第1821号 9/1

カテゴリ:団通信

【今号の内容】 

●タイ国際航空解雇事件で解雇を撤回させる勝利和解
~コロナ禍で人員整理目的を隠し能力不足を理由に解雇  安原 邦博

●海上自衛隊員自死国家賠償請求事件  井下  顕

●帰化者の官報掲載問題について  河西 拓哉

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~学習会報告~
■「水道民営化」問題学習会のご報告  吉本 晴樹

■自衛隊名簿提供問題についての学習会報告  諸富 健

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●坂本修・福子夫妻の願いをリレーするのは私たち  渡部 照子

●安保三文書による自衛隊の変貌 国土防衛・専守防衛型から他国攻撃型へ(下)  井上 正信

~書籍のご紹介~
●樋口英明著「南海トラフ巨大地震でも原発は大丈夫と言う人々」  守川 幸男

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◆貧困・社会保障問題委員会主催の学習会「生活保護の基礎知識と申請同行のための実践知」のご案内  髙橋 寛

◆~トランスジェンダーの理解増進のために~
経産省トイレ制限最高裁判決学習会のご案内  永田 亮

◆第9回「先輩に聞く~労働事件をどうたたかってきたのか、これからどうたたかうのか~」学習会のご案内  髙橋 寛

◆11/17 自由法曹団東京支部創立50周年シンポジウム&レセプションにご参加ください  金 竜介


 

タイ国際航空解雇事件で解雇を撤回させる勝利和解
~コロナ禍で人員整理目的を隠し能力不足を理由に解雇

大阪支部  安 原 邦 博

1 労働審判から訴訟に移行して、勝利和解 
 原告は、タイ国際航空において、1991年9月に入社して30年程、西日本地区(大阪支店)旅客営業部の営業職や事務職として従事し、組合の役員等も歴任してきた。2021年11月5日から原告の持病のことに触れて退職勧奨が始まり、同年12月7日にメールによる突然の解雇予告と解雇日迄の出勤停止命令がなされ、2022年1月7日付で解雇が強行された。
 原告は2022年3月7日に大阪地裁で労働審判を申し立て、労働審判委員会からは第1回期日から解雇無効前提の和解勧奨がされたが、タイ国際航空がそれに応じなかったため同年7月27日に地位確認及びバックペイの支払いを命ずる労働審判が出され、それに対し同社が異議申立てをしたため訴訟移行した。
 2023年7月31日、解雇撤回と解決金支払いを内容とする勝利和解となった。
2 整理解雇の要件を満たさないため人員整理目的を糊塗した「能力不足」の主張
 タイ国際航空は、コロナ禍の2020年に経営破綻し会社再生手続きを開始したが、2021年11月5日に原告への退職勧奨を開始する前に、全世界の従業員数を約14、900名まで減らして会社更生計画を達成していた。しかし日本地区だけを見れば退職者が41名で削減目標の42名まで1名足りていなかったところ、原告に退職勧奨を開始し、それに応じなかった原告を解雇した。
 このように、原告の解雇は明らかに人員整理目的であったが、整理解雇の要件を満たさず、さらに協約にも違反するため、タイ国際航空は、労働審判と訴訟を通じて、原告は能力不足であるなどという客観的事実に反する主張を繰り返していた。以下が、その経緯(労働審判及び訴訟における争いのない事実及び客観的証拠から認定できる事実)である。
① 勤続30年程の原告の人事考課は、常に、タイ国際航空で「良い」と評価される、5段階評価における評点「3」以上で、2016年以降、同社が原告に付した評点は上昇
② タイ国際航空が2020年にタイ本国において会社再生手続き開始
③ 2021年8月にタイ国際航空が日本地区での希望退職募集を発表(目標は42名)
④ 同年(以降、⑦まで、同様なので年の表記は略す)10月14日付けで、タイ国際航空と労働組合が、希望退職応募者が会社の求める数に達しない場合、組合員への指名解雇を最大限避ける努力を行うこと等を規定した労働協約締結
⑤ 10月31日までにタイ国際航空日本地区で合計41名が退職、11月1日時点で全世界の従業員数は約14、900名まで減って会社更生計画達成
⑥ 11月5日、タイ国際航空が原告とオンラインで面談し原告の持病のことに触れて原告に退職勧奨。希望退職募集と同じ条件を示唆する一方、原告の勤務成績については触れず
⑦ 12月7日に就業規則52条4項6号(経営上の都合)も挙げて解雇予告通知
⑧ 2022年1月4日付け解雇理由証明書で、「ROE52.4条1項(6):会社の事業運営の縮小または中止、自然災害、または会社の事業運営におけるその他のやむを得ない事由(略)補償を提案しましたが、あなたは断りました。現在、会社にはあなたの雇用を終了する以外の選択肢はありません」とし、経営上の都合による解雇であることを明示

【タイ国際航空事件「裁判官交代時にプレゼンをした本件の構図】

3 勝利和解 
 上記のとおりタイ国際航空の主張は客観的な事実経緯からして極めて大きな無理のあるものであるから、本来であれば労働審判を申し立てられる以前に自ら和解解決を原告に対し申し出るべきものであった。しかし同社が、労働審判と訴訟を通じて頑強に独自の主張をおこない続けるとともに、タイ本国の本社に決定権限があるなどという何の言い訳にもならぬ言い訳を繰り返して、労働審判申立時点からでも解決を1年5ヶ月も引き延ばしたことは、大変遺憾である。このような姿勢の者には、多くの社会的非難が寄せられるべきであろう。このような会社に対する闘いを、持病を持つ原告が闘いきることができたのは航空連の皆さんの支援のおかげである。
 弁護団は豊川義明団員、谷真介団員及び安原邦博であり、担当裁判官は、労働審判は岩﨑雄亮裁判官、訴訟は山中洋美裁判官(当初は植村一仁裁判官)である。

 

海上自衛隊員自死国家賠償請求事件

福岡支部  井 下  顕

 海上自衛隊佐世保基地所属の護衛艦あけぼの内で自死した男性海士長だった西山大弥さんの両親を原告として、本年3月、国家賠償請求訴訟を提起した(実名を公表して記者会見を行った。賠償請求額は約7800万円)。
 大弥さんは、2021年2月うつ病エピソード(推定)を発症して自死(死亡時20歳)、その後、元同僚ら5名(うち4名は大弥さんの公務災害申請時には退職していた。)の協力を得て公務災害を申請、2022年6月、海自側は大弥さんがうつ病エピソードを発症して自死したことについて、公務起因性を認めた。
 公務災害認定直後、海自側は当職立会いの下、大弥さんの父親に対し、直接謝罪および説明を行ったが、こちらが原因と考えていたパワーハラスメントではなく、長時間労働に拠るとの説明であった。
 本件は、2020年秋頃、当時未成年だった大弥さんを含む同期数人で飲酒したことなどへの指導として、大弥さんだけ、上官から日々の反省を記すノートを毎日書くよう指示され、また同じころ、陸上に上がるのを制限する「上陸止め」の措置を受けた。自死直前には、大弥さんが当日宿直だった同期から頼まれて米軍基地内のマクドナルドで買い物をして届けたところ、買い物は禁止されているなどとして激しい叱責を受けるなどしていた。上記のうち、とくに日々の反省を記すノートについては、半月ほど経ったあたりから反省が十分ではないなどとして、実際に同基地内で起こった非違行為を題材に、毎日、当該非違行為が起こらないためにはどうすればよいかなどの課題を出され、それを連日ノートに記すよう指導され、添削されるなどの「指導」を受け続けた。こうした中で、大弥さんはうつ病エピソードを発症し、艦長室に一番近い、空調室で縊死しているのを発見された。
 公務災害認定後、直ちに保有個人情報開示請求を行ったが、ようやく開示されたのは本年7月であり、開示まで1年が経過した。しかも、予想通り、関係者の供述は全て墨塗りであり、海自側が公務災害認定の理由とした長時間労働に係る各月の労働時間まで墨塗りであった。
 一方、国賠訴訟は始まったばかりであるが、国側は長時間労働について、原告側の主張が具体的ではないなどと主張し(情報が全く明らかにされておらず、具体的にできないのはむしろ当然である。)、詳細を明らかにするよう求めてきていたが、まさに、本原稿を書いている本日の段階で、国側から大量の書証が送付されてきたところである。当方らは、大弥さんの長時間労働自体がハラスメントの結果(ペナルティとしての様々な「奉仕活動」を強いられた結果ではないかと考えている。)であるとも考えているが、今後、大弥さんの自死の原因を明らかにし、国の責任を追及していきたいと考えている。
 近年、自衛隊では、様々な不祥事が相次いでおり、また、退職者も後を絶たず(とくに新規採用1年以内の退職者数は相当程度に上るものと思われる。)、自衛官候補生の採用数も減少の一途をたどっている。自衛官の定年年齢を順次引き上げてきた結果、自衛官数は何とか横ばいを維持しているが、長い間、定員割れしている状況は変わらない。むしろ、深刻なのは、訓練内容の変化とそれに伴うストレスの増大であると思われる。当職は現在、自衛隊員の事件を本件含め5件担当しているが、うち3件はハラスメントならびに暴力に関係する事件である。これらの背景に一体なにがあるのか。2015年の安保関連戦争法およびその後の訓練内容の変化との相関関係は必ずしも明らかではないが、個々の隊員の実情を無視した部隊編成や先行きの見えない強烈な不安感、訓練内容の激化に伴う暴力に対するこれまで以上の馴化等、2015年は一つの画期をなしていることは間違いないと考えている。なお、本件は、北海道支部の佐藤博文団員が中心になって立ち上げられた自衛官の人権弁護団に相談が寄せられ、佐藤団員からの紹介で当職が受任したものであ る。

 

帰化者の官報掲載問題について

神奈川支部  河 西 拓 哉

1.はじめに 
 外国籍の人が帰化(*)した場合、官報に帰化前後の氏名・住所・生年月日(以下、「帰化者氏名等」といいます。)が掲載されるため、現代のデジタル社会においては、インターネット等で、容易に帰化者氏名等が拡散されてしまうおそれがあります。インターネット等で帰化者氏名等が拡散されてしまうと、プライバシーが侵害されるのみならず、帰化者に対するレイシズムが煽られ、ヘイトスピーチ・ヘイトクライムが誘発されるおそれあります。そして、インターネット上で一度拡散されてしまうと、その被害回復は困難です。
 実際に、帰化者氏名等をX(旧Twitter)上で晒し、帰化者への差別を煽っていたアカウントがありました。このように帰化者氏名等を晒す行為は、2023年6月28日に東京高裁で「差別されない権利」を侵害するものと認められた、川崎市の出版社「示現舎」が被差別部落の地名などを一覧できる「全国部落調査」をインターネットなどで公表する行為と同質の行為と言えます。
 現在は、前記アカウントは削除されているものの、帰化者氏名等が官報で掲載され続ける限り、また何時同じようなことをする者が現れても不思議ではありません。
 そこで、国際問題委員会にて、帰化者の官報掲載について問題提起することが決まり、この度寄稿することとなりました。
2.帰化者の官報掲載を必要とする合理的理由がないこと
 帰化者の官報掲載に関する法令上の根拠について法務省の民事局第1課に確認したところ、その根拠は、国籍法(以下、「法」といいます。)10条1項(同項には「法務大臣は、帰化を許可したときは、官報にその旨を告知しなければならない」とのみ定められています。)にしかないことがわかりました。重ねて同課に、なぜ帰化者氏名等を官報に掲載する運用にしているのか問い合わせたところ、告示により帰化の効力が生じるものとしている以上、氏名・生年月日・住所まで記載して特定する必要がある旨の回答を受けました。また、官報による告示の趣旨は「帰化は国籍の変動を生じさせ、個人の権利義務にも間接的に影響を及ぼすことも少なくないから、帰化の事実およびその効力発生時期を公示し、帰化に伴ういろいろな問題をできる限り簡明に処理できるようにする」ことにあるとされています(「逐条 国籍法―課題の解明と条文の解説―」(木棚照一著、日本加除出版、2021年発行)535頁)。
 しかしながら、民事局第1課の見解によれば、帰化の効力発生時点は、帰化者が掲載された官報が発行された時点ではなく告示日の0時00分であるとのことで、そうだとすると、戸籍に帰化した日が載る以上、戸籍でも帰化の効力発生時点が明らかになるのですから、官報により帰化者氏名等を告示する必要性はないはずです。また、法2条の出生による国籍取得や、法3条の認知された子の国籍取得、法17条の国籍再取得届による国籍取得、または日本国籍離脱の場面でも、国籍の変動を生じさせるため、国籍変動に伴う法的地位の変動という点では、帰化による国籍取得と同じはずですが、官報で告示されることはありませんし、告示されないことによる問題も起きていません。それにもかかわらず、帰化者のみ官報にて告示することには必要性・合理性がなく、法10条1項は、日本人から生まれなかった者に対する差別意識の表れではないかと考えます。
 加えて、前述のとおり帰化者の官報掲載によって生じる人権侵害のリスクが重大であることからすると、帰化者の告示は著しく比例原則に反します。
 したがって、帰化者の官報掲載を必要とする合理的理由がないことは明らかです。
3.さいごに
 以上のことからすれば、早急に国籍法10条1項の改正を求めていく必要がありますが、帰化者の告示の唯一の根拠法令である同項には、「法務大臣は、帰化を許可したときは、官報にその旨を告知しなければならない」との記載しかないため、法改正実現を求めつつ、実現するまでの間は、例えば、帰化前の氏名の告示だけにとどめるよう運用を改めることを求めるなど、法改正の実現までの間の被害を最小限に食い止められるように運動を展開していくべきではないかと考えます。
注釈(*)「帰化」には、元々、「君主の徳に感化されて付き従う」というニュアンスがある(倉持保男・ほか編、新明解国語辞典第7版、三省堂、2012年発行)ため、この言葉自体不適切ではありますが、国籍法上の「帰化」という法律行為に伴う問題について取り上げる必要があるため、やむを得ず「帰化」という言葉を使います。

 

学習会報告

 

「水道民営化」問題学習会のご報告

京都支部  吉 本 晴 樹

 構造改革PTの企画「水道民営化」問題学習会が、本年7月25日に実施された。この問題に先駆的に取り組む尾林芳匡団員が講師を務められた。
尾林団員の講演要旨
1 水道は、憲法問題であり人権問題である。憲法25条2項は、国は「公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と定めている。したがって、「清浄にして豊富低廉な水の供給」(水道法1条)は、人権保障である。
2 水道法は、国と自治体の役割を書き分けている。国は、「水道の基盤の強化に関する基本的かつ総合的な施策」を策定・推進するとともに、水道事業者である自治体に対して「必要な技術的及び財政的な援助を行うよう努めなければならない」(2条の2)。したがって、もし自治体が財政力の低下等で水道を維持できない場合は、国は技術的・財政的支援を行って水を供給できるようにする責任がある。自治体の財政力に応じて水道料金が高くなるかのような脅迫めいた議論は、明らかに間違いである。
3 また、水道は地方公営企業の枠組みであるため、採算を確保しなければならないとの議論がされることがある。しかし、地方公営企業であっても公共の福祉の増進を図ることが規定されており、公共の福祉の観点から安定した水供給を確保しつつ、できる限り経済性を発揮することが大事である。ところが、経済性だけをフォーカスして、水道民営化をするべきとの議論がされているところに問題がある。事実、経済界は、水道の民間開放やそのための法改正を執拗に求めてきた。
4 日本の水道はまだ公営であり、これを民営化した場合にどれほど酷いことになるかを見ていない。世界での民営化が先行した国の実例を見ると、フィリピンのマニラでは水道料金が4~5倍に跳ね上がり、アメリカのアトランタでは設備メンテナンスがサボタージュされて茶色の水が出たと報じられている。
5 世界の実例に学ぶべく、2019年秋、フランス・パリ及びイギリス・ロンドンでの海外調査を行った。パリでは民営化の結果、水道料金の値上がりのほか不透明な経営実態が問題になり、再び公営化された。公共の手に取り戻されたパリの水道は、社会的弱者への水の保障及び環境施策(ペットボトルを減らす等)の観点から、市内の各所に無料の水道給水設備が設置され、市民はマイボトルを持ち歩いてこれを利用している。
6 民営化されたロンドンの水道では、漏水率(水道管からの水漏れの割合)が20~25%に上昇した。設備更新が削減された影響と考えられる。民営化はむしろ不経済の結果を招く。
7 ちなみに日本の水道の漏水率は3~5%であり、質は高い。したがって、質が低いから民営化で効率化するという議論ではない。経済界の金儲けの目論みでしかない。
8 民営化しても、市場価格で資材を調達する以上、物的経費は変わらない。一方で、民間企業は、利益配当を確保しなればいけない。そうすると、割を食うのは人的経費であり、実態としておよそ3分の1に圧縮される。これがすべて民営化に共通する経済構造である。
9 PFIが実はサービス低下につながるという認識が広がりつつある。浜松市では住民運動で水道民営化を止めた。「水」にちなんで毎週水曜日に市役所前でスタンディングを行い、精力的な学習会を開催した。その結果、3万7000筆の反対署名を集めた。浜松市での経験は、水道民営化を食い止める世界的な運動の一角である。
10 各地のPFIの契約書を分析すると、「住民運動敵視条項」が挿入されている。「住民の反対運動や訴訟によって受託業者が損害を被った場合に市が補償する」との条項である。主権者であるはずの住民が敵視され、企業の儲けを保障するのが自治体だとなっている。かように住民自治が歪められ、異常なことになっている。
11 我々団員は、各地の住民運動・反対運動に参加して、運動をリードしていく必要があるし、そのために構造改革PTに結集してもらいたい。
感想と京都の状況
 非常に理論的かつ実践的な講演であり、尾林団員の豊富な知見と経験から多くの学びを得ることができた。
 水道事業の民営化や効率化を自治体に促す改正水道法(19年10月施行)の下、国は、各都道府県に計画の策定を求めている。京都府も「水道グランドデザイン」において、浄水場などの施設統廃合案や、広域化による事業統合案を提示している。これに対しては、広域化押付け阻止の住民運動が府内各地で巻き起こっている。
 京都府北部の福知山市は、2019年4月から上水道事業の一部を府外の水ビジネス企業に委託している。一部といっても委託業務は、施設の運転管理や窓口業務など計54業務にわたる。委託料は5年契約で25億円とされているが、どこまで奏功しているのか検証の必要がある。
 水道の広域化・民間委託・民営化の問題は、全国各地で進行中である。我々団員は、この問題の研究を深めるとともに、地域の運動に参画していくことが求められる。

 

自衛隊名簿提供問題についての学習会報告

京都支部  諸 富  健

1 はじめに 
 6月16日、奈良で自衛隊問題学習会が開催され、自衛隊への名簿提供の法的問題点について話をしました。話をするにあたって、京都支部福山和人団員の2019年5月集会報告や福岡支部井下顕団員の平和新聞への投稿記事を参考にさせていただきました。この場をお借りして、御礼申し上げます。
2 自衛隊名簿提供問題とは
 従前、自衛隊は、高卒予定者や大卒予定者という募集対象者(翌年度18歳、22歳になる者)に対して募集案内を郵送するため、自治体が保有する住民基本台帳を閲覧して、募集対象者の情報(氏名、住所、生年月日、性別)を転写していました。ところが、近年になって、自衛隊の要望に応じて、募集対象者の情報を紙媒体や宛名シールによって提供する地方自治体が増えてきました。このような閲覧に留まらない情報提供に法的根拠があるのかどうかが問題となります。
3 法的問題
 プライバシー権は、憲法13条で保障されるべき基本的人権です。情報化社会の進展に伴って、プライバシーの保護を公権力に対して積極的に請求していくという側面が重視されるようになってきていることから、プライバシー権の内容は自己に関する情報をコントロールする権利であると解する考えが有力です。自衛隊への名簿提供問題についても、募集対象者のプライバシー権という基本的人権の視点から考えるべきです。
 個人情報保護法は、行政機関の長等が保有個人情報を第三者に提供することは原則禁止としており(69条1項)、本人の同意があるときの他、法令に基づく場合や、他の行政機関等に提供する場合に提供を受ける者が法令の定める事務又は業務の遂行に必要な限度で利用し、その利用に相当の理由があるときなどに、例外的に許されるとされています(同条2項)。なお、令和3年改正法(本年4月1日施行)により一元化されているため、既存条例の改廃や実務の見直しに注意が必要です。
 政府は地方自治体に対し、2021年2月5日、「自衛官又は自衛官候補生の募集事務に関する資料の提出について」という通知を発出し、その中で、自衛隊への名簿提供の法的根拠として自衛隊法97条1項、同法施行令120条を挙げ、住民基本台帳法上も特段の問題を生じないとしました。
 しかし、自衛隊法97条1項は、自衛官募集事務が都道府県や市町村の法定受託事務であることを定めていますが、募集事務の具体的内容は定めていません。そして、同法施行令120条は、防衛大臣の協力要請を根拠付けるだけで、都道府県知事や市町村長の提供義務を定めたものではありません。そもそも、同法施行令120条は地方自治体が行う募集事務(114~119条)を受けたもので、その報告・資料提供を要請するものです。政令は法律を施行するための下位規範ですから、同法施行令を根拠にして名簿提供を認めることは同法による委任の範囲を超えていると言わざるを得ません。
 また、住民基本台帳法11条1項によれば、自衛隊が募集対象者の情報を閲覧することはあり得ますが、地方自治体が名簿を提供するためには同法12条の2第1項の要件を満たす必要があります。しかし、自衛隊が同条項の要件を満たして名簿提供を受けることは事実上不可能であるため、政府も地方自治体も同条項を根拠条文として挙げることはありません。なぜ、政府が住民基本台帳法上も特段の問題を生じないと述べるのか、甚だ疑問です。
4 参加者からの意見等
 参加者からは、地方自治体が国の方を見てしまうという構造的な問題があるという指摘や、憲法13条が大事という意見が出され、また、一参加者として会場におられた大阪支部の渡辺和恵団員から戦争の一里塚にさせないという決意が述べられました。さらに、埼玉支部の小林善亮団員も本年5月1日号の団通信で指摘されていた教科書に自衛隊のサイトにアクセスできるQRコードが掲載されていることや、飲料メーカーのチェリオが自衛隊とコラボした「ジャングルマン」という清涼飲料水を販売していることなどの情報提供がありました。参加者は約30名でしたが、若者が狙われている危機感を共有することができました。
5 今後に向けて
 安保法制の具体化が進められていく中で、自衛隊員の定員割れが続いています。「安保3文書」においても、「募集能力の強化」「地方公共団体及び関係機関等との連携を強化」が明記され、防衛省からの働きかけが一層強化されることが想定されます。各地の平和委員会がこの問題についての取組みを強化していますが、まだまだこうした問題があること自体知られていません。学習会で取り上げることは、引き続き重要です。
 地方自治体に対しては、法令の根拠を明らかにさせて、名簿提供しないよう求める取組みが重要です。それにより、名簿提供から閲覧のみに戻す自治体もあるようです。また、申請者に対して自衛隊への情報提供を停止する除外制度の導入を求め、既に導入している場合には、募集対象者に周知徹底を図るよう求めることも重要です。全国各地で運動を強めていきましょう。

 

坂本修・福子夫妻の願いをリレーするのは私たち

東京支部  渡 部 照 子

 2023年7月22日午後4時からアルカディア市ヶ谷私学会館において坂本修基金設立レセプションが開催され、多数の団員が集まりました。私は坂本先生が団に1億円を超える多額な資金を遺贈されたことを知り、驚くと同時にその志を心から尊敬し、私も歴史に生きる団員の一人としてわずかでも団に寄付をしなければ、と思いました。
 そもそも坂本修基金と称されていますが、私が思うには、愛妻である福子先生と相談した結果の遺贈ではないか、と思います。何故なら、ご夫妻は毎日のように夕食を食べながらその日の出来事や事件のことなどを語り合っておられたと伺っていたからです。本当に信頼しあい・愛し合っておられたご夫妻は、それぞれ遺言書を作成するのに相談されていたはずですし、また、福子先生は基金の原資づくりに貢献されているはずです。従って、本来「坂本夫妻基金」あるいは、「坂本修・福子基金」とすべきではないか、と思います。
 団に多額の資金を遺贈されたご夫妻は、団と団員をこよなく愛しておられ、また、低成長・右翼的傾向がつよまりつつある中での団・団員の行く末を案じられ、これまでと同様に、否、これまで以上に団・団員に勇気をもって人権の尊重・平和条項等を含む現憲法の遵守と発展を願われてのことではないでしょうか。
 坂本先生は、小島成一先生がお亡くなるに際し、しっかり手を握られて「頼むよ」と言われた、と、私は聞いたことがあります。その小島先生の「頼むよ」との願いをリレーすべく、強い意思と希望をこの基金に託されたのではないでしょうか。
 取扱規定第3条には「設立後における団員等からの寄付を妨げない」としています。団の事務局を支える団員は、事件収入が低下する傾向にあります。かって所属事務所で経済的に支えることが多かったと思いますが、現状では困難になっているようにも思われます。また、司法改革等の影響もあり、一般的に弁護士の収入は減少しており、活動に参加することが容易ではない状況も広がっているのではないでしょうか。多額の借金をおって弁護士になられた若手の方々もおられます。
 基金は、そんな団の活動・若手育成・組織強化等々の支援を目的とするものです。活動資金はドンドン減少していきます。減少をできるだけ防ぎ、団活動を支え続けるには、私たちの寄付しかありません。寄付をして坂本夫妻の願いをリレーし、団と団員の活動を歴史に刻んでいこうではありませんか。

 

安保三文書による自衛隊の変貌
国土防衛・専守防衛型から他国攻撃型へ(下)

広島支部  井 上 正 信

(6)機動展開能力・国民保護
 防衛力の南西シフトを実行する上で、距離の克服が最重要です。北海道の陸自精鋭部隊を南西諸島へ機動展開するためには、2000㌔以上も部隊を機動させなければなりません。部隊・兵站物資の輸送能力を強化するため、輸送船舶、輸送機などの輸送アセットを増強します。別表では10年後には共通の輸送部隊を編成するとしています。
 輸送部隊の輸送を円滑にするために、特に南西諸島の民間港湾・空港の整備・強化を図ります。今後南西諸島での民間港湾、空港の整備は、離島振興目的から防衛目的に変質し、国交省から補助金が支給される際の条件として、自衛隊による利用が求められることになるでしょう。
 機動展開能力の文脈で国民保護を入れています。もともとの七分野では、機動展開能力には国民保護は入っていませんでした(令和5年度防衛予算の概要参照)。
 南西諸島防衛態勢の強化に伴い、南西諸島の市民の間から住民避難のための施策を求める声が高まったことが影響しているはずです。しかし、機動展開能力と国民保護をセットにしているため、NDSと防衛力整備計画が述べている国民保護とは、南西諸島へ兵員や物資を輸送し、空になった輸送船や輸送機を利用することになります。
 これは国民保護に真っ向から反します。軍事目標である軍用船舶や航空機へ非武装の市民を乗せて避難させる際に、攻撃されてしまうからです。対馬丸事件の再来になるかもしれません。
 NDS、防衛力整備計画は、真剣に国民保護、住民避難を考えていない、南西諸島への機動展開能力の強化の口実にしているとしか考えられません。
(7)持続性・強靭性
 強靭性とは、敵の攻撃に耐えうる、被害が出ても早期に復旧できる能力を含みます。消極防衛と称しているもので、IAMDの三要素の一つでもあります。
 持続性とは、戦争継続能力の事です。これまで長年にわたり、自衛隊の軍事組織としての最大の弱点の一つに挙げられていたことが、継戦能力不足でした。自衛隊は防衛予算の多くを正面装備それも最先端の正面装備に費やした結果、弾薬の備蓄が少ない、装備の交換部品が不足するという弱点がありました。自衛隊内部で有名な「たまに撃つ弾がないのが玉に瑕」との狂歌がこの弱点を自虐的に表現しました。
 中国との長期間の戦争を想定すれば、このことは決定的な弱点になります。そこで大量の弾薬の備蓄、そのために日本全土に多数の弾薬庫を設置(10年間で130棟を整備する)、施設の強靭化を図ることが防衛力の抜本的強化の重要な課題になりました。
 持続性・強靭性には多額の予算が必要になります。抜本的防衛力強化期間5年間で43.5兆円を支出するうち、弾薬備蓄で2兆円、装備品の維持整備で9兆円、施設の強靭化で4兆円を見込みます。2023年度防衛予算で弾薬備蓄に8283億、装備品の維持整備費に2兆355億、施設強靭化に5049億を計上しました。大手ゼネコンや防衛産業にはそれこそ「札束が降ってくる」ような大盤振る舞いです。
 防衛省は2023年度予算案が国会へ提出される前の2022年12月23日に施設強靭化の計画を作るための民間事業者(大手ゼネコン)への説明会を開催しています。その中で施設強靭化のため、主要司令部等の地下化、地下施設の壁の強化、機密ダンパーと空気ろ過フィルターを提案しており、その目的としてEMP攻撃やCBRNe攻撃を耐えうる構造を求めています。EMP攻撃とは電磁パルス攻撃で、主として核兵器の高高度爆発による強力な電磁パルスによる電子機器の無能力化です。CBRNeは化学兵器・生物兵器・放射能兵器・核兵器・爆発兵器攻撃の意味です。
 防衛省・自衛隊は本気でこのような戦争を長期にわたり遂行できる能力を付けようとしているのです。
 防衛省は奄美大島の瀬戸内に、輸送・補給拠点を建設するための基礎調査を行います。燃料タンクや倉庫を整備するためとしています。南西諸島有事に備える兵站施設になります(2023.7.7琉球新報)。瀬戸内には陸自のミサイル部隊駐屯地があり、アジア太平洋戦争当時の南方方面作戦のための軍港であったところです。
3 自衛隊の組織の変革、自衛隊員の精神構造の変化、戦争する自衛隊へ
 既に述べたように、自衛隊に統合司令部、統合司令官を置き、3自衛隊の作戦を一人の司令官が統合指揮する体制を作ります。その狙いは、陸・海・空・宇宙・サイバー・電磁波の各戦闘分野を統合した領域横断作戦を行う、米軍との共同作戦行動を統合して行うためです。その象徴的な作戦概念がIAMDです。
 IAMDの3要素の内、自衛隊が保有する反撃能力に必要となる長射程の装備は、3自衛隊がそれぞれ保有します。積極防衛(航空、ミサイル防衛)も、3自衛隊がその能力を保有します。消極防衛(施設強靭化)も3自衛隊それぞれが保有します。各自衛隊がそれぞれに持っている3要素をISRTの戦闘情報ネットワークで結び付けながら統合指揮する体制となります。
 反撃能力の行使は、自衛隊が他国領土攻撃型の軍隊となることを意味しています。30防衛大綱でも、自衛隊はいまだ専守防衛型の自衛隊の枠を完全に乗り越えていませんでした。
 例えば陸自の12式対艦ミサイルの射程は約200㌔ですから、南西諸島へ迫ってくる敵国の水上戦力を攻撃するものでした。むろん沖縄本島と宮古島の間の幅300㌔の宮古海峡を通過して西太平洋に進出しようとする中国海軍艦船を攻撃することは可能でしたが、中国本土への攻撃能力はありませんでした。その限りでは米軍の対中軍事作戦への支援は可能でした。
 安保三文書による防衛力の抜本的強化、反撃能力は台湾有事での対中国日米共同作戦を遂行するためのものになります。その戦闘は長期のミサイル戦争が予想されています(防衛研究所令和3年度特別研究成果報告書「将来の戦闘様相を踏まえた我が国の戦闘構想/防衛戦略に関する研究」参照)。自衛隊はこのような戦争を遂行できる正真正銘の軍隊と化すのが安保三文書です。
 自衛隊員の精神構造にも変革が迫られるでしょう。自衛隊員は採用にあたり服務の宣誓を行います(自衛隊法第52条、53条)。いわゆる「賭命義務」を負うのです。我が国が他国から武力侵攻された際に、国土防衛のための「賭命義務」であったものが、これからは他国領域へ侵攻・攻撃する際の「賭命義務」となり、このことは自衛隊員の精神構造に大変な変化をもたらさざるを得ないでしょう。そうしないと米軍との共同戦闘はできないからです。
4 憲法9条の規範的統制を受けない自衛隊に
 反撃能力を抑止力の中心に位置づけた結果、自衛隊による軍事行動には憲法9条の規範力による統制は全く及ばなくなります。
 反撃能力の行使を専守防衛で必要最小限度に抑えると、相手国に対する抑止力にはなりません。もともと抑止力の中心に位置づけられた反撃能力は、専守防衛とは相容れないものだったのです。
 抑止が破綻し反撃能力を行使すれば、相手国からこれを上回る攻撃を受け、互いに反撃、再反撃を行う結果、その軍事力行使には必要最小限度などはなくなります。
 日米共同による反撃能力行使では、米軍はもともとから必要最小限度の軍事力行使は念頭になく、むしろ必要最大限度の攻撃を行いますから、自衛隊だけ必要最小限度にとどめることはできないでしょう。共同作戦計画に「穴が開く」ことになるからです。
 安保三文書が規定する自衛隊の変貌は、憲法9条、専守防衛の制約を完全に取り払われた軍隊となることを意味しています。

 

~書籍のご紹介~
樋口英明著「南海トラフ巨大地震でも原発は大丈夫と言う人々」

千葉支部  守 川 幸 男

 不当判決を出した担当裁判官の実名まで出してその無責任さに怒りをあらわにし、敵基地攻撃能力保有批判にまで到達された渾身の新作である。旬報社、168ページ、本体1300円+税である。主として書籍のご紹介にとどまるから、書評ではない。
 「私が原発を止めた理由」でも手厳しい裁判官批判があったが、この書ではさらに進んで、この日本が消滅する現実的危険を前に(大げさではない)、もう黙ってはいられない、この事実を知ってほしいという思いが伝わってくる。贈呈されてから1ヶ月近くを経たかもしれない。急ぎご紹介する。本書の構成と内容は以下のとおりである。
1、第1章は、「原発の本質とわが国の原発の問題点」である。第2、第3章を論じるに当たっての不可欠な原発の本質について論じている。これまでもあちこちで論じられ、私も紹介したことがある。
 火力発電所との違い、原発は硬い岩盤の上に立っているとか原発事故で死んだ人はいないとの、原発推進勢力の二つの嘘について厳しく批判している。
2、第2章は「南海トラフ地震181ガル(震度5弱)問題」で、無用の専門技術論争を排して、誰でも理解できる争点を設定した樋口理論を前面に掲げての伊方原発差止め新規仮処分申し立て事件での、広島地裁に続く高裁決定についての批判である。四国電力は、南海トラフ巨大地震が伊方原発を襲っても、原発敷地にはわずか181ガルの地震動しか来ないと主張し、規制委員会もこれを鵜呑みにした。そして、裁判所も住民側に立証責任を負わせたのである。日本で実際に起きている大地震は地震観測記録によれば数千ガルで、これを対置すればよい。ことさら基準地震動策定過程の調査や分析方法など、複雑で理解しがたい専門技術論争に深入りする必要はない。
 この章では、「裁判官はなぜかくも不公平で無責任なのか」という表題をつけて、昨年の6月17日の最高裁判決の多数意見を厳しく批判し、三浦反対意見や株主代表訴訟の13兆円判決と対比して、最高裁判事の不公正な選任問題や法の支配論にも触れている。
3、第3章は、「原発回帰と敵基地攻撃能力」と題した、これまでの書籍や論考にはなかったものである。著者の危機意識があふれている。ウクライナのゼレンスキー大統領は、ザポリージャ原発の過酷事故による被害について「ヨーロッパの壊滅」を招くと発言した。福島第1原発過酷事故は、2号機と4号機の奇跡の組み合わせによって「東日本壊滅」を免れたに過ぎないから、近く必ず発生する南海トラフ巨大地震で、硬い岩盤だから181ガルしか来ないなどという無責任はとうてい許されない。奇跡は次回は起きないから、日本消滅は現実の危機である。樋口さんは、「原発の問題を脇に置いてする防衛論議は空理空論」同盟国のアメリカを守ると言う口実での戦争についても9条は禁じていると結論づけ、原発回帰と敵基地攻撃能力保有に転換した岸田内閣批判にも及んでいる。
 核兵器による人類の滅亡の危機と並んで、日本政府による戦争政策が、原発の危険性をより高めていることを私たちは知る必要があろう。

 

貧困・社会保障問題委員会主催の学習会
「生活保護の基礎知識と申請同行のための実践知」(9月15日18時)のご案内

貧困・社会保障問題委員会 担当次長 髙 橋  寛

 このたび、本部の貧困・社会保障問題委員会では、新人・若手の団員を中心に全団員向けに、生活保護に関する学習会を開催します。
 今年に入り、1月から5月まで、5か月連続で生活保護の件数が前年同月比で増加していることが明らかとされており、セーフティネットの重要性はますます高まっているといえます。
 団員の中には、生活相談会や法テラス、弁護士会の相談などで生活保護に関する相談を受けた方や、受ける可能性がある方もいるのではないでしょうか。また、社会保障問題に興味があるけれども、どうやって学んだり支援に関わったらいいかわからないという団員もいるかもしれません。
 今回は、元自治体の生活保護担当職員で社会福祉士の資格をお持ちの田川英信さん(生活保護問題対策全国会議事務局次長)にお越しいただき、生活保護の基礎知識や申請同行の際の留意点などをお話しいただきます。
日時:9月15日(金)18時00分
場所:自由法曹団事務所及びZoom
講師:田川英信さん

 

~トランスジェンダーの理解増進のために~
経産省トイレ制限最高裁判決学習会のご案内

差別問題対策委員会 担当次長 永 田  亮

 2023年7月11日、最高裁判所は、経済産業省に勤務するトランスジェンダー女性が、自身が就業する庁舎の女性トイレの使用を制限された処遇についての正当性(行政措置要求に対してそれを認めないとした判定の違法性)が争われた訴訟で、当該処遇が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法であると判断しました。
 各補足意見において自己の性自認に基づいて社会生活を送る利益を重要な利益と位置づけられているとおり、性的マイノリティ当事者に対する誤解や偏見を払しょくし、あらゆる人が暮らしやすい社会づくりが求められており、本判決は事例判決ではあるものの、「共生」社会を目指すための示唆に富んでいるものといえます。
 自由法曹団においては、2022年京都総会での「多様な性のあり方の尊重を求め、すべての人が平和に安心して生活できる社会の実現を求める決議」の採択以降、「トランスジェンダーについて考える学習会」「LGBT理解増進法学習会」など性的マイノリティについて学ぶ企画を設けて声明等の発信を続けてきました。改めてトランスジェンダー当事者の取り巻く環境と私たちが目指すべき社会について考えるため、本最高裁判決についての学習会を企画いたしました。
 当該訴訟の弁護団員である、永野靖弁護士を講師にお招きして当該訴訟の経緯や最高裁判決のもたらす意義についてご講演いただきます。同じ社会の中で暮らす性的マイノリティを取り巻く状況について理解を深め、「共生」しやすい社会作りにつなげていきたいと思います。皆様、奮ってご参加ください。
《日 時》9月19日(火)午後6時00分~
《会 場》団本部+Zoom
《講 師》講演(Zoom):永野靖弁護士
(永野・山下・平本法律事務所)

 

第9回「先輩に聞く~労働事件をどうたたかってきたのか、これからどうたたかうのか~」学習会のご案内

労働問題委員会担当次長 髙 橋  寛

 先輩に聞くシリーズ第9回は、東京支部の鷲見賢一郎団員が登場します。
 鷲見団員は、長年、自由法曹団労働法制改悪阻止対策本部の本部長を務めてこられ、2015年の派遣法改悪の際にも、参考人として衆議院の厚生労働委員会で意見陳述などを行いました。
 個別の事件でも、小説・映画「時の行路」のモデルとなったいすゞ自動車の非正規切り事件の弁護団長を務めたほか、NHK地域スタッフ労働組合不当労働行為事件、ワットラインサービス労働組合不当労働行為事件の代理人を務められ、多くの労働事件に関わってこられました。
 学習会は、団本部事務所(江戸川橋)で開催します(同時にZoomでも配信します)。
 多くの団員の現地参加をお待ちしています!
 特に若手団員はお誘いあわせの上、ぜひご参加ください。事務局の皆さまのご参加も歓迎いたします!
日 時:2023年9月28日(木)17:00~
場 所:団本部+オンライン(ZOOM)
報 告:鷲見賢一郎団員(東京支部)

 

11/17 自由法曹団東京支部創立50周年シンポジウム&レセプションにご参加ください

自由法曹団東京支部創立50周年実行委員会副委員長  金  竜 介

 

1 シンポジウムは川崎哲さんの記念講演11月17日に自由法曹団東京支部は、50周年のシンポジウムとレセプションを開催します。
 第一部は、川崎哲さん(ピースボート共同代表、核兵器廃絶国際キャンペーン国際運営委員)の記念講演です。
 G7で日本の「ヒロシマ・アクション・プラン」が支持されたと自賛する政府を川崎さんは鋭く批判します。「核不使用の継続」ならばなぜ核の使用・威嚇を禁じた核兵器禁止条約に反対するのか、「透明性の向上」をいいながら、2010年のNPT会議以降言われ続けている核兵器国は報告書式にすら合意できていないのはなぜか、「原子力の平和利用の促進」といいながら日本の大量のプルトニウム保有や、福島の処理汚染水海洋放出に対する国際的懸念に答えてはいないではないか…。
 核兵器廃絶とか平和な世界の達成というのは、巨大な目標ですが、その巨大な目標に至る手前のところで、いくつかの中間的な目標を設定して、それを達成することの実感を、みなさんと分かち合っていきたいという川崎さんの講演をぜひお聞きください。
 記念講演のほかにも支部団員企画「新たな人権課題と新たな世代の活躍」など準備を進めていますのでご期待ください。
2 レセプションにはせやろがいがおじさん登場
 せやろがいおじさんを知っていますか。人種差別への反対や、人を見た目で判断するルッキズムへの批判などをテーマにした笑いで活躍する芸人です。沖縄から全国各地で活動しているのでご存じの方も多いでしょう。
 日本では、「権力」を笑いの対象にする芸人は敬遠され、テレビ番組には呼ばれないというせやろがいおじさんの舞台を楽しんでください。
3 東京から全国から11月17日はぜひ会場に足を運んでください。
 東京支部が結成されたのは、1973年1月。「あれからもう50年かあ」という大先輩の皆様も、50年前はまだ弁護士じゃなかった人も、生まれたときから団東京支部はあったよという団員も、とにもかくにも50周年なので、まだ手帳に書いてない方は、すぐに書き込んで、東京支部の団員のみならず、全国の団員が会場に足を運んでいただけることを期待しています。
 11月17日に会場でお会いしましょう。
【開催日】2023年11月17日(金)
シンポジウム 13時30分~17時50分
レセプション 18時30分~20時30分
【会 場】如水会館(東京都千代田区一ツ橋2-1-1)
【シンポジウム】記念講演 川崎哲さん(ピースボート共同代表、核兵器廃絶国際キャンペーン国際運営委員)
【レセプション】文化企画 せやろがいおじさん

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