2026年4月27日、「武器輸出全面解禁を認める閣議決定に断固反対し、その撤回を求める声明」を発表しました
武器輸出全面解禁を認める閣議決定に断固反対し、その撤回を求める声明
2026年4月27日
自 由 法 曹 団
団長 黒岩哲彦
1 高市政権は、2026年4月21日、国産武器の輸出規制に関する「防衛装備移転三原則」とその運用指針の改定を閣議決定し、これまでのいわゆる「5類型」の制約を撤廃した。5類型とは、救難、輸送、警戒、監視、掃海のことを指し、これまでこの5類型に限って武器輸出が可能とされてきたものが、今般の閣議決定により、殺傷能力や破壊能力の有無にかかわらず、全ての完成武器の輸出が可能となった。
改定された「防衛装備移転三原則」とその運用指針によれば、「自衛隊法上の武器」に該当しない装備品は移転先に制限がなく、戦闘機や護衛艦、潜水艦といった「自衛隊法上の武器」に該当する武器については、国連憲章に適合する方法での使用を義務付ける国際約束を締結している国に対して武器輸出を認め、さらに紛争当事国への武器輸出は原則として禁止しておきながら、例外的に「我が国の安全保障上の必要性を考慮して特段の事情がある場合」には輸出を認めるとしている。
「自衛隊法上の武器」の輸出対象国は、現時点では日本と防衛装備品技術移転協定を締約している17か国とされるが、新たな協定締結により武器輸出の対象国は制限なく拡大しうるため何の歯止めにもならない。また、この協定の締約国である米国は、この間、国連憲章を無視して違法にベネズエラやイランへの軍事攻撃を繰り返しており、日本製の武器がこうした違法な戦争に提供され、人を殺傷する兵器として使用される恐れが極めて高い。
さらに紛争当事国への武器輸出についても、政府答弁では同盟国の米軍が戦闘中にインド太平洋で態勢を維持するために日本の装備品が必要になる場合を想定しているとされ、戦闘中の米軍への支援が「特段の事情」に該当しうるとされている。これは戦争を遂行する米国への兵器供給を日本が担わされることを意味し、実質的に米国の戦争に加担する道を開くものというべきであって到底容認できるものではない。
2 世界で数千万人、日本でも300万人以上が犠牲となった第二次世界大戦の痛苦の経験を踏まえて、日本は、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意」し、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認」して、「国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」と宣言する日本国憲法を定めた。そして、戦争放棄と戦力不保持を定めた憲法9条のもと、日本は、自ら戦争に乗り出さないことはもとより、戦争に近づくことのないよう、紛争当事国等への武器輸出を禁ずる武器輸出三原則と三原則に該当しない地域以外への輸出も慎むとする政府統一見解(三原則と政府統一見解を総称して「武器輸出三原則等」と言われる。)によって、全面的な武器輸出禁止の原則をとってきた。
日本国憲法のもとで日本は、80年にわたって平和国家としての道を歩んできたのであり、武器輸出禁止の原則は、非核三原則等と並んで平和国家を体現する国是というべきものであった。
3 ところが第二次安倍政権下の2014年、政府は武器輸出全面禁止の原則を撤廃して、武器や関連技術の輸出を包括的に解禁する「防衛装備移転三原則」を閣議決定した。この「防衛装備移転三原則」の制定によって、武器輸出禁止の原則が大きく緩められることとなった。
さらに2025年10月に成立した高市政権は、安保三文書改定以降進められてきた大軍拡路線を一層加速させ、経済政策の柱としても防衛力の強化を掲げて防衛力整備の推進や防衛産業基盤強化に取り組むとして、「戦争国家化」の道を猛進してきた。今般の武器輸出全面解禁はこうした「戦争国家化」をさらに突き進めるものであり、国是を完全に放棄して、「死の商人」への道を猛然と突き進む危険な策動と言わなければならない。
また、この閣議決定は、高市政権が狙う憲法9条の改定の先取りであり、平和国家の精神をかなぐり捨て、日本国民の平和のうちに生存する権利を脅かす暴挙であると言ってよい。
4 自由法曹団は、「防衛装備移転三原則」及びその運用指針を改定する今般の閣議決定に断固として反対し、高市政権に対して即時撤回を求める、また、憲法9条に基づく平和国家の精神を回復させるために全力を挙げて奮闘する決意をここに表明する。
以上
