2025年5月26日、「諸悪の根源たる米軍基地の撤去と日米地位協定の抜本的改定を求める決議」

カテゴリ:戦争法制,決議,米軍・自衛隊

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諸悪の根源たる米軍基地の撤去と日米地位協定の抜本的改定を求める決議

 

 日米安保条約の締結から65年、沖縄返還協定の発効から53年が経過した。しかし、在日駐留米軍及び在沖縄米軍は、基地に起因するもろもろの諸悪の根源として、基地周辺の人々に対し、様々な生活被害・負担を及ぼし、市民の人権を侵害するだけでなく、国土を汚染し続ける存在となっている。この実態は深刻化こそすれ改善はされていない。
 最近公表された国防総省の統計報告書によると、2013年から2020年の8年間で米軍基地における性的暴行事件数は、在日米軍基地全体で2070件(年平均258件)、そのうち在沖米軍基地で949件(年平均118件)も発生している。国防総省は被害の申告率を40%と推定していることを踏まえると、その被害実態は極めて深刻といえる。沖縄県で社会問題化している米軍基地に起因する性犯罪の発生についても、それらが駐留米軍の構造的本質に根ざす以上、小手先の対応ではその除去に限度があり、抜本的対策として米軍基地の撤去を求めるのは必然である。
 米軍基地周辺住民の航空機爆音被害も深刻で、その除去のために米軍基地が所在する全国各地で爆音をなくして静かな夜を実現するための訴訟が闘われている。
 全国で注目を集めるPFOS等の有機フッ素化合物被害も、米軍基地が所在する地域周辺での汚染が多く報告されており、米軍基地がその重大な汚染原因となっていることに注目しなければならない。
 私たちは、米軍基地の撤去を求めるとともに、米軍駐留を前提として締結されている日米地位協定の構造的問題、すなわち、不平等性、特権の付与と不合理な内容についても、これまで何度となく問題点を指摘し、その抜本的見直しを求めてきた。米軍は、提供された基地について警護権を含めて国内法の適用を拒否しうる特別の基地管理権を付与されており、国や地方自治体の立ち入りを拒否する条約上の根拠とされている。また、犯罪の嫌疑がある米兵が基地内に逃げ込むと、米軍はわが国の逮捕状に基づく身柄引き渡しについても拒否しうる特権を付与されているなど、様々な特権を付与されている。国際法上、特段の定めがない限り軍隊派遣国は受入国の法令の適用を受け、それを遵守する義務があるはずにもかかわらず、日本政府は、米軍への日本法令の原則的適用を否定しており、わが国の主権に基づく法の支配の確保がなされえない状態になっている。
 このように、日米地位協定の構造・内容には重大な問題と欠陥が存する。
 しかし、日本政府は、日米地位協定の問題については、「運用改善」という弥縫策に終始し、抜本的改定につき取り組もうとしていない。これは、主権国家としてあるまじき対応である。
 日米安保条約にもとづく駐留米軍の存在は、わが国の安全保障政策につき軍事依存体制への転換を誘導し、日本国憲法の徹底した平和主義を侵食する大きな要因ともなっており、その弊害は深刻である。
 私たちは、米軍基地が集中するこの沖縄で5月集会を開催するにあたり、改めて、駐留米軍基地の撤去、日米地位協定の抜本的改定を求めるものである。

 

2025年5月26日 

自  由  法  曹  団
2025年沖縄・5月研究討論集会

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