第1739号 5 / 1

カテゴリ:団通信

【今号の内容】

●3度目の緊急事態宣言に憤る  小 賀 坂   徹

●平群町メガソーラー 差止訴訟を提起しました  大 久 保 陽 加

*コロナ禍に負けない!貧困と社会保障問題に取り組みたたかう団員シリーズ ⑥(継続連載企画)
●生活保護基準引下げ裁判・札幌訴訟負けたけど最後には勝つ!第二ステージへ  内 田 信 也

●初めてのYouTube―岡山からの報告  山 崎 博 幸

●「平和」をもっともっと語ろう!  稲 生 義 隆

●小林徹也氏の1726号論稿への批判(下)<上・中・下・3回連載>  金  竜 介

●書評『人新世の「資本論」』(斎藤幸平著・集英社新書)
【第4回】最終回- 著者は、資本主義に代わる選択肢を示し得ているか?  川 人  博

●「リニューアルした団通信がおもしろい!」  平 井 哲 史

●寺沢達夫さんを偲ぶ  城 塚 健 之

●次長日記(不定期連載)


 

3度目の緊急事態宣言に憤る

     幹事長  小 賀 坂  徹

 この国の政府は一体何をやっているのだろうか。
 政府は4月23日、大阪府、兵庫県、京都府、東京都の4都府県に対して、25日から5月11日までの間、3度目の緊急事態宣言を出すことを決定した。
 その主な内容は以下の通り。
・飲食店は、午後8時までの時短営業。酒類提供は終日停止
・大型商業施設や劇場に休業要請
・イベントやスポーツも無観客化を要請
・企業へのテレワークの要請
 しかも新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身会長が「最低3週間必要」と言っているにもかかわらず僅か17日間限定。これでは宣言の効果さえ見極められないうちに終了することになるだろう。巷間伝えられるようにIOCバッハ会長の来日スケジュールに合わせているのだとすれば愚の骨頂である。
 まったくもって溜息しかでない。いや溜息さえ枯渇しそうだ。
 我が国の感染症対策は悉く失敗しており、検査体制、医療体制、ワクチンの供給摂取体制のいずれも大きく立ち遅れていることは統計上明らかとなっている。例えばワクチン接種率は、オックスフォード大運営のOur World in Data によると4月19日時点で、人口100人あたりの接種回数は1.53回で、世界平均の11.61回より1桁も少なく、国軍による市民への武力弾圧が続くミャンマーの1.91回よりも少ない。これはOECD加盟国37カ国中最下位である。
 感染症対策の根幹は、検査を大規模に拡充し、陽性者を割り出しゾーニング(保護・隔離)し、それぞれの症状に応じた治療体制を整えることであり、このことは各国の実例をみても自明である。
 しかしながら、国際統計サイト「Worldometer」の4月19日時点のデータによれば、日本の新型コロナウイルスの人口100万人当たりのPCR検査数は8万6543回となり、世界210カ国中145位、OECD加盟国37カ国では36位という際立った低水準のままだ。まさに惨憺たる状態。一体、この国の政府は1年以上かけて何をやってきたのか。緊急事態宣言に意味があるとすれば、その間に前述の根本的対策に転換することでしかないが、今のところその気配は皆無である。それをすることは十分に可能であるにもかかわらずだ。
 一方で、今通常国会で成立したいわゆるコロナ特措法の改定により、緊急事態宣言等における休業や時短要請には強制力が伴うこととなり、従わない場合は罰則が科せられることとなった。東京や大阪では「見回り隊」なるものが組織され、大阪では調査拒否の店舗を訪問する際は、警察を同行させるという。ちょっと待って欲しい。休業や時短要請に応じられない事業者は、ワガママでもアナーキストでも何でもない。休業や時短に伴う十分な補償がないために応じたくても応じられないのだ。そうした根本を改めないまま、違反者を権力的に取り締まり、罰則を適用しようというのだ。これで暴動が起きないのが不思議なくらいだ。
 今回の緊急事態宣言によって感染予防に大きな進展は期待できない一方、国民生活に致命的な打撃のみが加わることだけは確実だ。まさに愚策中の愚策。無能にもほどがある。
 タイトルに「憤る」としたが、もはや憤りをとっくに通り越して意味が分からないというのが正直なところだ(都知事の「東京来るな」とか「電気消せ」も含めて)。
 この一点だけをもってしても、この内閣は打倒するに値する。そう今年は総選挙の年なのだ。

 

平群町メガソーラー差止訴訟を提起しました

奈良支部  大 久 保 陽 加

 2021年3月8日、業者を被告として、平群町メガソーラー計画差止訴訟を提起しました。原告は、平群町民ら約1000名です。
 奈良県生駒郡平群町は、在原業平が、「ちはやぶる 神代も聞かず竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」(古今和歌集、百人一首)と詠んだ竜田川が流れる自然豊かな地域です。また、本件発電所建設予定地である平群町の山中には、「磨崖仏(まがいぶつ)」と呼ばれる磨崖地蔵立像が鎮座しており、歴史的宗教的にも保護の必要性の高い地域です。
 1990年頃、このような自然豊かな平群町の山中にゴルフ場建設計画が立ち上がりましたが、住民運動の結果、その計画は阻止しました。しかし、そのゴルフ場建設予定地が売却され、今度はメガソーラー発電所の建設が計画されることになったのです。その計画の内容は、甲子園球場12個分にも相当する山の木々を伐採し、切り崩して、平地にし、52、758枚ものソーラーパネルを設置するというものです。景観が著しく損なわれることはもちろんですが、土砂災害の危険性、送電線による電磁波被害などの被害が発生する可能性も高まります。
 2020年秋、菅首相は、臨時国会で「2050年カーボンニュートラル」を宣言しました。脱原発を実現するためにも再生可能エネルギー比率を増加させることは不可欠です。しかし、我が国のFIT法に基づく固定買取制度及び固定買取価格は他国と比較して高額である結果、メガソーラー発電所を投機目的で設置する企業が後を絶ちません。
 現在、関西地域では、森田浩輔団員が代理人をしている南山城村のメガソーラー設置計画差止審査請求事件、奈良県山添村のメガソーラー設置計画など多数のメガソーラー設置計画が問題となっています。豊かな自然を保護し、周辺住民の生命身体を守るために、FIT法を抜本的に改正し、投機目的での再生可能エネルギー発電所建設を抑制することが喫緊の課題です。団として、同課題について研究、提言していきたいとも考えております。全国の皆様からのご意見を是非伺わせてください。
 原告訴訟代理人は、弁護団長の佐藤真理団員、北海道支部市川守弘団員、京都支部森田浩輔団員、大阪支部伊賀友介団員、大久保陽加を含む6名です。

 

コロナ禍に負けない!貧困と社会保障問題に取り組みたたかう団員シリーズ⑥(継続連載)

生活保護基準引下げ裁判・札幌訴訟負けたけど最後には勝つ!第二ステージへ

     北海道支部  内 田 信 也

 前号(4月21日号)で、「いのちのとりで裁判」の大阪地裁判決が、力強く報告された。鬱屈した昨今、誰しもが久々に快哉を叫んだはずである。そして、大阪地裁判決に続く、全国で三番目の札幌地裁判決が2021年3月29日にあった。それなりに期待していたが、結果は敗訴。敗訴の報告というのはかなり辛いものがある。
 大阪判決は、厚労省が独自につくった物価指数「生活扶助相当CPI」によって導かれる物価下落(デフレ調整)の欺瞞性をしっかりと見抜いた。当然、札幌の原告たちと支援者は「大阪判決の流れを確実なものに!」と期待が高まった。しかも、札幌判決の武部知子裁判長は、3月17日に、同性婚訴訟で「同性婚を認めないのは違憲」という画期的な判決を言い渡し、新聞には「信念の人」と書かれていた。ただの人ではない・・・「信念の人」なのである。ところが、判決には「信念」のかけらもなかった。
 札幌判決は次のようにいう。「最低限度の生活は『抽象的かつ相対的な概念』であり、国の財政事情を無視できず、高度の専門技術的な考察とそれに基づいた政策判断を必要とするので、厚労大臣はそのような見地からの裁量権を有している」と。しかし、どう考えても厚労大臣は、生活保護の「専門家」とは言えない。厚労省の役人は大臣よりは豊富な知識を有しているかもしれないが所詮「行政マン」であってやはり「専門家」ではない。だから社保審・生活保護基準部会のような専門家会議が存在するのである。ところが、引下げの根拠となった物価下落による「デフレ調整」は基準部会の検討を経ていない。専門家の意見を全く聞いていない本件の引下げは、それだけで「アウト!」だろう。しかし、札幌判決は「厚労大臣が基準部会で検討されていなかったデフレ調整を考慮することにしたことが直ちに専門的知見と整合性のないものとして裁量権の範囲の逸脱または濫用になるということはできない」というのである。ではどうやって「専門的知見との整合性」が担保されるのか。その点について判決は何も語らない。「直ちに~ではない」・・・不思議な日本語である。
 北海道訴訟の原告の数は132人と多い。それは裁判官に、生活保護受給者がどんな人間なのかを知ってもらい、世間に蔓延している生活保護に対する偏見から自由になってもらいたかったからである。毎回、二人ずつ意見陳述をした。原告たちは皆、年齢や環境、疾病や心身・身体の障害などによって働きたくても働けない「自立の前提条件」を略奪された社会的弱者である。そのような原告たちに自立を強いてはならない。それは、人権の問題である以前に、人間としての倫理の問題である。だから、この40人を越える「生」の意見陳述は必ず裁判官の心に響くはずだと思っていたのだが、全く響かなかった。判決は、原告らが「食費を節約するために購入する食材が限定されたり、安売りとなった食材を購入したり、1日2食にしたりしている者もあり、相当程度制約された生活を送っていることがうかがわれる。」と厳しい現状を認めるのである。ところが、その後がいけない。
 「しかしながら」ときて「切り詰めた中でも食事の内容が社会的に許容し難い程度とまでは認められないし、酒、たばこなど嗜好品への支出がある者もいる。」「古い電化製品の買い換えが困難な状況がうかがわれるが、冷蔵庫や洗濯機を保有して使えているではないか。」更には、「新聞を講読したり、カラオケに行ったりする機会を有している者もいる」として、「最低限度の水準を下回っているとまでは認められない」というのである。「とまでは認められない」・・・これまた不思議な日本語である。多分、「相対的貧困は我慢のうち、絶対的貧困になってからいらっしゃい」というのであろう。それが、「健康で文化的生活」とどう調和するのか。おかしいとは思わないらしい。
 生活保護制度をはじめとした社会保障は、社会的弱者を援助することを通して、日本の社会を持続可能なものとして維持することを可能にしていることに気づくべきだ。「それがなければ社会が立ち行かない制度」のことを「社会的共通資本」と呼ぶが、生活保護制度もそれに含まれる。この裁判では社会的共通資本を破壊し、日本社会を崩壊させることに裁判所が手を貸すのかどうか、が問われているのである。そんなこともわからない裁判官、そうまでして政権におもねる司法というのは、かなり危機的状況にあると思う。第二ステージの控訴審がはじまる・・・最後には勝つ!それしかない。

 

初めてのYouTube―岡山からの報告

岡山支部  山 崎 博 幸

1 2020年度岡山弁護士会の集会
(1) 「憲法記念県民集会」(20.8.29)
 岡山弁護士会は毎年5月「憲法記念県民集会」を開催し、過去には2000人規模の集会となったこともあるが、昨年はコロナ禍のなか、8月29日(土)インターネットの生中継により次のような集会を開催した。
・テーマ「これでわかる「自衛隊」を「憲法」に書き込むとどうなる?」
・講師 水島朝穂 早稲田大学教授
    半田滋氏 (ジャーナリスト)
    形川健一氏(元海上自衛隊三等海佐)
 水島教授と半田氏はリモート参加、形川氏は会場参加、という形で生中継し、視聴者からはYouTubeのチャット機能により質疑応答を行った。初めての試みであったがまずまずの成功であった。ネット視聴約100、会場参加約30名
(2)「ナチ・ドイツの経験にみる緊急事態条項の危険性」(20.12.12)
 講師 石田勇治 東京大学教授
 ネット視聴約70、会場参加約40名
(3)「AI時代におけるプライバシー 情報自己決定権の確立に向けて」
 講師 山本龍彦 慶応大学教授(21.2.27)
 ネット視聴約80、会場参加約50名
(4) 岡山弁護士会の有能な若手・中堅弁護士が、インターネット中継や公式YouTubeチャンネルを使った動画配信の経験を蓄積し、次々とコロナ禍の下での集会を成功させていることは頼もしい限りである。私は、団通信常連の永尾慶久さんと同じ26期である。ネット中継やYouTube配信などまるで理屈は分からないが、こんなことがよくできるものだと感心している。
2 YouTubeに収録した「国民投票法」の話
 上記のような集会とは別に、憲法委員会の委員が講師となってYouTubeを使った憲法連続講座を開始した。各自テーマを選んで動画の収録を行い、これをYouTubeに公開するのだが、私にも何かやれというので、「国民投票法」を選んだ。これまで国民投票法の勉強したことがなく、このさい勉強しておこうと軽い気持ちで選んだのだが、資料や解説書が少なく、いささか苦労した。「前衛」に田中隆団員の論文が掲載されていたので、面識はないが直接電話して懇切丁寧な御教示をいただいた。この紙面を借りて御礼申し上げます。収録の部屋に他の委員が数名いるだけで、カメラに向かって話をするのだが、これもなかなか難しい。NHKの解説委員の話がいつも面白くないと感じるが、1人カメラに向かって話をすると同じ感じになる、ということがよくわかった。
3 映画「ブレグジット EU離脱」を観る
 私が国民投票法の話をしてみようと思ったきっかけがこの映画を観たことにある。自宅から歩いて5分のところにツタヤがあり、毎週DVDを借りに行っているが、たまたまこの映画を見つけた。おもしろいのでメモを取りながら観た。2016年6月23日イギリスにおいてEU離脱の是否を問う国民投票が実施された。その結果、離脱支持が約1741万票(52%)、残留支持が約1614万票(48%)となり、僅差で離脱派が勝利した。前年に行われた世論調査では残留支持が過半数であった。残留派の事前の予想は、ともあれ最終的には国民は現状維持(残留)を選ぶだろう、という楽観的観測を有しており、一方離脱賛成に投じた国民の中にも、まさかこんなはずではなかった、という結果をもたらしたイギリスの国民投票はいかにして行われたかをこの映画はリアルに描いている。特に離脱派の投票キャンペーンを指揮した参謀ドミニク・カミングスの戦術と行動に焦点を当てていることから、団員必見の映画としてお勧めする。字数の関係で次号に映画の見所を御紹介することとする。

参考資料
・「安倍改憲」と改憲手続法(田中隆団員、前衛2018年5月号)
・映画「ブレグジット EU離脱」
イギリス映画、監督ドビー・ヘインズ
主演 ベネディクト・カンバーバッチ(カミングス役)

 

「平和」をもっともっと語ろう!

 神奈川支部  稲 生 義 隆

 広島支部の井上さんの投稿(2021.4.11付団通信1737号)「米バイデン政権と対中政策」についての感想的意見として。
 井上団員は、バイデン政権下において、米中関係が「戦略的競争関係」へと大きく舵を切ったとし、3月16日の2+2の中国を名指しにした「きな臭い」共同声明、さらに中国新聞の記事を紹介しつつ、近い将来中国が台湾に武力侵攻するのではないかとの見方が強まっていることの背景をあげている。
 南シナ海における中国の実力行使による現状変更の試み、台湾海峡をまたいで台湾領空内への中国軍機の度々の侵入や軍事演習、東シナ海、特に尖閣諸島をめぐる日本の領海内への中国漁船、公船の連日にわたる侵入など、中国による現状変更のための試み、実力行使が激しさを増している。この背景にいかなる法的な根拠があるのか、中国からは納得できる説明がない(反対に、中国はフィリピンとの間で南シナ海仲裁裁判所において争い、中国側が敗訴したのもかかわらず、その結果を無視する行動に出ている)。
 そうした状況下において、自由で開かれたインド太平洋という目標を掲げて、米国と同盟関係にある日本を始めとする東アジアの諸国が現実への対応を求められるのは必然である。
 4月17日、管首相、バイデン大統領の両首脳間で初めての日米首脳会談を開催し、下記のとおりの共同声明を行った。
 共同声明の要点は、(1)日米両国は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す。(2)米国は核を含むあらゆる種類の米国の能力を用いた日米安保条約の下での日本の防衛に対する揺るぎない支持を改めて表明した。(3)日米両国は尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対する。(4)米国は、また、日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用されることを再確認した。管首相は、以上の声明を基にして日本の防衛力の強化をすると宣言している。
 この共同声明の中で、我が国の台湾問題への関わり方は、中国側から見れば中国の内政に関わる問題でもあり、他国(隣国)である我が国が台湾海峡の平和と安定という関わり方の限界を見極めなければならず、下手に誤れば武力紛争に発展しかねない。
 井上団員は、投稿になかで、「台湾関係法」に触れている。
 この法律の内容を初めて読んでみたが、日経(2021.4.20)によると、台湾が現在保有している自走砲が20年以上前に米国から購入したものであるが、オバマ時代に、ミサイルなど計5000億円の武器売却決定、トランプ前政権下でも、自走砲M109A6(パラディン)など11回の武器売却決定がなされたと報道されている。
 他国の内政に関与するための米国内法が現在でも生き続けていることは驚きである。
 台湾という特殊な歴史のある島の帰属問題に平和的な解決の道筋をどのようにコミットメントしていくのかということには極めて微妙な問題がある。
 1979年1月米台断交、米華相互防衛条約の破棄、米中国交樹立という中国の歴史 形成、台湾の国際的孤立の過程で、台湾の政治的自立を確保しつつ経済的繁栄を続けることができたのは米国による「台湾関係法」による安全保障コミットメントによる寄与が大きいとされ、この法律が存在することにより、米台間に正式な国交がないものの非公式な同盟関係が形成されていると言っても過言ではないという見解もある(同志社大 吉田徹教授)。
 米国の台湾へのコミットメントの根拠としての台湾関係法の立法にあたっては、米国議会で以下のことが確認されている。
(1)台湾を含む西太平洋地域の平和と安定が、米国の安全保障及び経済的利益と合致し、関係国の関心事であることを宣言する。
(2)米国と中華人民共和国との外交関係樹立の決定が、台湾の将来が平和的手段によって決定されるとの期待に基づくものであることを明確に表明する。
(3)平和的手段以外によって台湾の将来を決定しようとする試みは、ボイコット、封鎖を含むいかなるものであれ、西太平洋地域の平和と安全に対する脅威であり、合衆国の重大な関心事と考える。
(4)防衛的な性格の兵器を台湾に供給することを確認した。
(5)台湾人民の安全又は社会、経済の制度に危害を与える武力行使または他の強制的な方式にも対抗しうる合衆国の能力を維持する。
 こうした台湾及び台湾海峡の難しい問題、特に中国の内政問題に絡む微妙な問題にからむ問題である以上、仮にそれが日米同盟の結果としてであったとしても、憲法上、我が国の自衛権の行使に関わらない限り、関与することは許されない。
 而して、共同声明でいう「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調」「両岸問題の平和的解決を促す」との声明は、許容された国際法の範囲内での「自由で開かれたインド太平洋」を求める外交交渉、そして法的に許容された範囲内での行動に限定されるべきであり、政府としては共同声明の趣旨及び限度につき、少なくとも、日本国内で民主的議論に付して、日本の立ち位置を明確にすべきである(国会での議論を経たという報道もない)。一部外務、防衛関係者だけで関与し、決定していく構図には大きな違和感を覚えざると言わざるを得ない。歴史的には、日本の軍部が独走し、しかも中国を侵略し、悲惨な結果を招来した現実を改めて想起すべきではあろう。
 日本は、4月19日の財務省発表による貿易統計速報によれば、輸出に占める中国向けの比率は、22.9%(10年ぶりの過去最高)を更新し、はじめて2割を超えた。米国を抜き中国が最大の輸出先となっている。中国向けの輸出は15兆8996億円、地域別プラスは、中国、台湾、スイスのみである。輸入額にあっては、中国比率は19年度の22.9%から急上昇し、20年度は27.0%と過去最高水準となっている。平和の大切さが、こうした数字に如実に表れている。

 

小林徹也氏の1726号論稿への批判(下)<上・中・下・3回連載 最終回>

東京支部  金  竜 介

 差別禁止法制には情緒的ではなく緻密な議論が必要である
 原文にない言葉を付け加え、触れてもいない論点の結論を創って真逆な意見を捏造する行為は、小林氏の資質によるものであり、他に同様の行為をする自由法曹団員はいないのであるから、この点に関しては、他の団員には本稿は無関係といえるだろう。
 ただ、差別禁止の法制化の議論をすると、差別的心情の萌芽は誰の心にもあるとか差別する者の全てが悪人ではないなど小林氏のような情緒的な反応が返ってくることが多くあるので、この点は、自由法曹団員が考えるための共通の材料にはなりそうだ。
 人を殴りたくなる気持ちや他者を侮辱したくなる気持ちは多くの人が持っているだろうし、暴行罪や侮辱罪を犯す者の全てが極悪人というわけではない。しかし、そのことの故をもって暴行罪や侮辱罪が法律で定められていることを批判する弁護士はいない。男性の多くがセクシャルハラスメントの萌芽を持っているということを理由としてセクシャルハラスメントを違法とする法律を否定する理由にもならない。
 インターネットに限らず差別禁止の法制化の是非を弁護士が議論する際には、〈誰でも人を差別する心を持っています〉というような情緒的な言葉を言い放しにしてそれが結論であるかのようにいうのではなく、それが結論にどのように影響するのか-それ故に差別禁止の法制化は否定されるという結論が導かれるのか-を常に意識して緻密な議論をする必要がある。
 差別的表現についての議論の第一段階として必要なのは、差別的表現が被害者にどのような被害をもたらすのかを正確に理解することである。その段階を経ずに規制の有無の議論をすることで議論が錯綜してしまうのだ。差別的表現による被害を重大なものと考えている弁護士と過小評価する弁護士とで規制の是非や規制のあり方について議論しても異なる結論が生じるのは当然の帰結である。
 セクシャルハラスメントという概念が示された80年代以降、「男性の猥談なんて聞き流せばよい」「直接に体に触ったわけじゃないのに」「あなたのことを言ったわけじゃないよ」という声が無数に上がった。これに抗った被害者たちが、重大な人権侵害であるとの認識を社会に定着させることに成功し、セクシャルハラスメントを違法とする法律の是非が俎上に乗ることとなったのだ。
 自由法曹団でも当初からセクシャルハラスメントの被害を重大な人権侵害であると団員の多数が正確に理解していたわけではなかった。その段階で、セクシャルハラスメントの法制化について論じても適切な結論に至ることはなかったはずである。
 インターネット上の差別的表現に関する自由法曹団の現状は、自由法曹団員が被害を正確に理解するという第一段階の作業の途上であり、法制化の是非について論ずる前提が団内で確立しているとはいえないことを認識する必要がある。

 

-書評- 『人新世の「資本論」』(斎藤幸平著・集英社新書)
【第4回(終)】著者は、資本主義に代わる選択肢を示し得ているか?

東京支部  川 人  博

株式会社・証券市場は禁止するのか?
 斎藤氏は「市場原理主義のように、あらゆるものを商品化するのでもなく、かといって、ソ連型社会主義のようにあらゆるものの国有化を目指すのでもない。第三の道としての<コモン>は、水や電力、住居、医療、教育といったものを公共財として、自分たちで民主主義的に管理することを目指す」(141頁)と言う。この基本思想は、戦後日本を代表する経済学者宇沢弘文氏の『社会的共通資本』(岩波新書・2000年)を受け継いだものである。
 斎藤氏が、民主主義的管理の対象として、具体的に挙げているのは、つぎのような内容である(これらは、体系的には整理されていない)。
 ①投資目的の土地売買禁止(235頁)
 ②製薬会社やGAFAのような一部の企業にだけ莫大な利潤をもたらす知的所有権やプラットフォームの独占の禁止(311頁)
 ③石油メジャー、大銀行、そしてGAFAのようなデジタル・インフラの社会的所有(354頁)
 だが、彼は、世界中の株式会社という会社形態を具体的にどうするのかについて、語っていない。トヨタ、日立、ソニー、大手ゼネコン等々、日本の名だたる大企業(株式会社)をどのように変革するのか(ないし解体するのか)につき語っていない。
 生産手段を社会的所有にするということ<コモン>は、すべての株式会社は禁止(廃止)することを意味するのか?
 あるいは、すべての株式を平等に市民・労働者が所有するのか?
 それとも、市民が法的権限をもって外部から株式会社を管理・運営するのか?
 また、証券市場(ウォール街から兜町まで)=証券取引所は閉鎖するのか?
 資本主義否定論者は、上記問いから逃げてはならない。
 確かに、第7章において、斎藤氏は、脱成長コミュニズムの柱として、①使用価値経済への転換、②労働時間の短縮、③画一的な分業の禁止、④生産過程の民主化、⑤エッセンシャル・ワークの重視という現代的な5項目を挙げているが、肝心なところを言及していない。
 資本主義を維持し改良するのか、資本主義を否定して新しいシステムをつくのか、という論争は、それぞれが具体的に内容を提示しない限り、建設的なものにならないのである。
ワーカーズ・コープへの評価と社会運動への理解不足
 斎藤氏が<コモン>の具体的な形態として挙げているものを探すとすれば、ワーカーズ・コープ(労働者協同組合)である(261頁)。
 「ワーカーズ・コープは、労働の自治・自律に向けた一歩として重要な役割を果たす。組合員がみんなで出資し、経営し、労働を営む。どのような仕事を行い、どのような方針で実施するかを、労働者たちが話し合いを通じて主体的に決めていく。それが可能なのは、社長や株主の「私有」ではなく、かといって「国営企業」でもなく、労働者たち自身による「社会的所有」だからである」。
 もとより、私もワーカーズ・コープの取り組みに注目し期待する一人である。だが、日本のワーカーズ・コープでも、他の職場と同様に、長時間過重労働があり、過労死の疑いの濃い在職中死亡が発生している。
 また、斎藤氏は、日本の社会運動への評価が一面的である。『未来への大分岐』(集英社新書・2019年)において、彼は、日本の社会運動につき、「下からの運動によって資本に対抗して規制をかけるという経験が希薄だ」(54頁)「年越し派遣村は、近年、政治と結びついた社会運動の唯一の成功例である」(58頁、下線川人)などと断定し、日本の社会運動を専ら否定的に評価している。しかしながら、日本においても、1960年代後半から70年代にかけての反公害闘争、1990年代の国・大手製薬資本に対する薬害HIV闘争、2010年代の過労死防止法制定運動(2014年法施行)、同一労働同一賃金(2019年法施行)をめざす労働者の闘争など、いくつもの特筆すべき社会運動が存在している。この分野について、斎藤氏は、端的に言って勉強不足である。日本の社会運動の歴史から謙虚に学び、理論を構築すべきである。
まとめ
 連載を通じて、疑問や批判を多く述べたが、私は、この本を、現代社会のシステムを根底から問うものとしておおいに評価したい。人権擁護、環境保護のために精力的に活動する弁護士の皆さんには、ぜひ一読し、21世紀の社会づくり、地球づくりを一人ひとりが構想していく参考図書としていただきたい。最後に、書評の機会を与えて下さった編集部に感謝します(了)。

 

「リニューアルした団通信がおもしろい!」

東京支部  平 井 哲 史

 まず初めにおことわりすると、これは「やらせ投稿」ではありません。(こう書くとかえってうさんくさい感じになりますが。)
 すでに支部ニュースなどはA4横書きになっていましたが、頑なにB5版を維持していた団通信(本部)が、今年の3月から、B5版→A4版にリニューアルされました。
 しかも、紙媒体でご覧になっている方には見えないのですが、団通信MLで配信されるPDF版では、なんとカラー刷り!
 挿絵だけでなく、中には吹き出しを入れた記事もあり、印象としては、「だいぶ読みやすくなった」感があります。
 各地の団員からの投稿だけでなく、本部役員・事務局のコラム(日記)コーナーも設けられ、団活動の「見える化」がはかられています。個人的には、このコーナーはお勧めです。
 また、担当事務局に聞いたところ、それぞれの投稿は独立していますが、なるべく関連性をもったものとして読んでもらえるようにと、テーマを定めて不定期連載をするとのこと。いま仕込んでいるのは、
①「えひめ丸事故から20年 - 今、思うこと」、
②「東北大震災から10年。あれから何を変えることができてまだ変えられない事は何なのか。それぞれの思うこと」、
③「コロナに負けるな!たたかう団員シリーズ」、
の3つだそうです。
 もっとも、「企画は立てたものの、原稿集めに苦労している」とのこと。
 そもそもこの企画自体を知らない団員がほとんどだったりするかもしれないので、認知度をあげるために繰り返し宣伝が必要なようです。また、広く投稿を集めるためにテーマはおおくくりにしていますが、もう少し各テーマについて、より具体的なものを設定して原稿依頼をかけたほうがよいのかもしれません。
 僭越ながら、上記③の「コロナに負けない」団員シリーズでは、ⅰ)コロナ禍での貧困問題にこう取り組んでますよ、という各地ないし個人の取り組み報告(付添支援や、公園などでの相談会、ホットラインなどあるでしょうか。)、ⅱ)コロナ解雇・雇止め、シフト削減との闘い、ⅲ)休業補償請求あるいは休業給付金申請、中小零細事業者の各種給付金や助成金申請サポート、ⅳ)オンライン相談対応、ⅴ)コロナ禍で増えるDV等被害支援、ⅵ)自治体におけるコロナ対策、事業者支援策の策定に向けた取り組みへの参加ないしサポート、といったことが考えられるかな~と思います。
 「編集委員会」とか組織すると、重たくなってしまいそうですが、「こんな企画どう?」とか、「この企画なら、こういう記事をこの人が書いてくれるんじゃない?」といったアドバイスないし情報提供があると、専従事務局もやりやすくなってよいかもしれません。そうすることで、「記事を書く」だけでなく、みんなで団通信の紙面づくりをしていくことになっていくかな、と。
 顔を合わせての意見交換はしづらくなっていますが(今年の沖縄五月集会に行けないのがほんとに残念。)、その分、インターネットを活用した工夫が広がっていますので、面白くなった団通信をさらに面白くする工夫をして、コロナに負けずに盛り上げていきましょう。

 

寺沢達夫さんを偲ぶ

大阪支部  城 塚 健 之

 かねてより病気療養されていた、わが大阪法律事務所の先輩である寺沢達夫さん(22期)が、2021年2月21日、肝臓がんで亡くなられた。享年77歳であった。
 39期の私が事務所に入所した1987年は、前年に南大阪法律事務所が分離独立した直後だった。加藤充さん(期前・故人)はすでに事務所にほとんど出ておられず、福山孔市良さん(19期・現こまくさ法律事務所)、大川真郎さん(21期・現大川・村松・坂本法律事務所)、寺沢さんのトロイカ体制で運営されていた。旅行その他趣味に邁進する福山さん、共同事務所の弁護士はあらゆる分野の第一線で活動すべきという全面展開論を唱える大川さん、肩の力を抜けとばかりに飄々とされている寺沢さんという組み合わせは、今考えても絶妙のバランスで、修習生だった私には光り輝いてみえた。「事務所に入ろうと決めたのは寺沢先生がおられたからです。」入所時にそう言ったそうである。言った本人はすっかり忘れていたが、寺沢さんは嬉しそうにしておられたとのことだった。
 寺沢さんは長らく借地借家人組合の事件をやっておられたほか、労働事件では報知新聞争議などの激しい事件に取り組んでおられた(同じ弁護団で大学の同級生の豊川義明さん(23期)とは何かにつけて張り合っておられた)。また、賃金差別事件が得意で、「さべちんの寺沢」とも呼ばれていたそうである。もっとも、私が事務所に入った頃は、労働事件は事実上、全金光洋精工労働組合の賃金差別事件くらいだった。その弁護団に、私と、同期の杉本吉史君が一緒に入れてもらった。争議は既に終盤で、その年の秋、私は大阪地労委の会社側証人の反対尋問を担当することになった。寺沢さんからは勝ち筋なので気楽にやれと言われたが、私は本格的な反対尋問はこれが初めてで、とても気楽になんかできない。それどころか、どうしたらいいか悩んでいるうちに準備が遅れて直前の日曜日に組合事務所に行って準備する羽目となった。本番も、本当に理解して尋問できていたかは心許なかったが、寺沢さんはよい尋問だったと褒めてくれて、ほっとした。光洋精工事件ではもう一つ、退職金請求事件というのがあって、使用者による労働協約の一部破棄が許されるかが争点であった。これは1審勝訴で確定し、現在でも模範六法に掲載されている。
 87年9月、寺沢さんは団大阪支部の幹事長に就任され、事務局長の上山勤さん(30期)と執行部を作り、私はヒラの事務局となった。今思い出しても、ゆるい執行部だった。その2年目だったか、大阪支部をあげて米軍の夜間離発着訓練(Night Landing Practice;NLP)を厚木基地から三宅島への移転に反対する島民を支援しに行った。これがなぜか「ミヤコジマ」に行ったという話になり、「都島なら地下鉄で行けるぞ。」(注 民法協の最寄駅から10分)と、当時の民法協専従事務局の森脇晶子さんのマンガのネタにされてしまった。
 90年夏、オウム真理教に入信し子どもを連れて出家した妻からその子どもを取り戻す人身保護請求事件が杉本君を中心に取り組まれ、同期の弁護士が多数参集した。得体の知れない気持ち悪さから敬遠する年配の弁護士が多い中、寺沢さんは率先して助っ人に駆けつけ、オウムの教義のいかがわしさを解明するため、山と積まれたオウムの雑誌に掲載された麻原彰晃の「説法」の分析に取り組んでくれた(みんなやりたがらない仕事だった)。一夏をかけた作業の後、感想を聞いてみたら、「解脱しちゃったよ。」だったが、その成果は1審勝訴判決に十二分に生かされた。
 寺沢さんは書面作成が非常に速く、また、物事の本質をつかんでズバリ一言で片付けることも多くて、事務所の内外で「天才」の名をほしいままにしていた。87年11月、北朝鮮による大韓航空機爆破事件が起きたとき、直後でまだ金賢姫の自白も得られていない段階で宮本顕治氏が北朝鮮犯人説を断定的に語っていたところ、寺沢さんは「宮本顕治氏はいつ天皇になったのか。」という質問状を送りつけて、周囲を驚かせていた。
 寺沢さんは何につけても鷹揚だった。88年の夏だったか、同期の池田直樹君(39期)とキャンプに行くのに、「ぶっ壊していいぞ、新車が買えるから。」などと言って車を貸してくれたことがある。こういうセリフは普通は社交辞令に決まっているものであるが、なんと池田君が本当にトンネルの壁にぶつけてしまった。池田君は「寺沢先生のことだからウィスキーを一瓶下げて行って謝れば許してくれるよ。」などと言っていたが、きっと冷や汗ものだっただろう。ところが、本当に何のお咎めもなく許してくれたのである。
 寺沢さんは、光洋精工事件解決後は、ライフワークとされていた司法問題に取り組まれていた。誰でも好きになれる、およそ敵を作らない、寺沢さんの明るく人なつこい性格は、事件処理だけでなく、こうした立場を超えた取り組みにこそ、もっとも強く生かされたことであろう。弁護士増員問題では意見が合わなかったが、寺沢さんは「司法改革」に取り組んでおられるときが一番活き活きとしておられたように思う。
 寺沢さんは、ご承知のように、とにかくお酒が好きで、事務所のデスクにウィスキーを常備していて、午後4時になると、「俺の時計ではもう5時だ。」などと言って、飲み始めていた。私が入所する前であるが、事務所旅行のときだかに、宮地光子さん(31期・現女性共同法律事務所)と「飲み比べ」をして、空になったお銚子が部屋一杯にずらり並んだという伝説も残されている(このときどちらが勝ったかは知らない)。
 寺沢さんは、何かにつけて「早く仕事を辞めたい。引退して星を見て好きに暮らしたい。」と言っていた。しかし、そんなことばかり言われると事務所の士気にも関わる。そこで、なんとか元気づけようと、2005年10月に「寺沢達夫・勝子先生還暦記念大登山会」(山梨県国師ケ岳)を企画した。このときは、当時、団山梨支部長を務めておられた関本立美先生が、ご長女の恵美子さんが当時当事務所で働いてくれていたご縁で、一家を挙げて歓待してくれた(このときの顛末は団支部ニュース230号(2005年11月10日)に書いた)。
 その後、しばらくは「仕事を辞める」発言は収まっていたが、2011年末にはとうとう正式に引退を表明して事務所に出てこられなくなった。ただし、生涯、団、民法協、青法協は辞めないと言われていた。その後、用事があって昼間にご自宅に電話をすると、いつも上機嫌で、「先生、飲んでるでしょ。」というと、「へへへ。分かる?」などと返されていた。
 2017年4月、当事務所OBの奈良の松岡康毅さん(23期・現やまと法律事務所)の発案で「同窓会」が開催され、松岡さん手作りのログハウスに当事務所から独立した人も多数集まって楽しいひとときを過ごした。そのときにお会いしたのが寺沢さんとの最後の機会となってしまった。
 寺沢さんは、終始、自由かつ豊かに生きる一つの姿を私たちに見せてくれた。今でも、寺沢さんの「へへへ。」という闊達な笑い声が聞こえてきそうである。
 寺沢さん、本当にありがとうございました。そして安らかにお休みください。

 

♠次長日記 ♠(不定期連載)

東京支部 岸  朋 弘

 事務局次長に就任して半年間の活動内容を一部紹介します。
 まず、担当委員会の議題の作成、司会、議事録の作成という仕事があります。毎回、委員会の数日前(ときには前日)に、慌てて情勢を調べたり最近の活動をまとめたりして議題を作成し、委員会の司会をし、委員会が終わった後に議事録を作成して共有します。議事録を作成するとき、出席者が話した内容を一言一句違わぬように記載しようとすると、かえってわかりにくく、かといって話した内容を省略し過ぎたり言葉を補い過ぎると議事録作成者の解釈が入り込んでしまいます。端的かつ発言の趣旨は逃さない絶妙な議事録を作成することが、自分の中での最近の流行りです。
 次に、声明、意見書等の起案も行っています。最近関わったものとしては、「敵基地攻撃能力の保有は許されない」(意見書)、「賃金のデジタルマネー払いの拙速な導入に反対する声明」、「政府による入管法の改悪に断固反対し廃案を求める声明」があります。起案に当たっては、防衛白書、審議会の資料、法案の条文等を読んで学習し、頑張って起案するのですが、立派な起案をする能力も時間もないので、委員会で修正してくれることを期待して自分の中では5割くらいの完成度で案を提出したこともありました。そのため、あまり修正がないときは逆に焦ることもあります。この起案にもっと修正がないわけがない、と心配になるのです。意外と修正されないことがあることを踏まえ、原案提出時にそれなりにしっかりしたものを作成する、ということを教訓として身につけました。
 さらに、学習会等の企画立案、事前準備、当日の司会も経験しました。最近では、4月21日に入管法改定法案に関する学習会、4月28日に前記法案の廃案を求める国会議員への要請活動を実施しました。入管法改定法案はおかしい!そう思って提案したことがすぐに形になるところに改めて団のすごさを感じました。
 こんな感じで、日々、活動しています。まだまだ不慣れなことばかりですが、引き続き頑張ります。

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