された特殊法人等整理合理化計画において、できるだけ早期に廃止し、三〇年間で全住宅を売却するなどの方針が決まりました。

 このような動きの中で、大阪府八尾市の別宮団地では耐震診断の結果を理由に全廃が決まりました。そして、住民はわずか二〇万円の移転料で二〇〇九年三月末までに立ち退くように求められています。今後、全国で事実上の住民の追い出しが起こると予測され、明渡しの正当事由といえるか等の問題もあることから、自由法曹団もこの問題に取り組んで欲しいとの要請が全国借地借家人組合連合会等関係者から来ています。

 市民問題委員会では、全国規模の重要な問題と位置付け、下記の要領で別宮団地住民外関係者からヒアリングすることになりました。

 大分県からも取壊対象棟の関係者等が参加する予定です。この問題に関心のある団員は、ぜひご参加ください。

 市民問題委員会日程

日 時  二〇〇六年一月二五日 午後三時〜六時

  場 所  自由法曹団本部