2022年7月8日、「安倍元首相の銃撃に抗議し、暴力を許さない社会を求める緊急声明」を発表しました

カテゴリ:声明,憲法・平和

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安倍元首相の銃撃に抗議し、暴力を許さない社会を求める緊急声明

                      2022年7月8日
                    自由法曹団団長 吉田健一

1 報道によると、本日午前11時25分ごろ、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で、遊説中の安倍晋三元首相が後方から銃撃され、現在意識不明、心肺停止の状態とのことである。今回の事件の背景は未だ不明であるが、いかなる理由があろうとも、暴力で言論を封殺することは許されず、まして人命にかかわるような凶行は絶対に許されない。
 自由法曹団は、本件犯行を断じて許さず、厳重に抗議する。安倍元首相の命に別状がないことを願うと共に、犯人に対する厳正な捜査と厳重な処罰を求める。

2 安倍元首相は、首相在任中、特定秘密保護法、安保法制、共謀罪の成立等々、国民の人権を抑圧し、憲法を蹂躙する政策を強行してきた。とりわけ、安保法制については自民党政府自身が長年憲法下では認めることができないとしてきた集団的自衛権の行使について、内閣法制局長官の首をすげ替える等までして、その行使を容認する閣議決定を出すなど、立憲主義そのものを破壊する暴挙を繰り返した。さらに憲法9条を含む改憲への強い意欲を示し、執念を持ち続けてきた。また「モリ・カケ」問題等に代表される政治の私物化も到底看過できないものであった。
 このように安倍元首相の政治信条、政治手法等はことごとく日本国憲法の価値と対立し、その非民主主義的性質は戦後政治の中で際立っており、自由法曹団はこれらを厳しく批判し続けてきた。首相退任後も、「桜を見る会」を巡る公選法違反、政治資金規正法違反の疑惑について、安倍元首相の刑事責任、政治責任の追及を続けてきた。

3 しかし、どんなに立場や考えが異なろうと、言論に対しては言論で対抗するのが当然で、それが民主主義を成り立たせる最低の条件である。今回の銃撃事件は、民主主義そのものの否定であり、このような暴挙を絶対に許してはならない。暴力によって言論を封じ込める風潮を助長しないためにも、政府、国会はもちろん、社会のあらゆる層から抗議の声をあげることがまず重要である。
 自由法曹団は、今回の銃撃事件に対し、改めて厳重に抗議するとともに、民主主義を守り、暴力を許さない社会をつくっていくために闘い続けることを決意するものである。                         

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