2026年7月21日 「国旗の損壊等の処罰に関する法律」の可決成立に抗議し、運用の監視と法律の廃止に向けた取り組みの継続を決意する声明を発表しました

カテゴリ:声明,憲法・平和,治安警察

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「国旗の損壊等の処罰に関する法律」の可決成立に抗議し、
運用の監視と法律の廃止に向けた取り組みの継続を決意する声明

 

 2026年7月21日

自  由  法  曹  団
団  長  黒 岩 哲 彦

 本年6月16日に自民党・日本維新の会・国民民主党・参政党の4党によって共同提出された「国旗の損壊等の処罰に関する法律案」(以下、「国旗損壊罪法案」あるいは「本法案」という。)は、本年7月17日に参議院で可決、成立した。
 国旗損壊罪法案は、「国旗及び国家に関する法律」に定める国旗として用いられていると社会通念上認められる有体物を、人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法により、公然と損壊、除去、または汚損する行為を処罰の対象とするものである。しかし、以下で述べる通り、本法律は憲法が保障する基本的人権、とりわけ憲法21条の表現の自由および同19条の思想・良心の自由を侵害するものであり、また、罪刑法定主義を定める憲法31条にも反する違憲立法であり、到底許されるものではない。

2 表現の自由を侵害する 
 まず、国旗を損壊等する行為は、政府や国家政策に対する批判や抗議の意思表示である場合が多く、これを処罰対象とすることは、いわば憲法21条で保障される政治的表現の自由に対する侵害になる。また、「国旗」の範囲や「社会通念上」といった曖昧な構成要件を用いているがゆえに、どのような行為が処罰対象となるか事前に分からず政府への批判や抗議を示す政治的表現を委縮させることにも繋がりうるもので許されない。

3 思想・良心の自由を侵害する
 また、国家が刑罰によって「国旗を大切に思う国民感情」を保護することは、国家として国旗を大切にしなければならないというメッセージを社会に与えることになる。しかし、国旗である「日の丸」は戦前の侵略戦争を行った軍国主義の象徴であり(この点は刑事法研究者の声明でも「日本には侵略戦争をした過去がある、特にアジアには『日の丸』がその象徴だと思う人がいるのは当然であるし・・・ネガティブなイメージを持つ人がいる」とされている。)、日の丸に対する忌避感情を持つ市民も少なくない中で、「国旗を大切に思う感情」という極めて曖昧な概念を刑罰によって醸成しようとすることは、全体主義国家への回帰であり、思想良心の自由を侵害するもので許されない。

4 罪刑法定主義に反する 
 そもそも「社会通念上」とか「人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法」という極めて曖昧な構成要件では、どのような行為が犯罪を構成するのか明確ではなく、憲法31条の罪刑法定主義に反する。
 また、「不快」「嫌悪の情」といった主観的かつ抽象的な構成要件は、捜査機関による恣意的解釈による適用の拡大のおそれもあり、かかる点からも憲法31条の適正手続きの保障を害するもので許されない。

 本年6月23日、自由法曹団は「『国旗の損壊等の処罰に関する法律』の制定に反対し、同法律案の廃案を求める」声明を発表したが、今般可決成立した国旗損壊罪法は同声明や上記で述べた危険性をいずれも払拭するものではない違憲立法である。
 ただし、附帯決議で「特に政治的意見表現や芸術的意見表現を含む国旗の使用への萎縮効果等を生じさせないようにすることに留意」、「『表現の事由その他の日本国憲法の保障する国民の事由と権利』として正当に保障される国旗への表現やメッセージの記載は…該当しないことを遵守して運用すること」、「『表現の自由その他の日本国憲法の保障する国民の自由と権利』に十分配慮すること」など複数の注意が付された点は、いずれも憲法上当然のことであるが、敢えて国会が政府に課した制限として、厳しく遵守されるべきである。
 自由法曹団は、国旗損壊罪法の可決、成立に強く抗議するとともに、同法によって市民の権利侵害・弾圧がおこなわれることのないよう運用を監視し、同法の廃止のために引き続き市民とともにたたかう決意を表明する。

 

           

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