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戸舘 圭之 「袴田事件」再審開始決定報告
馬奈木 昭雄 諫早開門の間接強制、国を断罪、国に制裁金命令のご報告
― 国の「主張」と「事実」の乖離 ―
種田 和敏 奈良基地祭における低空飛行に対する航空法違反審査請求について
馬奈木厳太郎 “責任ない”・“金がない”開き直った東電
〜「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟第五回期日の報告
木村 晋介 立憲主義と憲法改正問題いついての小論
後藤 富士子 村木厚子さんを最高裁判事に!
―「法律家的見地」よりも「識見の高さ」
鷲見 賢一郎 *書評*
ブラック企業被害対策弁護団[著]
働く人のための「ブラック企業被害対策Q&A」
 知っておきたい66の法律知識
四位 直毅 *書評*
「激突の時代」にどう立ち向かうか
―品川正治さんの遺著を読んで―
畠山 幸恵 「日本国憲法に聞いてみよう」
女性部リーフ 改訂&増刷のお知らせ
山添 健之 改憲がもたらす 戦争する国日本
〜法律家が読み解く自民党改憲草案Q&A〜を出版しました!



「袴田事件」再審開始決定報告

東京支部  戸 舘 圭 之

一 再審開始決定、そして即日釈放!!
 二〇一四年三月二七日静岡地方裁判所刑事部(村山浩昭裁判長)は袴田巌氏の第二次再審請求事件について再審を開始し死刑の執行及び拘置を停止する決定をし、同日、袴田氏は四八年振りに釈放された。
二 冤罪「袴田事件」
 「袴田事件」は一九六六年(昭和四一年)六月三〇日未明旧清水市(現静岡市清水区)の味噌製造会社専務宅で一家四名が殺害された強盗殺人・放火事件である。同年八月に逮捕された袴田氏は当初から無実を訴えていたがパジャマに他人の血液や放火に使用された混合油が付着していたとして一日平均一二時間最も長い日は一六時間を超えるような厳しい取調べを受け続けた結果本件犯行をパジャマを着て行ったなどと自白させられた。ところが事件から一年二か月後一審の公判中に麻袋に入れられ多量の血痕が付着した五点の衣類が味噌タンク内の味噌の中から発見された。検察官は犯行着衣はパジャマではなく五点の衣類であり事件直後袴田氏がタンク内に隠したものだなどと冒頭陳述を変更し裁判所は五点の衣類を着用して被害者らを殺傷したが途中でパジャマに着替えて放火したと認定し死刑判決を下した。
 一九八〇年(昭和五五年)一一月一九日最高裁が袴田氏の上告を棄却し死刑判決が確定した。袴田氏は翌一九八一年(昭和五六年)四月に第一次再審請求を申し立てたが二〇〇八年(平成二〇年)三月に最高裁が袴田氏の特別抗告を棄却して終了した。
三 第二次再審請求、証拠開示、DNA鑑定
 弁護団は、同年四月二五日に申し立てた第二次再審請求を申し立て五点の衣類に関する味噌漬け実験報告書などを新証拠として提出した。その後裁判所に五点の衣類に関するDNA鑑定を求めその結果を新証拠に加えこれらにより五点の衣類が袴田氏のものでもなく、犯行着衣でないことを明らかにした。
 さらに、検察官がこれまで隠してきた手持ち証拠を開示するよう強く求めた弁護団の証拠開示請求に対し裁判所が任意の開示を促し、その後の裁判所の勧告によってさらに多数の証拠が開示された。その中には袴田氏の無実を示す極めて重要な証拠が含まれていた。
四 開始決定
 開始決定は「弁護人が提出した証拠、とりわけ、五点の衣類等のDNA鑑定関係の証拠及び五点の衣類の色に関する証拠」について新規性を認め、さらに明白性も肯定して再審開始を決定した。
 DNA鑑定については、弁護側推薦の本田克也筑波大学教授の鑑定の信用性を認めた上で、五点の衣類が捜査機関によってねつ造された疑いのある証拠であることも肯定した。
 その他、自白調書や旧証拠についても再評価を行い、これらの証拠によっても確定判決等の有罪認定には合理的な疑いが生じる旨判断した。
 これらの判断手法は、白鳥決定等によって確立された総合評価の枠組みに忠実に沿うものであり、同決定等で示された「疑わしきは被告人の利益に」鉄則の適用にあたっても、常識的な観点から確定有罪判決の事実認定に「合理的疑い」が生じる過程を丁寧かつ明快に示しており、不利益再審を廃止し無辜の救済のために純化、特化された現行再審手続の基本理念にきわめて忠実な判断を行ったものとして高く評価できる。
五 画期的な拘置の執行停止決定
 その上で、静岡地裁は、死刑の執行停止に加えて拘置の停止も決定するという画期的判断を行った。本件決定は、開始決定によって無罪になる相当程度の蓋然性が認められることを前提に袴田氏の長期にわたる拘禁状態について「国家機関が無実の個人を陥れ、四五年以上にわたり身体を拘束し続けたことになり、刑事司法の理念からは到底耐え難いことといわなければならない。」とまで言及し、死刑の執行停止のみならず拘置の停止も決定した。
 裁判所は、袴田氏に対する捜査機関による人権侵害を重く受け止め、即時に釈放しなければ正義に反するとして拘置の執行停止を認めたものであり、画期的な判断である。
六 検察官による即時抗告と今後のたたかい
 検察官は、不当にも即時抗告を申し立て、現在、再審開始の可否は、東京高裁で審理されている。
 袴田氏は現在七八歳の高齢であり四七年間の長期間の身体拘束によって心身を病むに至っており袴田氏の救済に一日の猶予も許されない。袴田さんは、釈放後、都内の病院で社会復帰に向けて静養中である。長期間の拘禁による精神的影響は残っているが健康状態はおおむね良好になっている。
 弁護団としては、速やかに即時抗告を棄却させ、再審公判で無罪判決を得るため精力的に活動している。
 また、袴田事件は、「絶望的」と評されて久しい刑事司法制度の問題点をことごとく浮き彫りにしている。警察、検察による取調べの問題、証拠開示、事実認定のあり方など袴田事件の経験からも、現在の刑事司法制度は抜本的改革を迫られている。
 袴田事件弁護団は、日弁連の支援を受けながら、西嶋勝彦団員(東京)が団長、小川秀世団員(静岡)が事務局長、私も事務局次長の一員を務め、団員も多数参加して活動している。


諫早開門の間接強制、国を断罪、国に制裁金命令のご報告
― 国の「主張」と「事実」の乖離 ―

福岡支部  馬 奈 木 昭 雄

 四月一一日の新聞夕刊各紙一面は、「国を断罪」「諫早、国に制裁金命令」「開門へ措置講じず」「漁業者『勝ったぞ』」と大見出しで国の確定判決不履行が厳しく断罪されたことを一斉に報じた。
 二〇一〇年一二月に福岡高裁が下した判決が確定したことにより、国は二〇一三年一二月二〇日までに、諫早干拓事業によって設置した締切堤防の全ての排水門を「常時解放」するよう命じられていた。しかるに国(農水官僚)は、この確定判決を無視し、「絶対に開放しない」という強い意思の下に、種々の策動を行い続け、確定判決が命じた履行期限をあえて徒過した。私たち確定判決を得た勝訴原告団、弁護団はただちに原裁判所である佐賀地裁に、国に対し判決履行を求める間接強制の申立を行った。
 国が確定判決(それも主文そのもの)を履行しないという事態は、憲政史上初めての事態だと言われている。現に農水官僚自身が私たちに対し、「国はいまだかって判決主文を実行しなかったことはない。だから期限までに必ず開門する」と、繰り返し言明し続けていた。もちろん、水俣病でも明らかなように患者の認定をめぐって、最高裁判決がいかに理由中で、国の認定基準の誤りを示しても、国はその「原告患者」は認定するが(すなわち主文には従っているが)、判断の理由には拘束されない、とウソぶき、実質的には判決を無視する態度を取り続けている。これは水俣病に限らず全ての訴訟においてそうなのである。
 私たちは、この国(農水官僚)の態度を「憲法の三権分立に対する正面からの敵対」であり、主権たる国民をはじめ、判決を受けた被害者は、「無法者」の行為を決して許さない、というたたかいに取組んできた。
 国は、私たちの「間接強制」申立に対し、この申立が「権利濫用、信義則違反」だと主張し争ってきた。国の言い分は大きく二点である。
 第一点として、長崎地裁が二〇一三年一一月に開門阻止を主張する住民たちの仮処分請求を認め、国に対し「開門してはならない」という決定を下していること。すなわち国は「開門」と「開門してはならない」という相反する命令を裁判所から受けており、二つの義務の衝突によって動きが取れないこと。
 第二に、国は対策工事を実行して開門しようと誠実に努力して来たが、開門阻止の人々によって、現場で実力で工事着工を阻止されたため、工事ができないでいる。また対策工事の一部は地元住民の同意協力を得ないと実施できないものもあるが、反対にあって、その同意も得る見込みがない。現状の事態は確定判決が予測していない不可抗力の状況であり、「法は不可能を強制しないという法原則どおり、国に履行を強制することは許されない」という主張である。
 この確定判決を守らなくても良いという驚くべき国の主張を、法論理の一般論として裏付ける意見書を、東大民事訴訟法の名誉教授が提出している。しかし、この国の主張は(ひいては東大名誉教授の意見書も)、具体的事実の下では、まさしく噴飯もの、笑うに笑えない主張に過ぎない。
 私たちは、国(農水官僚)が最初から確定判決を履行するつもりなど全く存しないこと、現に今の時点においても全く履行する手段など尽くしていないことを具体的に一つ一つの事実を示して論証し国の主張がまったくの「でっちあげ」であるここを明らかにした。
 佐賀地裁は、国の主張が全く事実に反しており、とうてい認められない事を適確に判断して、軽く一蹴した。しかし、驚くべきことに、国はこの決定が下された一時間後に、抗告と執行停止の手続きを取った。当然この決定内容について、真剣な検討などされていないことが自明である。
 五月一日号の本通信において、後藤富士子団員が、国の「主張」と「事実」の乖離 について厳しく指摘している。私も「でっちあげ」の主張は国の常套手段だと考えている。しかし、「これが日本の裁判所だったらすんなり通ったのではなかろうか。悲しいことに日本の作戦は日本の裁判所においてのみ有効なのだ」という指摘には、その正しさを一面では認めつつ、しかし、全面的には同意できない。法格言も言う。「汝は事実を語れ、我は法を語らん」。私たち原告代理人は、「事実を語る」ことこそが課されている使命だと確信している。
 私たち水俣病を取組んだ弁護士は、たたかいのなかで「一にも二にも事実、三にも四にも五にも事実」なのだと教訓を学んできた。私たち原告代理人が「事実」を裁判所に適格に提示できれば、「日本の裁判所」もそれを無視することはできないと確信している。
 国は当然のごとく抗告した。日経新聞は「国は恥知らず」と私の発言を紹介している。私たちは「事実の力」によって、国民の世論の合意共感の下に強力な支援を得て、「力を持った正義」を実現していくよう、たたかいを続ける決意である。


奈良基地祭における低空飛行に対する航空法違反審査請求について

東京支部  種 田 和 敏

一 はじめに
 奈良県は、陸上自衛隊の駐屯地がない唯一の都道府県です。ただ、奈良県には、航空自衛隊の奈良基地があります。同基地は、奈良市の中心街に近く、周辺には世界遺産の平城京遺構や国宝に指定されている寺院も周辺に多数存在する場所に位置しています。
 この点、奈良基地には、航空自衛隊の幹部候補生学校があるのみで、実戦部隊が配属されているわけではないので、滑走路もありません。そのため、普段から航空機が頻繁に発着するわけではありませんが、毎年五月頃に行われる基地祭では、戦闘機やヘリコプターが低空でデモンストレーション飛行をするため、周辺に騒音被害や墜落の恐怖を与えていました。
二 審査請求の提起
 奈良基地祭のデモンストレーション飛行については、以前から奈良県平和委員会を中心とした住民が反対運動を展開していました。
その一環として、奈良基地周辺の住民を中心とした一八八名(以下「請求人ら」といいます。)は、二〇一三年五月一四日、国土交通大臣に対し、大阪航空局長が航空自衛隊奈良基地で開催される同基地祭でのデモンストレーション飛行(以下「本件飛行」といいます。)に関して行った最低安全高度以下の高度の飛行の許可処分(航空法八一条但書。以下「本件処分」といいます。)を取り消す旨の審査請求を行いました(審査請求とは、行政が行った処分に対する不服申立てです。以下「本件審査請求」といいます。)。
 本件審査請求は、本件飛行が(1)墜落などにより奈良基地周辺住民の生命・身体及び財産に危害を及すおそれがあること、(2)重要文化財上空を低空飛行するものであること、(3)目的が自衛隊の広報活動という住民の生命財産に比して重要性が低いものであることなどから、行政庁の裁量を逸脱しているなどとして、本件処分の取り消しを求めたものです。
三 大阪航空局長の弁明
 本件審査請求に対して、大阪航空局長は、二〇一三年七月一八日、弁明書を提出し、(1)自衛隊が保安上の措置をとると言っているので、本件飛行が住民の生命財産を危険にさらすものではないこと、(2)自衛隊が重要文化財の上空を低空飛行しないと言っているので、本件飛行が文化財の上空を飛行しないこと、(3)航空救難、航空輸送及び教育訓練を想定した訓練等を実施するために低空飛行を行うことが不可欠なので、本件飛行の目的が重要でないとはいえないことから、本件処分に裁量逸脱がないと弁明しました。
四 大阪航空局長の弁明への反論
 しかし、最低安全高度以下の飛行に関する許可申請に際しては、飛行経路や高度、不時着地などについて具体的に明示した書面を添付しなければならないにもかかわらず、自衛隊は、保安上の措置をとると抽象的に記載するのみで、具体的な飛行経路や高度、不時着地のありかなどを一切示していません。
 また、前述したとおり、奈良基地周辺に世界遺産や国宝などの文化財が散在するにもかかわらず、自衛隊は、具体的な飛行経路を示すこともせず、単に文化財の上空を飛ばないと記載しているにすぎません。
 さらに、飛行目的についても、本件飛行があたかも通常の訓練での飛行であるかのような虚言を弄して、本件審査請求の指摘に対して正面から答えようとしていません。
 したがって、上記大阪航空局長の弁明は、いずれも失当です。そこで、請求人らは、二〇一三年九月二七日、上記に記載した弁明書に対する反論書を提出しました。
 なお、請求人らは、上記反論書において、自衛隊の違憲性、本件飛行が平和的生存権を脅かすこと、本件許可が申請時に必要な書類を欠いている点で手続違反が認められること、許可内容としても許可期間が内規に違反した長期間であることも併せて主張しました。
五 口頭意見陳述
 審査請求においては、口頭で意見陳述することが権利として認められています。そこで、請求人らは、口頭意見陳述を求め、二〇一三年一二月一四日、東京の霞が関にある国土交通省内で実施されました。
 東京での実施でしたので、請求人らの多くは参加できず、請求人らを代表して、二名の請求人が意見を陳述しました。それぞれの方がなぜ今回の審査請求に名を連ねたかについて言及し、特に古都奈良の特長である文化財を愛し、守りたいという思いを強く訴えました。
六 国土交通大臣の裁決
 しかし、太田昭宏国土交通大臣は、二〇一四年二月二一日、本件審査請求を棄却する決定を行いました。
 その理由として種々述べていますが、端的に言うと、大阪航空局長の弁明に同様の趣旨です。加えて、「自衛隊は特別だから、普通の航空機とはちがう。」ということを挙げています。自衛隊は特別だから、飛行経路や高度、不時着位置などについての資料がなくてもいいし、許可期間についても長期でいいというものです。
 これは、空の安全、地上の人命や財産などを守る責任がある許可権者としての責務を放棄するもので、著しく不当だと思料します。したがって、国土交通大臣の上記決定には、強く抗議します。
七 本件審査請求の成果
 このように本件審査請求は、棄却という結果に終わりました。しかし、審査請求をした目的は、奈良基地祭など奈良基地上空での低空飛行を断念させることです。
 この点、二〇一四年四月末現在、二〇一三年度のように奈良基地上空に関して低空飛行をする許可申請があったとの情報はありません。仮に今後も申請がないとすれば、低空飛行を阻止したことになります。そうだとすれば、まさに低空飛行を断念させたことこそが今回の審査請求に打って出たことの成果といえるでしょう。
 安心で安全、文化財を後世にまで引き継ぐために、今後は、奈良の上空を低空飛行させることがあってはなりません。そのためには、不断の要請行動と監視活動をすることで住民運動の成果を維持し、加えて必要なときには、あらゆる手段を尽くして住民が声をあげ、具体的な行動をとることが重要だと思います。
八 おわりに
 冒頭で触れたとおり、奈良県には、陸上自衛隊の駐屯地はありません。しかし、現在、奈良県五條市に陸上自衛隊の駐屯地を設置する構想が進んでいます。
 奈良県や五條市は災害対策のために自衛隊誘致に前向きですが、自衛隊は、災害救助の組織ではなく、本来的に戦闘のための軍隊です。そして、自衛隊の軍事性は、日米共同軍事訓練の恒常化などを見ても明らかです。その点で、奈良県や五條市は、災害救助の専門ではない自衛隊の力に依存するのではない、防災対策を検討すべきです。
 駐屯地が建設されれば、周辺住民は騒音被害などに悩まされることになります。また、有事の際には、標的として大きな危険にさらされます。
 駐屯地建設に向けた反対運動はまだ具体的に動いていないかもしれませんが、今回の活動の経験と成果が活かされることを願ってやみません。


“責任ない”・“金がない”開き直った東電
〜「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟第五回期日の報告

東京支部  馬奈木厳太郎

一 明らかになった東電の姿勢
 三月二五日、「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟の第五回期日が、福島地方裁判所において開かれました。
 この日の期日では、国と東電から書面が提出されました。
 国の書面は、(1)原子力規制にかかる法体系と今回の事故経過を整理したもの、(2)規制権限の不行使が違法であるとの私たちの主張に対する反論として、違法か否かを判断する枠組みに関して、国の裁量を広く認めるべきだとの主張を述べたものです。
 東電の書面は、(1)「異常に巨大な天災地変」にあたる場合には事業者は責任を免れると定める原賠三条一項ただし書きを東電として主張しないと明らかにしたもの、(2)年間二〇ミリシーベルト以下の放射線被ばくは、喫煙、肥満、野菜不足などに比べても、がんになるなどの健康リスクは低いとするのが“科学的知見”であり、それを下回る放射線を受けたとしても、権利侵害にはあたらないと主張するもの、(3)原状回復は技術的に可能だとしても膨大な費用がかかるので請求自体が不適法だと述べたものです。
二 陳述を控えよ、陳述を撤回せよ
 今回の東電の書面は、全国で初めて示されたものですが、住民に対して、“二〇ミリ以下は我慢せよ”、“原状回復は費用がかかりすぎるので無理だ”とする、まさに開き直った無責任な主張を展開したものです。私たちは、弁論に先立つ進行協議の場において、東電に陳述を控えるよう求めましたが、東電はこれを拒否し、陳述しました。
 私たちは直ちに反論しました。
 中島孝・原告団長は、「莫大な費用がかかるから無理」とした東電の主張に、「お金で買えないものをわれわれはいったいどれほど失ったか。東電は加害者として甚大な被害を引き起こしたことへの反省も、事故の収束や被害者救済の責任を負っていることの自覚もない」と厳しく批判、陳述の撤回を求めました。
 渡邊純団員は、「臆面もなく『できない』と開き直ることができるのか」とし、「東電の主張は被害者を愚ろうし、天に唾するようなものであり、まさに恥知らずだ」と語気強く述べました。
 マスコミも一斉に東電の主張を取りあげました。地元紙や地元各局のニュースはもちろん、東京新聞が見開きで特集を組んだほか、私自身もJ-WAVEのJAM THE WORLDという番組に招かれ、三〇分にわたり今回の東電主張の問題点などについて語る機会をもつことができました。
三 過失の解明へ
 また、今回の期日において、国と東電は、私たちがこれまで主張してきた過失にかかる論点について再び認否を明確にしませんでした。裁判所は、予見対象について、私たちが主張している内容でとらえることを明言し、国と東電に対し、全電源を喪失した事故の経過、一〇メートルを超える津波が予見できたかなどについて、次回期日までに認否するよう求めるとともに、国に対しては、およそ二〇にも及ぶ釈明事項を指摘し、態度を明らかにするよう求めました。
 事故の被害救済を求める各地の裁判において、予見対象が何であるのかにつき、裁判所が態度を必ずしも明確にしていないなか、私たちの裁判においてはいち早く、今回現に到来した津波を予見し得たか否かという国や東電の主張を斥け、全交流電源喪失をもたらしうる約一〇メートルの浸水高の津波が到来することの可能性についての予見の有無が対象だとされました。
 今回の期日を通じて、東電が今日においてもまったく無反省・無責任であること、裁判所が過失の存否の解明に積極的な姿勢を示していることが明らかになったといえます。
 次回期日は、五月二〇日となります。引き続き、国と東電の責任を明らかにすべく、全力で取り組む決意です。


立憲主義と憲法改正問題いついての小論

東京支部  木 村 晋 介

 憲法の解釈改正・憲法改正の動きについて様々な人がこのニュースの中でも発言されています。私も、いろいろな人の意見を聞いています。その中で、立憲主義の立場から改正反対を述べている人に問いたいことがあります。法哲学者井上達夫さん外五名著の「岩波講座憲法一立憲主義の哲学問題地平」という本を読みますと、立憲主義ついて大変興味深いことが書かれています(同書p47、p49注13。なお、この人たちは、決して立憲主義に反対する立場に立つ人ではありません)。
 ここで提出されるのは、憲法が社会契約により最高法規として定められ、その憲法が立憲主義の立場をとっているとしても、その憲法が作られたときに社会契約に参加していなかった人がなぜその契約に拘束されるのか、という問いです。
 日本国憲法が制定されたときには、国民投票こそ行われていませんが、国民が選んだ議会で承認を得たのですから、その時期の社会契約によって成立したものといってもよいことにしましょう(この点に疑問をはさむものとして前掲書p46、p49注12)。
 私は、その社会契約に今日の世代が拘束されるということについて懐疑的だということです。憲法が制定されたときに有権者だった世代は、現在八七歳以上となっています。日本の有権者数は約一億五〇〇万人、八七才以上の人口は約三五〇万人です。憲法の前提となる社会契約に参加した有権者が、参加しなかったものも含めた有権者中に占める割合は、約三%となります。三%の有権者がした社会契約に、もう少しありていにいえば死者のなした社会契約に、九七%の有権者をも拘束される論拠を見つけることがなかなか困難だと思っています。論拠として、「その契約は憲法が存続することによって、継続的に更新されてきた」ということがいわれるかもしれません。しかし、有権者は長きにわたって憲法改正を党是とする自民党を政府として選択してきました。いま、憲法改正を望む有権者数はかなり多数となっています。私も含めた護憲論は、国民投票をやれば負けそうだから、硬性憲法に依拠してようやく命脈を保っているように見えます。立憲主義も危機に瀕しています。
 護憲運動は、いま憲法改正派が多数である現状、自分たちがマイノリティである現実を厳しくとらえるべきです。そうだとすれば、上から目線で、立憲主義から「始めて」憲法を説くのはやめてはどうでしょうか。それよりも、憲法による人権保障がない国、選挙によらないで政権が維持されている国で(たとえば北朝鮮、中国)悲惨な目に合っている人々に寄り添い、そこにある現実を日本の人々に伝え、その上に立って人権論、立憲主義を再構築する必要があるのではないでしょうか。要するに、国家よりも人権が尊いという前に、人権なき国家は酷いということを述べてはどうかということです。人権論については、井上達夫編「人権論の再構築」(法律文化社)をやはり興味深く読みました。


村木厚子さんを最高裁判事に!
―「法律家的見地」よりも「識見の高さ」

東京支部  後 藤 富 士 子

一 裁判官の任命資格とキャリアシステム
 裁判所法四一条は、「最高裁判所の裁判官は、識見の高い、法律の素養のある年齢四〇年以上の者の中からこれを任命し、そのうち少なくとも一〇人は、一〇年以上第一号及び第二号に掲げる職の一若しくは二に在った者又は左の各号に掲げる職の一若しくは二以上に在ってその年数を通算して二〇年以上になる者でなければならない」とし、一号が高等裁判所長官、二号が判事、三号が簡易裁判所判事、四号が検察官、五号が弁護士、六号が別に法律で定める大学の法律学の教授又は准教授、である。
 同法四二条は、高等裁判所長官及び判事の任命資格として、次の各号に掲げる職の一又は二以上に在ってその年数を通算して一〇年以上になる者とし、一号が判事補、二号が簡易裁判所判事、三号が検察官、四号が弁護士、五号が裁判所調査官、司法研修所教官又は裁判所職員総合研修所教官、六号が別に法律で定める大学の法律学の教授又は准教授、である。
 同法四三条は、判事補の任命資格であり、司法修習生の修習を終えた者とされている。
 同法四四条は、簡易裁判所判事の任命資格として、高等裁判所長官若しくは判事の職に在った者又は次の各号に掲げる職の一若しくは二以上に在ってその年数を通算して三年以上になる者とし、一号が判事補、二号が検察官、三号が弁護士、四号が裁判所調査官、裁判所事務官、司法研修所教官、裁判所職員総合研修所教官、法務事務官又は法務教官、五号が別に法律で定める大学の法律学の教授又は准教授、である。
 こうしてみると、任命資格に法曹資格を要するのは判事補だけである。それにもかかわらず、高裁長官や判事で法曹資格を有さない者が任命された例を寡聞にして知らない。それは、統一修習を終了した判事補が入口を占拠していることに起因する「キャリアシステムの自己完結的生理」によると思われる。弁護士も、「弁護士任官」なんてケチなことを言わずに、統一修習終了者以外の判事任命資格を有する者を判事にすることを検討したらどうか。とはいえ、現実には、そのような者の存在すら想像もできないであろう。裏返せば、統一修習無用論が帰結される。弁護士が給費制統一修習に固執するのは、裁判所法の趣旨に反するというほかない。
二 最高裁判事の任命資格―法曹資格を要件としない意義
 ところで、最高裁判事のうち四一条各号に該当するのは「少なくとも十人」であるから、該当しない者も任命されている。現在は三つの小法廷に一人ずつ女性判事がいるが、法曹資格をもつのは岡部喜代子判事と鬼丸かおる判事の二人で、しかも岡部判事が女性法曹有資格者の第一号である。それ以前の女性判事は、法曹資格どころか四一条各号のいずれにも該当しなかったのではないかと思われる。
 翻って、裁判所法四一条で、一五人のうち五人を限度に「法曹または法律学者としての経歴」は必要でないとされた意義は、どういうことだったのか。最高裁事務総局が昭和四四年一月に発行した『裁判所法逐条解説中巻』によると、最高裁裁判官は、「法律の素養のある」者でなければならないが、それ以上に進んで、法律の専門的な知識は要求されておらす、かえって「識見の高い」ことが要請されている、という。その理由は、最高裁が国の基本法たる憲法の解釈を最終的に決定する国家機関であるという性格に鑑み、広く人材を法曹または法律学者以外からも求め、単なる法律家的見地のみにとらわれず、広く烽「視野からする判断を取り入れる道をひらくことにより、その裁判が健全な社会的政治的感覚を失わないことを期したものである、とされている(同書五五頁)。
 しかしながら、エリートキャリア裁判官が「調査官」として裁判の入口に陣取っている現状では、単なる法律家的見地のみにとらわれず「識見の高さ」を示せる非法律家がいるだろうか・・と考えて思い浮かんだのが村木厚子さん! 村木さんにエリート検事は歯が立たなかったではないか。「取調べの可視化」についても、自己の体験に基づき且つ行政官僚らしく現実的に取り組んでいるようにお見受けする。そして、何よりも、彼女は、「男女共同参画社会」「ワーク・ライフ・バランス」という課題に、自身の人生を重ねて政府の仕事をしてきた優秀な官僚である。こういう実務的能力を備えた人材は、法律家の世界には珍しいのではなかろうか。
三 法曹人口増員と専門分化・多様化
 裁判所法が制定されたときに比べ、現在は司法をとりまく環境が激変している。法曹人口の増大や法科大学院の創設である。また、そもそも憲法や裁判所法は『法曹一元』の裁判官任用制度を想定していたはずである。これを前提にすると、一〇年後には「法律家でないこと」に積極的意義を見出すことはできなくなるように思われる。むしろ、「法律家」の在り方が、専門分化し、多様化するのは必然だと思われる。そうしたとき、真の意味での「専門家の支配」が「官僚の支配」にとって代わるのではなかろうか。そうなるまでの過渡期のエースとして、村木厚子さんを最高裁判事にできたら素晴らしい。
 一方、『絶望の裁判所』(瀬木比呂志著)が問題にする「人事のアンタッチャブル」は、キャリアシステム内部の「コップの中の嵐」にすぎない。最高裁判事について国民審査制度があるが、これによって罷免された例はないし、なにより「排除の論理」の運動は飽き飽きしている。法的効果ではなく、国民が実体験を積み重ねる意味でも、「村木厚子さんを最高裁判事に!」という運動をしたい。「最高裁事務総局の支配」に絶望しているよりも、国民が最高裁判事をノミネートするという発想の転換こそ、希望をもたらすのではなかろうか。

二〇一四・四・一七


*書評*

ブラック企業被害対策弁護団[著]
働く人のための「ブラック企業被害対策Q&A」
知っておきたい66の法律知識

東京支部  鷲 見 賢 一 郎

一 「ブラック企業被害対策Q&A」の発刊
 財界の「労働力の流動化・非正規化」政策のもと、労働者の非正規化が進む中で、「正社員として働きたい」という気持ちにつけ込んで、若者を大量に採用し、長時間労働、残業代不払い、パワハラ、退職強要、解雇等で、数か月から数年で使いつぶす企業が増えてきました。これが「ブラック企業」です。そして、大企業が働くルールを無視して利益第一を追求する中で、企業のブラック化は大企業にも押し及んでいます。
 このような中で、昨年七月三一日、ブラック企業被害対策弁護団が結成され、弁護団員は現在二〇〇名を超えるに至っています。弁護団は、昨年一二月八日、全国四六名の弁護士が分担執筆して、「働く人のための ブラック企業被害対策Q&A 知っておきたい66の法律知識」を発刊しました。
二 問題点の解明と解決策の提示
 「66の法律知識」は、いずれも、「職場等の実態、法的問題点、解決策」を簡潔かつわかりやすく解明しています。
 まず第一に、ブラック企業の見分け方(Q2)、働き始めるときの注意(Q7)、残業代請求の方法(Q20)、パワハラへの対応策(Q24)、過労死・過労自殺問題(Q32)、整理解雇への対応策(Q44)、退職強要への対処策(Q46)、ブラック企業と闘う方法(Q65)など、ブラック企業の手口や法的問題点を解明し、具体的解決策を提示しています。
 若者の正社員志向につけ込むブラック企業を根絶するためには、正社員と非正規労働者の格差を是正することが重要です。本書は、そのような視点から、非正規労働の問題点(Q53)、雇止めへの対応策(Q55)、派遣で働くときの注意点(Q59)など、非正規労働における問題点と対応策を明らかにしています。
 最後に、本書は、労働者の権利を守る上で労働組合の果たす役割(Q63)と労働組合への加入、結成方法(Q64)を明らかにしています。
三 私たち一人ひとりの手元に
 私は、労働相談等でわからない問題にぶつかった時には、まず本書を読むようにしています。是非、団員の皆さんが本書を購入し、手元に置かれることをすすめます。
 また、本書は、就活生やその家族、ブラック企業で働いている労働者、労働組合員などにも是非購読をすすめたい本です。団員の皆さんがそういう点でも尽力されることを期待します。
発行所:弁護士会館ブックセンター出版部LABO
定 価:本体一七〇〇円+税


*書評*

「激突の時代」にどう立ち向かうか
―品川正治さんの遺著を読んで―

東京支部  四 位 直 毅

一 「人間の眼」で国づくりのとき
 今この時代は「激動」にとどまらず「激突」の時代だと、品川正治さん(二〇一三年八月二九日没)は指摘した。
 先日、遺著「激突の時代―「人間の眼」vs「国家の眼」」を買い求めた(二〇一四年一月一〇日新日本出版社刊)。
 在りし日の品川さんを生き生きと偲ばせる活力が全編にみちていた。
 とくに、今こそ{国家の眼}ではなく「人間の眼」で国民本位の国づくりを進めるとき、との思いにあふれている。
 私は、全国革新懇の代表世話人会で数年間品川さんと席を共にした。その折々の発言と風貌を懐かしく思い起こし、遺著を読み、今この時代にどう立ち向かうか、について考えた。
二 沖縄・派遣村・財界と共同
 品川さんは、「激突の時代」の今このときこそ、思いきり共同を広げ、「人間の眼」つまりは日本国憲法とりわけ九条と二五条を軸とする国民本位の國づくりを、国民の側から進めるとき、と説く。
 この視点から品川さんは、沖縄と派遣村に注目した。
 沖縄には早くから足を運び続け、復帰実現と基地ノーで示された県民の共同を高く評価した。
 派遣村について品川さんは「国民が状況をつくることはあり得る」ことを眼に見える形で具体的に示したものと重視した。
 全国各地の財界は、必ずしも中央財界のいうがままに動くものではなく(大阪、名古屋、九州など)、九条を守る動きや品川さんの言動に共感を示す向きも少なくないという。
 私たち団員の活動領域にも、国民本位の國づくりをめざす共同とその可能性が少なくないのではないか。
三 立ち位置と「視座」
 品川さんの立ち位置は、日本国憲法とりわけ九条と二五条である。
 品川さんは、中国から復員・帰国途上の船中で、新憲法を報じた新聞を眼にして戦争放棄条項を知り、その場の一同が喜びの涙を流した、という。
 みずからの「視座」として、品川さんは次のとおり述べている。
 「一年半に満たない戦地体験であったが、私にとっては生涯揺らぐことのない「原点」を自らの心身に刻み込み得た一年半であった。市民の眼で国家権力を見る。兵士の眼で戦争を見る。飢餓の眼で食を見る。大日本帝国とは袂別して祖国日本を思うという視座だった。」
 この「視座」から「いま」を見ると、まさに「激動の情勢ではなく激突の情勢」と実感せざるを得ない、的をしぼってゆく時期が来た、「よし、いまが勝負だ」という気持を持つ時、と(小林多喜二著「蟹工船」の結び「彼らは立ち上がった。もう一度!」を引用して)遺著を結んでいる。
四 安倍内閣ノー・国民本位の國づくりで大きな共同を
 では、私たち国民の側はどうするか。
 「自分一人が言っても何も変わらないとあきらめるのではなく、要求を掲げることが大切です。」(メーデーでの全労連青年部長の発言)。
 安倍暴政ノーの声は、今、全国各地・各分野に広がっている。その声を一つにして、安倍内閣と同調勢力ノー・国民本位の國づくりを掲げる大きな共同を、全国でただちに広げる取り組みを進めようではないか。
 たしかに、現状では、この共同要求にふさわしい後継者の登場を今すぐ期待することはむずかしい。
 それでもなおかつ、主権者国民の側の共同の力で安倍暴政を阻止することができれば、その意義はきわめて大きい。なおかつ、このような共同とその力は、必ずや、国民本位の國づくりに向けての確実な一歩となるだろう。

二〇一四・五・五


「日本国憲法に聞いてみよう」
女性部リーフ 改訂&増刷のお知らせ

東京支部  畠 山 幸 恵

 かわいくてわかりやすいと評判の、女性部リーフを改訂、増刷しました。「中学生にもわかるように」をコンセプトに、言葉を選んで作成しています。
 憲法九条、一三条、一四条、二一条、二四条、二五条、二七条、二八条、国民主権と盛りだくさんの内容となっています。特に、今回の改訂では九条に集団的自衛権を加筆し、これまで九六条だった部分を秘密保護法関連で二一条に変更しました。それぞれ見出しは「戦争は絶対にしちゃだめ!」「言いたいことが言えない 知りたいことが秘密になっちゃう そんな世の中怖いよね。」となっています。まさに現在の情勢に合わせた内容となっていますので、ぜひ、学習会などでお使いください。
 配布価格は、女性団体・・・無料
 それ以外・・・一部一〇円
※どちらもそのほかに配送料がかかります(クロネコヤマト利用・着払いです)。
 となっています。団本部(FAX〇三―五二二七―八二五七)にお申し込みください。
 たくさんのご注文、お待ちしております。


改憲がもたらす 戦争する国日本
〜法律家が読み解く自民党改憲草案Q&A〜を出版しました!

事務局次長  山 添 健 之

 二〇一二年四月、自由民主党は「憲法改正草案」(以下「自民党草案」という。)を発表し、それとあわせて、「憲法改正の必要性を広く国民に訴える」ための活動も活発化させています。二〇一二年一〇月には、一般市民向けの「日本国憲法改正草案Q&A」を公表し、自民党のウェブページ上などで公表していますし、二〇一四年一月の自民党党大会では、運動方針において「わが党の憲法改正草案への正しい理解を深め、かつ、国民全体として憲法改正に向かう機運を高めていくために、全国で憲法改正に関する対話集会を行う。この対話集会を含め、党是である憲法改正の実現に向けて、党全体として積極的に取り組む。」ことを決定しています。この対話集会については、一四年四月一二日に宇都宮市で第一回の集会を開き、そのあと、およそ一年かけて全国各地で開くことが予定されていると報道されています。(第一回の集会は、自民党員・関係者だけの集会だったようですが。)
 改憲阻止対策本部では、このような情勢を踏まえ、自民党草案の危険性・狙いを広く市民に訴えるために、Q&A方式でなるべくわかりやすく各条文を解説し、冒頭から通読しなくとも、読者が関心をもった条文から入っていけるような逐条形式でまとめられた書籍の出版を企画し、五月三日に刊行となりました。
 草稿の執筆にあたっては、六〇期代の若手団員があたることで、同世代、そして年下の世代にも気軽に読んでもらえるような内容を目指しました。また、「国旗・国家を尊重するのは日本人として当然では?」「権利を主張するだけではなく、義務を守ることも重要なのでは?」といった、「素朴な疑問」にも答えるようにして、これまで憲法を守るための運動などにかかわったことのない市民にも、違和感なく手に取ってもらえる書籍を目指しました。
 ぜひ、全国各地の集会、学習会などで広くご活用ください。

「改憲がもたらす 戦争する国日本 〜法律家が読み解く自民党改憲草案Q&A〜」
*自由法曹団・改憲阻止対策本部編著 発行・学習の友社 A5版96頁
*自由法曹団専用割引価格(割引対象等の詳細は、注文書をご確認ください)
一冊〜 九冊   定価一〇八〇円  送料購入者負担
一〇冊〜一九冊 定価一〇八〇円 送料学習の友社負担
二〇冊〜四九冊 定価の一割引   送料学習の友社負担
五〇冊以上    定価の二割引   送料学習の友社負担
 別途お送りする自由法曹団専用注文書にて、団本部までお申し込みください。
(注文書は追ってFAXニュースにてお送りする予定です。)