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西村 依子 北陸各県支部の“独立”
飯田 美弥子 「茶のしずく」被害――その後
永尾 廣久 団通信は活性化の指標
守川 幸男 ハシズムの手法を斬る



北陸各県支部の“独立”

石川県支部  西 村 依 子

 従来、“北陸支部”として、三県一緒に活動していた、富山、福井、石川の三県が、昨秋から今春にかけての内部討議と、先日の本部常任幹事会での承認で、ついに、今後は、それぞれ、独立の支部として活動することになりました。

 数年前から、支部内で議論にはなっていたのですが、各県に分けたときの実働団員数の問題などがネックとなり、見送ってきていました。

 それが、近時の弁護士増員に伴う団員の増加で、条件が整い、ついに、各県独立しよう、という運びになったものです。

 めでたし、めでたし(笑)。

 と言っても、元々、仲良し(?)三県です。例えば、じん肺訴訟、B型肝炎訴訟等も、三県共同の弁護団で、金沢地裁に提訴したり(金沢は、石川県の県庁所在地です!ごくたまに、誤解されている方がいるので、念のためー苦笑)、名古屋高裁金沢支部に係属する重要事件を、一緒に闘ったりしてきていますし、青法協も、北陸支部として活動しています。

 ですので、“各県独立後も、年に一回は、交流会をしようね”と、固く誓いあって、泣く泣く(?)、別れたのでした(笑)。新しい各支部の体制は、左記のとおりです。

 富山県支部 支部長:山本直俊 事務局長:水谷俊彦

               団員一四名

 福井県支部 支部長:坪田康男 事務局長:吉川健司

               団員一一名

 石川県支部 支部長:西村依子 事務局長:荻野美穂子

               団員一二名

 ところで、旧北陸支部の課題は、故梨木作次郎先生の時代から、せっかくの常任幹事会の立派な議論が、地元に、十分には、届いていないという点でした(汗―反省)。

 それでも、個々に優れた先輩、同輩たちが、常に全国情勢にアンテナをはりながら活動されていたので、必ずしも、本部が動いて欲しいと考える課題とテンポでの活動はできていなかったかもしれませんが、それなりに、各課題で各人が地に根をはって、活動はしていたのです。

 しかし、せっかく今回、支部が大所帯からスリム化したわけですので、今後は、もう少し、全国と連動する活動を心がけて行きたいと、考えているところです。

 今後とも、やわやわと(加賀地方の方言で、ゆるゆると、というようなニュアンスです)、ご指導、ご鞭撻頂ければと思います。

よろしくお願い致します。


「茶のしずく」被害――その後

東京支部  飯 田 美 弥 子

一 はじめに

 五月集会では、いろいろな方から、お見舞いの言葉をかけていただき、ありがとうございました。

 ただ、私が皆様のお気遣いを素直に喜べない心境にあり、却って、とがった物言いをしてしまった方もあり、この場を借りてお詫びいたします。すみませんでした。

 そこで、昨年末からの経過につき、淡々と報告をさせていただこうと思った次第です。

二 現状

 「今は、どうなの?大丈夫?」という質問をいただくと、「小麦を取らず、運動もしていないので、ショックを起こしません。」と答えざるをえません。

 運動誘発型の小麦アレルギーであることには、変わりありません。

 最初にアナフィラキシーショックを起こしたのは〇八年二月、最後のショックは〇九年三月。その間は、我が身に何が起こっているかわからず、アレルギーとの付き合い方もわからなかったので、三回も昏倒してしまいました。

 しかし、最後のショックから、既に三年が経過しています。小麦除去食は、最初のショック以来、もう四年になります。アレルギーと付き合うのにも慣れてきます。

 空港で、皆さんが食事に誘ってくださっても、「私、食べられる物が限られているから、ちょっと…」と言わなければならないときなど、淋しさを感じますが、それは致し方のないことと思っています。

三 将来の見通し

()次に、「治らないの?」という質問をいただくと、更に困ってしまいます。

 私は、治る見通しを持っています。

()デリケートな問題なので、具体的な数値で説明します。

 RAST(血液中の、ある抗原に対する特異的IgE抗体のレベルをあらわす検査)スコアは、アレルギーの症状を測る指標の一つです。抗体がなければ「〇」、抗体がある疑いありが「一」、抗体が少しあるが「二」…で、RAST「五」「六」の抗原(原因物質)を摂取すると、アナフィラキシーショックを起こすことが多い、といいます。(新日本出版社、眞鍋 穣著「そうなんだ!アレルギー」七五頁)

 しかし、私の場合、最初にショックを起こしたとき(〇八年二月二五日)のRASTスコアは、小麦が「〇・二一」、グルテン(小麦タンパク)が「〇・二九」でした。

 私が望んだわけでも選んだわけでもないのですが、僅かな抗体で強烈な反応を起こす、ということを示しています。

 二度目のショック時(〇八年一一月一〇日)のスコアは、小麦「一・六二」、グルテン「一・七五」。

 三度目のショックの一か月前(〇九年二月一七日)のスコアは、小麦「三・五六」、グルテン「四・一九」。

 最初のショック以後、小麦除去をしているにもかかわらず、数値は確実に上昇し続けたのです。

 先日、アレルギー学会への症例報告のため、カルテの写しを取得しましたが、それを読むと、主治医も、私も、困惑し疑心暗鬼になっている様がわかります。

 自分の体に何が起こっているかわからない恐怖・・・。

 茶のしずく石鹸の中の「グルパール19S」という成分が原因とわかったときは、むしろ、「なんだ、そうだったのか。」とほっとしたほどでした。

 商品リコールの葉書を受け取った直後(一一年六月六日)のスコア、小麦「四・三八」、グルテン「五・四八」。同年二月まで、「グルパール19S」を含む石鹸を使っていたため、以前より、悪化していました。

 半年後(同年一二月九日)のスコア、小麦「二・六六」、グルテン「三・九三」。

 まだ、高い水準ではあるものの、発症以来、初めて数値が下がったのです!

 主治医と私が手を取り合って喜んだことは、言うまでもありません。

()私の主治医は、私が数年のうちに治るだろうと言ってくれています。

 私は、私の主治医に全幅の信頼を置いています。最初のショック直後に、「食物アレルギーによるアナフィラキシーショック」・「原因物質は小麦」と看破してもらえたことは、私にとって幸運でした。また、彼女(女医です。)の四人の子ども全員が、生来的に重篤な食物アレルギーであったせいもあるのでしょう。患者である私の状況・気持ちを実によく理解してくれています。

 私は子年生まれ。〇八年は四八歳でした。次の子年には、麦酒で還暦祝いの乾杯をするぞ!と今は、それを楽しみにしています。(一二年ぶりの麦酒なんて、考えただけで興奮してしまいます。)

四 提訴せず

 報道によれば、本年四月二〇日、一五の茶のしずく弁護団が、全国で一斉に提訴したそうです。原告数五三五、賠償請求額七〇億円超だそうです。なお九つの弁護団が提訴を予定しており、追加提訴を含めると、原告数は千人を超える見通しだそうです。

 これも報道によると、東京弁護団の基準では、私のようにアナフィラキシーショックを経験した原告の請求額は、一五〇〇万円のようです。

 訴状を見たわけではありませんが、私が茶のしずくの弁護団会議に出ていた頃は、本件被害を「後遺障害」として、損害額を算定する議論をしていました。

 前項に細かく数値を挙げたのは、「治癒の見通し」が、私の希望的観測ではないことをわかっていただきたいためです。私自身は、治るつもりでいます。

 他の原告のことはわかりません。しかし、私には「後遺障害」と思えない被害を、後遺障害等級表で算定することには、どうしても同調できません。

 それ故、私は原告にならず、弁護団も辞しました。

五 被害者の皆さんへの思い

 昨年、私が、テレビ等の取材に応じたのは、三つの理由によります。

 一つは、石鹸の使用によって、「食物アレルギー」を発症した。そのアレルギーというのは、原因物質である小麦を摂取した後、運動負荷がかかると、アナフィラキシーショックを起こすこともある、危険なものである。このややこしい話を、正確に伝えてもらい、無用なパニックを回避したかった。

 二つは、「きれいになろうなんて思ったがために、こんな目にあってしまって…。バカな私」と自責の念を持っている被害者に、一般には聡明だと思われている弁護士の中にも被害者がいると知らせることで、少しでも自責の念を軽減させたかった。

 三つは、アナフィラキシーショックにもめげず、弁護士を続けている被害者もいるから、ひきこもったりしないで、がんばって、とエールを送りたい。

 いずれも、それなりに達成できたように感じています。

 私は一被害者なので、被害者全体として、どう加害企業の責任を追及するかまで考えるのは、手に余ります。その点は、弁護団にお任せするつもりで、弁護団のアナウンスをしました。

 前記のとおり、本件被害が「後遺障害」か否かをめぐって、私自身が弁護団に委任しない決意をしたことは、他の被害者の皆さんに対して心苦しく思っています。

 皆さんの被害回復と、再発防止策が講じられることを、心から祈っています。


団通信は活性化の指標

福岡支部  永 尾 廣 久

三九年の歴史

 団通信が月刊から月三回のものとしてスタートしたのは、私が川崎合同法律事務所(篠原義仁団長が四年先輩)で弁護士としてスタートする前の年(一九七三年)三月、それから今日まで営々として中断することなく発刊されてきた。そのB5サイズという体裁は変わっていない。

 団は一九九七年からホームページを開設しているが、団通信に掲載されたものの大半が今では団のホームページにアップされている。すなわち、団通信は広く国民に公表・公開されたものなのである。

 ホームページに掲載された通信は少し前まで月二〇件、年二五〇件だったが、最近は年三三〇件ほどに増えている。私が前に『団通信は読まれているか』(二〇一〇年七月一日、一三四九号)を書いたときには、「最近は通信が少なくて、いかにも薄いペラペラの号がある」とコメントしているが、今では、それなりのボリュームがある。それだけ団員の活動が活性化していることを意味している。

活性化のバロメーター

 団通信への寄稿者のなかに若手団員が増えているのはうれしい限りだ。

 二〇一一年の三一五件のうち、五五期の以降の団員が一〇五件を占めている。つまり三分の一だ。そして、三・一一のあと、岩手・宮城・福島の被災三県の団員の投稿が目立つのは注目すべきこと。

 支部ごとの投稿数をみてみると、(1)東京一六〇八、(2)大阪三一九、(3)神奈川二三三、(4)埼玉一二五、(5)京都と福岡が同じく一〇二。ここまでは順当な気はする。いや、大阪は団員数からみて少なすぎはしないだろうか。経済的不振が反映しているのだろうか。そう言えば、今回の宮崎での五月集会への事務局の参加は三人でしかなく、そのとき事務所運営が苦境にあるとの報告がなされた。

 そして、(7)千葉九三、(8)滋賀県八三、(9)広島七六、(10)愛知六四、(11)北海道五二と続くと、ええっと目を疑う。愛知や北海道の少なさはいったいどういうことなんだろうか。その原因を知りたい。前回は、愛知は五六、北海道は三七だった。愛知で八、北海道で一五しか増えていない。愛知も北海道も団員はそれなりに増えているはずなのに、どういうことだろうか。このように見てくるとやはり、団通信の投稿数はそれぞれの支部の活性化状況を如実に示していると見ていいのではないだろうか。

 次に修習期をみてみよう。先ほど五五期以降で三分の一を占めていることを紹介したが、ここで群に分けて多い順に並べてみる。

(1)三〇〜三四期、四七七、(2)四〇〜四四期、三八四、(3)五〇〜五四期、三五九、(4)三五〜三九期、三四五、(5)二〇〜二四期、三三八、(6)二五〜二九期、三〇八。実は、上位三グループは前回と同じである。すごいことだ。

 さらに単発の期でみてみると、実は私の二六期が一位、一四九である。これは前回と同じ。以下、(2)三一期一三四、(3)三〇期、一三三、(4)三〇期、一三一、(5)五三期、一二八、(6)三八と四四期がいずれも一二五、(8)三二期、一一四となっている。まだまだ三〇期台が健闘していることがよく分かる。

 しかし、逆に言うと、四〇期台の後半の少なさが目立つ。

 ちなみに、五月集会に元気な顔を見せられた石川元也元団長の属する九期は二四通であった。八〇歳をこえられた石川元団長には引き続き元気に投稿していただくことを願っている。

さらに読みやすく、役に立つ通信に

 先に私は「リライトを含む強力な編集体制」を提言したことがある。

 それは編集委員長も問題点としてあげている、「表現が刺激的すぎる」「長文にすぎる」など、「検討が求められる投稿も散見される」からである。さすがに「リライト」までは無理だと断られてしまった。ただ、そういうときには、短縮化や表現変更のお願い、さらには事前討議を求めることになっているというから、改善の方向にあることは間違いない。

 私は、団通信がさらに読みやすく、そして実務に役立つものになるように編集委員会に対して大いに期待している。

 もっと各地から団員が気軽に生き生きした実践レポートを寄せてほしいと私からも編集委員会にかわってお願いしたい。


ハシズムの手法を斬る

千葉支部  守 川 幸 男

次々と目立つ発言くり返し

目新しいこと言うばかり

自転車操業やるしかない

マスコミ受けを狙うため

賞味期限が尽きぬうち


何だかやってくれそうだ

何だか変えてくれそうだ

思わす手法がうまいだけ

思わす手法がずるいだけ

だからちょっとは考えて

中味はなんでもこの政治

変えてくれればいいのかね


変える中味はどっち向く

狙うは小泉改革と

憲法破壊の安倍路線

ホントは古い政策を

ワンフレーズで叫ぶだけ

期待をするのは財界で

庶民はますます被害受け


格差と貧困広がって

構造改革被害者が

なんで橋下支持するの

白紙委任でいつの間に

いつか来た道おそろしい


マスコミこぞって戦前の

誤り再び犯すのか

ジャーナリズムの精神を

世論の力で呼び戻せ


ファシズムは

走り出したら止まらない

双葉のうちに摘み取ろう

双葉のうちなら止められる

もりかわうらゝ