2025年10月20日、「対米従属下における大軍拡と「戦争をする国づくり」に断固反対し、憲法改悪阻止に全力で取り組む決議」
対米従属下における大軍拡と「戦争をする国づくり」に断固反対し、憲法改悪阻止に全力で取り組む決議
1 岸田政権が2022年12月の安全保障関連3文書(安保3文書)改定によって敷いた路線を引き継いだ石破政権は、対米従属の下で大軍拡を推し進め、日本を「戦争をする国」へと急速に変貌させてきた。この危険な動きの中核をなすのが「敵基地攻撃能力」の保有を具体化する「スタンド・オフ防衛能力」の抜本的強化である。
政府は、その具体策として、国産ミサイルの開発・量産・配備等を異例の速さで進めている。防衛省が2025年8月29日に発表した「国産スタンド・オフ・ミサイルの早期整備等について」(防衛省告示)によれば、開発が順調に進んでいることを理由に各種ミサイル配備計画を大幅に前倒しし、全国各地の自衛隊駐屯地への配備を具体化している。具体的には、①射程1000キロメートル級である地発型の12式地対艦誘導弾能力向上型を、2025年度及び2026年度に健軍駐屯地(熊本県)の第5地対艦ミサイル連隊に、2027年度には富士駐屯地(静岡県)の特科教導隊に配備する予定である。②艦発型及び空発型の12式地対艦誘導弾能力向上型についても、運用開始を2027年度に前倒しし、艦発型は護衛艦「てるづき」(神奈川県)に、空発型は百里基地(茨城県)に配備予定のF-2戦闘機能力向上型に搭載するとしている。加えて、③島嶼防衛用高速滑空弾についても、実践的な運用開始を当初の2026年度から2025年度に前倒しして富士駐屯地に配備し、2026年度には上富良野駐屯地(北海道)及びえびの駐屯地(宮崎県)に運用部隊を新編・配備する予定である。
2 これらのスタンド・オフ・ミサイルは、近隣諸国を射程に収める、まぎれもない「敵基地攻撃能力」ある兵器である。このような攻撃的兵器の保有と配備は、「平和国家」としての日本の在り方を覆し、国際的緊張を高めるものである。また、かかる動きは、南西諸島を中心に進められているミサイル配備と軍事要塞化とともに、当該地域を米軍の対中戦略の最前線とし、住民を危険に晒すものである。有事を口実に住民の避難計画が進められているが、避難先とされる九州・山口地域自体が出撃拠点として強化されており、安全な避難場所とは到底言えない。これはかつて沖縄を「本土防衛の捨て石」にした歴史を想起させるものであり、断じて容認できない。
3 かかる策動は、与党のみならず、対米従属下における大軍拡と「戦争をする国づくり」を是とする日本維新の会や国民民主党等といった野党や、軍拡による特需を期待する財界・軍需産業によっても推進されてきており、石破政権後の政権でも、より一層推進される危険性がある。
自由法曹団は、日本国憲法の平和主義を踏みにじり、日本を再び戦争へと向かわせる大軍拡と「戦争をする国づくり」に断固として反対し、敵基地攻撃能力の保有を核心とする国産スタンド・オフ・ミサイルの開発・配備計画と軍事要塞化の即時中止を強く求める。
2025年10月20日
自 由 法 曹 団
2025年茨城・筑波山総会
