2025年5月26日、「白鳥決定50年の節目の年に、今国会での議員立法による再審法改正を求めるとともに、 再審法改正実現のために尽力することを決意する決議」

カテゴリ:決議,治安警察

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白鳥決定50年の節目の年に、今国会での議員立法による再審法改正を求めるとともに、
再審法改正実現のために尽力することを決意する決議

 

 袴田事件の再審無罪判決や福井女子中学生事件の再審開始決定が全国的に注目を浴び、再審によるえん罪被害者の人権救済に対する市民の関心と世論が盛り上がりを見せる中、昨年3月、「えん罪被害者のための再審法改正を早期に実現する議員連盟」(超党派議連)が立ち上がった。超党派議連は文字通り党派の枠を超えて広がり、今では全国会議員の過半数を占めるに至っている。現在、超党派議連は、証拠開示規定の整備や検察官不服申立ての禁止を主な内容とする改正案を今国会に議員立法で提出すべく、具体的な法案作成作業を進めている。
 超党派議連を動かし、彼らの背中を後押ししてきたのは、各地の国民救援会や弁護士、弁護士会が中心となって進めてきた再審法改正運動の成果にほかならない。国民救援会や各地の弁護士、弁護士会は、地方議会での意見書採択運動や首長の意見表明運動等に精力的に取り組み、全国の自由法曹団員も国民救援会の一員として、あるいは弁護士会の会員として再審法改正運動に尽力してきた。その結果、静岡県や京都府では、県・府内の全議会で意見書採択が実現し、意見書を採択した自治体の合計は、今年5月1日時点で優に600議会を超えた。こうした地道な市民運動の後押しがあってこそ、再審法改正が具体的な政治日程に乗りつつあるのであり、その意味で今般の再審法改正は、粘り強く取り組まれてきた市民運動の成果というべきものである。
 このように、議員立法による再審法改正の早期実現が具体的な政治日程にのぼる一方、法務検察の抵抗も激しさを増してきている。今年3月には、法務大臣の諮問機関である法制審議会(法制審)に再審制度について諮問することが決定し、4月から実質審議が開始されている。しかし、法制審はあくまで法務大臣の諮問機関であり、人事、予算、スケジュールなどをすべて法務省が独占し、これまで度々、法務検察に不利な方向での法改正を阻止する役割を担ってきた。現在も法務検察側は、証拠開示規定について制限を付す方向で議論をすすめ、再審開始決定に対する検察官不服申立ての禁止については反対する姿勢を崩していない。そのような法務検察のいわば土俵ともいえる法制審に、えん罪被害者の人権救済に適う方向での再審法改正の諮問を期待することはできない。
 現在国会では、超党派議連による議員立法での早期改正を目指すのか、法制審による諮問結果を待つのか、双方のせめぎ合いによる緊迫した情勢を迎えている
 再審法改正により証拠開示規定や検察官不服申立ての禁止等が実現すれば、えん罪被害者に対する人権救済の道が大きく開かれることになる。今年は、再審の門戸を大きく開いた最高裁白鳥決定(1975年)から50年を迎える年であり、市民運動の成果として、えん罪被害者の人権救済に適う再審法改正を実現させるにふさわしい年といえる。
 自由法曹団は、超党派議連による議員立法での再審法改正こそがえん罪被害者の人権救済に適うものであることを確信し、今国会での議員立法による再審法改正の早期実現を求めるとともに、引き続き再審法改正実現のために尽力することをここに決意する。

 

2025年5月26日 

 自  由  法  曹  団
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