2025年10月20日、「イスラエル・ハマス間の恒久的停戦ならびにイスラエルによる パレスチナ自治区における占領政策の即時終結を求める決議」

カテゴリ:国際,国際平和,決議

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イスラエル・ハマス間の恒久的停戦ならびにイスラエルによる
パレスチナ自治区における占領政策の即時終結を求める決議

 

1 2025年10月10日、イスラエルとハマスによる停戦合意の第一段階が発効し、ハマスは2023年10月7日以降拘束していた人質20人を解放し、他方、イスラエルはこれに対する見返りとして、拘束していた約2000人のパレスチナ人を釈放した。イスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区に対する大規模攻撃を開始して以降、2度にわたって双方で停戦合意が試みられたが、いずれも短期間で崩壊していた。今回の停戦が発効した時点で、イスラエル軍によって殺害されたパレスチナ人は6万7000人を超え、ガザ地区では飢饉(IPCフェーズ5)が発生している。
 ガザ地区に対する攻撃開始以降、同地区内に前線を置いてきたイスラエル軍は、停戦合意の第1段階ではガザ地区内の53パーセントのラインまで撤退するとされ、今後の焦点となる第2段階の合意案では、三分の一のラインまで撤退するとされている。[1]したがって、今回の停戦合意を双方が完全に履行したとしても、イスラエル軍がガザ地区から完全に撤退することはない。

2 イスラエルは、ガザ地区、東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区を、1967年の第三次中東戦争以降占領・併合し、2025年10月現在も、ヨルダン川西岸地区では入植者による入植活動が続いている。2024年7月19日、国際司法裁判所(ICJ)は、イスラエルによるパレスチナの占領・併合は国際法違反であることを確認し、またイスラエルによるすべての入植活動の即時停止等を求める勧告的意見を発出し、同年9月17日、国連総会はICJの勧告的意見を支持するとともに、イスラエルに対して1年以内のパレスチナ占領政策の終結を求める決議案を採択していた。イスラエルによる58年間にも及ぶ占領政策が国際法に違反することが正面から認められた現在においてもなお、イスラエルは、ガザ地区に対する間接的占領の終結はおろか、軍を完全に撤退させることさえも拒否している。

3 イスラエルによるパレスチナ占領及び人種差別的、アパルトヘイト的政策、入植者植民地主義の推進は、長年にわたってパレスチナ人の自決権を侵害し、パレスチナ民衆の基本的人権を蹂躙し続けてきた。パレスチナ/イスラエル間の恒久和平の実現のためには、一時的停戦では不十分であり、恒久的停戦、そしてイスラエルによる占領政策の即時終結こそが必要であることは明らかである。
 自由法曹団は、全世界の人民の平和的に生存する権利を擁護する立場から、イスラエル・ハマス間の恒久的停戦ならびにイスラエルによるパレスチナ自治区における占領政策の即時終結を求めここに決議する。

 

2025年10月20日

自 由 法 曹 団
2025年茨城・筑波山総会

[1] https://www.bbc.com/news/articles/cvgqx7ygq41o

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