2025年10月20日、「今秋の臨時国会で議員立法による再審法改正実現を求める決議」
今秋の臨時国会で議員立法による再審法改正実現を求める決議
2025年6月18日、刑事再審における証拠開示や検察官による不服申立て禁止などを規定した刑事訴訟法の改正法案が野党6党(⽴憲民主、国⺠民主、れいわ、共産、社⺠、参政)の共同により衆議院に提出された。この議員立法による再審法改正案は、同月20日に衆議院法務委員会で継続審議されることが決まり、通常国会での再審法改正は実現しなかったものの、秋の臨時国会での改正実現に望みをつないだ。
国民救援会や各地の自由法曹団員、えん罪被害者が奮闘して作り上げた再審法改正運動は、広く市民と結びつく形で進められ、今や立場や党派を超えた大きな広がりを見せている。国民救援会が進める請願署名は累計で10万筆を超え、さらに地方議会での意見書採択運動では、全国に約1800ある地方議会の約半分に近い807議会(2025年10月14日現在)で再審法改正を求める意見書が採択された。これまで京都府や静岡県で府内・県内の全ての議会で意見書採択が実現していたが、その後、大阪府と岐阜県もこれに続き域内全議会で意見書の採択に漕ぎつけた。それだけでなく、新聞各紙も社説で早期の再審法改正実現を訴えており、えん罪被害者救済のための再審法改正がいまや大きな国民世論となっている。また国会内でも、超党派の国会議員連盟が全国会議員の過半数を集めており、再審法改正を実現させるまたとない好機が訪れている。
しかし、その一方で再審法改正を阻む法務検察の抵抗・逆流も激しさを増している。今年の3月に法務大臣からの諮問を受け、4月から実質審議が開始された法制審刑事法部会は、えん罪被害当事者が委員に入れられていない一方で、検察官や従来の制度に問題意識を持たない学者で委員と幹事が固められ、えん罪被害者救済の立場で活動する弁護士委員・幹事はわずか3名しかいないというまさに多勢に無勢の状況である。このように当事者性や被害救済の視点を欠いた委員構成のもと、部会では広範な証拠開示や検察官による不服申立て禁止に対する消極意見が大勢を占め、議員立法案を阻むかのような方向で議論が進められている。しかも法制審は、刑事法部会を月2回開催して拙速に議論を進めるなど、議員立法で動く国会議員を牽制する動きを強めている。
広範な証拠開示や検察官による不服申し立て禁止が早期のえん罪被害者救済に不可欠であることは、袴田事件や福井女子中学生事件などこれまでの数多くのえん罪事件が示している。今般の議員立法での再審法改正案は、こうしたこれまでのえん罪事件の教訓を踏まえたものであり、法務検察の抵抗で潰えさせるわけにはいかない。
法務検察の抵抗・逆流を打破し、今秋の臨時国会で何としても議員立法での再審法改正を実現させるため、再審法改正運動をさらに強めることが求められる。引き続き国民救援会等と協力して地方議会での意見書採択運動を進めることに加え、法務検察の抵抗に屈しないよう国会議員に要請する取り組みも必要になる。
自由法曹団としても、改めて今秋の臨時国会での議員立法での再審法改正の実現を求めるとともに、そのための運動を強めて奮闘することを決意する。
2025年10月20日
自 由 法 曹 団
2025年茨城・筑波山総会
