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長澤  彰 新幹事長に就任して
脇山  拓 静岡・焼津総会/半日旅行に参加して
佐伯 雄三 命あるうちに名誉回復を訴えるレッド・パージ被害者の声に応えよう
〜国賠訴訟控訴審敗訴判決を受けて〜
笹山 尚人 独立行政法人・国立大学法人での国家公務員給与臨時特例
平均七・八%に準じた賃下げに対し、不払い賃金請求訴訟
全大教および加盟二単組が東京地裁などに同時提訴
田村 優介 城北法律事務所
「東海村原発見学ツアー」の取り組み
樋口 真也 国民救援会滋賀県本部定期大会に参加して
玉木 昌美 映画『ひろしま』上映会成功する
中野 直樹 裏銀座縦走・回想の山旅(二〇一一)
上田 月子 給費制復活に向けて〜協力のお願い〜
長澤  彰 二〇一三年一月 名古屋拡大常任幹事会・憲法討論集会へのご案内



新幹事長に就任して

幹事長  長 澤   彰

 新幹事長に就任しました長澤彰です。

 一九八八年弁護士登録の四〇期です。団関係では、一九九五年から事務局次長を担当し、二〇〇七年から改憲阻止対策本部事務局長を務めてきました。

 幹事長就任後、突然、解散総選挙となり、安倍自民党が、改憲・国防軍の設置・九六条改憲・集団的自衛権行使のための国家安全基本法制定などの公約を示し、維新の会も自主憲法制定・九六条改憲を公約に掲げ、憲法問題が重要な争点となってきました。最近の選挙調査では、自民党が、単独過半数の勢いと報じられています。

 二〇〇七年五月、当時の安倍首相が、改憲手続法を強行成立させ、首相在任中に「憲法九条の改正」を打ち上げた当時の政治情勢に近似してきました。当時、団は、改憲問題の重要性から二〇〇七年七月に奈良で、翌年二月に名古屋で「憲法討論集会」を開催し、改憲問題での団の意思統一を図り、憲法を守るたたかいに決起しました。

 このごろの情勢の進展もかんがみ、来年一月一九日に拡大常任委員会を名古屋で開催し、翌二〇日には「憲法討論集会」を開催することにしました。是非、多くの方の参加をお願いします。

 最近、政党が設立されては解党し、吸収されるような現象が頻発し、すべての政党の名前すら覚えられない状況です。かつても一二月になると政党助成金を目的とした少数政党が結成される現象はありました。政党はそもそも、党員が政党を結成し、地方組織を作り、地方議会に進出し、国政に打って出るというのが一般です。その財政は、党員の党費と支持者の寄付によるので、財政的基盤が重要で、これがなければ政党結成は困難でした。ところが、政党助成金の制度により、財政的基盤作りをしなくても、国会議員五人で政党結成が容易となっています。政党助成金は、年間約三二〇億円ですから、国会議員七二二人の一人当たりの計算でも約四四〇〇万円となります。国会議員の歳費が、約二〇〇〇万円ですから、いかに政党助成金の恩恵が大きいかわかります。もう一度、政党助成金の問題点を広く訴える必要があります。

 今、総選挙の最中ですが、一二の政党の立候補があり、小選挙区に九人・六政党の立候補届け出がある選挙区も出てきました。小選挙区で六割〜七割の死票がでることが予想されます。総選挙後は、定数削減の問題もありますが、小選挙区制の抜本改正を求める大きな運動をつくりだすことが重要になります。先の臨時国会まで、衆議院で選挙制度協議が継続され、衆院選挙制度の抜本改正が野党の共通要求となっていました。「衆院選挙制度の抜本改正を求める議員連盟」(中選挙区議連)の存在もあり、本格的な選挙制度改革の動きが活発化してきます。

 改憲と選挙制度の問題を、団としても重要課題として取り組む覚悟です。

 今後ともよろしくお願いいたします。


静岡・焼津総会/半日旅行に参加して

山形支部  脇 山   拓

 最近はよく半日旅行に参加しています。半日旅行のスケジュールは東京や大阪の人がぎりぎりその日に帰れるように組まれているので、私は羽田空港からの最終便に乗れないことがほとんど。その場合、東京でもう一泊しないと帰れず、費用も時間も結構な負担になるのですが、個人旅行では経験できない企画なので、ついつい参加してしまっています。

 さて、今回はまず焼津さかなセンターへ。鶴岡も海沿いなので、この手の施設自体は珍しくはないのですが、ここの規模の大きさには圧倒させられました。あんなに豪快にかぶと焼きを試食できるところはそうないでしょう。また、魚だけでなく、おやつに食べたわさびソフトも実に刺激的でした。

 そしてメイン企画の浜岡原発です。遠州灘に面して鎮座する、その立地条件を実際に目にしただけでも、これは絶対に動かしてはいけない原発なんだということを改めて確信しました。

 そして、浜岡原子力館の中を、模型等に付けられた中部電力の「安全」「安心」という説明表示を一切無視し、専門家の方によるこのような電力会社の説明がいかに間違っているかという解説を聞きながら見て回って、原発の危険性を確認していくという体験は、実に斬新で、かつ、とてもわかりやすいものでした。

 五月集会の際に訪ねた島根原子力館では、地震津波対策の解説は、とにかくまとめたものをスライド等で説明するだけという感じでしたが、その後半年近く経過し、今回の浜岡原子力館では、津波対策で建設中の防波壁の模型が既に展示がされているなど、内容が進化しており、本当に潤沢な資金を使ってなりふり構わずアピールしているんだなぁということも実感しました。

 企画してくれた静岡県支部の皆さん、本当にご苦労様でした。


命あるうちに名誉回復を訴えるレッド・パージ被害者の声に応えよう

〜国賠訴訟控訴審敗訴判決を受けて〜

兵庫県支部  佐 伯 雄 三

 神戸在住の三名(内二名は九〇歳をこえています)が、国を相手にその責任を認めさせるべく二〇〇九年三月に国家賠償請求訴訟を提起していましたが、一審神戸地裁は二〇一一年五月二六日に三名の訴えを全面的に退ける判決を下し、さる一〇月二四日に大阪高裁も、一審同様の敗訴判決を下しました。

 私たちは、訴訟で、レッド・パージとは、単に企業、国の機関から解雇・免職処分をされたことにとどまらず、解雇・免職処分にいたるまでの国の一連の政策、そして解雇・免職処分後も社会から抹殺しようとする国の一連の政策全体をとらえてレッド・パージ被害ととらえています。その被害者は三万人とも四万人とも言われています。国は共産党員やその支持者を社会から排除するために企業に解雇するよう求め、解雇させ、その後も被解雇者を反社会的分子であるとして宣伝し仕事につくことさえ妨害してきました。私たちは、国のこうした一連の政策は社会的殺人行為であるとさえいうべきものであり、憲法違反の人権侵害の最たるものであると主張してきましたが、裁判所は、レッド・パージ被害者に対する厳然たる人権侵害の事実に目を向けることさえしませんでした。

 また、過去の最高裁判例で、GHQが「重要な産業」に対しても、共産党員の解雇を命じたことは、そのように解釈すべきとの指示が裁判所にあったことは裁判所に「顕著な事実」であると判断していたことに対しては、北海道教育大学名誉教授の明神先生の証言、意見書でもって、そのような指示がなかったことを明らかにしました。そのため、今回、裁判所はさすがに裁判所への指示があったことは「顕著な事実」であるとは言えませんでした。

 私たちは、控訴審において、レッド・パージ被害者が毎年国会へ被害救済を求めた請願について、国会がどのように処理したのか、請願法で定める「誠実に処理」したのかどうかについて、調査嘱託の申立をして、大阪高裁はこれを採用しました。ところが、その回答では国会が実質的な審議を一切しないまま「審議未了」で終了させていることが明らかとなり、また、三名が申し立てた人権救済の申立に対し日弁連が国に対し被害回復措置をとるよう勧告していましたが、これについても、国は「検討の有無については承知していない。」という無責任な対応をしていたことが明らかとなりました。

 私たちは、講和条約発効後、ただちに公職追放が解除された戦争犯罪者、戦争協力者等の事例と比較すれば、レッド・パージ被害者に対しては何らの措置がいまだ取られていないその理不尽さ、非情さは一目瞭然であることを訴えましたが、控訴審判決でも一顧だにされませんでした。

 三名は上告しました。高齢のレッド・パージ被害者が裁判で戦うのはこれが最後かもわかりません。その意味で、本裁判はレッド・パージ被害者全体のたたかいでもあり、きわめて重要な裁判であることを訴えたいと思います。今後、署名、カンパ等の具体的なお願いをすることになろうかと思いますが、皆様方の引き続きのご支援よろしくお願いいたします。

 また、私たちは、国が、日弁連勧告の趣旨に従い、レッド・パージ被害者救済のためのしかるべき措置をとることを求め、多くの国民世論の支援を得てそれが早期に実現されるべく、引き続き力を尽くしていきたいと思います。


独立行政法人・国立大学法人での国家公務員給与臨時特例

平均七・八%に準じた賃下げに対し、不払い賃金請求訴訟

全大教および加盟二単組が東京地裁などに同時提訴

東京支部  笹 山 尚 人

 一一月二七日に全国大学高専教職員組合(全大教)及び高専職員が団体交渉関係にある独立行政法人国立高等専門学校機構に対し、就業規則の不利益変更によって賃下げを行ったのは違法だとして、差額賃金を請求するとともに、全大教が不誠実団交で被った損害賠償を求める訴訟を、東京地裁に提起しました。

 これと同時に、福岡教育大学教職員組合、高エネルギー加速器研究機構職員組合(いずれも全大教加盟)が各当該法人に対し、国家公務員平均七・八%に準じて六月あるいは七月に強行された賃下げについて、一一月二七日に不払い賃金請求訴訟を、それぞれ所在地の地裁(福岡地方裁判所、茨城地方裁判所土浦支部)に提訴しました。

 原告は、高専機構二四八名、福岡教育大四名、高エネ研六名の教職員です。

 この賃下げは、東日本大震災の復興予算捻出を口実に、「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」(二〇一二年二月二九日成立)に準じるとして、政府の強い要請の下で、各法人が、組合の反対にもかかわらず強行したものです。

 国立大学や高専を独立行政法人として公務員の体制から切り離しておきながら、こういうときだけ「公務員に準じる」とする「イイトコドリ」であり、かつ、復興予算が復興のために正しく活用されていないのはご承知のとおりです。

 私の担当の高専機構は、全大教に対して、賃金の一〇%近くもの大幅な減額を内容とする提案をしました。そして、全大教との間の団体交渉では、自らの提案について必要にして十分な根拠も示さず、検討の材料になるような財務資料もほとんど示すことのないまま、全大教が引き続き交渉を求めたのにそれを断って、わずか一ヶ月にも満たない短期間で一方的に交渉を打ち切り、平成二四年七月からの賃下げを強行しました。

 原告団長の場合、六月と七月の賃金の差額は、四万七六一六円です。原告二四八名の七月分の差額の合計金額は、七一三万七九二三円となります。

 高専職員は、この賃下げの不当性を確認し、不払い賃金の支払いを求めるため、高専機構に対し七月分の差額賃金の支払いを求めて東京地裁に提訴ました。同時に、全大教も、不誠実な団体交渉によって組合の団結権、団交権の侵害をされたということで二二〇万円の賠償金の支払いを請求しています。

 労働者の賃金をこのようなやり方で一方的に奪うことは許せない、震災を口実にするやり方は震災の被害者の皆さんにも失礼である、と考えています。二四八名という、大規模な集団訴訟でもあり、追加提訴も考えられるところから、大きなたたかいになります。ご注目頂けたら嬉しいです。

 なお高専の事件を私と共に担当するのは、同じ事務所の小部正治、今泉義竜、旬報法律事務所の今村幸次郎、早田由布子の各団員です。

*全国大学高専教職員組合(全大教)とは国公立大学・大学共同利用機関・国立高専一一〇の加盟組合。組合員数約二万五〇〇〇人。

 代表者:中央執行委員長 中嶋哲彦(名古屋大学大学院教育発達科学研究科教授)

 URL: http://zendaikyo.or.jp/


城北法律事務所

「東海村原発見学ツアー」の取り組み

東京支部  田 村 優 介

 城北法律事務所では、昨年の福島第一原発事故を受けて、二〇一二年一一月四日(日曜)、東海村原子力発電所及び、原子力関連施設の見学ツアーを企画しました。

 計四六名のツアー(うち所員・所員家族計一四名)となり、所外からは、日本民主主義文学界会長の稲沢潤子さん、国民救援会練馬支部長の和田定雄さん、渡部照子弁護士、神谷咸吉郎弁護士、また、日頃からお付き合いのある東京北部地域の組合、元市議会議員、民主団体の方々等の多数の参加をいただきました。さらに、六六期予定の修習生も多数参加してくれました。

 ツアーでは、まず、東海原子力発電所建屋を外から見学し、また原子力発電についての解説を行っている「東海テラパーク」を見学しました。

 さらに、東海村村長の村上達也さん(「脱原発首長会議」に原発立地自治体首長として唯一参加)に講演をいただき、今回の震災で、女川から東海までの一四基が実は全て危機一髪であったこと、原発ができることによりそれまでの地域産業が破壊され、原発依存体制が構築されてしまうことなどの事実をお話いただきました。

 他方で、今回の事故によって、東京の市民が原発の存在及びその問題点、ひいてはエネルギー政策の問題をはっきり意識するようになったこと、価値観の転換、すなわち社会全体で脱原発に考え方をシフトすることが重要である、とのお話がありました。

 参加者アンケートには、「原発によって地域産業が潰れていくというお話は米軍基地などの構造と同じだと感じた」「頭で考えるだけでなく実際に現地に行き自分の目で確かめることの大切さがわかった」「事故後の安全対策強化の話を聞いていると、安全神話を再度作ろうとしていることが強く感じられる」などなどの、貴重な声をいただくことができました。またこのような企画を行なって欲しいとの声も多くいただくことができ、当事務所では、今後も学習ツアー等を企画していく予定でおります。

 地域とのつながりを深め、事務所の基盤を強化する意味でも、このような取り組みは有用であると思い、参考にしていただきたく投稿させていただきました。


国民救援会滋賀県本部定期大会に参加して

滋賀支部  樋 口 真 也

 二〇一二年一一月一四日、大津市で国民救援会滋賀県本部第三四回定期大会が開催されました。午前一〇時から午後五時までの長丁場であったにもかかわらず、参加代議員は六〇名で、出席率は八五パーセントを超えました。

 大会では、まず、各報告、大会議案・活動方針の採択など議事が執り行われました。滋賀県内の各支部活動の報告では、会員の方が熱心に冤罪事件の支援などに取り組まれていることが伝わり、頭が下がる思いでした。

 また、事件支援の訴えでは、国公法弾圧二事件について、弁護団の枝川団員が東京から来られ、事件の経過の説明や堀越事件二審無罪判決が配布行為にかなりの限定を加えているなどの問題点を指摘されました。私は、所属する大津支部で国公二事件の勉強会をしたこともあり、さらに理解が深まりました。

 大会の締めくくりに、滋賀県本部副会長の玉木団員が、「日野町事件第二次再審を闘う 現状と課題」と題して記念講演をしました。講演では、これまでの事件の経過、裁判官立会のもとに行われた現地調査の様子などを説明されました。私が特に印象に残ったのは、滋賀県で弁護士として登録された、元裁判官の小原弁護士が、日野町事件の支援ビラを見て、事件のことを知り、地元の支援集会に参加されたことをきっかけに、弁護団に加入しご活躍をされていることです。まさに、会員の方の事件支援活動が、小原弁護士の弁護団加入に結びついたのであり、事件支援活動の力強さを実感する出来事でした。

 私は、特別報告として、秘密保全法案反対の活動報告をしました。

報告では、まず、秘密保全法案の問題点を指摘しました。諸外国の秘密保全法制との比較、我が国で一九八五年に廃案に追い込まれた国家機密法案(スパイ防止法案)との比較などを例に挙げて、いかに今回の秘密保全法案の秘密の範囲が広いかを強調しました。法案の内容と問題点を分かり易い言葉で説明することを心がけました。

 また、滋賀県における秘密保全法案反対の取り組みも報告しました(詳細は、団通信一四二九号「滋賀における秘密保全法反対の取り組み」をご覧ください。)。  

 前回の団通信への投稿後、二〇一二年一一月三日に、滋賀弁護士会主催の秘密保全法反対市民集会『「本当にいいんですか?秘密保全法」〜知る権利とプライバシーに忍びよる危険〜』が開催されたので、この市民集会の報告もしました。この市民集会にお招きした西山記者事件の西山太吉氏が、日本ではこれまで日米安保に関係する違法秘密が内部告発されたことはない、また、沖縄密約の存在を否定し、アメリカの外交文書の公開でその存在が判明し、当時の担当者の外務官僚がそれを告白しても、政府は否定し続けている、国民にウソをついた外務官僚がいまだに政権の中枢にいる、マスコミはそれらのことを一切報道しない、秘密保全法はまさに政府にとって都合の悪い情報を遮断するためのものであること等を強調されたこと等を報告しました。

 特別報告に引き続いて、私は、所属する国民救援会大津支部の活動報告もしました。大津支部では、毎月一回の役員会がほぼ定例化されており、毎回何らかの勉強会をしていることや、支部総会の開催、会員の方の事件支援の署名、ビラまき活動での活躍などを報告しました。報告の最後に、今後の支部活動の予定について述べました。救援会の裁判員読本「冤罪判決実例大全」、生活保護基準引下げ問題などを題材に、今後も勉強会を実施する予定です。また、名張事件の映画「約束」の上映会も検討しています。

 私は、今回の大会が初参加でしたが、救援会の活動を深く知る良い機会になり、非常に有意義なものでした。今後も大津支部での勉強会をより充実できるように、頑張っていきたいと再認識しました。


映画『ひろしま』上映会成功する

滋賀支部  玉 木 昌 美

 滋賀県では、この一〇月二九日、大津市生涯学習センターで映画『ひろしま』の上映会を開催しました。「非核の政府を求める滋賀の会」も参加し滋賀県内の一二の団体で構成する「滋賀県反核平和連絡会」が主催しました。昼と夜の二回にわたって上映し、合計四九二名の参加があり、成功しました。

 映画『ひろしま』は、一九五三年に関川秀雄監督によって制作されたもので、被曝の惨状を再現した衝撃作です。約九万人の広島市民がエキストラとして参加し、全国で五〇万人の教職員が五〇円ずつ拠出して資金二五〇〇万円を確保し作った映画です。まさに、民衆が作り上げた映画であるといえます。主演は広島出身で元宝塚歌劇団娘役トップスターの月丘夢路さんがつとめました。一九五五年のベルリン国際映画際で長編映画賞を受賞した作品です。

 この映画は、GHQによる報道統制の影響でほとんど劇場公開されず、長きにわたり、「幻の映画」とされてきました。このほどこの映画の助監督を父にもつ映画プロデューサーの小林一平氏がフィルムを発掘し、「東日本震災で核の悲劇を目の当たりにした今こそ多くの人に見て欲しい。」と昨年から全国で上映運動に取り組んでおられます。

 上映会当日夜の部の冒頭、私は連絡会の代表として、挨拶をしました。その中で、アメリカは戦争遂行能力を失った日本に対し原爆を落とすまでもなかったが、せっかく莫大な費用をかけてつくったからと、冷戦を踏まえてソ連に優位に立とうとして投下し、日本国民を大量虐殺した、その戦争犯罪は厳しく批判されなければならないと強調しました。ジェームズ・フランクの「フランク委員会」が、原爆投下は「道義的・政策的・外交的に無謀」「アメリカが孤立する。」と反対したのに、トルーマンは投下を強行しました。

 日本の政治は極端な対米従属が一番の問題であり、普天間基地、オスプレイ、米兵による犯罪もそこに根があります。アメリカべったりの政治の中で原爆投下に対する批判が十分にされていません。それどころか、アメリカはその反省もないまま、米軍と自衛隊が一緒に戦争ができるようにするため、集団的自衛権行使を認める解釈改憲、明文改憲をしろと圧力をかけています。

 しかし、現在、平和の課題として、核兵器を廃絶する、原発をなくして放射能だらけの地球を救うことが強く求められています。そのためには、被曝の惨状を具体的に知り、原爆に対する怒り、憤り、悲しみを次世代に語り継ぐ必要があります。この映画を観る意義はそこにあります。

 この上映会には大津市長からメッセージが寄せられました。全国において、上映運動を成功させ、若い人たちにも観てもらいたいものです。また、小林一平氏のトークで立命館大学の学生が英語の字幕作りをしたことが紹介されましたが、アメリカ人だけでなく世界中の人にも広げたいものです。

 最近、団総会で入手した『核の海の証言』(山下正寿著・新日本出版社)を読みましたが、第五福竜丸を含む一〇〇〇隻の船が被災したといいます。今年、夢の島、焼津と第五福竜丸に関係する地を訪れましたが、世界の海を放射能で汚染しきったビキニ事件の真相(第五福竜丸だけに限られない)も知らなければなりません。

 尚、滋賀支部の八月集会では、原爆のパネル展示をしましたが、そこに「ふりそでの少女」がありました。振り袖を着た少女二人の火葬を描いたものです。二人の少女のお母さんが被曝の語り部をされており、その話を聞いた京都・綾部中学のみなさんが募金を呼びかけ、長崎の原爆資料館の屋上に「未来を生きる子らーふりそでの少女像」が作られました。私の事務所の多々納さんは、その綾部中学の出身であり、当時募金運動に取り組んだことを集会で報告しました。資料館へ行かれる方は是非ご覧ください。


裏銀座縦走・回想の山旅(二〇一一)

神奈川支部  中 野 直 樹

 黒部川揺籃の峯・鷲羽岳

 受験時代を思い出しながら、再び水晶岳から赤牛岳への稜線を眺める。赤牛岳の赤い山肌とその背後に大きなカールを広げる薬師岳の灰白色の地肌が二層となって美しい。野口五郎岳から鷲羽岳を経て三俣蓮華岳へ通ずる裏銀座の登山道が進む山々は丸みあるゆったりとした稜線であるが、三俣蓮華から双六岳を経て槍ヶ岳に通ずる西鎌尾根に眼を転ずると、ごつごつした岩場で表情が厳しくなり、槍ヶ岳、さらに穂高連峰はそそりたつ岩峰の連鎖となる。コントラスト鮮やかなビューポイントだ。

 黒部川は、鷲羽岳から浸みだした一滴の水から始まる。鷲羽岳の直下で二又に分かれ、右岸の沢に沿って水晶岳への登山道がつくられ、左岸の沢に沿って、三俣蓮華岳への山道がある。岐阜・富山・長野の三国を分ける三俣蓮華岳と鷲羽岳の間に鷲羽乗越があり、古い地図には湯俣温泉から湯俣川沿いに伊藤新道が引かれているが、現在は崩壊しており、地図から削除されている。

 鷲羽岳は黒部川や高瀬川が産声をあげる地だけに、北アルプスのなかでも最奥部に位置する百名山である。竹村新道から見上げる鷲羽岳は、逆光でシルエットとなっている北鎌尾根と向き合う。最上部まで詰める谷の白い筋と、その両側の小尾根に張り付く這松の蒼青が織りなす造形の美しさ、下部には広葉樹が色づき、その間を一条の水が直線的に数段の落差を滑り落ちながら、最後に大滝となって淵に飛沫をあげている。雄大な山の姿に見惚れ、時のたつのを忘れた。

雲の上の岩魚釣りの旅の帰路

 一九九六年八月二六日、大森さん、岡村さん、当時の自由法曹団の事務局森真平さん、そして私は、竹村新道を下っていた。

 四名は、二三日に有峰の折立から太郎平に登り、そこから下って、岩魚釣りをしながら、薬師沢のほとりで一泊、黒部川源流の黒部五郎岳直下で一泊、そして源流をつめて水晶小屋に一泊した後、湯俣温泉に向かって下山途上であった。黒部源流釣りは、大森さんが兄河合研一さんから体験談を聞いて垂涎の的となった。実は、河合さんとともに黒部源流に竿をさしたのが、畑さんであり、南雲さんであったことを、大森さんが亡くなられた後知ることになり、人の縁の不思議さを感じた。

 山道具と釣り道具と酒を背負って、岩魚釣りをしながらの源流の旅は、天気にも岩魚にも恵まれ、天上の楽園に浸り切った二日間であった。大森さんの毛鉤は、生き餌の希少な渓で、本領発揮した。私が同行観察したなかで、大森さんがもっとも長時間集中し、竿をしならせたときだった。谷の向こうに鷲羽岳が見えだしたところで納竿。岩陰でたき火を起こし、釣りたての岩魚を持参の竹串に刺して焼きあげた。標高二五〇〇メートルをこえる地で、香ばしい塩焼き岩魚と手の切れるような冷水でしめた素麺は、私たちだけが味わえる極上の昼食だった。晩夏にいまだ渓を埋め尽くしている雪渓を乗り越えると、鷲羽岳が見上げる存在となった。ごろごろした川原石からようやく人の道に出たところで、初日に太郎平まで抜きつ、抜かれつして励まし合った女性が主のグループに出くわした。互いに覚えていた。雲の平から三俣小屋に向かうとのこと。この奇遇の再会を話の種にしてしばし交流した。まだぬくもりのある岩魚をお裾分けした。東京の労山だと言っていた彼女たちが、黒部で、塩焼き岩魚を食べたことをいつまでも覚えていてくれるとうれしい。

 数多の釣行、山行のなかでももっとも忘れがたい旅であった。私は九六年一一月と一二月の団通信に、この「夏の思いで」を上下で投稿した。以後、時折、硬派原稿で埋まる団通信の貴重な紙面を、軟派涼風の釣・山紀行文でオキュパイしている。

 この帰路の難渋も忘れられない。くたびれた四名は、霧雨に包まれた竹村新道の急坂を、ぬかるむ道に往生しながら一歩一歩踏みしめた。展望が全くないので、目先をみるだけの味気ない下りである。今の私の年齢である五五半ばの大森さん、岡村さんは疲労困憊で、足を引きずるようになった。踏ん張りがきかなくなり、滑ってよく転んだ。水晶小屋から七時間をかけて湯俣温泉に着き、宿の主への挨拶もそこそこに、玄関脇の水槽に冷えているビール缶を取り出して、しめて二五時間歩き切ったことを喜び合った。

燕岳直下の大岩魚

 今回は、晴天のなか、南真砂岳でもう一度、秋色を深める鷲羽岳の正面姿、北鎌尾根・槍や表銀座ルートのスカイライン、かなたの笠ヶ岳や乗鞍岳の遠望に堪能した。下から登ってきた老夫婦がいた。湯俣温泉でテントを張り、この眺望を楽しみにきたとのこと。後は、竹村新道を快適に下り、樹林帯でパン、ビスケット、スープのランチを楽しんだ。竹村新道は最後の方に、高瀬川の地獄を俯瞰できる展望箇所があるが、その当たりは道の崩壊が激しい。二時四〇分湯俣温泉・晴嵐荘に着いた。

 黒部源流の旅一行がこの温泉宿に着いて安着祝いの乾杯をした後、私一人、渓流シューズに履き替えて、竿を持って探釣に出かけた。初めての場所であり、釣り情報もなかったが、少しうろうろして発見した沢に入った。沢の入り口には、高瀬川本流から取水した発電用水を導水管に流し込む施設があった。高瀬川本流に沸く温泉水が流れ込み、硫黄の臭いが漂っていた。

 渇水期で流水は少なかったが、川底を探ると川虫が捕れ、鉤先に付けて流した。

 当たりがあり、軽く合わせるとチビ岩魚が元気よく飛び出してきて、びっくり眼であわてて口をあけて、ぽとんと落ち、無事水中に戻れた。いくつかのポイントごとに岩魚がかかるが放流サイズばかりだった。大きな滝音がしてきた。樹林が切れて、眼の前に、まさにV字の谷が現れ、左手、垂直に切り立った右岸の天上から水が降り注ぎ、細かい飛沫を放散していた。その滝水の落下点の周囲にたまりができていた。鉤に刺した川虫の生きの良さを確かめ、滝水の勢いにはねられながらなんとかポイントに振り込んだ。と、竿先がぐっと下がった。最初は滝水に打たれて頭を下げているのかと思って、少し動かすと、逆に引き戻された。岩魚が喰っている。重量感を感じた。一、二の三と数えて、合わせをかけ、引き抜いた。真っ白な魚がくねくねと宙に舞った。こんな色白肌の岩魚は初めてだった。メジャーを当てると三〇センチを超えていた。感情の高ぶりが落ち着き、滝上を見上げると、五〇メートル以上の岩盤の上から水が噴き出していた。切り立つ燕岳頂上直下の滝であった。北アルプスの谷の厳しさを知らされた。

 感動にひたりながら、宿に戻り、皆を驚かせた。宿の主に、岩魚の姿造りの刺身に飾ってもらい、夕食を一段とにぎやかにした。

 そんなこともあったと思い出しながら、素泊まりの宿帳を書いた(終)。


給費制復活に向けて〜協力のお願い〜

神事務局次長  上 田 月 子

一 はじめに

 都知事選、衆院選を目前として、団員の皆様はお忙しい日々を送られていることと思います。それを承知で、協力のお願いをさせていただきます。なぜなら給費制復活に向けての運動も山場を迎えているからです。

二 山場とは

 法曹養成検討会議(以下「検討会議」と言う)をご存知ですか?今年の八月に閣議決定により設けられた学識経験者等から成る会議体で、貸与制移行を決めた法曹養成フォーラム(以下「フォーラム」と言う)の後継組織です。フォーラムの構成員一三名に、新たに四名が加わり、総勢一七名で構成されています。

 新たに加わった四名の構成員は、一〇月三〇日に行われた第三回会議で、給費制復活に賛同する発言をしています。新たに加わったのはたったの四人ですが、この四人の発言により、検討会議の雰囲気はフォーラムとは異なり希望が持てるものとなっています。

 そして、次回給費制について検討会議で話し合われるのは来年の一月二三日の第七回会議と一月三〇日の第八回会議です。これ以降は給費制が取り上げられる予定がないので、この二回の会議で、給費制復活の成否がほぼ決まります。したがいまして、一月二三日までにあらゆる手段を駆使して給費制復活の世論を高めなければなりません。そういう意味で、今が山場なのです。

三 協力のお願い(1)「質問状のFAX」

 今月三日のFAXニュースでもお願いしましたが、各支部に衆議院議員候補者にFAXしていただくための質問状を送らせていただきました。万が一まだ議員候補者にFAXされていない支部がございましたら、今からでもご協力ください。また、既にご協力いただけている支部のみなさま、そろそろ回答が戻って来ている頃だと思いますので、それを団本部までFAXしてください。ご多忙中おそれ入りますが、ご協力、期待しています。

四 協力のお願い(2)「東京集会への参加」

 日弁連では、今月二一日、クレオで東京集会を行うことにしました。「それでもボクはやってない」「終の信託」で有名な周防監督も参加します。この集会には大勢の参加者を集めて、マスコミに取り上げてもらい、給費制復活への熱意を形にしなければなりません。予約不要、入場無料、途中入場・中途退場自由です!

 皆様、奮ってご参加ください。

 東京集会日程

  日時:一二月二一日(金)午後六時三〇分〜午後八時三〇分

  場所:弁護士会館二階講堂「クレオ」BC

  内容:法曹養成検討会議での議論状況の報告
      新第六五期司法修習生に対する生活実態アンケート報告
      新第六五期弁護士による現状の報告
      意見交換、ディスカッションなど(周防正行監督参加)


二〇一三年一月 名古屋拡大常任幹事会・憲法討論集会へのご案内

幹事長  長 澤   彰

 二〇一三年一月一九日は、拡大常任幹事会を名古屋で開催します。拡大常任幹事会としますので、常任幹事でない方の参加もお願いします。特別テーマは、二〇一二年五月集会のプレ企画で開催しました、「支部づくり・人づくり」をテーマに、その後の運動について討論したいと思っています。今年の四月に石川県、富山県、福井県の各支部が、九月に宮崎県、鹿児島県の各支部が結成され、これで団支部は、四一となりました。これからは、支部がない茨城県・栃木県・青森県、四国四県の支部作りも進めていきます。当日は、中部三県(愛知・三重・岐阜)の活動報告も踏まえ、「支部づくり・人づくり」をテーマに討議を予定しています。他に、通常テーマとして、憲法、選挙制度、労働、原発、司法、構造改革、給費制、教育、市民、国際、警察、貧困等を予定しています。

 また、名古屋拡大常任幹事会の翌日である一月二〇日は、名古屋で「憲法討論集会」を開催します。衆議院解散総選挙で、自民党が「自主憲法制定、自衛隊に代わる国防軍を明記。」し、そのための九条改憲を公約に掲げました。日本維新の会も九六条改憲を明記しました。総選挙後の国会で、改憲議論が活発化することが予想されます。秘密保全法も新政権下で法案審議がなされます。秘密保全法のたたかいの先頭を走っている愛知支部の教訓を生かしたいと思います。そこで、憲法問題をテーマに「憲法討論集会」を開催いたします。憲法学者の講演も検討し、有意義な集会を目指しております。

 是非、一二月一九日の「拡大常任幹事会」と一二月二〇日の「憲法討論集会」にご参加下さい。

〈拡大常任幹事会〉

 時 間  二〇一三年一月一九日(土)午後一〜五時

 場 所  愛労連「労働会館」本館会議室1・2・3

       名古屋市熱田区沢下町九―三

〈憲法討論集会〉

 時 間  二〇一三年一月二〇日(日)午前一〇〜午後四時

 場 所  愛労連「労働会館」東館ホール

       名古屋市熱田区沢下町九―七

※ 土・日の当日は管理人が不在のため会場の電話番号がご案内できません。各自お間違いないようお越し下さい。