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今村 幸次郎 二〇〇六年五月集会、札幌・定山渓で開催、五〇〇名が参加
坂本 隆浩 亀戸交番“暴力警官”事件
─手抜き判決に対し声を大にして抗議する
広田 次男 小野町処分場、住民側敗訴
労働問題委員会 今ならまだ間に合う
労働法制改悪を阻止する全国的な運動の展開を
山口 真美 国民投票法案の成立阻止に向けて緊急に運動を強めよう!




二〇〇六年五月集会、札幌・定山渓で開催、五〇〇名が参加

事務局長  今 村 幸 次 郎

 五月二〇日から二二日、新緑の札幌・定山渓温泉で、二〇〇六年自由法曹団研究討論集会が五〇〇名(うち弁護士三〇五名)の参加で開催されました。

 在日米軍再編の強行が目論まれ、教育基本法改悪、共謀罪、未決拘禁法案などが国会で審議され、改憲のための国民投票法案の提出がとりざたされるという緊迫した情勢の中での開催となりました。

二 全体会(一日目)

 議長団として北海道支部の佐藤博文団員、京都支部の福山和人団員が選出されました。冒頭、坂本団長から開会の挨拶、北海道支部・佐藤哲之支部長から歓迎の挨拶があり、来賓として札幌弁護士会の藤本明会長からご挨拶をいただきました。

 その後、吉田幹事長から集会にあたり、切迫した情勢の特徴、改憲阻止のたたかいや平和と人権に対する攻撃へのたたかいを大きく発展させるための課題等について報告がありました。

 引き続き、改憲阻止の課題を中心に八人の団員から次の発言がありました。

(1)自民党新憲法草案について     山口真美団員(東京支部)

(2)国民投票法案について        阪田勝彦団員(神奈川支部)

(3)在日米軍再編問題について     藤田温久団員(神奈川支部)

(4)北海道におけるイラク訴訟について  佐藤博文団員(北海道支部)

(5)福井における改憲阻止の取り組みについて

                        吉川健司団員(北陸支部)

(6)国民保護法制について        田中 隆団員(東京支部)

(7)治安強化と改憲について       村井豊明団員(京都支部)

(8)教育基本法改悪と改憲について   小笠原彩子団員(東京支部)

三 改憲阻止に関する分散会討論

 全体会での討論終了後、四つの分散会に分かれて、改憲阻止の問題について、討論しました。それぞれの分散会で、各地での改憲阻止運動の取り組みや課題等について、活発な議論がなされました。各分散会の参加人数は次のとおりです。

 第一分散会一三七名、第二分散会一二七名、第三分散会九六名、第四分散会九九名。

 なお、第四分科会には、室蘭工業大学の奥野恒久助教授にご参加いただき、ご発言いただきました。

四 分科会

 二日目の前半は、課題別に分科会形式で討論しました。各分科会と参加人数は次のとおりです。

(1)教育分科会      九八名

(2)警察分科会      六二名

(3)労働分科会     一〇〇名

(4)市民問題分会     六三名

(5)国際問題分科会    七六名

(6)コンビニFC分科会   三一名

 教育分科会では都教組の川俣義雅さん、市民問題分科会では東京土建の溜口芳明さん、国際問題分科会では元赤旗編集委員の三浦一夫さんからご発言をいただくなど、各分科会で活発な討論がなされました。

五 全体会(二日目)

 分科会終了後の一一時一五分から全体会が再開され、以下の八名の方から発言がありました。なお、時間の関係上、毛利正道団員(長野支部)、板井俊介団員(熊本支部)、萩尾健太団員(東京支部)からの発言通告は通告文の紹介となりました。

(1)チチハル事件について         富永由紀子団員(東京支部)

               (当事者の丁樹文さんからも訴えがありました。)

(2)原爆症認定集団訴訟について    愛須勝也団員(大阪支部)

(3)選挙弾圧大石事件について      井下 顕団員(福岡支部)

(5)岐阜における改憲阻止の運動について 船田伸子さん

                          (西濃法律事務所)

(5)労働法制改悪阻止の運動について  増田 尚団員(大阪支部)

(6)共謀罪阻止の運動について       松本恵美子団員(東京支部)

(7)教育基本法改悪阻止の運動について 小林善亮団員(東京支部)

(8)国民投票法案阻止の運動について   松島 暁団員(東京支部)

 全体会で採択された決議は次のとおりです。

(1)憲法改悪のための国民投票法案に断固反対する決議

(2)日米安全保障協議委員会最終報告に反対する決議

(3)共謀罪新設法案の廃案を求める決議

(4)未決拘禁法案に反対し、代用監獄の廃止を求める決議

(5)教育基本法「改正」法案の廃案を求める決議

(6)「少年法等の一部を改正する法律案」に反対する決議

(7)労働者の権利と健康を破壊する「労働契約法制」の整備及び労働時間規制の適用除外拡大に反対する決議

(8)北海道警察における公金不正支出の徹底解明と再発防止を求める決議

 さらに、緊迫した国会情勢に鑑み、全団員が団結してさらに旺盛に運動に取り組むことを呼びかける趣旨で特別アピール「憲法改悪、『戦争する国づくり』と『格差社会』の拡大を全力を尽くして阻止しよう」が提起され、満場の拍手で確認されました。

 北陸支部の萩野美穂子団員から、一〇月の石川総会の案内がなされ、北海道支部の林団員からの挨拶で集会を閉じました。

六 プレ企画

 前日の五月二〇日には、次の三つのプレ企画が行なわれました。

 新人学習会(四二名)

 次の二つの講演を行いました。

(1)青春を返せ、統一教会裁判    郷路征記団員(北海道支部)

(2)団と事件と若手弁護士      阪田勝彦団員(神奈川支部)

 事務局交流会(一二八名)

 長野順一団員から「団事務所における事務局労働者の役割」、福岡第一法律事務所事務局長の上村保さんから「団事務所に就職されたみなさんへ―先輩から一言」との講演がなされた後、(1)新人事務局交流会、(2)憲法運動分会に別れ、活発な討論がなされました。

 将来問題に関する支部代表者会議(四四名)

 〇七年問題を目前に控えた状況の中で、各支部からの参加を得て、団の将来を展望するための多様な議論がなされました。

 この集会の成功のためにご尽力いただいた北海道支部の団員、事務局の皆さんはじめ関係者の方々に、この場を借りてあらためてお礼を申し上げます。


亀戸交番“暴力警官”事件

─手抜き判決に対し声を大にして抗議する

東京支部  坂 本 隆 浩

 警察官による暴行事件を隠蔽するためにでっち上げられた公務執行妨害事件(二〇〇六年五月集会特別報告集一一七頁の事件)の控訴審判決について記すものである。

一 全文八頁の手抜き判決

 二〇〇六年五月二四日、控訴審判決が言い渡された。言い渡したのは「女性の近くに立たないのがマナーです」と痴漢冤罪事件で無罪判決後に説諭した東京高裁一一刑事部。言い渡し時間一五分。一審での「事実認定の補足説明」部分が二七頁であったのに対し、控訴審では判決全文でも八頁。言い渡しを聞きながら「お前ら記録を見てないだろう」と胸の中で何度毒づいたかしれないほど杜撰な内容であった。

二 杜撰な内容―その一

 本件では交番内に設置された防犯カメラにより撮影されたビデオ映像がある。そのビデオ映像によれば暴行があったとされる時間帯には被告人である渡辺さんの右手にカバンが持たれているため、カバンを持った右手の平で警官の胸を突いたり胸倉をつかむことはできない。深夜で、しかも窓越しの映像であるため一見して右手のカバンを認識することは困難である。画像処理した映像を証拠として提出した一審でも「見えない」と否定されたため、控訴審では九州産業大学の教授に依頼して画像処理を施し、鑑定書も作成してもらった。傍聴席にもその画像が流されたが、半信半疑だった傍聴人も「はっきり見えた」と言うほどより鮮明となっていた。

 検察官も窓越しに映った人の姿を認めつつ、人に見えるように画像処理したものであるなどと論難した。

 ところが、控訴審裁判官は「まったく明瞭を書き、以下に目を凝らしてみても(弁護人の主張するような)映像が映っている」と認めることはできない、鑑定書、鑑定者の尋問結果をもってしても同様であると言い放った。

 控訴審で画像処理した映像は、同じ場面を三〜四回繰り返すという編集が施されており、巻き戻しの手間隙をかけることなく何度も見れるようになっている。しかし、裁判官らはその映像をまったく見ていない。それは次のことからはっきりした。

三 杜撰な内容―その二

 控訴審判決は、「弁護人は、原審においては、(渡辺さんが)警察官に投げ飛ばされたのは二九分一八秒の映像場面であると述べていたのに対し、当審においてはそれは二九分一七秒の映像場面であると主張しており、本件ビデオ映像に映っているとの主張自体がかなり不確かなものであることを裏付けている」とまで認定されてしまった。

 あきれてものが言えない。渡辺さんが投げ飛ばされるのは、ビデオ映像上、二九分一七秒から一八秒にかけてである。一審、控訴審を通じて一七秒から一八秒にかけて投げ飛ばされていると主張している。たまたま鑑定書では一七秒(投げられる最初の画像である)と記載され、その部分を引用した箇所があるに過ぎない。ビデオ映像を見れば容易に分かることである。

 さも鬼の首を取ったかのような判示内容に、「節穴」という以上になんと言えばよいのか言葉が見つからない。

四 杜撰な内容―その三

 一審ではあまりにもビデオ映像とかけ離れた証言をしたために、四人のうち一人の警察官の証言の信用性が否定された。ところが、控訴審判決では何の説明もなくその警察官の証言が事実認定に使われてしまった。「これら警察官(四人全員のこと)の供述が信用するに足るものであることは原判決が詳細に説示するとおりである」とまで述べる始末である。

 控訴審では、原判決も見ないらしい。

五 杜撰な内容―その四

 渡辺さんの暴行の最初から見たという警察官は、交番の外に出て一定の場所にいるときに最初の暴行を見たと証言している。ところが、控訴審判決はその警察官が交番の外に出る少し前から暴行がなされたと認定する。

 なぜこのような認定となったのか。暴行を受けた警察官が、交番の外に出た警察官について自分が暴行を受けたのを見て交番の外に出たのではないかと推測でものを言ったのをそのまま事実認定に使ったとしか思えない。目撃警察官の証言調書は忙しくて読む時間がなかったのであろうか。

六 上告して

 まだまだ言いたいことはある。五月二五日に上告したので、思いのたけは上告理由書にぶつけることにする。

 それにしても思うのは、原審判決も読んでいないと思われるようなこんな杜撰な判決になったかということである。無罪判決を言い渡し、余計な説諭を述べ、それについて上から圧力がかかったのか、それとも検察官から圧力がかかったのか、うかがい知ることはできない。いずれにしても結審後二ヶ月かけた判決とは思えない。一〜二週間で、あるいは前日徹夜で書き上げた判決なのではないかというのが判決文を受け取った感想である。

 なお、鑑定を依頼した大学教授(これまで警察からの依頼を中心に七〇件以上の画像処理に携わる)は、今後は鑑定とは離れるつもりであるとのこと。鑑定書を作成したときから、裁判所に受け入れられなければもうやりませんと言っていたが、そのとおりになってしまうのは残念なことである。


小野町処分場、住民側敗訴

福島支部  広 田 次 男

一 一月余りも経ってしまった。

 四月一二日、仙台高等裁判所第三民事部は、小野町処分場操業差止事件につき、控訴を棄却して住民側は全面敗訴した。一九九五年の建設禁止の仮処分申立以来一一年余りに亘る法廷闘争は最高裁を残すだけとなった。

 全力を傾けた事件の敗訴判決を見るのは、悔しくて辛い。読み返す気力もなく放置していたが、勝訴の報告はできても敗訴の報告ができないのでは情けない。

 他のゴミ裁判への影響も無視できない。気力を掻き集めて以下の報告をする。

二 小野町処分場とは

 一九九六年に建設された搬入量八六万立方メートルの管理型処分場で、いわき市の西隣の小野町の東端に存在するので、小野町処分場と呼ばれている。

 いわき市の最大の水源地は、小野町から流入する夏井川である。小野町処分場は夏井川直近にあり、その排水は夏井川に流入する。

 いわき市民を中心とする反対運動は一九九四年に始まり、建設禁止仮処分の申立は二一七〇人、当初の本訴原告は二三七二人に及んだ。

 二〇〇一年八月一〇日、福島地方裁判所いわき支部は、住民全面敗訴の判決をなし、住民は即日控訴していた。

 控訴審は五年弱に及び、管理型処分場操業停止についての我国初の高裁判決となった。

三 高裁判決の構造

 まず、浄水享受権は人格権の一種であり、健康権の側面と平穏生活権の側面の両面を併せ持ち、いずれもその侵害に対しては、妨害排除請求をなし得るとしている。

 次に、本件処分場外には、ダイオキシン、重金属などの有害物質の漏出が見られ、遮水シート破損の可能性があるが、夏井川から検出される有害物質は、いずれも水質基準を下回っており、企業努力により改善が見込まれる。

 そこで、健康権としての浄水享受権については、操業開始以来約一〇年を経過したが、飲水している原告ら住民に健康被害の発生は見られず、平穏生活権としての浄水享受権については、本件処分場の公共性に照らして受忍限度を越えていないので、住民の主張は認められない。

 以上が判決の骨子である。

四 その問題点

 負けた判決の批判を延々と並べると恨みがましくなる。以下の二点に止める事とするが、(批判は)以下の二点のみという訳では決してない。

 第一に、本件処分場の最大の問題は、場外へのダイオキシン・重金属の度々の漏出にあった。ダイオキシン研究の第一人者であるS大のM教授は、一審鑑定に於いて「本件処分場からのダイオキシン漏出の事実は認められるが、漏出は継続的・構造的なものとは認められない」とした。

 一審判決はこれに飛びついた。「争点に対する判断」に於いて、重要な節目には必ず上記M教授の鑑定が引用され、その回数は一〇回以上に及んだ。

 控訴審に於いて、住民はM教授に二回に亘り現地調査を依頼し、二回(一審鑑定と併せれば三回)に亘り、処分場外からダイオキシンが検出された。

 その結果、M教授は一審鑑定を変更し「本件処分場からのダイオキシン汚染は、操業開始以来の継続的なもので、その構造的欠陥に由来する」との意見書を提出して、その旨の証言を行った。

 場外の重金属についても同様に、I大のK教授が証言した。高裁での証人尋問はこの教授ら二人のみであった。一審判決の骨格をなしたM教授の一審鑑定の変更についての判断が控訴審の最大のポイントであった。

 ところが、控訴審判決は一審鑑定の変更については一言も触れないのである。「都合の悪い証拠は無視」が高裁判決とは心得ていたが、五年弱の控訴審の審理の中心であり、大半の時間を費やした一審鑑定の変更に一言も触れない控訴審判決を目の当たりにして、呆然とした。

 第二に、「健康被害がないではないか」との論旨である。

 本訴は環境訴訟であり、事前予防が当然の前提である。仮に夏井川のダイオキシン・重金属汚染により健康被害が明らかになれば、いわき市の全滅は明らかである。

 これまでも犠牲者が出なければ対策を講じない行政の遅れに対して、「人柱行政」との批判がなされてきたが、本件判決は「人柱司法」の典型である。裁判官が環境問題についての見識を全く欠いている事を自白したに等しい。

 判決後の記者会見で、住民代表が「裁判なんて『こんな程度のものか』と実感した」と語っていた。

 住民代表には「裁判官の問題の本質に対する洞察力の欠如」が判決文を通して見て取れたという事だ。

五 今後

 出されてしまった判決に幾ら文句を言っても始まらない。

 二度と再び同様な判決を出させないようにするにはどうすべきか。ゴミ弁連(たたかう住民とともにゴミ問題の解決をめざす弁護士連絡会)を中心に検討を重ねる予定である。


今ならまだ間に合う

労働法制改悪を阻止する全国的な運動の展開を

労働問題委員会

財界の意を受けて突き進む厚労省

 厚生労働省は、去る四月一一日、労働政策審議会の労働条件分科会に対して「労働契約法制及び労働時間法制に係る検討の視点」を提示した。

 厚労省が目指す労働契約法制づくりと労働時間法制の見直しについては、昨年九月発表の「今後の労働契約法制のあり方に関する研究会報告」及び今年二月発表の「今後の労働時間制度のあり方に関する研究会報告」によってその重大な危険性がすでに明らかとなっていた。このため、この間の労働条件分科会では労働側委員から厳しい指摘と異論が毎回のように出され、また、全労連・連合なども揃って反対の意見を表明してきたことなどから、分科会での論議は必ずしも厚労省の思惑どおりには進んで来なかった。

 しかし、後に見るように、今回の「検討の視点」は、この間の分科会での論議の経過を無視して強引に目指す方向へと結論をリードしようとの厚労省の姿勢を見事に示している。

 その背景には、財界の意を受けて今年三月三一日に閣議決定された「規制改革・民間開放三か年計画(再改定)」が、「労働契約法制の整備」と「労働時間規制の適用除外制度の整備拡充」について今年度中に結論を得るよう、また「解雇の金銭解決制度」についても検討を進めるよう求めているという事実がある。厚労省は、労政審をこの閣議決定に沿った政策実現のためのいわば道具として活用しよう、との意図を露骨に示すにいたったと言えよう。

「検討の視点」に見る厚労省がめざす危険な中身

 「三か年計画(再改定)」は、「労働契約法制の整備」について、「契約当事者である労使双方の意志(労使自治)を可能な限り尊重する必要」つまり法律による介入を極力排除すべき必要性を強調しつつ、労政審での議論を深めて結論を得るべきだとした。

 これを受けて「検討の視点」は、「解雇の金銭解決制度」の新設、労働者代表制度とはとうてい言えない「労使委員会」制度の新設と、同委員会の決議をも用いた労働条件切下げ手段の保障など、「今後の労働契約法制のあり方に関する研究会報告」が打ち出していた重大な問題点を引き継ぎつつ、「研究会報告」のなかでいくつか見られた前進面を消し去ろうとするなど、「三か年計画(再改定)」の要求に正面から応える内容となっている。

 また、「労働時間規制の適用除外制度の整備拡充」についても、「検討の視点」は、労働条件分科会での議論の経過を無視して、労働時間規制の適用除外を大幅に拡げるべきことを明確に打ち出しているのである。

加速する法案化に向けてのうごき

 厚生労働省としては、年内に関連法案をとりまとめて二〇〇七年二月頃には通常国会に上程することを目指しており、今後、これに向けて同分科会における論議を進めて六月一三日に「中間とりまとめ」の素案を発表し、七月一八日には「中間とりまとめ」を行ってこれに対するパブリックコメントを八月末を締切として募集したうえ、遅くとも一〇月中には審議会としての建議に漕ぎつけようとのスケジュールを描いている。

 強力な反対運動を全国的に展開して法案化に向けての差し迫るうごきに追いつかせ、政府・財界の意を受けた厚労省の狙いを阻止しなければならない。

当面の取り組みへの協力と全国的な運動の緊急展開を

 去る五月一八日、全労連・日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)・新婦人・婦団連・自由法曹団などで構成する「労働法制中央連絡会」は、全労連会館ホールで意思統一集会を開催した。開会挨拶に立った熊谷全労連議長は、「中間とりまとめ」の段階で危険な中身を入れさせないことの重要性とそのための取り組み強化を訴えた。

 この日の集会で、中央連絡会は、
   大決起集会「人間らしく働くために」
   六月二八日(水)一八時三〇分〜文京シビックホール

を五〇〇名規模で成功させたうえ、「働き過ぎ社会を告発する黒書運動」、労働条件分科会への「要請書」提出運動、労働条件分科会当日の傍聴と厚生省前行動などに全力をあげることを確認した。

 団本部・労働問題委員会は、これらの各とりくみの成功を支えるとともに、全国各地で、これらと呼応して学習会・反対集会などを企画するとともに労政審(労働条件分科会)・厚労省(労働基準局)に対する要請書の提出を早急に行うことを呼び掛ける。

 これらをつうじて「中間とりまとめ」に盛り込もうとしている危険な内容を阻止することを目指すとともに、「中間とりまとめ」に対しては八月末締め切りが予定されるパブリックコメントにも全国から数多くの意見を提出することを呼び掛ける。

 なお、五月集会ではこの問題についての分かりやすい宣伝物が欲しいとの意見もあったところ、東京法律事務所から、五月二〇日付で労働組合向けに作成した同事務所のニュース(労働条件分科会・労基局長宛の要請書サンプル付)を全国で転用して構わないとの申し出を受けた。団本部宛に連絡をいただければ送付手配するので、学習・宣伝に活用されたい(転用のさいには表紙のタイトル及び一〇頁の学習会講師引受先にある「東京法律事務所」との部分を適宜差し替えられたいとのこと)。


国民投票法案の成立阻止に向けて緊急に運動を強めよう!

改憲阻止対策本部担当次長  山 口 真 美

一 国民投票法案が国会提出、一日審議入りへ!

 自民党と公明党は、五月二六日、改憲手続法案である国民投票法案を共同で国会に提出し、同日、民主党も対案を提出しました。与党は、六月一日の衆議院本会議で国民投票法案の趣旨説明と質疑を行い、審議入りすることを目指しています。

 法案は、改憲のための手続法案であって、日本をアメリカと一緒に海外で戦争をする国とするものに他なりません。教員や公務員の運動を大幅に規制し、国民の承認の要件を有効投票総数の過半数とするなど、その内容も国民主権とはほど遠いものとなっています。

 このような法案の成立を許さないたたかいを急速に強める必要があります。緊急に次の二つの行動を提起します。全国の団員の力を結集して法案成立を阻止しましょう。

二 国民投票法の成立阻止に向けた運動に結集を呼びかけます!

○ 六 月 八 日 国会要請行動(自由法曹団主催)

 自由法曹団では、緊急の国会要請を予定しています。日時と場所は次のとおりですので、ぜひ、ご参加ください!
 集合時間 六月八日(木) 午後一時〜
 集合場所 衆議院第二議員会館第三会議室

○ 六 月 三  日 マリオン前での街宣行動に結集を!

 九条、教育基本法、基地・米軍再編、共謀罪の四つをテーマにマリオン前でリレートーク、リーフレット配布を行います。
 ぜひ、ご参加の上、ご発言をお願いいたします。
 主催 自由法曹団、MIC(日本情報文化労組会議)、JCJ(日本ジャーナリスト会議)、マスコミ関連九条の会連絡会
 時間 一三時三〇分〜一六時三〇分
 場所 有楽町マリオン前