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田中  隆 四〇日のたたかいから明日へ
―秘密保護法阻止闘争を引き継ぐもの
芝野 友樹 ストップ!秘密保護法わかやま共同行動について
近藤 ちとせ 「これでいいのか?!TPP一二・八大行動」に参加しての感想
岩佐 英夫 * 書評 *
「税金裁判の手引き」の御紹介
野口 景子 給費制復活を求める団体署名にご協力ください!
佐野 雅則
(将来問題
委員会担当)
将来問題「若手会プロジェクト」首都圏会合のご案内



四〇日のたたかいから明日へ
―秘密保護法阻止闘争を引き継ぐもの

東京支部  田 中   隆

はじめに …… 一二月六日夜永田町

 秘密保護法が強行採決された一二月六日、国会を包囲した市民の抗議が深更まで続いていた。
 日比谷集会への参加は一万五千人、国会周辺に集った市民も数千人はくだらない。先頭の日弁連梯団は五百人、合流した自由法曹団は二百数十人だから、合流しなくても梯団編成が可能だった。集会に先立って展開したマリオン街宣への参加も百人近かった。この日、全国津々浦々でどれだけの市民や弁護士が行動に立ち、声をあげ、永田町を睨んでいたことか・・。
 団総会での闘争突入から四〇余日、法案提出から四〇日、わずかな間にこれほどまでに広がったたたかいを、このところ知らない。
 そのたたかいをどう発展させるべきか。
 秘密保護法PT等の論議を踏まえ、具体化の方向について試論的にスケッチする。字数の制約もあって、箇条書き的な行動提起になってしまうことを、ご容赦いただきたい。

一 発動監視・廃止要求と治安強化との対抗

a 秘密保護法そのもの
 一八条と附則九、一〇条をまず施行して「第三者機関」や基準を組み上げ、「一年以内」に発動させるのが「施行プロセス」である。
 すでに「情報保全諮問会議」「保全監視委員会」「情報保全監察室」などの準備がはじめられ、自民党には議員統制のための国会法改正の動きもある。これらと併行して、政令の制定・公布が行われ、「秘密」の仕分けや公務員・労働者の選別が進むだろう。
 これらの動きへの監視を強めて、秘密保護法への批判を続けるとともに、発動阻止・廃止要求の運動を広げねばならない。監視・批判は秘密保護法の破綻を拡大するためのもので、決して「軍事法の改良」をはかるものではない。
 反対運動を牽引した大集会実行委(廃止実行委に改称)、共同行動実行委はいずれも活動継続を決めている。自由法曹団も秘密保護法PTを存続させ、出版を含めた対応を続ける予定である。
b 報道の自由や知る権利の発展
 処罰範囲の限定などたたかいで勝ち取ったもの小さくなく、「追いつめた上での答弁」で解釈や運用を縛った部分も少なくない。
 たたかいの到達点を明らかにし、取材や報道が自粛に陥らないよう激励し、自由を拡大していくこともゆるがせにはできない。
 軍事・外交・治安等についての情報公開を進め、自衛隊・警察等の監視を強化する運動も、重要な意味をもつだろう。
c 治安強化・治安法制との対抗
 秘密保護法が治安強化の「導火線」になる危険はおおきい。安倍政権は共謀罪法案(組織犯罪処罰法改正案)の通常国会提出を表明し、法制審は来春にも通信傍受の拡大を答申しようとしている。「監視カメラ体制」の警察主導での再編・強化も進行している。
 治安強化・治安法制との対抗は、「足元の焦眉の課題」である。

二 暴挙の糾弾と議会・政治の民主化

a 「民意と乖離した暴挙」への糾弾・批判
 会期末が迫るなか、追いつめられた政府・与党は、民意を蹂躙した強行採決を繰り返すしかなかった。最終盤にさらに広がった国民的批判は、民主主義破壊の暴挙への怒りによるものが大きかった。
 二〇数回の強行採決を繰り返した第一次安倍政権は、暴挙糾弾と九条改憲路線批判、格差社会批判の声の前に崩壊した。その道を再び現実化するために、暴挙への糾弾・批判を握ってはなさず、消費税増税などの「くらし」の問題と結びつけなければならない。
b 秘密保護法推進勢力への断罪
 秘密保護法を推進した勢力への最終的な断罪は、主権者国民の選挙での審判によらねばならない。そのためにも、暴挙を糾弾し、「国民に信を問うこと」等を要求し続ける必要がある。沖縄では一月に名護市長選挙が行われ、命運が尽きて都知事選挙も確実になった。地方選挙での推進勢力の断罪も、重視しなければならない。
c 民意が反映する選挙制度と議会
 民意と乖離した強行採決は、民意を歪曲した議会がなにを生み出すかを、国民の前に明らかにした。一部の「知識人」やメディアが礼賛した「決められる政治」が、どんなものかも暴き出した。
 二院制の意義を含めた議会制民主主義のあり方を明確にし、民意が反映する選挙制度と議会を生み出していかねばならない。

三 「外征国家」化と改憲の阻止

a たたかいの意味の確認
 「くらし」に密着した問題でないにもかかわらず、驚くべき運動の広がりが実現した。その広がりは、有事法制のときや、改憲手続法のときを凌駕している。九条・平和や自由と人権や民主主義に対する希求の強さを、実証するものと言っていいだろう。
 この希求は、解釈改憲・明文改憲への反対に確実に結びつく。阻止闘争は、改憲阻止のたたかいの基礎をかためた意味をもっていた。そのことの確認がまず必要だろう。
b 国家安全保障基本法体制阻止のたたかい
 秘密保護法と国家安全保障会議(NSC)設置法は、国家安全保障基本法体制への「一里塚」の意味をもっている。この体制への移行は、「集団的自衛権容認」への解釈変更と「三軍統合運用」を理念とする「新防衛大綱」等で、来春にも動きだすに違いない。
 海外派兵を恒常化する国際平和協力法案は完成しており、武力攻撃事態法をもとに集団的自衛事態法案を組み上げるのも法技術的には難しくない。これらの上に国家安全保障基本法が据えられるとき、「米国有事に参戦する外征国家」への変容が完成する。
 秘密保護法案阻止のたたかいは、ただちにこれらの体制・法制を阻止するたたかいに発展させられなければならない。
c 明文改憲=自民党改憲草案との対抗
 改憲草案が生み出そうとする国家が国民に優越し、平和と自由と民主主義がおびやかされる国と社会は、すなわち秘密保護法と「石破発言」が生み出そうとする国と社会である。
 秘密保護法をめぐる攻防は、改憲草案がつくる「国のかたち」を、事実をもって明らかにした。明文改憲との対抗でも、秘密保護法とのたたかいは重要な意味をもっている。

おわりに …… ぼくたちの四〇日間戦争

 「ぼくたちの四〇日間戦争」は、早田由布子団員起草による団声明の超訳(口語訳 HPに掲載)初稿の第二パラグラフのタイトルである。実を言うと、声明案を起草した筆者も同じタイトルを考え、「団声明だから」と思って断念した(「ぼくらの七日間戦争」や「自民党四〇日抗争」などからの連想)。個人的には、いまでもこの呼び方がいちばんぴったりくる。
 課題を整理してみて、その「四〇日間戦争」のいしずえとなったものや、投げかけたものの壮大さに、あらためて驚かされている。
 秘密保護法PTは、軍事法・治安法と民主主義の切り口から対峙したたから、あのような整理になる。原発やTPP、情報公開、女性、文化、世界、くらしなどからアプローチした運動は、もっと違った発展方向を見出すだろう。それぞれの地方、地域ではぐくまれ、展開された多種多様な運動は、それこそ、運動そのもののなかで、成果と教訓を刻みつけ、明日をめざしていくだろう。
 「四〇日間戦争」は、こうしたさまざまなたたかいの一大合流点であり、それゆえにあれだけの広がりをもった。そのたたかいは、明日をめざす新たなたたかいの、一大出発点になるに違いない。

(二〇一三年一二月一九日脱稿)


ストップ!秘密保護法わかやま共同行動について

和歌山支部  芝 野 友 樹

 和歌山では、一一月一一日のJR和歌山駅前街宣行動を皮切りに同月二三日にストップ!秘密保護法案緊急集会を同月二七日一二月四日同月六日の昼休みには秘密保護法案反対のアピール行進を行いました。
 緊迫する情勢のなか自由法曹団和歌山支部をはじめ「ストップ!秘密保護法共同行動」の構成団体の和歌山支部などを中心に実行委員会を結成し(といっても実質数名)わずかな準備での実施でした。
 当初の駅前街宣行動のときには街頭での市民の反応はあまりいいものではありませんでしたが(ちらし入りティッシュですらなんとか受け取ってくれる程度)緊急集会には一四三名もの参加者があり当初準備した椅子では足りないほど会場がいっぱいになりました。
 集会ではできるだけ幅広い観点から問題点を明らかにしたいと考え秘密保護法の問題点についての基調講演のほか各界からの反対の声として反原発の運動をされている方、九条を守る運動をされている方、歴史学者治安維持法の犠牲者を支援する団体の方からのリレートークを行いました。また国会の情勢については衆議院議員の宮本たけしさんから報告をいただきました。最後に請願署名や国会議員へのFAX運動そして緊急パレードの行動提起を行いしめくくりました。秘密保護法廃案に向けて参加者一同さらなる運動を決意しました。
 そして第一回アピール行進には約二〇〇名もの市民の参加をいただきました。ベビーカーに子どもを乗せた若いお母さんの参加もあり幅広い層で反対の声が広がっているということをアピールできたのではないかと思っています。第二回は二二〇名以上第三回は約二四〇名以上と回を重ねるごとに秘密保護法絶対反対の声がふくれあがっていきました。また十二月六日は夕方にも廃案を求めて駅前街宣活動を行いました。
 このような国民の声を無視して特定秘密保護法は成立していまいましたがこれからも引き続き廃止の声をあげることが必要です。全国運動に呼応して和歌山でもさらなる活動を考えていきたいと思います。


「これでいいのか?!TPP一二・八大行動」に参加しての感想

神奈川支部  近 藤 ち と せ

TPPをめぐる情勢

  TPP交渉については、一二月七日から一〇日までの間シンガポールで行われていた閣僚会合において、関税や知的財産の分野などで交渉が難航し、年内妥結はなくなりました。しかし、他方で財界は妥結の時期の見通しがつかない状況に危機感を募らせ、それを受けて安部首相は早期妥結を目指す意向を示しています。
 まさに閣僚会合での年内妥結が危ぶまれていた一二月八日、TPPに反対する大行動が日比谷野外音楽堂で行われました。そこで指摘されていたTPPの問題点にこれまで以上の危機感を感じましたので報告します。

これでいいのか?!TPP一二・八大行動

 この日の日比谷野外音楽堂には、寒空の下、約二五〇〇人ほどが集まりました。集会には、JA全中幹事、国会議員(民主党、日本共産党、生活の党、社民党)の参加のほか、リレートークとして宮城県復興センターの鈴木弥弘さん、長野県中川村村長の曽我逸郎さ、日本医労連の看護師山田真巳子さん、郵政産業労働者ユニオン須藤和宏さん、TPPに反対する弁護士ネットワークから井澤正之さん等が参加していました。紙幅の関係で、すべてはご紹介できませんが、特に印象の強かったものを紹介します。

ふるさとの農業とTPP

 中川村の村長の曽我逸郎さんは、現在、村では地消地産の学校給食が提供されるなど、ふるさとの農業と食を守るための取り組みがなされているが、TPPが発効すれば、このような取り組みもできなくなる可能性がある、給食にも一定量のアメリカ産牛肉を使うことなどを強要される可能性があると話していました。また、TPPによってメリットを受けるのはアメリカの多国籍企業だけなのに、どうして、アメリカの多国籍企業の利益のために、日本のふるさとの農業が潰されなくてはならないのかという発言が印象的でした。

郵政金融二社がTPPによってアメリカ企業の食いものに

 郵政産業労働者ユニオン須藤さんからは、郵政の完全民営化が進められる中、TPPが導入されれば、日本郵政グループの金融二社は外国資本の食い物にされることは確実だという報告がありました。この点については、特に私自身に知識がなかったこともあり、とても印象がつよいものでした。同氏によれば、今年の七月、アメリカ保険大手のアメリカンファミリー生命保険(アフラック)は日本郵政との間で郵便局でのガン保険販売について業務提携したが、これによって、アフラックは、最終的に取り扱いから大幅に拡大することを目指している。アフラックは、すでに国内のガン保険の七割以上を握っているところ、このままいくと医療保険分野についてもアフラックの一人勝ちとなる。今後、TPPで混合診療が解禁になれば、医療保険は巨大な市場となることは確実だが、その市場をアフラックが一人で持って行く形となるだろうとのことでした。そして、アフラックの現在の日本支社代表は、元米通商代表部日本部長であり、年次要求として保険分野の開放を要求し続けてきた人物。TPPは、まさにアメリカの要求を実現してアメリカの多国籍企業に日本の産業を売り渡すものであるという強い印象を受けました。

保秘契約と不平等条約

 さらに、弁護士の井澤正之さんからは、TPPの保秘契約の問題点と不平等条約の問題点について指摘がありました。すなわち、現在のTPP交渉のテキストは機密情報として公開されないこととなっていますが、その影響は、条約の運用でも大きな影響を与えてくるとのことでした。ウィーン条約法条約によれば、条約の解釈が一義的に明らかでない場合、条約の締結交渉のテキストが解釈の指針となりますが、保秘契約によって、交渉段階のテキストが非公開とされる結果、TPPが適用される場面となっても、解釈ができないという問題も生じうるとのことでした。
 また、TPPは、不平等条約であること 米韓FTAによって、韓国では非関税障壁をなくすため八〇もの法改正が行われ、条約実現に向けて動いているが、アメリカでは、自由貿易協定を締結した後、これを国内法化するプロセスとして「履行法」を制定し、その中に、連邦法・州法に反する自由貿易協定は無効、自由貿易協定に反する連邦法・州法は有効、何人も(但し合衆国を除く)、自由貿易協定に基づいて攻撃防御方法とすることができないという規定を盛りこんでいるので、一切影響をうけないということでした。
 TPPについては、私たち弁護士が日常的に接する法律の問題とは違う、取っつきにくい問題として敬遠される傾向にあるように思います。しかし、TPPは条約なのです。その内容を私たちが読み解き、問題点を指摘しなかったら誰がそれをやってくれるのかという危機感を強く抱きました。来年早々には、TPPの内容が水面下から浮上してくるでしょう。TPPを巡る問題に、さらに力を入れていく必要があると思います。


* 書評 *

「税金裁判の手引き」の御紹介

京都支部  岩 佐 英 夫

 二〇一三年九月、自由法曹団編・全国商工団体連合会発行で、「税金裁判の手引き」が刊行された。同書はA4版四六頁の小著であるが、税金裁判に長年携わってこられた鶴見団員等の実務家と運動の第一線で闘ってこられた全商連担当者との共同討議を得た貴重な成果である。現場でも裁判でも大きな問題となる税務調査については、国税通則法改悪(二〇一一年一二月二日公布)後の状況も踏まえ、法的論点も最新の判例もふまえて体系的・網羅的に解説している。税金裁判に取り組む場合の文字通り「役に立つ」入門書である。
 また本書の重要な特徴は、税金裁判はすぐれて憲法訴訟であるとの本質を、近代市民革命の原点に戻って叙述し、その精神が全編を貫いていることである。日本と同様に付加価値税増税・社会保障引下げ反対で揺れるフランスで、左翼戦線のメランション共同議長が「我々はいま立ち上がろうとする一七八八年(フランス革命勃発の前年)なのだ」と強調したとの報道が税金問題の憲法的本質を物語っている。
 国税通則法改悪後のいま痛感することは、立会権がいまなお最大の問題であるということである。弁護団の一員として参加した北村人権侵害事件は、一九七二年の静岡地裁判決以来三〇年ぶりに立会の正当性を正面から認め、写真撮影・録音の正当性をはじめて認めた。また消費税仕入税額控除否認訴訟・今西税金裁判の大阪高裁判決では、今西さんが帳簿書類を客観的に「保存」していたことは勿論、「提示」したことも事実上認めたのに、「保存」を否定した。その唯一の口実は立会人の存在であった。大阪高裁判決が「提示」を認めた以上、最高裁は正面から立会人問題の判断を迫られたが、結局、判断を回避した。立会人を禁止する明文が税法上どこにも存在しないことは明らかである。課税当局が立会人拒否の唯一の口実としている「守秘義務」が何ら正当理由とならないことは、日本と同様に「守秘義務」があるはずのアメリカやヨーロッパ諸国で「立会人」が納税者の権利として認められている事実から明らかである。
 各地の民主商工会や自由法曹団員の長年の闘いの積み重ねによって、課税当局は文字どおりもう一歩のところまで追い詰められた。こうした状況に対する巻き返しとして国税通則法の改悪がなされたのである。改悪法七四条の二、七四条の七において、帳簿の「提示」のみならず「提出」「留め置き」まで求めることができるとした。勿論、これらは任意規定であり、今後、調査の現場において激しいつばぜり合いとなることが予想される。国税通則法の改悪に対しては、全商連を中心に大きな反対運動が、納税者憲章制定の運動及び自家労賃を認めさせる闘いとともに展開されてきた。同法改悪後二〇一〇年九月一二日に国税庁が発表した「基本的な考え方(事務運営方針)」で、荒川民商廣田事件最高裁判決をうけた「税務運営方針」(昭和五一年)を引き継がざるを得なかったのは、こうした粘り強い運動の反映である。また運動の一環としての自主記帳の大切さを弁護士の立場からも改めて強調しておきたい。
 現在、七〇年代頃に比べて税金裁判は激減している。しかし、消費税増税など矛盾の激化で再び税金訴訟の闘いの時代を迎える可能性は大である。若い団員の皆さんが税金裁判の相談を受けたら先ず本書を熟読し、是非とも憲法訴訟の意気込みでチャレンジされることを期待したい。


給費制復活を求める団体署名にご協力ください!

東京支部  野 口 景 子

一 再度、ご協力のお願いです!

 以前、団通信で告知させていただいたとおり、日弁連、市民連絡会、ビギナーズ・ネットが呼びかけ人となり、給費制復活を求める団体署名を行うこととなりました。各地で取り組みが行われ、既に、医療や社会福祉関係団体や労働組合などから賛同をいただいていますが、伸びしろはまだまだあります。
 私の個人的な感覚ですが、日弁連で給費制復活の活動を行っているメンバーとは繋がりのない団体の中には、団員の皆さまと繋がりの深い団体が多いようです。是非、団員の皆さまにご協力いただきたく、再度、お願いの投稿をさせていただきました。
 給費制廃止を支持する方の多くは、「給費制は国民の理解が得られない」と繰り返します。しかし、修習生とは何か、どのような権利制限や義務を課されているのかなど、基本的な情報を伝えれば、多くの市民の方々から「修習生には何らかの金銭給付が必要だ」という声が聞こえます。
 給費制は「理解が得られない」ものではなく、単に「知られていない」ものなのです。修習生や給費制とは何なのかを広めるという意味でも今回の団体署名は重要な位置を占めています。
 ちょうど新年の事務所ニュースの発送準備のシーズンです。事務所ニュースに関係書類を同封していただくなど、皆さまのご協力を何卒よろしくお願いいたします。

二 こうした団体・個人に呼びかけてください!

(1) 団体
 全国で組織されている団体の場合、中央本部のみならず、支部・単組にも是非ご賛同いただきたいと考えています。もちろん、全国組織ではない、地域に密着して活動している団体の賛同もお待ちしています。
・労働組合(産業別、会社別、個人加盟、全国本部、単組)
・医療・福祉関係団体(医師会、歯科医師会、地域の診療所など)
・集団訴訟の原告団、支援団体
・法律事務所の後援会・友の会
・その他、地域の各種団体(商工会、ボランティアグループ、子育てサークルなど)
(2) 個人の参加も可能
・様々な事件の当事者(冤罪被害者など)、学者、ジャーナリストなど
【実施要領】
(1)「司法修習生に対する給費の実現と充実した司法修習を求める要請書」を読む。
(2)ご賛同いただける場合には、「賛同承諾書」に団体名、連絡先などを記入。
(3)郵便、メール、又はFAXで(2)を日弁連法制部法制第一課へ送付。
*「要望書」や「承諾書」はこちらでダウンロード
http://www.nichibenren.or.jp/activity/training/kiyuuhiseiizi.html
検索ワードは「給費制 日弁連」です。
*ご希望の方には、関係書類一式を郵送いたします。
 私、東京支部の野口までご一報ください(あかしあ法律事務所、〇三―五三六九―〇七九〇)。
 *最終締切は、二〇一四年一月三一日!


将来問題「若手会プロジェクト」首都圏会合のご案内

事務局次長  佐 野 雅 則(将来問題委員会担当)

 秘密保護法案に対する反対運動も多くの若手団員が活躍されていました。また、司法修習生に対する給費制の復活を求める取り組みでも、若手団員が中心となって活躍されています。団本部事務局次長も、いよいよ六〇期台で構成されるようになってきました。
 自由法曹団は、この一〇年来将来問題に取り組んできましたが、そのテーマは最初、「どうやって新人を獲得していくか」ということでした。このテーマでは、青法協などと連携した取り組みと合格者数の大幅増員のなかで着実に成果をあげてきました。
 しかし、その一方で、法曹人口の急激な大幅増員は、「就職難」問題を引き起こし、これに対応して団の将来問題の取り組みも、「どう獲得するか」から「どう受け入れていくか」に主題が移っていきました。そして、人口増がもたらした競争の激化と、日本経済全体の低迷がしわ寄せされる市民層、とりわけ人口の大多数を占める労働者層の収入減のなかで、全国的に経営問題が生じてきました。また、長年続いた空白は世代間ギャップを生み、せっかく入所・入団しても、数年で退所・退団をされる例が続き、本部や支部の活動への結集が減り、先達の後を継いで地域の需要にこたえ、諸活動を担う自由法曹団員の成長・増加に困難が生じるようになってきています。このもとで、将来問題委員会は、団の事務所の財政および人の基盤づくりをテーマにして、この三年ほど全国アンケートをもとに討議・経験交流を重ねてきました。
 こうした取り組みのなかで今、ベテラン層と若い世代との意識の差が顕著にみられるようになってきています。そこで、議論をベテラン層と若手層とに分けて、それぞれの世代で意見交流をはかり、それをまた合体させて議論を発展させていきたいと考えております。その鏑矢として、とりあえず、東京近郊の首都圏の事務所に所属する若手団員を中心にお集まりいただき、交流会をもちたいと思い企画しました。
 まずは、小規模体制で機動的に議論を深めていき、来年の五月集会に向けて準備をしていきたいと思っています。

将来問題「若手会プロジェクト」首都圏会合の開催日時
二〇一四年一月一〇日(金)一三時〜一六時 @団本部