自由法曹団通信:1055号        

<<目次へ 団通信1055号(5月1日)


平 和元 国会では連日審議を予定 −毎日のたたかいで廃案に!
亀田 徳一郎 大崎再審請求事件
土井 浩之 「鉱山(かねやま)の息」−三菱細倉じん肺裁判運動のあゆみ−
鈴木 亜英 ロースクール時代を迎え、団の後継者養成はどうあるべきか −二〇〇二年五月集会への問題提起
中野 直樹 STOP!有事法制  四・一九大集会 −五千人のウェーブー
大川原 栄 リストラ反対、雇用と地域経済を守る全国交流集会の報告
野仲 厚治 ゆうじほうせい −トットちゃん 出番ですよ!−
 

国会では連日審議を予定−毎日のたたかいで廃案に!


有事法制阻止対策本部 事務局長 平  和 元


 有事法制関連三法案は、四月一七日国会に提出され、二三日には五〇名からなる特別委員会が設置されました。五月の連休明けの七日から特別委員会は毎日開かれ、連日審議にかけられる予定だといいます。一日の猶予も許さない日々これ決戦です。毎日のたたかいが情勢を決めるといっても過言ではありません。

 自由法曹団は三月五日には第一意見書を、三月二六日にはブックレットを、国会に法案が提出された一七日には第二意見書を発表しました。鋭い切り口と評価されています。タブロイドも三万部が出尽くしました。学習会も毎日どこかで行われています。有事法制対策本部のメーリングリストでは各地の活動報告を含め、毎日十数件の報告、意見の発表が交わされ、熱い討議がなされています。

 有事法制阻止対策本部から全団員にお願いします。

 全団員の共通の知識とするため、地域の情報を含め活動報告を是非団通信に寄せて欲しい。

 五月一四日午後一時から四時過ぎまで、特別委員会委員を対象とした三回目の国会要請行動を行います。是非多くの団員の参加をお願いします。

 この国会要請行動は特別委員会委員を対象としますが、全国会議員の出身地の事務所に対し、各地で要請行動をしてください。団支部で要請先など調整をお願いします。第一意見書、第二意見書を活用してください。団ホームページからもダウンロードして活用できます。

 全国の自治体議会に対し、有事法制に反対する意見採択を要請してください。団本部から各支部宛自治体数分の要請書をお送りします。日弁連決議、代表的な自治体議会決議も資料としてお送りしたいと思います。全国の団支部、県から全自治体に持参・送付して五月末までには要請してください。要請方法は団支部として、あるいは弁護士有志、法律事務所ないし他団体と共同でなど各地の実状にあわせて御願いします。

 すでに三月議会で秋田県では稲川町議会、東成瀬村議会、東京で国立市議会、小金井市議会が反対決議を、秋田県田代町議会では反対意見書の陳情採択を、岩手県北上市議会では慎重審議を求める意見書採択を

が行っています。地方自治を蹂躙する有事法制です。六月議会で三三〇〇ある地方公共団体の半数が反対の意見書を採択することも夢ではありません。是非お願いします。


大崎再審請求事件


南九州支部(鹿児島県) 亀 田 徳 一 郎


 三月二六日、鹿児島地方裁判所刑事部で大崎再審請求事件について「本件について再審を開始する。」決定がなされた。

 大崎事件とは、昭和五四年一〇月一五日、鹿児島県大崎町において請求人原口アヤ子(当時中村)の義弟(N)の遺体が、同人の牛小屋の堆肥の中に埋められていたのが発見されたことに端を発する。

 警察は当初から身内による殺人死体遺棄事件として大々的に捜査し、最終的には、死体発見の三日前の一〇月一二日夜、アヤ子を主犯とし、同人が夫(Z)、その弟(K)を誘い、アヤ子、Kが手足を押さえZがタオルで絞殺し、これにKの息子中村善則を加えて、四人で死体を堆肥に埋めて遺棄したとして送検し、裁判となった事件である。

 アヤ子は警察・検察の段階でも否認し、無罪を主張して裁判に臨んだ。Z、K、善則は取調の当初は抵抗したようであるが、「自白」調書を取られ、裁判でも「認め」た。

 昭和五五年三月三一日判決が言い渡された。アヤ子懲役一〇年、Z懲役八年、K懲役七年、善則は死体遺棄のみに加わったとして懲役一年の実刑であった。

 アヤ子は最高裁まで争ったが、昭和五六年一月三〇日上告棄却決定された。

 他の三名は控訴せず、一審のみで刑に服した。

 アヤ子は「服役」中「反省すれば仮釈放」と誘われたが、「反省するべきことはない」と頑張り一〇年丸々拘束された。

 平成七年四月一九日、アヤ子は鹿児島地裁に再審請求し(善則は平成九年九月一九日再審請求したが決定前の平成一三年五月二七日四七才で自殺した。

 Kにも再審の希望があったが果たさぬまま昭和六二年四月二五日五八才で自殺した。Zは裁判が「煩わしく」諦めていた。)、福岡・鹿児島の一〇名の弁護士がついた(現在一四名)。

 再審理由は、@タオルによる絞殺とされているが、「凶器」とされるタオルが特定されていない。A首周辺に絞殺の痕跡がない。B解剖鑑定人は「手指による扼殺」としていたが、理由もなく「タオルによる絞殺」とされている。Cアヤ子の自白はなく、共犯者の「自白」以外に物的証拠・客観的証拠はない。しかも共犯者らの「自白」は、相互に矛盾し、一貫性がない。D解剖鑑定の結果は、「殺人」でなく事故死の可能性を示唆している。

 再審では、最終的に死因が中心的争点となった。遺体解剖に当たった城鑑定人は当時の結論を改めて「事故死の可能性」を示唆する新鑑定を出した。

 弁護側の池田新鑑定人は、「事故死の可能性」を強調すると共に、原判決が認定したタオルによる絞殺は法医学的に認めがたいとした。

 検察側の石山鑑定人は、意見書で頸部の蒼白帯を指摘し(写真のみで)原判決を支持した。(但し、事故死の可能性も否定はしなかった。)

 再審裁判所は、一五〇頁に及ぶ判断を示し、「新証拠である城補充鑑定、池田鑑定のほか、当請求審において取り調べた新証拠が原審の審理中に提出されていたならば、アヤ子、Z、K及び善則を本件各犯行について有罪と認定するには、合理的な疑いが生じるといわざるを得なかったものと認められる。」として四人全員無罪を前提に再審開始決定をした。

 検察庁は三月二九日、証拠の新規性、明白性のなさを理由に福岡高等裁判所宮崎支部に即時抗告した。


「鉱山(かねやま)の息」−三菱細倉じん肺裁判運動のあゆみ−


宮城県支部  土 井 浩 之


 このほど、細倉じん肺訴訟終結五周年記念誌編集委員会編で、「鉱山(かねやま)の息」ー三菱細倉じん肺裁判運動のあゆみーという本を出版しました。

 私も、修習生のときから学習会等に参加し、平成六年に弁護士になってすぐに細倉じん肺訴訟弁護団に入れていただきましたが、改めてこの本を読んでみて是非団員の皆様にもお勧めしたいと思い、投稿させていただきました。

 細倉じん肺訴訟は、平成四年五月に第一次訴訟を提起し、平成八年一〇月一五日に完全勝利和解で終結しています。この本は、この訴訟の経緯が記録されているだけではなく、訴訟提起までのいきさつ、大変お世話になった広瀬医師のじん肺の病理についての解説をはじめとして、細倉じん肺訴訟、裁判運動に関わった多くの皆様の貴重な文章が寄せられています。その皆さんの文章を読むにつけ、細倉じん肺の闘争が思い起こされます。

 山深い細倉に講演に来ていただいた作家の松田解子さんは、当時八八歳だったということに驚きました。とてもパワフルなお話で、原告やその家族、もちろん弁護団もふくめて、多いに勇気づけられました。「夫へのバラード」、「黒い肺のブルース」など印象的な歌を何度も聞かせていただいた横井久美子さん、支援の会の皆様方のお話の数々、本当に様々な闘いを展開していたことが思い出されます。

 圧巻なのは、原告団や原告の家族たちが、細倉じん肺訴訟を通じて、闘いに目覚めて行く様子が活き活きと描かれていることです。原告やその家族の様子がルポルタージュとしてまとめられており、じん肺と知らされた無念な気持ち、勝利的和解の時の喜びなど、その時々の原告らの気持ちが手に取るように描かれております。松田解子さんの名著「おりん口伝」のドキュメンタリー版とも言える内容となっています。その中でも原告の孫の詩の一節には泣かせられました。また、その一方、じん肺患者やその家族たちの苦しみに改めて接して、じん肺根絶の誓いが新たになりました。

 盛りだくさんの内容がつまった貴重な本となりました。このような裁判、運動に関わることはもうないかもしれません。しかし、今後の弁護士活動の中で、特に力を入れる裁判をしようとするとき、必ずこの本を読み返して全力の出し方を確認しようと思います。

 読まれた皆さんもじん肺訴訟に限らず、権利の実現の闘いにおいて、必ずや何かを得ることができると思います。是非お勧めします。

 最期に、この本のグラビア部分に元気な姿が写っている原告団長の佐藤研さんをはじめとして多くの原告の方々が、現在では、お亡くなりになっています。鉱山のこと、労働組合のことについて、やまの男たちは、とてもやさしく、明るく、新米弁護士に教えていただいたことが思い出されます。心よりご冥福をお祈りいたします。


ロースクール時代を迎え、団の後継者養成はどうあるべきか−二〇〇二年五月集会への問題提起


東京支部  鈴 木 亜 英


一、前回はアメリカロースクール調査を終えて、団の後継者養成を考えるうえで、留意すべきことがらを、(1)カリキュラムの問題、(2)学生の自発的組織と進歩的教官の結びつきの問題、(3)学費の問題の三点に分けて述べました。

 その後いくつかの調査を団内で重ねた結果さらに追加すべきことが出てきました。調査報告は五月集会迄にまとめて発表するよう準備をすすめています。

二、本年三月二八日法科大学院の第三者評価適格認定を誰がどのような基準で行なうのか、新司法試験をどう位置づけるかなどをめぐって第六回法曹養成検討会での意見交換が進みました。設置基準がほぼ決められ、政府側の構想取りまとめは今年の夏休み前になるという速さです。いま、各大学では法科大学院開設をめぐって急ピッチの準備が進められていることは御承知のとおりです。しかし、公益的法曹教育を重視しようと取り組んでいる各大学の準備委員会のメンバーには政府構想やそれに沿うかたちの私的研究チームの構想への危機感があります。単位数の増加が学生からゆとりを奪い、無駄を省きたいという気持ちを強く起こさせることになるからです。

 今制定されようとしている設置基準は今後の法科大学院のあり方を左右するものだけに、果たしてそれが国民が期待する法曹養成制度として適うものか、大いに議論すべき時期にあり、団としても時期を逃さずこの点に関する意見表明をしてゆくべきです。

三、各大学ではカリキュラムづくりをすすめていますが、どこでも公益的法曹教育に目を向け、クリニック(弁護士の指導のもとに法律相談等を通して具体的事例を学ばせる臨床講義)やエクスターン(法律事務所や様々な法的機関などでの外部研修)といった臨床的法学教育を大なり小なり取り入れようとしています。法律的サービスを受けにくい貧困層や社会的弱者に若い学生たちが接触し、そこから刺激を受けて国民の目線をもった法律家になってゆく過程を重視し、これをどれだけ充実させてゆくかが、いま私たちが法科大学院構想を考えるうえで一つの鍵となっています。法科大学院は2割以上の実務家教員を専任教員として採用することが義務づけられています。団や青法協がこれまで取り組んできた労働、刑事、公害、女性、少年、市民、人権といった社会の矛盾が凝縮する様々な分野での生きた事実が法曹養成教育に反映されれば若き法曹予備軍に多大の影響を与えるでしょう。クリニックは多数の教員を必要とするためとてもお金のかかるシステムです。アメリカでもコース制を敷いて一部の者のみにパブリックインタレストローを教える大学があります。しかし、最初から対象者を限定してしまうやり方はどうかなという気がします。学生は可塑性に富み、様々な契機で社会問題に関心を寄せて来るのですから、こうした問題に接するチャンスをすべての学生に与える努力をすべきでしょう。

 最高裁、法務省が相変わらず法科大学院に要件事実の詰め込み教育を期待していますから、焦点はどうしたら豊かな実務基礎課目を履修させることができるか否かです。早稲田、立命館、九州各大学の先進的取り組みについて、調査結果を是非参考にして頂きたいと思います。

四、今の若者は政治や社会に無関心であるといわれて久しい時が経ちました。しかし、果たしてそうなのでしょうか。東京大学教養学部で「法と社会と人権ゼミ」の講師としてこれまでかなりの学生に影響を与えてきてた川人博団員の経験はそんな失望感を吹き飛ばしてくれます。

 彼はゼミのなかに「教育と人権」、「国際社会と人権」、「労働と人権」、「消費者・環境と人権」といったテーマを設定するとともにフィールドワークを重視し、例えばハンセン病、ダム問題などをテーマに学生を現地に連れてゆき、そこでたたかう当事者や団員と接触させています。関心をもつ若者は大変多く、ゼミをリードしているといいます。学期はじめには立ち見も出るという盛況ぶりで、昨年度夏季学期には一、二年生合計四〇〇名余りが参加した、というのですから驚きです。学生をワシントン大学のロースクール授業にも連れてゆき、来るべき法科大学院の法学教育のあり方についても深く考えさせる機会をつくり、参加した学生を大いに啓発しています。彼は「現場に根ざしたカリキュラム」と「市民に開かれた教育の管理・運営」を目指しています。団などがこれまでたたかってきた社会問題をカリキュラムのなかに取り込むことが大切であり、それが可能だといいます。このことは法科大学院のあり方を考えるうえで極めて示唆的です。

五、法科大学院を目指す大学は各地で弁護士会などと協議を重ねているところも多いと聞きます。しっかりした実務家教員を送り込むこと、実践的なカリキュラム作成の作業に関与することの外、エクスターンシップ制を有意義なものとするために学生の受け入れ先を紹介、斡旋するなどの仕事も今後の弁護士会の大切な仕事になっていくと思われます。団の事務所などもやはりエクスターン学生を受け入れ、現場を見て貰うことは大切だと思います。

六、しかし、憂慮すべき事態も予想されます。法科大学院はスタートとともに、当面実績づくりに走るでしょう。どれだけの合格者を出すか熾烈な競争も予想されます。そうしたなかで、大学側も学生側も最終的には新司法試験の合格を目指しての勉強を重視することになり、クリニック、エクスターンは単位取得のうえでのお付き合い程度に限定されてしまう傾向も生まれるかも知れません。アメリカのロースクールを卒業しニューヨーク市で法律事務所につとめる前元のり子さんとのインタビューでは、彼女はロースクール学生が公益的カリキュラムに関心が薄いこと、司法試験の合格目指してロースクール終了後、試験日までのおよそ二ヶ月間誰もが予備校通いをすることを指摘しています。大学の成績主義と要件事実論が結びついたら司法研修所との違いがなくなってしまいます。先が思いやられる問題です。ここをどう突破するか知恵を集めなければならないところです。

七、学生の自発的活動の重要性について考えてみる必要があります。

 学生が自発的な活動に取り組むことが学生の成長にとって欠かせないことは何も法曹養成教育に限らないことです。学生がそれぞれの関心に従ってテーマをもち、それを深めてゆくこと、とりわけ生きた社会との関わりで現場で考え、友人と語り合うことが大切です。団員が教員になってゆくことも、こうした学生の導き手として同じように大切です。ワシントンロースクールでは二〇余りの学生サークルがあるそうです。アメリカではNLG支部がロースクールの中にあります。学生も教員も支部員となれるのです。これを団との関わりでいうと、学生団員、教員団員を認めることになりますから、団員資格という点でまさに組織問題が発生します。団が新しい局面に正面から対応する時代が来ていると言えます。

八、改めて「学費問題」について

 年間学費が二〇〇万円、三年間で六〇〇万円もかかるとなれば、貧しい家庭の子弟が法曹となってゆくことはどれ程困難か想像ができます。金持ち子弟だけが法曹となれる社会は到底承服できません。教育にお金がかかればかかる程、そのなかで育った学生も、これを支えた家族もこの投資を早く回収しようとするでしょう。社会的な矛盾やそのなかから発生する人権問題に関心を持ちつつも、経済的事情がそれを許さないとすれば、残念なことです。前回アメリカの例を紹介しましたが、三年間で八万ドル(約一〇〇〇万円)の借金を返済するために大きなローファームに就職していくという姿を前元さんがリアルに紹介しています。私たちは民医連がどのように医師を獲得してゆくか、についても詳しく調査しました。奨学金問題も含め示唆に富むヒントを得ました。是非報告書を読んで下さい。奨学金制度が充実すればいいことかも知れませんが、そう簡単ではないでしょう。団も後継者養成を真剣に考えるときです。奨学金制度も含め団の後継者養成基金を創設することも考えてゆく必要があるのではないでしょうか。団が発展するなら財産を投げうっても構わないという夢のような話があればうれしいのですが。

九、五月集会の恒例支部代表者会議は今年は趣きを変えて、団の後継者養成を各地の実例を踏まえながらどう実現してゆくかが議論されます。今日の局面をリアルにみて団のすばらしい未来を語り合う機会にしたいと思います。


STOP!有事法制 四・一九大集会
−五千人のウェーブ−


事務局長  中 野 直 樹


 開会の六時三〇分には日比谷野外音楽堂は人が溢れ、周回路には幾重にも人垣ができていた。私は事務局の一人として舞台袖から進行を見つめる機会を得た。階段状の観客席と通路が埋めつくされ、迫ってくる雰囲気に心が高ぶった。

 政党からの連帯あいさつは、社民党 福島瑞穂幹事長、無所属 川田悦子衆議院議員、共産党 筆坂秀世書記局長代行であった。民主党からも出席が予定されていたが直前に予定議員が不都合となり、佐々木秀典議員のメッセージ紹介にとどまった。残念である。

 日弁連から川中宏副会長が力強い挨拶をされた。このことが実現したことは、共同行動を追求してきている方々を鼓舞し、集会参加者にも大きな勇気を与えたのではなかろうか。さらに女性団体から、女性の憲法年連絡会呼びかけ人の江尻美穂子さんが語りかけられた。日本のすべての女性団体(四七)を束ねた国際婦人年連絡会世話人の立場での発言の実現が追求されたが、これは後の課題となった。

 各分野からの二分間発言、CHANCEのメンバーによるパフォーマンスのあと、有事法制反対のウェーブが会場を揺さぶった。

 二月から、宗教者と陸海空港湾労組二〇団体の呼びかけによる、有事法制反対の一点で一致する共同行動が進められている。この呼びかけは、周辺事態法案審議の最終盤実現した五・二一 明治公園五万人大集会の時の組合せである。有事法制問題が浮上してから五・二一大集会の枠組みをさらにこえる共同の広がりが模索されている。

 今回は、自由法曹団も、日本民主法律家協会、青年法律家協会弁学合同部会、日本国際法律家協会とともに法律家四団体として事務局に参加している。一週間から一〇日に一度開かれる事務局会議・実行委員会には潮流を異にする様々な団体が参加し、それぞれの流儀が通用しないために、毎回三時間近い討議を重ねて、物事を決めていく。民主主義とは時間と労力を要するものと感じ入っている。

 四月に入り、二回の国会前共同行動を実現するなかで連合系の「フォーラム平和・人権・環境」の連帯の挨拶が実現したり、野音集会での日弁連の挨拶が決まったりして、事務局会議は盛り上がり、文字どおり立場の違いをこえて心が通いあう雰囲気となっている。

三 五月二四日明治公園に向けて

 四・一九集会のウェーブはホップと位置づけた。大新聞は一行も報道しなかった。この波をもっと大きくし、そして地方からの打ち返す大波が生まれないと、民主党を変え、政権与党内からの反乱をつくりだすことはできない。

 四・一九集会実行委員会に集まってきた団体と個人は、さらに大きな共同の構築を追求し、そのステップとして五月二四日、明治公園で五万人の大集会を開くことを確認した。五月七日には、連合所属の日本海員組合内に部屋を確保し、常駐体制となる。中央の動きに呼応して全国で、地域で、どのようなうねりを作り出していけるか、重要な時期にさしかかっている。


リストラ反対、雇用と地域経済を守る
全国交流集会の報告


担当事務局次長  大 川 原  栄


 三月三〇日、日本青年館において「リストラ反対、雇用と地域経済を守る全国交流集会」が四〇〇余名の参加で開催されました。この集会は、全労連、新日本婦人の会、日本共産党、全商連及び自由法曹団の五団体が実行委員会をつくり、凄まじいリストラの実態を明らかにしつつ、それと果敢にたたかっている労働運動、地域運動等を交流する目的で開催したものです。この集会には、労働組合、争議団のみならず、民商・新婦人組織、地方議員も参加し、各方面のたたかいが報告されました。自由法曹団からは、一〇名の団員が参加し討論に加わりました。

 冒頭、主催者挨拶として全労連小林議長から、今日のリストラの特徴点として、@大規模かつ徹底したものであこと、Aこのリストラを政府が後押ししていること、B労働力の流動化と合わせて「合意の強制」を行っていること、C労働者に犠牲を強いて大企業の儲けが拡大していること、D大企業のリストラの横暴が中小企業の倒産を招き、地域経済を疲弊させ、日本経済の危機を深刻化させる「悪魔のサイクル」という事態を作り出していることが指摘されました。そして、職場の矛盾が激化し激動が起きていることを踏まえて、一致点で大同団結する、多様な共同を作り出し切実な要求を実現しつつ多数の世論を結集すること、リストラ問題を人権問題としてとらえて社会的にアピールすること、大企業の社会的責任を問い、リストラでは日本経済の再建は出来ないことを鮮明にすること、リストラを推進する政治を変える必要があることが述べられました。そのために、職場からの共同を広げ、全国的な共同と統一を展望し、力関係を変えることをめざしてたたかうとの決意が述べられました。

 次いで、穀田衆議院議員から国会報告があり、リストラ攻撃の調査をふまえて政府の責任を追及し、必要なルールの確立を求めるたたかいをすすめていること、国政レベルのたたかいの前進は、リストラで打撃を受けている労働者の職場でのたたかいが土台にあってこそ真に力をもつこと等が報告された。

 また、実行委員会を代表して全労連副議長の熊谷氏から今日のリストラ「合理化」の主な特徴、リストラ攻撃の矛盾と反対闘争の到達点等が問題提起されました。

 討論のはじめにおいて、通信労組の岩崎委員長から「NTTリストラ反対の歴史的たたかいに奮闘」、日本共産党三菱電機伊丹の山本氏から「雇用と労働条件を守る運動を発展させる」、全商連谷野氏から「協力・共同をいっそう強め、小泉内閣と全力でたたかう」、新婦人高田副会長から「家族揃って人間らしいくらしを願い、サービス残業なくす運動」という特別報告が行われ、その後、各団体、各地から多様な運動経験を踏まえた報告・討議が活発に行われました。団の坂本団員からは、過去経験したことのない凄まじいリストラのたたかいを支えるために自由法曹団の弁護士が全国で控えているといった簡明な報告が行われ、鷲見団員からは高見沢電機のたたかいの報告が行われました。

 当日、私は座長(司会)として集会に参加しました。準備期間が約一ヶ月と短かった割には全国からいろいろなたたかいの経験が報告され、充実した集会であったと思います。大リストラが強行されている中においても、各地で様々なたたかいが広がり、確実に成果をあげていることを実感しました。とりわけ、新婦人のサービス残業をなくすたたかい(夫の残業をなくして夫の健康と家族の時間を守るたたかい)については、たたかいの多様性と広がりを感じました。


ゆうじほうせい
−トットちゃん 出番ですよ!−


大阪支部  野 仲 厚 治


トットちゃん こと 黒柳徹子さん
こんにちわ
仕事柄 「徹子の部屋」はなかなか見れないけど 板東英二さんもレギュラー出演している例のクイズ番組は 時々見ています さすがに徹子さんならではの正解率ですね
いつもびっくりしています

さて
徹子さんは もちろん覚えていますよね
私が徹子さんに初めて会ったのは もう十数年も前のことです
徹子さんが 大阪の岸和田市民会館に来られました
障害者のための市民集会だったかなぁ
千人収容の大ホールも 立ち見も出来ないくらい溢れ返る人だかりでした
あの頃からでしたか? 世間では何ごとにつけて 集会の目玉のことを「人寄せパンダ」などと言うようになったのは
本当に失礼な言い方ですが もちろん徹子さんの人気は 昔も今も変わりません

私は徹子さんにはその市民集会の時に一度っきりしか出合っていないのですが その日以来私は徹子さんの大のファンになりました
それと言うのも 徹子さんが集会で語ってくれたメッセージにとても感動したからです

 曰く

私は、久米宏さんと長い間歌番組の司会をして来ました。ひょっとすると、『どうして徹子さんが?』、と不思議がる人もいるでしょう。そこで今日は、私の考えをお話します。
私らが司会をする歌番組をテレビで見て下さる方は、老いも若きも、男も女も、日本全国にたくさんいらっしゃると思います。
この歌番組を見て下すっていて、『徹子さんの言うことなら信用できる』、と思って下さる方々が一人でも多くなってくれることを願っているのです。
今は、一応平和な時代です。
でも、戦争はあっと言う間に足元にしのび寄って来ます。平和が脅かされそうな時代になった時、私からのメッセージを受け止めてくれて、いっしょに進んでくれる若者たちや国民の皆さんが、いっぱい増えてほしいと思っているのです、と。

徹子さん
今 街行く人たちは 「ゆうじ」と言う言葉も知りません
私が学生だった頃に 自衛隊の「三矢作戦計画」と言うのが暴露されて大騒ぎになりました
でも今は違います
アブガンでもパレスチナでもアフリカでも 飢餓に苦しむおびただしい数の難民 そして死んで行く人間がますます増えているのが この地球上の現実です
でも 平和ボケした日本人は私も含めて 「どこ吹く風」です
そんな今だからこそきっと「有事法制」なのでしょう

徹子さん 有事です
徹子さん 戦争の足音が聞こえて来ました
徹子さんのメッセージを 多くの若者が そして国民が待っています
トットちゃん 出番ですよ!