2023年2月9日、入管法の改悪に反対する申入書を政務調査会・法務部会及び衆参の法務委員宛に送信しました

カテゴリ:国際,声明

入管法の改悪に反対する申入書PDF(2023.2.9)

 

申入書

 私たちは、政府による入管法の改悪に反対します。
 自由民主党内においても慎重な検討をお願いします。
 政府は、出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案を、2023年1月23日召集の通常国会に再提出する方針とのことです。
 しかし、この2023年法律案は、2021年に廃案となった法律案(以下「旧法案」といいます)の基本的枠組みを維持しているもので、廃案の理由となった問題点は何ら克服されていません。
 すなわち、
(1)2023年法律案は、難民認定申請により送還停止の対象とされるのは原則2回までとし、3回目以降の申請者は送還可能とされているとのことですが、これは庇護を求める人を迫害の危険の及ぶ地域へ送還してはならないという国際ルール(ノン・ルフールマンの原則)に違反します。
(2)人身の自由を保障する自由権規約第9条1項は、出入国管理の手続過程における抑留を含むあらゆる自由の剥奪に適用されます。日本の収容制度については、収容期間の上限が定められず、また司法審査も保障されていません。日本の現行法制度については、自由権規約委員会等から改善を求められており、2022年11月にも自由権規約委員会からあらためて改善の勧告を受けています。そして2023年法律案でも、収容期間の上限や入管収容にあたって司法審査が定められておらず、自由権規約委員会からの勧告には対応していないままです。国際法にのっとった難民制度や入管制度をもうけることは憲法第98条2項の要請でもあります。
 このように、2023年法律案は、難民についての国際基準や、さまざまな指摘を受けている日本の入管制度の根本的な問題点に目を向けないまま、再提出されようとしているものです。
 自由法曹団は、旧法案について2021年4月1日に「政府による入管法の改悪に断固反対し廃案を求める声明」を出しておりますが、本日自民党内において法務部会が開催されるとの情報を得て、取り急ぎ、2023年法律案に強く反対し、国際的な人権水準に沿った抜本的な出入国管理法の改正を求めるため、本文書を送付いたします。

2023年2月9日 

                                                                                  自 由 法 曹 団
団長  岩田 研二郎

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