5月16日付、常幹決議「検察庁法改正法案の衆議院強行採決を許さず、廃案を求める決議」を採択しました。

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検察庁法改正法案の衆議院強行採決を許さず、廃案を求める決議

 現在、新型コロナウイルス感染拡大によって日本中の人びとが命と生活の危機に立たされている中、政府与党は、野党が反対し、多くの国民も批判の声をあげている検察庁法改正案を、衆議院内閣委員会において、審議を尽くすことなく採決を強行しようとしている。
 今回、問題となっている検察庁法改正案は、単に検察官の定年を65歳に延長するものではない。次長検事及び検事長に役職定年制を導入しつつ、内閣の判断で、役職定年後も当該官職での勤務させることができるものとし、更に、検事総長、次長検事及び検事長が65歳の定年に達した際にも、内閣の判断によって、当該官職で引き続き勤務させることができるとするものである。この改正案は、内閣の裁量判断によって検事総長等の官職にある検察官の勤務延長や定年の延伸させることを通じて、独占的起訴権限を有し、準司法官的役割を期待される検察官の人事に、政権が直接介入することを可能とするものである。すなわち、この改正案は、政権による検察人事に対する介入が恒常化させることによって政権にとって意に沿わない検察の動きを封じ込め、政権関係者の違法を摘発し刑事責任を追及する道を閉ざすことにつながる重大な問題である。政権による人事介入によって検察官の独立性及び公平・中立性が損なわれ、さらに検察組織に対する国民の信頼を大きく揺るがされる危険性をはらむものである。
 この改正案について、政府は、国家公務員法改正法案と一括法案として内閣委員会に付託し、検察庁法を所管する法務委員会との連合審査とすることもなく性急な審議を進め、本法案の成立を急がなければならない必要がないにもかかわらず、審議が尽くされないまま裁決を強行することは許されるものではない。
 そもそも、安倍政権は、これまで適用されないとしてきた国家公務員法の定年延長規定を、突如一方的に解釈変更して東京高検黒川検事長に適用し、その定年を違法に延長した。今回の「改正」案は、その違法な解釈変更を法案化して、「正当化」しようとするものに他ならない。さらに、安倍内閣が改正案に固執するのは、元自民党の秋元司衆院議員に対するカジノを含む統合型リゾート(IR)事業の汚職事件、自民党の河井克行前法相、河井案里参院議員に対する公職選挙法違反事件など現職与党議員が訴追され、あるいは捜査の対象とされていること、そして自らも「桜を見る会」に関連する違法問題で捜査の対象となる立場にあることと無関係ではなく、検察庁法改正案の審議を短時間で終わらせ強行採決する真の理由は、政権の保身にあると疑われてもやむを得ず、まさに新型コロナの危機に乗じた火事場泥棒であり、断じて許されない。
 新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言のもと、大規模抗議集会やデモが事実上不可能となっている状況下においても、検察庁法改正反対についてはネット上のツイートが900万を超え、各界の著名人も改正反対の声をあげている。さらに、日本弁護士連合会をはじめ40を超える単位弁護士会が反対の会長声明を発表し、元検事総長を含む検察官OBも法改正に反対する意見書を公表している。このような国民の批判や抗議に耳をかさず、強行的に法案を押し通そうとしている政府の姿勢は、民主主義をないがしろにするものであって、到底許されるものではない。
 われわれ自由法曹団は、検察庁法改正案について国家公務員法改正案と分離し、徹底した審議を求め、審議が尽くされない中での衆議院内閣委員会における採決の強行に反対するとともに、引き続き同法案の成立阻止へ向けた取り組みをつづけることを宣言するものである。

  2020年5月16日
                                                       自由法曹団2020年5月常任幹事会

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