2023年10月23日、大阪IR(カジノを含む統合型リゾート)の実施に断固反対する決議

カテゴリ:構造改革,決議

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大阪IR(カジノを含む統合型リゾート)の実施に断固反対する決議

 

1   大阪府・大阪市は、2023年9月28日 、政府から認定を受けた「大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域の整備に関する計画」につき、IR事業者との間で、大阪カジノを整備する実施協定や定期借地権設定契約等を締結した。

2   そもそも大阪IRについて、大阪市の松井一郎市長(当時)は、「IR、カジノには一切税金を使いません」と公言していた。しかし、IR事業者(合同会社日本MGMリゾーツ及びオリックス株式会社によって設立された大阪IR株式会社)から大阪市に対して埋立地特有の課題対策費(土壌汚染対策、地中埋設物撤去、液状化対策等の費用)の負担を求められると、前言を翻し、カジノ事業者の要求に応じて約790億円もの巨額の公金投入を決定した。この中には地盤沈下対策費用は含まれておらず、大阪市はIR事業者の言いなりとなり、青天井の負担を強いられることになりかねない。

3   また、大阪市は、IR事業者に対して夢洲のIR事業用地を35年間実質固定の月額賃料428円/㎡という著しく安価な賃料で貸すことを予定している。大阪市は賃料価格の設定にあたって、令和元年に4社の鑑定業者に依頼をしたところ、4社のうち3社の評価額(土地価格12万円/㎡、期待利回り4.3%、月額賃料428円/㎡)が全て一致する結果となった。
 同鑑定では、高層ホテルを建設することを計画に掲げているにもかかわらず、全ての鑑定評価書で低層の大規模複合商業施設(ショッピングモールなど)用地として評価したり、IRのための事業用地であるにもかかわらず大阪市の指示で「IRを考慮外」として鑑定したりするなど、鑑定価格において結果ありきの「官製」の「鑑定談合」の疑いが強い。
 さらに、2023年7月3日、大阪市民の情報公開請求に対して「不存在」と説明していたにもかかわらず、令和元年度、令和2年度の不動産鑑定に関する計198通のメールが存在していたことが発覚し、大阪市が不動産鑑定を巡るやりとりを隠蔽しようとしていたことが明らかとなった。
 加えて、賃料鑑定をした4社のうち2社(一般財団法人日本不動産研究所と有限会社arec)が鑑定に際して同じ取引事例を選定したものの、いずれも土地価格を同じ方法で誤っていたことが発覚し、鑑定結果の正当性を根本から揺るがす重大な問題が明らかになっている。

4  カジノの解禁は、ギャンブル依存症患者の拡大、多重債務問題再燃の危険性、青少年の健全育成への悪影響等を招き、住民に大きな犠牲をもたらすものである。  
 それにも関わらず、大阪市はIR事業者を不当に優遇し、不正にまみれた大阪IR事業を実施しようとしている。
 自由法曹団は、大阪IR(カジノを含む統合型リゾート)の実施に断固として反対する。

 

  2023年10月23日

 自由法曹団2023年大阪総会

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