2025年12月18日 「衆議院議員の定数削減法案の提出に抗議し同法案の廃案を求める声明」を発表しました

カテゴリ:声明,憲法・平和,選挙制度

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衆議院議員の定数削減法案の提出に抗議し同法案の廃案を求める声明

 

2025年12月18日

  自  由  法  曹  団
団長 黒 岩 哲 彦

 

 自民党と日本維新の会は、12月5日、衆議院議員の定数削減等に関する法律案を衆議院に提出した。同法案は、現在465である衆議院議員定数の1割の削減を目標として協議会を設置し、1年以内に結論が得られない場合、小選挙区25比例代表20を自動的に削減するというものである。

 議員定数を含め選挙制度は、国民の代表となる議員を選出するための制度であって、議会制民主主義の根幹であり、与党の一存で決められるものではない。幅広く国民の意見を集め、それを踏まえた丁寧な議論の上に与野党の幅広い合意に基づいて決めるべきものである。今回、自民・維新両党は、与党でありながら政府の選挙制度改革審議会にはかることも、また衆議院選挙制度協議会での議論をはかることもせずにいきなり2党のみで法案提出をおこなっている。しかもこの法案は「結論ありき」で自動削減を定めるもので、手続の点でも内容面でも議会制民主主義を否定する甚だ乱暴なものである。

 また、この法案については、なぜ1割削減なのか、なぜ選挙制度の改革なしに定数削減のみを行うかなど、何ら合理的な理由、立法事実は示されていない。むしろ現在の議員定数は、日本の歴史からみても国際的にみても少ない状況にあり、定数削減を行う合理的な根拠はない。自民・維新両党は「身を切る改革」を強調するが、「身を切る改革」というのであれば、企業・団体献金の禁止や政党助成金の廃止・減額を行うべきである。

 高市首相は12月3日の参院本会議で、企業・団体献金の見直しを呼びかけられた際に「そんなことより定数の削減をやりましょう。」と答弁し話題をすり替えたが、この答弁に端的にあらわれているように、この法案の狙いは、自民党の裏金問題に端を発した企業・団体献金禁止等の「政治とカネ」改革から論点をずらすこと、そして定数を減らして批判的意見が少なくなるようにするところにある。このような不当な目的で定数削減を行い、主権者・国民の声を切り捨てることは民主主義の観点から到底許されない暴挙というべきである。

 自由法曹団は、自民・維新両党の衆議院議員定数削減法案の提出に抗議し、同法案の廃案を求めるものである。

 

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