2023年10月23日、軍事一辺倒の岸田政権の9条壊憲に断固反対する決議

カテゴリ:明文改憲,決議,米軍・自衛隊

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軍事一辺倒の岸田政権の9条壊憲に断固反対する

 

1 岸田政権は、2022年12月16日、安保3文書(国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画)を閣議決定した。
 安保3文書は、専守防衛の観点から政府がこれまで認めてこなかった敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有を明記し、そのための費用を含む今後5年間の防衛費の総額を43兆円、2027年度の予算水準でGDP比2%とする方針を打ち出した。このような防衛力増強(大軍拡)は、戦後のわが国の安全保障戦略を実践面から大きく転換するものであり、「国家防衛戦略」自身が認めるとおり、アメリカの新たな国家防衛戦略と擦り合わせ、アメリカが同盟国との協力を統合して抑止力を高めていく「統合抑止」の戦略において日本を対中包囲網の最前線と位置づけ、文字通り日本をアメリカと一緒に戦争する国とするものである。

2 敵基地攻撃能力は、「反撃」に限って使われるものではなく、他国への先制攻撃につながる危険がある。2015年の戦争法(安保法制)によって強行的に認められた集団的自衛権の下、「存立危機事態」を認定して敵基地攻撃能力が用いられた場合には、米国を狙うミサイル発射拠点を先制攻撃することになるおそれがある。攻撃対象も、敵基地に限定されず、相手国の中枢を含むことを政府は認めている。敵基地攻撃能力の保有によって、地理的な限界が突破され、政府がこれまで方針としていた「専守防衛」の受動的な防衛戦略はかなぐり捨てられる。

3 5年間で43兆円とされる軍事費の大幅増は、抑止力一辺倒の姿勢で日本が戦争に巻き込まれる可能性を高めると同時に、物価高、社会保険料負担の増加等によってかなり逼迫している国民生活をさらに追い詰めるものである。「軍栄えて民滅ぶ」という愚かな事態に陥らないためにも、「防衛増税」、及び、空前絶後の軍拡は必ず阻止しなければならない。

4 岸田政権は、安保3文書を具体化するため、防衛産業基盤強化法、防衛財源確保特措法を成立させ、軍需産業の支援と軍拡財源の確保を進めるとともに、「防衛装備移転三原則」をさらに緩和して武器輸出を拡大しようとしている。その一方では経済安全保障法にもとづく先端技術の軍事利用、経済・学術研究への軍事支配、セキュリティ・クリアランス制度の導入をはかろうとしている。安保3文書を「既成事実化」させ、アメリカの思惑の下、戦争を「する」国づくりを着々と進めているのである。

5 日本では、安保3文書の改定の前後に、いわゆる「第一列島線」である南西諸島を中心にミサイル配備が進められている。中国の攻撃射程内に位置する南西諸島を敵基地攻撃の拠点とするとともに、実際に戦場となることを想定した軍事要塞化が推し進められている。「台湾有事」が仮に現実に起こることがあれば、戦争法によって集団的自衛権を行使することになった日本は、「台湾有事」を契機にした米中戦争に参加せざるを得ない状況にある。各地の基地問題はさらに緊張感を増しており、命と生活を脅かされている基地周辺の市民とのさらなる連帯が求められる。
6 岸田政権が、向こう見ずに進める大軍拡は、憲法9条を破壊し、日本を戦争を「す  る」国へと変貌させるものである。抑止力一辺倒の考えを脱却し、憲法9条に基づいた対話こそが、国家間の緊張を緩和させ、戦争回避につながる。
 よって、自由法曹団は、岸田政権による大軍拡・9条改憲に断固反対し、それを阻止するためのたたかいを尽力するものである。

 

  2023年10月23日

         自由法曹団2023年大阪総会

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