共同親権における問題点のポイント(4月25日参議院法務委員会まで)

カテゴリ:子ども・教育

共同親権における問題点のポイント(5月7日参院法務委員会まで)

離婚後共同親権を導入する民法改正について、5月7日参議院法務委員会での質疑から問題点をまとめました
 

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日付/会議名 質問者 質問要旨 答弁要旨 問題点 論点等
※論点等の種類
①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
②共同行使を支援する制度が欠落した下での非合意型共同親権における紛争
③子に関する重要事項を決定できないおそれ
④子を高葛藤の父母の間に起き続ける事案の増加のおそれ
⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
⑥関係府省庁での検討不十分
★報道等において、よく誤解される点
令和6年3月14日衆議院本会議 米山隆一衆議院議員/斎藤アレックス衆議院議員 離婚時において、共同親権を原則としないものか。 一義的に答えることは困難。子の利益の観点から最善の判断をすべき。 原則かどうか答えておらず、原則になる危険性がある。原則ではないことが明らかになるような修文が必要。819条7項、824条の2等の規定の仕方からは、夫婦間のDVやの子の心身への害悪等の例外的事情が認められない場合には共同親権が原則とされると読める内容であり、共同親権が原則とされる、すなわち単独親権を求める側が例外的事情の証拠を提出できない限り共同親権とされる危険性がある。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
④子を高葛藤の父母の間に起き続ける事案の増加のおそれ
令和6年3月14日衆議院本会議 米山隆一衆議院議員 離婚後共同親権の場合、母と子が引っ越しする際、離婚している父親の同意は必要か。 必要。 子の居所指定を単独で行うことができる「急迫の事情」の時期の切迫性の時点・内容が不明確である。具体的には、単独での親権行使(子の居所指定)ができる「急迫の事情」(824条の2第1項3号)の内容が不明確であり、離婚後共同親権下であってもDV・虐待・支配等の加害が継続あるいは再燃した事例において、子を連れて避難することが違法とされうる(婚姻中の共同親権下の子連れ別居の場合も同様。)。例えば、(婚姻中)1か月前に夫が妻の顔を殴った。夫を恐れて離婚を切り出せず夫が出張で不在になる機を待って子連れ別居した場合、「急迫の事情」があるといえるのか。殴られたのが3ヵ月前の場合、1年前の場合はどうか。いずれも不明である。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
④子を高葛藤の父母の間に置き続ける事案の増加のおそれ
令和6年3月14日衆議院本会議 米山隆一衆議院議員 離婚後共同親権の場合、「急迫の事情」(民法改正案824条の2第1号3号)について、受験の願書が翌日に迫っているとき、母親の同意だけで願書を提出できるか。 受験願書の提出期限が翌日に迫っている場合は、あたる。 「急迫」の時的限界が不明であり、受験校の決定が直前まで決まらず、子のメンタルに悪影響が生じる恐れがあり、子の福祉に反する危険性がある。父母とも単独で決定できるのであるから、競合する場合がある(父も母も「急迫」だとして、父はA校への出願を単独で希望し、母がB校への出願を単独で希望した場合にはどうなるのか不明である。このような、単独親権行使できる「急迫の事情」または「監護または教育に関する日常の行為」における父母競合の問題は他の場面でも当然生じる。) ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年3月14日衆議院本会議 米山隆一衆議院議員 離婚後共同親権の場合、ある種の小児の心臓手術のように、2か月から3か月程度の範囲で手術日を選ぶ場合、「急迫の事情」がるとして母親の同意だけでよいのか。 直ちにあたらない。協議等ができずに手術日が迫ってきた場合は、当たりうる。 「急迫の事情」の判断基準が不明である。結果として医療機関では、トラブルを避けようと子への対応に父母双方の署名を求める場面が増え、臨床現場に過大な負担をかけることになり、適時適切な医療の実現の妨げになるし、両親の意見が食い違った場合、困難な立場に医療機関が置かれる。手術日が迫ってきた時期に手術の申込みと取り消す意思表示が単独でなされた場合の該当性が不明。
3か月後に手術をする予定で、現時点では父母の同意は無いが手術予定日を仮押さえする対応を病院が行うことが可能か。父母連名の同意書を手術日程をおさえるということでは、適時適切な医療が受けられず、子の生命・身体に危険が生じうる。手術前提の検査をするためには、早い段階で手術同意書の提出が必要になるところ、2、3か月前では「急迫の事情」にあたらないとされ、手術前提の検査が行われない危険性がある。
医療ネグレクトに該当する危険性がある。
③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年3月14日衆議院本会議 米山隆一衆議院議員 精神的DVや経済的DVも必要的単独親権の理由となるか。 事案による。 現時点で、具体的な判断基準が不明。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年3月14日衆議院本会議 米山隆一衆議院議員/斎藤アレックス衆議院議員 家庭裁判所は、現状でも家事事件についてパンク気味であるが、現在の家庭裁判所は、新たな複雑な判断を十分にできる体制が整っているのか。裁判所の体制が整っていないなら、いつまでに、どういった方法で整備するのか。 最高裁判所において適切に判断されるべきものであり、適切な審理が行われるよう対応される。 家庭裁判所の現実の人的体制、物的体制が不十分であることについて、何ら対応するとは回答していないため、家庭裁判所の機能拡充がなされず、子の利益が害される危険性がある。
家事調停事件既済事件の平均審理期間:7.2月(総数)(最高裁判所事務総局「令和4年司法統計年報概要版 3 家事編」(令和5年8月)6頁・表6) ※裁判所職員定員法 判事以外はむしろ減っている現状で、もし、この改正案が成立したら人的体制を整備するといったってあまりに非現実的だろう。既に過労を背景に病気休職が増えているのは全司法指摘の通り。裁判所職員定員法新旧対照表 https://www.moj.go.jp/content/001388498.pdf
⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年3月14日衆議院本会議 米山隆一衆議院議員 これまで単独親権だったが、共同親権が可能になると、離婚後に親権を得られなかったことに納得していない親が、親権変更の調停を申し立てることが予想されるが、DV等を受けて離婚して生きている親にとって悪夢となるが、どのような対策があり、どの程度防げるのか。 子の利益のために必要な場合に限定しており、かつ、DVや虐待の場合のほか、父母が共同して親権を行うことが困難である場合には変更できないとしている。 具体的な対策について言及はなく、どの程度防げるかについても明確に回答していない以上、具体的な対策が講じられていないといわざるえない。「子の利益のために必要」か否かの判断基準として819条8項に定められている諸事情が「子の利益」とどのように関係するか不明確であり、日本において最も多い、調停によらない、公正証書も作成せずに離婚届を出したのみの離婚のケースでは、容易に単独親権から共同親権への変更が認められうる。※家庭裁判所が実際にDVや虐待を見抜けずスクリーニングできていなかった実態があるのに、その検証と対策が法制審でも全く無視された。2012年細矢論文以降、大原則面会交流実施となり、DV虐待被害者に大変な無理を強いたからこそ、裁判所も後にようやく方針を転換するに至ったのである。細矢論文以降の家裁の問題については、小魚さかなこ弁護士(岡村晴美弁護士)のこのツリー等参照 https://twitter.com/KSakanako/status/1521823166653366273  これと同様に、家庭裁判所がDVや虐待を適切に除外できないことはおおいにあり得る。身体的DVだって証拠が不十分なことは珍しくないが、精神的DV,性的DVなど証拠が残りにくい。そもそも、数年前の離婚前のDVの証拠など既に破棄していて証拠がないということも多いはず。また、協議離婚にも多数のDV事案があることについて無策すぎる。家庭裁判所に持ち込まれないDV離婚案件が多いのに、家裁での対策ばかりいってもダメ。本当に共同親権を導入するなら、協議離婚制度自体の抜本的改革もセットでなくてはならないはず。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられてい
②共同行使を支援する制度が欠落した下での非合意型共同親権における紛争
⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年3月14日衆議院本会議 本村伸子衆議院議員 新たな紛争の多発が懸念されるが、どう対応するのか。 不必要な紛争が多発するとは考えていない。 紛争が増えることについて、「不必要な」という形容詞をつけることで、紛争が増加する問題を直視しない回答である。紛争が多発の懸念があることは明白。①数年前に離婚した元配偶者から、共同親権変更希望を申し立てられた場合、家裁に申し立てる必要がある。②監護の分掌について父母で意見が一致しない場合、家裁に申し立てる必要がある。③離婚後に子の氏を変更し、復氏した母と同じ氏にしようとしたら父が反対した場合、家裁に申し立てる必要がある。④離婚後に監護親母が再婚し、再婚相手と子を養子縁組しようとしたら父が反対した場合、家裁に申し立てる必要がある。⑤コロナワクチンの接種をさせたい母と、させたくない父で意見が一致しない場合、家裁に申し立てる必要がある。⑥歯列矯正をさせたい母と、反対する父で意見が一致しない場合、家裁に申し立てる必要がある。⑦留学のためパスポートを取得したいが、留学に反対する一方の親が取得に同意しない場合、家裁に申し立てる必要がある。 ②共同行使を支援する制度が欠落した下での非合意型共同親権における紛争
③子に関する重要事項を決定できないおそれ
⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年3月22日参議院法務委員会 仁比聡平参議院議員 法制審家族法制部会の棚村政行委員による共同親権が望ましい場合と単独親権がよい場合の基準や運用につき十分な議論ができなかったとの発言、戒能民江部会委員がDV被害者の安全確保が後退しないか強い懸念を持っているとの指摘、殴られてすぐに逃げない場合に、子どものことを考えて、夏休み等まで待って秘密裏に家を出ることは「急迫の事情」に含まれるのか疑義があり、コンセンサスが得られてないのでは。 完璧というわけにもいかないが、ベストを尽くした。足りないものがあれば、補う。
「急迫の事情」が認められるのは加害行為が現に行われているときやその直後のみに限られず、加害行為が現に行われていない間も「急迫の事情」が認められる状態が継続しうると解釈することができる。
法制審家族法制部会の委員からも議論が不十分であるとの指摘、「急迫の事情」の該当性とDV被害者の安全確保の懸念から重大な疑義が呈されており、対策や議論が不足している。「急迫の事情」が認められるのは加害行為が現に行われているときやその直後のみに限られず、加害行為が現に行われていない間も「急迫の事情」が認められる状態が継続しうると解釈することができるというが、一般的にそういった事態のことを「急迫」とは言わない。修文する必要がある。具体的に、継続しうるとあるだけで、どの程度。認められるのか不明である、「急迫」の文言が一人歩きして、限定的に解釈される危険性がある。 ※非合意型共同親権の導入がされることも大問題。どのような場合に、父母に共同親権の合意がないのに裁判所が共同親権を命じることが適切かについて、法制審での議論はわけがわからない。法制審小粥太郎委員発言 https://twitter.com/katepanda2/status/1760241780325597671 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
④子を高葛藤の父母の間に置き続ける事案の増加のおそれ
令和6年3月22日参議院法務委員会 仁比聡平参議院議員 子の利益を見極めるためには基準や運用を明らかにする必要があるのではないか。 親権者、保護者等の合意や関与が必要とされる事項につき、本改正法の影響の有無は、一時的には法令を所轄する関係各省庁等において検討されるべき事柄であり、法務省において、運用の基準を明らかにすることは困難。 法案の前提となる運用の基準が検討されず、他省庁に下駄を預けており、子の利益に反する運用がなされる危険性について十分な検討がなされていない。 ⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年4月2日衆議院法務委員会 大口善徳衆議院議員 「急迫の事情があるとき」の具体例は。 入学試験の結果発表後の入学手続のように、一定の期限までに親権を行うことが必須であるような場合、DVや虐待からの避難が必要である場合、緊急の医療行為を受けるため医療機関との間で診療契約を締結する必要がある場合。 従前の基準の不明確さの問題が解決されず。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月2日衆議院法務委員会 大口善徳衆議院議員 監護及び教育に関する日常の行為の具体例は。 例えば、その日の子の食事といった身の回りの世話や、子の習い事の選択、子の心身に重大な影響を与えないような治療やワクチン接種、高校生が放課後にアルバイトをするような場合。 子の心身に重大な影響を与えないような治療やワクチン接種の具体的な内容が不明。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月2日衆議院法務委員会 大口善徳衆議院議員 省庁横断的な連携協力体制を構築すべきではないか。 本改正案が成立した際には、その円滑な施行に必要な環境整備を確実かつ速やかに行うべく、関係府省庁等と連携協力体制の構築に向けて具体的な検討を進める。 省庁横断的な連携協力体制の具体的な構築のための検討がなされていないところ、人的、物的体制の強化は、2年では間に合わない(例:裁判官、家庭裁判所調査官の採用、研修等)上、「親権者のできること」という見地から、e-GOV法令検索システムで、「親権」、「未成年」、「十八歳未満」の単語で条文を検索した法律(左記各単語順で、38本(346箇所)、149本(922箇所)、43本(134箇所))と膨大であり、2年では到底、具体的な検討が間に合わない。 ⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年4月2日衆議院法務委員会 枝野幸男衆議院議員 子が慢性的な病気手術が必要だが、早く手術した方がいいケースで、父母がなかなかコミュニケーションが取れない場合、「急迫の事情」にあたるか。 手術の緊急性如何である。 「急迫の事情」からだと、明確な基準が読み取れない。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月2日衆議院法務委員会 枝野幸男衆議院議員 離婚後共同親権の下、子の修学旅行先が海外である場合、改正案824条の3に基づいて、子の教育の範囲として、監護権者が単独でパスポートの取得できるか。 【法務省】
実務的にどうかは、旅券法の解釈、適用の問題になるので、外務省であり、法務省から答弁することは差し控える。
※数回速記中止
パスポートの申請、取得に関し、基本的には、共同親権の場合には父母共同で行う必要がある。

【外務省】現状においては、旅券発給申請の法定代理人署名欄に一方の親権者の署名を求めている。他方、本改正案の議論を踏まえて、本改正案の解釈に基づき、今後、未成年者の旅券取得について、適切な手続を定めていきたい。

【法務省】外務省に下駄を預け、正面から答弁していない。
実務上、多く生じるであろうケースであり、かつ子の利益に多大な影響のある海外修学旅行や留学に際して、基準が不明確である。
監護と教育の範囲と法定代理行為について、混乱が見られる。

【外務省】本改正案の解釈に基づく未成年者の旅券取得について、現時点で具体的な手続きについて定めておらず、実務上混乱を来す。

「親権者のできること」という見地から、e-GOV法令検索システムで、「親権」、「未成年」、「十八歳未満」の単語で条文を検索した法律(左記各単語順で、38本(346箇所)、149本(922箇所)、43本(134箇所))と膨大であり、公布後2年以内に施行では到底、具体的な検討が間に合わない。

③子に関する重要事項を決定できないおそれ
⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年4月2日衆議院法務委員会 枝野幸男衆議院議員 父母の協議が調わないとき、改正案の八百二十四条の二、三項で、家庭裁判所が単独行使を認めることができる手続は、家庭裁判所において、保全処分や逮捕状発布手続のように即座にできるか。 現時点で法改正後の裁判所の運用について具体的に申し上げることは困難。改正された場合、今後、そのような場合も想定しながら、改正法施行後の運用に関する大規模庁での集中的な検討、全国規模での検討会の機会を設ける等。 現時点では、裁判所の迅速な手続ができるか不明であり、検討もしていない準備不足、検討不足の状態であって、公布後2年以内に施行では、到底間に合わない。本来は、その体制如何で、本法律案の実質的な評価が決まるのであって、重要な部分について、決まっていないことに本質的な問題があり、まさに、生煮えの法律案である。

⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年4月2日衆議院法務委員会 枝野幸男衆議院議員 医療行為やパスポートを取る等、日常の範囲がどこまでか分からないから、どこまで確認する必要があるのか混乱が生じるがどうか。 親権の単独行使が許容される範囲について、関係府省庁等とも連携して、適切かつ十分な周知、広報に努めたい。 現時点で、連携していない。「親権者のできること」という見地から、e-GOV法令検索システムで、「親権」、「未成年」、「十八歳未満」の単語で条文を検索した法律(左記各単語順で、38本(346箇所)、149本(922箇所)、43本(134箇所))と膨大であり、公布後2年以内では到底、具体的な検討が間に合わない。そもそも、子の利益を考えた制度設計であれば、まずは、他の法律との関係で、子の利益に反しないかどうかを検討すること先決である。 ⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年4月2日衆議院法務委員会 道下大樹衆議院議員 学校や病院に対する濫訴の防止策は。 現行法においても、不当な目的でみだりに調停の申立てがなされた場合には、調停手続をしないことによって事件を終了させる。
本改正案では父母相互の協力義務を定めているところ、不当な目的でなされた濫用的な訴え等については、個別具体的な事情によってはこの協力義務に違反するものと評価されることがあり得る。このことがそのような訴え等の防止策になる。
学校や病院に濫訴等の防止策が何かという問いに対する回答になっていない。
学校や病院において、困難な判断を強いること、法的リスクを回避すべく、子の利益に反する取扱いがなされる危険性がある。
実効性のある、具体的な防止策ではない。すなわち、民事訴訟上の訴権の濫用は、実務上、極めて例外的にしか認められないものであるという認識がまったくない。
③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月2日衆議院法務委員会 道下大樹衆議院議員 元配偶者の両親や元配偶者を弁護した弁護士を被告にするリーガルアビューズの実態について、調査をしたことがあるのか。 シングルマザー・ファーザーのうち、11%が法的な手続を悪用した嫌がらせを受けたことがある。
祖父母や弁護士に対する乱訴について調査したものはない。
悪用の実態があるにもかかわらず、具体的な対策がない。

祖父母や弁護士に対する濫訴によるシングルファーザーやシングルマーザーの応訴の煩、時間的・精神的負担等により、真に子の利益に即した解決に至らないリスクを考慮すべきである。

特に、DV被害者に寄り添う弁護士に対する業務妨害や不当な濫訴・懲戒請求が生じている実態があるところ、これらにより、子の利益を図る代理人の業務に支障が生じ、その結果、子の利益に反する結果を招来させるおそれがある。

①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年4月2日衆議院法務委員会 道下大樹衆議院議員 フレンドリーペアレントルールを定めたものではないという認識でよいか。 フレンドリーペアレントルールは、これは様々な意味で用いられているため、一義的にお答えすることは困難。 定義を明らかにした上で、回答しておらず、不明であり、フレンドリーペアレントルールの問題を回避する実効性のある対策が取られない危険性がある。

※フレンドリーペアレントルールとは、他方の親と友好的な関係をとろうとしている親、他方の親との面会交流に「協力的」な親の方が親権者として的確だと判断する考え方。この考え方の結果、DV・虐待を理由とした面会交流の拒否を躊躇させることにつながりうる。

①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年4月2日衆議院法務委員会 道下大樹衆議院議員 単独親権か共同親権かの確認方法や、双方の意思が一致しなかった場合の調整方法について、厚生労働省はどのような事態と対策を想定しているのか。 【厚労省】個別の事情に即して判断されることになるため、一概に答えることは困難。父母双方が親権者であることは来院した親に確認を取り、双方が親権者である場合には、同意を取得できていない親に対して、事情を説明した上で同意書を送付する等の対応が考えられる。厚生労働省としては、今後、法務省とも相談しながら、医療機関に対して適切に今般の制度趣旨等の周知する。 急迫ではないが、そのような対応ができない場合の具体的な方策が決まっていない。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年4月2日衆議院法務委員会 道下大樹衆議院議員 急迫の事情がある場合の対策は。 【厚労省】明確にどういう場合が緊急かというようなものは示したものはない。そういった実態を踏まえまして、今後、法務省とよく相談しながら、医療機関に適切に示す。 具体的な対策が決まっていない。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年4月2日衆議院法務委員会 本村伸子衆議院議員 留学のためのパスポートを取得したいが、留学に反対する一方の親が取得に同意しない場合、家裁に申し立てる必要があるということ等の紛争は本法律案によって多発していくことになるのではないか。 必要な判断、必要な件数の増加は当然あり得る。必要な判断と不必要な紛争はやはり分けて考えなければいけない。 必要な判断が増えるということは、紛争が増えるということであるところ、現状、その判断をする家庭裁判所の人的・物的体制が不十分であるために、子の利益に反する結果をもたらす危険があるということである。今後、具体的にどのような体制を構築するかによって、本法律案の評価が変わりうるのである。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月2日衆議院法務委員会 本村伸子衆議院議員 離婚後、共同親権になった場合、その子に合う薬を決めるために、何度も薬を試すために変えなければいけない場合、その都度、元配偶者の合意が必要なのか。
特別支援学校にするのか、特別支援学級にするのか、別の学校の特別支援学級にするのか、普通学級に、そして通級にするのかとか、一年かけて相談しながら決めることも、その子の日常の様々きめ細かい状況も把握していない別居親の合意が必要なのか。
子が日常的に使用する薬で、その心身に重大な影響を与えないようなものの選択は、監護又は教育に関する日常の行為に当たり、同居親が単独で決定することができる。子の進学先の選択や特別支援学級への進級等の決定は、基本的には父母が共同して行うことになる。 急迫ではなくて、一年かけて相談しながらその子の特性に合った学校を選ぼうと努力をされているが、通常その子の様子をきめ細かく把握していない別居親の合意が必要だということになれば、様々な、子の利益に反することが出てくるのではないか。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 慶應義塾大学名誉教授犬伏由子   家庭裁判所の役割が増大することが見込まれ、これに伴い、家庭裁判所の人的、物的整備、充実が必要で、予算措置が講じられるべき。 家裁の人的・物的体制が不十分である。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 慶應義塾大学名誉教授犬伏由子   例えば、東京家庭裁判所の裁判官一人当たりの担当事件数は五百件と言われている。 裁判官不足である。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 慶應義塾大学名誉教授犬伏由子   東京家裁の調査官の数は百十名、首席調査官一名、少年事件担当調査官が三十名、家事事件担当が七十九名で、家事事件の担当でも、成年後見事件、遺産分割担当もおり、七十九名の家事事件調査官全て子の監護の事件を担当するわけではない。 調査官不足である。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 慶應義塾大学名誉教授犬伏由子   地裁、家裁の兼務、裁判官が常駐していない支部、調査官が常駐していない支部もある。子の監護事件に調査命令が出された事件の割合は、調査官常駐庁では四四・五%だが、非常駐庁では三七・一%と、開きがある。 支部の人的体制の不足は、深刻である。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 慶應義塾大学名誉教授犬伏由子   子供の意見聴取や試行的面会交流を実施するためには児童室が必要だが、児童室が設置されていない庁舎もある。 家庭裁判所の物的体制が不十分である。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 慶應義塾大学名誉教授犬伏由子   調停室が不足し、次回期日を先延ばしにせざるを得ない場合があること、当事者である申立人及び相手方双方の待合室が不足して、廊下などに長椅子を置いて待機する状況があること、例えば、特に配慮を必要とする事案で難儀する。 同上。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 慶應義塾大学名誉教授犬伏由子   手続代理人の選任件数が少ない状況で、子の手続代理人の報酬についての公的助成も必要。 同左。 ②共同行使を支援する制度が欠落した下での非合意型共同親権における紛争
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 慶應義塾大学名誉教授犬伏由子   家事事件手続法百五十二条の三に、審判前の親子交流の試行的実施の規定が新設され、これに対応する面会交流試行室の拡充が必要となる。 物的体制が不十分である。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) #ちょっと待って共同親権プロジェクトチームリーダー斉藤幸子   妻は配偶者によるストレスで重度のうつであり、障害のある子供の監護に悪影響になるので、面会の負担を考慮すべき、子どもは障害の状態から、面会交流は控えるべきとの診断書に対し、調停委員や裁判官は、それは離婚事由で、面会では理由になりませんねと言い、調査官も、子供に障害があっても、親がうつでも、面会には関係ないと述べた。 DV被害者についての調停委員、裁判官、調査官のの能力、資質が不十分である。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) #ちょっと待って共同親権プロジェクトチームリーダー斉藤幸子   離婚後共同親権導入の法案が成立し、施行されたなら、別居親の同意を得るために裁判をし続けなければならない。肉体的にも、精神的にも、経済的にも更に追い込まれる。本来であれば、その時間、お金を子どもに費やしたい。 紛争の増加による、DV被害者の被害や子の福祉に反する結果を招来させる危険性がある。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
②共同行使を支援する制度が欠落した下での非合意型共同親権における紛争
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) #ちょっと待って共同親権プロジェクトチームリーダー斉藤幸子   父母が合意できない場合でも、家裁が共同親権を決定できる内容になっているが、同居中ですら意見が合わない夫婦が、家裁に強制されて親権を共同行使できるのか。子どものためにと意見を合わせられるのか。 非合意型共同親権のケースにおいて子の利益のための意思決定ができるのかどうか疑義がある。 ②共同行使を支援する制度が欠落した下での非合意型共同親権における紛争
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) #ちょっと待って共同親権プロジェクトチームリーダー斉藤幸子   離婚後も、子供の進学、海外旅行、ワクチン接種や病院での手術など、子供の成長の節目節目で別居親の同意が必要になるが、どこが子どもの利益になるのか。 子の利益といいながらも、具体的なケースに基づいて、どのような点で、子の利益に資するのか、あるいは、子の利益に反するのかが検討されていない。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) #ちょっと待って共同親権プロジェクトチームリーダー斉藤幸子   離婚後共同親権が導入されれば、加害者は共同親権を交渉材料に利用して、離れてもDV、虐待が続き、逃げ場がなくなる。離婚協議の現場では、2年後に法が施行されたなら共同親権を主張してやると言われている当事者もいる。 DV被害者の保護、濫訴等の具体的な対策が必要である。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) #ちょっと待って共同親権プロジェクトチームリーダー斉藤幸子   急迫の事情がない限り、子の居所指定、つまり引っ越し先を夫婦で一緒に決めなければならないが、DV被害当事者が子を連れて避難することができなくなるのでは。離れたい相手からの許可を得てから逃げるなど、あり得ない。 継続した暴力に耐えられなくなり、ある日逃げようと決意した際に、着のみ着のまま逃げる人もいるが、多くは、子どもの安全を確保するため、計画した上で逃げるものの、計画して逃げる場合も急迫に当たるのか不明。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
④子を高葛藤の父母の間に置き続ける事案の増加のおそれ
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) #ちょっと待って共同親権プロジェクトチームリーダー斉藤幸子   DV被害者らの支援についても心配がある。両方の親が親権を持っている場合、相手の同意があるかどうかをめぐったトラブルを避けるため、学校や病院、行政や警察を含む支援機関が及び腰になることも予想される。親権の共同行使が明確化されると、支援関係の方々が親権の侵害だと訴訟を起こされ妨害を受けた結果、DV被害者と子供たちは誰も頼れず、孤立させられる。 同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 柴山昌彦祝儀委員議員→犬伏参考人 裁判所は、適切にDV、DVのおそれ、虐待について判断できるのか。 リスクアセスメントであるとか、DV、児童虐待について十分にそれを判断するというところまでスクリーニングができているかというと、まだそこまで行っていないかもしれない。 裁判所の判断能力に現状、問題がある。  
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 本村伸子衆議院議員→山口参考人 拙速な場合、新たな人権侵害、命のリスクが起こってしまうのではないかと危惧しているがどうか。 DVに対する日本の制度は足りていない。これは裁判だけではなく、協議中、同居中ですとか別居中においても、被害者が安全、安心に暮らせるようにするには、裁判以外でも何か制度をつくらなければいけない。 DV被害者保護の制度が不十分である。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 本村伸子衆議院議員→斉藤参考人 同上 六年間の間に十六個の裁判を起こされた人がいる。裁判官、診断書を書いた医師を訴えたりすることもある。助けてくれた人が訴えられることは、そのうち誰も助けてくれなくなるのではないかと思うと、絶望的に苦しい思いをする。 濫訴の具体的防止策が必要である。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 原田直子弁護士   外国では共同親権と言われるが、親権ではなく親責任とか配慮義務が主流である。親権という言葉が残り、包括的な子に対する親の権利があるかのような誤解を生む危険性がある。 権限は、義務を遂行するために必要な範囲での権限であるべきで、親権という言葉を使わなくても、例えば、居所指定権とか法定代理権とかいう形で、権限ごとに明確にすればよいのではないか。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 原田直子弁護士   「その子の人格を尊重するとともに」となっているが、子の意思の尊重という言葉にはなっていない。子どもの権利条約の表現と合わせて、子の意思の尊重という言葉を入れるべきである。 同左。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 原田直子弁護士   フレンドリーペアレントルールとは、相手の親と友好的な関係を築くべきというもので、別居、離婚の理由が、DVや精神的ハラスメントをしているような親であっても、年間百日面会交流させると主張した親に親権者を与えるといった極端な判決に見られるような考え方である。毎日のようにどなられたり、監視されたり支配されたりしていたDV被害者に、子供のためとはいえ、友好的な関係を築けと言えるのか。 このルールは、DV加害者に親権をよこせと言うためのルールにほかならないので、解釈上のみならず、法文上もこのルールを採用したものでないことを明らかにしておく必要がある。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 原田直子弁護士   八百二十四条の二、親権の行使について、共同か単独かは、どちらが原則でもない。つまり、共同が原則ではないということを条文上も明確にしていただきたい。 同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 原田直子弁護士   子供を連れた別居ができなくなれば、危険にさらされるのはDV等の被害者と子供である。急迫との言葉は狭過ぎるので、その文言を変えていただきたい。 同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
④子を高葛藤の父母の間に置き続ける事案の増加のおそれ
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 原田直子弁護士   DVは立証が難しいという問題がある。DVは、家庭内という狭い空間で行われ、被害者も自分がDVを受けていると分からないまま体調が悪化したり、病気になる人もいる。加害者から離れて初めて異常なことだったと分かる場合もある。とすると、そもそも証拠を確保することが難しい。かかる場合にも、証拠がないからといって、子を連れて避難できなかったり、裁判所により共同親権を強制されたりすれば、被害者はおろか子も大変つらいことになる危険性がある。したがって、家庭裁判所の充実と科学的知見を備えた専門家の配置が必要となる。 同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 原田直子弁護士   日常行為というものの範囲が明確ではない。日常行為が何かということをめぐって争いになる危険性がある。それぞれの親が、それぞれ勝手に、子どもの習い事とかの契約をすることになり、子の利益に反することになりかねない。学校や医療機関など第三者は、父母の同意を得る具体的方策が不明である。クレームを恐れてあらゆる場面で父母の同意を求めるようになれば、子どもは当たり前の教育や医療も受けられなくなる危険性がある。 同左。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 原田直子弁護士   共同親権でも、監護者を決めて、共同親権者の意見が分かれたときに、家庭裁判所に行かなくても決めることができる人を決めておくということも、子供が生活上の不自由を来さないという意味で重要ではないか。 同左。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 原田直子弁護士   一方の親が反対するということは、拒否権を与えるということである。裁判所を経なければ何も決められなくなり、一番困るのは子どもである。
日本の裁判所は、非常に人的、物的な体制が整っていない。
同左。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 原田直子弁護士   附帯決議でも述べられているが、現在、二百三ある支部のうち、四十四の支部に裁判官が常駐していない。大規模庁でも事件の審理に時間を要し、調停では裁判官がかけ持ちしているので、なかなか進行しない。 同左。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 岡村晴美弁護士   DV被害者に対して誘拐罪での刑事告訴や民事裁判、被害者側弁護士に対する懲戒請求、自分こそが連れ去られ被害者である旨をSNS等で発信し、配偶者や子ども、その親族の写真や個人情報を公開するなど、加害行為が別居後にも終わらず、むしろ復讐にも近い形でエスカレートするケースが増えている。 同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 岡村晴美弁護士   海外ではポスト・セパレーション・アビューズと呼ばれる。日本においても非常に深刻な被害が生じているが、世間に知られていない。離婚後も子供を紛争に巻き込み続ける危険性について真摯に受け止める必要がある。 同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
 
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 岡村晴美弁護士   二〇一〇年代以降、家庭裁判所は、面会交流について積極的に推進してきた。二〇一一年の民法改正で面会交流が明文化され、二〇一二年、裁判官が論文を発表すると、面会交流は原則実施論と呼ばれる運用となった。調停の席で、どんな親も親は親、虐待があったからこそ修復をしていくことが子どものためという説得がなされ、DVはもちろん、虐待も、子の拒否すらも軽視されて、同居親にとっても子供にとっても非常に過酷な運用がなされてきた。 同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 岡村晴美弁護士   法制審議会では、二〇一〇年の調査に基づいて、離婚直後は紛争が激しいが、三年とか五年で落ち着いてくるということが紹介されていたが、二〇一一年以降、実務は様変わりしている。 同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 岡村晴美弁護士   面会交流は子供のためによいものという推定の下、DVや虐待などの不適切ケースは調査によって除外できるという考えで、弊害を生じさせてきた。共同親権制度の導入を考えるときにも参考にすべき経験である。親権の共同は子どものためによいもの、そういう推定に基づいて原則共同親権と解釈することは、子供の利益を害する。 同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 岡村晴美弁護士   離婚後共同親権は、同居している監護親が一人で決めることができなくなるということであり、他方の親に拒否権を与えることになる。単独行使ができるのか、単独で行使すると違法になるのかというのが共同親権問題の正しい捉え方である。父母の意思疎通の困難さを軽視して共同親権を命じれば、子に関する決定が停滞し、裁判所がDVや虐待を見抜けずに共同親権を命じれば、DVや虐待の加害が継続することになるということを深刻に捉える必要がある。 同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 岡村晴美弁護士   子どもにプラスになるという意見は、子供の養育に共同していく意識が醸成されるという理念的なものにとどまるのに対し、子どもにマイナスになるという意見は、保育園入園妨害など、子の福祉に反する状況が発生する、養育親が進学や病気の際に速やかに方針決定できないなど、子どもの生活に直結している。 同左。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 岡村晴美弁護士   親権制度が適用された場合、同居中であっても別居後であっても、他方の親の許可が必要となり、許可を取らなければ違法とされ、慰謝料請求されるということになる。
これを抑止する手当てがない。ポスト・セパレーション・アビューズの武器が無限に加害者に与えられる。対策なく法改正されることになれば、家族法は、ストーカー促進法、嫌がらせ支援法となりかねない。
同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 岡村晴美弁護士   裁判所の人的、物的の資源の拡充もなく、規定が先行することに対しても大きな懸念がある。現在でも家裁はパンクしている。二か月に一回も期日が入らない。 同左。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 岡村晴美弁護士   現場の感覚で、裁判官、調査官の増員は二倍、三倍では足りない。過重な事件を抱えた家庭裁判所が迅速に審理を進めようとすれば、原則共同親権の運用に流れ、説得しやすい方、つまり弱い方に痛みが強いられ、子供やDV被害者の意見が封じられる危険性がある。 同左。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 斉藤洋明衆議院議員→大村参考人 DV事案への対応は。 DVについてやはり、見えない問題があるというのはそのとおりで、そういうふうな問題はあろうかと思う。これについては、調査官の増員等を図るなどによって実態の把握に努めるということが望まれる。 裁判所が適切にDV事案を把握して、適切な判断ができない現状がある。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 本村伸子衆議院議員→岡村参考人 一人一人の子供の最善の利益に関して、今現状ではどういうふうに判断されているのか。 (面会交流について)事細かく最初に決めると二つの弊害があって、一つは、それに従わせるのは子どもであり、大人の決めた約束によって、例えば、来年の何月何日には父親と過ごし、何月何日は母親と過ごしみたいなものを決めることは、子どもに対して虐待行為に近い。ワラースタインというアメリカの多くの事案を研究した方が、事細かに決めた面会計画に従って面会を続けた子どもは一人残らず親を恨んだと述べている。子どもにとって一番よい面会は、会いたいときに会うという子どもの「意思」を尊重するものになるので、計画を決めればいいということではない。もう一つの弊害は、計画どおり面会交流を行わないと裁判をする、裁判所が子供の最善の利益を図るんだという主張があるが、一人で子を育てている親に取っては大変な負担となる。 同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 本村伸子衆議院議員→原田参考人 同上 現状裁判所が子供の意見を聞く手続は、15歳以上であれば子供に書面を出させるだけ、小さい子供でも1,2回話しを聞くくらい。子どもの人格ではなくて意思を尊重すべきである。 同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 本村伸子衆議院議員→岡村参考人 子どもの意見表明、意思の尊重は重要な点だと思うが、どのようにお考えか。 基本的には、子どもに一度会うだけで意思の把握が十分されていると思わない。今回の改正で子どもの人格を尊重するという言葉が入ったが、法制審議会の議論では意思を尊重するという、特に弁護士を中心とした意見が出ていたにもかかわらず、それを切り捨てる形で人格を尊重する、その人格の尊重の中には当然意思の尊重も入っているんだみたいなことになっていたので、それは非常に問題がある。 同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月3日衆議院法務委員会(参考人質疑) 本村伸子衆議院議員→岡村参考人 DV事件などを含めて、担当する弁護士の力が必要だというふうに思うが、かかる案件を担当する弁護士は十分足りているのか。 弁護士がDV被害者側につく障壁は、やはり非常に値段が安くて経営が困難になりがちであるという点とDV加害者からの業務妨害である。 DV被害者及び代理人への経済的支援の必要性及び業務妨害の具体的な対策が不十分である。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年4月5日衆議院法務委員会 三谷英弘衆議院議員 今後、改正民法が施行されるまでに、どのような体制整備を行う予定か、裁判官や家事調停官の増員への意識はあるか。 本法案により家族法の改正がされた場合には、本改正が各家庭裁判所における事件処理に与える影響を考慮しつつ、家事調停官の配置数の増加、あるいは、これまで家事調停官の配置のなかった庁に新たに配置をするなどの調停官制度を活用する。 公布後2年以内で、かかる体制を構築することは、現実的ではない。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月5日衆議院法務委員会 谷川とむ衆議院議員 家事事件の審理期間の長期化や事件の困難化傾向が指摘される中、家庭裁判所には本法律案により新たな事件類型や意見調整すべき事項が追加されるが、体制整備についてはどのように考えているのか。 【最高裁判所長官代理者】
最高裁においても、家事調停の期日間隔の長期化の点に着目をして、近年の各家庭裁判所における期日間隔の改善状況に違いがあることを踏まえ、幾つかの庁からその長期化要因に関して実情等を聴取するなどし、その結果を分析して、各家庭裁判所に対して一層の調停運営改善の取組のために必要な情報提供をすることを検討している。
本法案が成立し、施行されると新たな裁判手続等の創設に伴い、家庭裁判所に申し立てられる事件数の増加が見込まれる。
最高裁も、長期化していること、事件数の増加が見込まれていることを認識しているものの、長期化の原因や具体的な対策が今後情報収集し、検討するとして、現状では原因を特定されておらず、具体的な審理体制の整備がいつどのようになされるのかが全く示されておらず、改善が担保されていない。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月5日衆議院法務委員会 山井和則衆議院議員 理論上はDVの人は除外されるとしても、問題は、調査の人的限界、期間の限界により、DV等が見落とされて、子の命が失われることにならないか。 この法改正を一つの契機として、DVに対して裁判所がどうあるべきか、立法府で議論をした内容と司法と共有する。 質問に答えていない。
現状、具体的な対策が決まっていない中、不十分な議論を共有しても、DV等が看過されない制度的担保は、何ら保障されない。具体的なケースに即して制度的な担保を作るべきである。すなわち、伊丹市では、二〇一七年、面会交流中、四歳の女の子が父親に殺される事件が起きた。調停でDV被害があったことを訴えたが、調停委員から面会交流を勧められ、元夫につきまとわれる恐怖にさらされながらも、面会交流に送り出された日に子が殺害された。また、面会交流中に子どもたちが命を落とすケースは、既に共同親権を導入している国では、これまでに九百八十五件報道されている。
①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年4月5日衆議院法務委員会 山井和則衆議院議員 子どもの意見を尊重してほしいという意味で、離婚等の場合の親権者の定めに関し、意見聴取等により把握した父母及び子それぞれの意思の考慮の明記し、子供の意見を尊重する修正ができないか。 子どもの人格の尊重の中には、子の意見、意向を適切な形で考慮する、尊重する意味は間違いなく含まれているので、法案修正までは必要ない。 子どもの意見表明権として規定されていない。子どもの人格の尊重の中に、子の意見、意向を適切に考慮するならば、そのように記載した上で、適切に子どもの意見表明権を規定した方が、より一層、子どもの利益に資するのであって、必要性がないということ自体不可解である。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年4月5日衆議院法務委員会 山井和則衆議院議員 離婚された事案で、仲が悪い場合、子と長年別居している親から急に進路について子の進学について了解してほしいと言われた際には、子どもが困ることになる。大学受験のケーで、別居親が反対した場合、子が高校生で、大学進学したいと思っており、同居親はが、一緒に頑張って勉強しようねと言っているが、何年間か別居している親が共同親権になって、いきなり、金がかかるから進学を認めないと言い出してしまった場合、そうなったとき、審判をすると大体何か月ぐらいで結論は出るのか。進学できるのか。 個別具体的な事情で、司法の問題である。今の事例であれば、何年もケアしていない、養育費も払っていない、コミュニケーションも取っていない。しかし、共同親権になった途端に介入をしてくる、あるいは妨害的なことをしてくるということになれば、共同親権者としてふさわしくない、あるいは共同親権を行使するにふさわしくないという判断が十分裁判所において成り立ちうる。 具体的に明確ではなく、子の進学の帰趨が予見不可能になると子どもの利益に反する危険性がある。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月5日衆議院法務委員会 山井和則衆議院議員 例えば、子が進学する予定であったところ、共同親権になり、別居をしている親からブレーキがかかるかもしれない。ブレーキがかかって、半年か一年、決まらない場合、子の受験勉強に身が入らない危険性や子が両親が紛争することを受けて、進学を断念する危険性がある。大学進学の場合、「急迫の事情」として単独親権を認める判断をするのか。その判断の期間はどれほどか。 法案審議の過程で、切実な議論があり、適切な期間の間に審判が下されることが当然望ましい。これが議事録に残り、法案が成立した際は、司法も共有することになる。司法が適切に対応してくれると期待する。
共同親権で接点を持つから、またそこでいがみ合い、もう一回子どもが傷つく場面が続くような場合、そもそも共同親権にできない。
適切な期間が不明である上、適切な機関の間に審判が出される具体的な人的体制が現状では構築されていない。共同親権の場合を前提にしているのにもかかわらず、共同親権にできず、単独親権に収まっているなどと問題設定の前提を変更して論点をずらしている。裁判所に期待しているだけで、立法として、具体的にどの程度迅速に判断するのかについて、定めていない。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月5日衆議院法務委員会 山井和則衆議院議員 現場が、調査員が足りないということで、ワークしないリスクというのがあると思うが、家庭裁判所の人的体制の整備等についての規定を修正により法文に盛り込むべきではないか。 裁判所との間では、日常的に法務行政あるいは司法に関する情報交換と意思疎通をしている。法律を作ったけれども実際は動いていないということになれば、大変なことなので、しっかりと責任を持って対応していきたいが、法案に書くところまでは必要はない。 具体的に裁判所の人的体制をいつどのように構築する必要があるのであって、法的な担保を法案に書く必要がないという合理的な理由がない。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月5日衆議院法務委員会 山井和則衆議院議員 施行までの期間は二年となっているが、都道府県によっては調査員が足りず、十分な調査ができない結果、子どもが亡くなる事案や進学断念をする事案が生じるかねず、その場合、子どもの不利益になりかねないので、法案を修正して、施行までの期間を五年とする修正を行うべきではないか。 二年の法案を出しており、三年延ばす必要性はない。 関係省庁において、具体的な検討がなされておらず、具体的な事案における子の不利益になりうる具体的な対策がなされておらず、更に調停官や調査官などの採用、育成には、長時間かかる上、子の利益に反しないようにするためにの準備としてはあまりにも不十分であり、2年で具体的な体制、対策が構築される根拠が全く示されていない。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年4月5日衆議院法務委員会 鎌田さゆり衆議院議員 逃げるための準備期間、証拠収集、保全の期間は人によって様々であるところ、逃げるための準備期間も急迫の事情に該当するという解釈でよいか。 法制審議会家族法制部会において、急迫の事情が認められるのは、加害行為が現に行われているときやその直後のみに限られず、加害行為が現に行われていない間も、急迫の事情が認められる状態が継続し得ると解釈することができると確認をされている以上、暴力等の直後でなくても、急迫の事情があると認められる。 かかる回答内容であれば、「急迫の事情」ではなく、「必要かつ相当」という文言の法文上、相応しい。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
④子を高葛藤の父母の間に置き続ける事案の増加のおそれ
令和6年4月5日衆議院法務委員会 鎌田さゆり衆議院議員

緊急か否かに関わらず保護者の同意が求められるところ、単独親権か共同親権かの確認方法や双方の意思が一致しなかった場合の調整方法はどのような対策を想定しているか。

個別の事案を答えることは困難。一般論として、父母双方が親権者であることについては来院した親に確認を取り、双方が親権者である場合には同意を取得できていない親に対して事情を説明した上で、同意書を送付するなどの対応が考えられる。その上で、父母双方が親権者である場合に父母の意見対立が生じたときは、父母の意見対立を調整するための新たな裁判手続を利用することや、患者の病態等から緊急に医療行為が必要となる場合には父母の一方が単独で親権を行うことができることは明確化されているので、手続を適切に運用していくことが重要である。 具体的な手順や対策が定められていない。2023年9月以降、医療機関からも懸念の声があがっている。日本産科婦人科学会、日本小児科学会など四つの学から重大な問題が発生することを懸念する旨の要望書が国に、法務省に提出されている。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月5日衆議院法務委員会 鎌田さゆり衆議院議員 親の意見が一致しない場合、例えば医療行為ができない場合、患者である子に不利益な結果が生じた場合、医療機関は免責される保証はあるか。 医療機関が不法行為あるいは債務不履行責任を負うかは、個別具体的な事情によるので回答困難。日常の行為と認められれば、親権の単独行使が可能になる一方、子の心身に重大な影響を与え得る治療でも、緊急を要するものは、急迫の事情があると認められ、また、子の心身に重大な影響を与えないような治療の解釈について各医療機関が困惑することがないよう、所管省庁である厚生労働省とも連携協力して医療機関等への十分な周知、広報に努める。 現状において、厚生労働省と具体的な検討をしておらず、医療機関において、訴訟リスクを回避できるという保証がなく、子どもが適切な医療を受けられない危険性がある。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年4月5日衆議院法務委員会 鎌田さゆり衆議院議員 別居や離婚後に行われる暴力、暴言、メール等での嫌がらせ、それから濫訴といった行為は、互いに人格を尊重し協力しなければならない趣旨には反するということでよいか。 義務に違反したと評価されることになるかは個別具体的な事情に即して判断されるべきであると考える。一般論としては、暴力や暴言、濫訴等は、これらの義務違反と評価され得る。 実効的かつ具体的な方策ではない。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年4月5日衆議院法務委員会 寺田学衆議院議員 一般的に、単独の指定よりも共同親権の指定の方が認められやすいというような話が流布されているが、単独親権の方よりも共同親権の方が認められやすいのか。 父母双方を親権者とするか、その一方とするかについては、個別具体的な事情によって判断されるもので、どちらが認められやすいということは一概には言えない。 認められやすいということではないということであれば、裁判所において、誤った解釈・運用されないように、立法者意思として、共同親権が原則ではないことを明記すべきである。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年4月5日衆議院法務委員会 寺田学衆議院議員 人工妊娠中絶の手術に関して、一方の親が単独で行うことができる行為かどうか、御判断をお示しください。 御指摘のような中絶手術につきましても、母体保護法によってこれが可能な期間が制限されていることなどを踏まえれば、急迫の事情に該当し得ると考えられます 質疑によって、明らかになったケースの1つであるものの、他にもどうなるのか未検討なケースが多数あることは、明らかである。また、このケースにおいても、子の利益の見地から、子の生命・身体に危険を及ぼす危険性があり、明確にされるべき。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月5日衆議院法務委員会 おおつき紅葉衆議院議員 教育支援制度の影響について、現在の教育支援制度には、高校等の就学支援金又は大学などの修学支援制度について、親権者が二名の場合は二名分の収入証明が必要となるところ、離婚後共同親権の場合、高校の場合又は大学などの高等教育の場合、これはそれぞれ同じ扱いになるのか。 高等学校等就学支援金について、保護者等の収入に基づき受給資格の認定が行われるが、保護者の定義は、法律上、子に対して親権を行う者と定めている。そのため、共同親権を選択した場合には親権者が二名となることから、親権者二名分の所得で判定を行うことになる。もっとも、就学支援金の受給資格の認定等に当たっては、親権者が二名の場合であっても、親権者たる保護者の一方がDVや児童虐待等により就学に要する経費の負担を求めることが困難である場合には親権者一名で判定を行うとしている。 「困難事案」と認められなければ、合算される、ということになる。その場合、現状、親権のない側の親(非監護者)が単に養育費を支払わない場合の生活リスクは親権者(監護者)側が負っている。就学支援の趣旨でもあるため、養育費の有無によらず(支払わない人が多いこともあり)、親権者(監護者)側のみの課税所得のみを基準として高校無償化制度の利用ができるようになっていた。共同親権となった場合には、結局養育費が支払われるかどうかは非監護者の意向次第でそのリスクを負うのが監護者であるという現状は何も変わらない中で、合算された収入が910万円を超えるケースはかなり多い以上、無償化等の支援が受けられなくなるシングル世帯が激増する危険がある。
支援の申請をしようと窓口に行った場合、「お宅は共同親権なので、非監護者の方の収入資料と申請書への署名押印をもらってきてください」と言われ事実上、就学支援が受けられれない危険性、支援が受けられないため進学のための追加費用を相手方に求めた際に、相手方からの不当な要求、支配に応じざるを得なくなる危険性、または、それを危惧して、子が進学を諦めざるをえない状況になる危険性がある。
このように、共同親権制度に伴う社会保障制度上の問題について、具体的な検討が不足している。
①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年4月5日衆議院法務委員会 おおつき紅葉衆議院議員 裁判になった場合に、言葉等の精神的なDVなど、証拠提出が難しい場合は支援措置を受けられなくなるのか。継続申請の場合、離婚して数年たったから別居親からの危険性はないと判断されて支援措置が受けられなくなるのではないか。
だから、総務省にもう今回のこの通知発出を踏まえた上で、今後の支援措置の在り方は。
民法改正法案により、離婚後に父母双方が親権者と定められた場合においても、婚姻中における取扱いと同様に、支援の必要性が認められる場合には支援措置を実施する。
今後、本改正によるDV支援措置等に係る課題を把握した場合には、同制度をより適切に運用を行う観点から、実務を担う市区町村の意見も聞きながら、法律を所管する法務省など関係省庁と協議、検討する
地方自治体や関係省庁等との検討がなされていない。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年4月5日衆議院法務委員会 米山隆一衆議院議員 子の連れ去りは人格尊重義務に反し、親権取得についてマイナスになる、また、DVになることもあるというが、それはあくまで極端な例であって、配偶者とけんかしたりして、片方の配偶者に一定の非があり、子どもを連れて実家に帰りましたというよくあるような事案は、人格尊重義務に反する、親権の取得にマイナスになる、DVになるとかということはないということを確認したい。 一概にいうのは困難。 何でも連れ去りで、人格侵害だというのは何か余りにも現実離れしている。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
④子を高葛藤の父母の間に置き続ける事案の増加のおそれ
令和6年4月5日衆議院法務委員会 米山隆一衆議院議員 裁判所は、親権の訴えがなされたとき、①母単独親権、②父単独親権、③共同親権で、かつ監護者の定めなし、④共同親権で母監護者、⑤共同親権で父監護者という、これは五つの選択肢の中から子の利益のために一切の事情を考慮して決定しなければならないというのがこの法のたてつけ。裁判官というのは、ここにいる皆さんと余り変わらない。
人間は、大体AとBの比較はできるけれども、五つ比較されると決められないという人は非常に多いし、なかなか大変であるところ、裁判官に託して大丈夫なのか。
法案が成立した際には、裁判所において適切な審理が行われるよう対応されるものと承知をしている。法務省としても、国会審議の中で明らかになった解釈等について裁判所と適切に共有し裁判所の取組に協力していく。こうした裁判所との連携を通じて、各裁判官が本改正案の趣旨に沿って適切な判断をすることが可能になる。 いつも選択肢があって、しかも子の最善の利益のために突然決めろとか言われたら、それは非常に判断はばらつく。裁判官の自由に決められるんだから、裁判官だって個性がある。
さらに、A、Bどっちかぐらいのものであれば、大体一定の判断に収束していくと思うが、五つも選択肢があったら、裁判官によってどこに落ちるか全然異なる危険性がある。申立人も裁判官も困るのであって、司法の信用性にかかわる問題である。
一方で、それを防ぐために基準を作ろうとかといって、裁判所の中で基準を共有するということはあり得るが、現時点で、裁判所に法を作らせてしまうことになる。法は立法府で立法をするべきである。明確に両親、子どもの意思を尊重するという条文を入れる必要がある。
①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
②共同行使を支援する制度が欠落した下での非合意型共同親権における紛争
⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月5日衆議院法務委員会 本村伸子衆議院議員 臨床現場では、家庭裁判所で面会交流を決められた子どもたちが、面会交流を嫌悪し、面会をめぐる別居親との紛争にさらされ、あるいは過去のトラウマからの回復が進まず、全身で苦痛を訴え不適応を起こして、健康な発達を害されている事例が増えているが、認識しているか。 双方の親の子に配慮する姿勢や、子の意向、心情等を慎重に考慮した結果、父母の紛争下に置かれる子の負担や、別居親と子との関係がかえって悪化する可能性等に照らして、試行的な面会交流を実施するための環境が十分に備わっているとは言えないような場合には、その実施を見送る結果となる。一方で、安全、安心の点を含め子の利益に反する事情がないか、子の利益の観点から試行的な面会交流の実施が相当と言えるか等を検討した上で、試行的な面会交流を実施するための環境が備わったと言える場合には実施することができるときがあると思われる。このような考え方で実務を運用している。 現実は、子どもが強く面会を拒否しているということを伝えても、実際にはやるということになり、試行的な面接の場で、三十分間あったそうだが、ずっと沈黙の時間が続いたと。子どもは、ずっと拒否の姿勢を示したということだったことである。その後、子どもが通う通所、小学生が通う通所のところで、ふだんない乱暴な行動が最近急に増えているが。何かあったかという聴かれた。子どもにとっては、強いストレスだったと思われる。
このように、子の利益に配慮した運用が適切になされていない現状がある。その背景には、人的体制が不十分であることが推察されるところ、具体的な人的体制がいつまでにどのように構築されるかが不明である。
①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月9日衆議院法務委員会 寺田学衆議院議員 父母が共同して親権を行うのが困難であるとは言えない状態というのはどういう状態か。 一概に回答困難。一般論として、共同して子の養育に関する意思決定を行うことが困難であるような場合には、父母が共同して親権を行うことが困難と認められるときに当たる。

抽象的で、具体的な状況が不明である。 ②共同行使を支援する制度が欠落した下での非合意型共同親権における紛争
令和6年4月9日衆議院法務委員会 寺田学衆議院議員 同上(再質問)。 葛藤が高く非常に感情的になっている父母間の問題については話し合う余地もない状態であるにもかかわらず、子どもの利益のためにということについて、幾ばくかの理解が双方に成り立つならば、共同して親権を行使するための最低限のやり取り、最低限のコミュニケーションをとることができる場合。 最低限のコミュニケーションの内容が全くもって不明である。現実的に、項葛藤でかつ、共同親権について合意できない場合を前提にしているのに、子どものことについて、冷静に話し合いで決めることができる、最低限のコミュニケーションをとることができる場合など果たして存在しうるのか、問題設定自体に疑義がある。 ②共同行使を支援する制度が欠落した下での非合意型共同親権における紛争
令和6年4月9日衆議院法務委員会 寺田学衆議院議員 父母の一方が相手に対して、犯罪者である、犯罪行為を犯しているというようなことを言い合う関係というのは、人格尊重されているかどうか。 やり取りの中でぽっと口をついて出てしまう場合はある。かかる言動が繰り返されれば、困難性に該当する。 子連れ別居を犯罪として捉えることに問題がある。 ④子を高葛藤の父母の間に置き続ける事案の増加のおそれ
令和6年4月9日衆議院法務委員会 寺田学衆議院議員 子連れ別居に際して、一方的に相手に略取誘拐なのだというふうに言っている場合、一般論として人格尊重義務を損ねているといえるか。 そのとおり。 同上。 ④子を高葛藤の父母の間に置き続ける事案の増加のおそれ
令和6年4月9日衆議院法務委員会 道下大樹衆議院議員 法改正案が成立、施行された場合、自治体が行政事務において、離婚後、共同親権を持つ父母双方の同意を得る必要、義務が発生した場合、条例や規則等の改正が必要になる可能性はあるのか。 総務省は自治体が行う行政事務全般については所管してないので、行政事務全般について答えることはできない。 検討していないため、条例や規則等の改正が必要となる可能性がある。 ⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年4月9日衆議院法務委員会 本村伸子衆議院議員 子どもの利益、子どもの最善の利益を判断するに当たって、親権、監護、面会交流、養育などを決めるあらゆる段階で子どもの意見を聞くことが不可欠であって、子どもの意見表明権の保障を法案に本来入れるべきではないか。 子どもの意見表明権を民法上明文化することについては、離婚の場面で子に親を選択するよう迫ることになりかねず、かえって子どもの利益に反する。 子どもの意見を丁寧に聞く、意思や心情を丁寧に酌み取るというプロセスを大事にすることが必要であり、それをと子どもに返していくという一連のプロセスが大事であることが見落とされている。子どもの権利条約の四大原則の一つとして、子どもの意見表明権、この保障があり、こども基本法にもしっかりと位置づけられていることを軽視している。子ども基本法において、全ての子どもについて、その年齢及び発達の程度に応じて、自己に直接関係する全ての事項に関して意見を表明する機会が確保されることが重要であることを、子ども施策の基本理念として規定している。一般的に、子どもの意見を聞き、政策に反映することは、子どものニーズ等を踏まえることができるほか、子どもの主体性を高めることにもつながり、こどもまんなか社会をつくっていく上で重要とされている。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年4月9日衆議院法務委員会 本村伸子衆議院議員 親の離婚という一大事で子どもの意見を聞くこと、低年齢の子、声を聞かれにくい子、意見表明権を保障するべきで、今、まだ全く不十分な状況を数字として聞いていただいたと思うが、その点、全ての子どもから意見を聞く必要があるのではないか。 裁判所は、未成年の子がその結果により影響を受ける事件におきまして、適切な方法により、子の意思を把握するように努めるものとされているところ、調停委員会等において、その事案に応じた適切な方法により、子の意思を把握し、審理運営に当たっている。 適切にと答弁するが、面会交流でも子どもに意見を聞かれたのは。五千六十六件ということで、全く不十分である。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月9日衆議院法務委員会 本村伸子衆議院議員 協議離婚の場合、離婚後共同親権制度のもと、父母どちらか一方が共同親権にしなければ離婚に応じないと強く主張した場合、もう一人の親が、離婚したいものの、共同親権にしないと合意できないということになり、合意せざるを得ず、外形的には父母の協議により共同親権を選択したケースは十分想定されるのではないか。 家庭裁判所の手続による親権者の変更を可能にしている。 離婚後に改めて単独親権への変更の申立てを余儀なくされるとたとえば、DV被害者の当事者の負担になり、ひいては、子の利益に反する結果となる危険性がある。また、経済的負担が大きく、子の利益に反する結果となる危険性がある。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年4月10日衆議院法務委員会 米山隆一衆議院議員 パスポートの取得は、公法上の行為で、民法とは独立に外務省が定め、ただ海外旅行に行くという民法上の行為と密接に関わっているので、外務省において民法の規定に準拠して運用を定めており、民法では親権の共同行使を前提としているので、両親の同意を前提としつつ、片方の親の署名があれば両親の同意があるとみなして、片方の親の署名でパスポートの申請を認めているのか。 離婚後の共同親権の場合は、改正案の趣旨が反映されるように、整合性は確保していきたいが、確かに、現状は、共同親権が離婚後も維持される場合、片方からの署名だけをもって発給をしていいかどうかは慎重に検討したい。 結局決まっていないということである。
※ 回答が全くまとまっていないため、理事会協議になった。
③子に関する重要事項を決定できないおそれ
⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月10日衆議院法務委員会 米山隆一衆議院議員 法定代理権の取消権、同意権(民法5条)について、親権の共同行使と単独行使を分けた以は、各々共同行使、単独行使になるということでよいか。単独で行使できる親権は、日常の教育は単独で取り消せ、同意できるか。 (全く関係のない回答をした上で)認める。 携帯電話や診療の契約において問題が生じうる。下記のとおり。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月10日衆議院法務委員会 米山隆一衆議院議員 未成年の子が、自分名義で携帯電話の契をするという場合。
八百二十四の二第二項の監護及び教育に関する日常の行為に係る親権の行使に係る親権の行使なのか、それとも、それを超えるものなのか。共同親権で、母親が、これは日常に係る行為だということで、自分は単独で親権を行使できることだと考えて、母単独名義で同意した。しかし、それはあくまで子供が契約している。母は同意した、それで契約した。携帯電話会社も、単独でできるのということで契約した。ところが、父は、了解していない、これはそもそも日常の範囲を超えると。裁判に訴えたら、裁判所が日常を超えると判断した。
この場合、母は単独名義で同意しているので、民法八百二十五条の、父母が共同して親権を行う場合において、父母の一方が、共同の名義で、子に代わって法律行為をした又は子がこれをすることに同意したときは、その行為は、他の一方の意思に反したときであっても、そのために効力を妨げられないというのは適用にならないはず。共同の名義じゃないから、単独の名義でやっているから。単独で行使ができるものは単独でできるはずだから。そうすると、これはどうなるか。父親の方は、結局、裁判所もこれは単独じゃなかったと言ったので、では、父名義で、父が取消権を行使して取り消せると言えるのか。また、取り消せないとしても、今度は父が、携帯会社に共同親権を確認しなかったことを理由に賠償を求めることが認められるか。さらには、父が母に賠償請求できるのか。
諸般の事情に照らし、権利濫用等で対処する。 携帯会社としては怖い。単独ではなかなか難しい。必ず両親の同意を求めることになる。求めた方が安全である。
これは別に携帯会社なら、せいぜい契約した携帯が解約されるだけだからいいが、医療においても同じことが起こり得る。子どもだったら、親が、この子に医療をしてくださいと親が契約しているから取消しみたいな話ではなくなってしまう。少なくとも、共同を単独と誤認した場合の第三者保護規定というのを作らなければ、受ける側も行使する側も安心できない上、子の利益に反することになる危険性がある。
③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月10日衆議院法務委員会 斎藤アレックス衆議院議員 共同親権の場合、高校生のときにサマースクールに行かせる場合もあると思うが、海外に行く場合、必ず毎回親の承諾、言ったら、両親が協議をして必ず合意に至らないと海外に旅行にも行けないのか。 同行者の有無ですとか、その目的、期間等、様々でありして、一概にお答えすることは困難。一般論として、短期間、観光目的で海外旅行をするような場合には、通常は日常の行為に当たり得る。 基準が不明確で混乱が生じるのみならず、子の利益に反しうる。
抽象的で、裁判所の判断に委ねられる部分があまりに多すぎる。
③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月10日衆議院法務委員会 本村伸子衆議院議員 子供たちの意思、心情の聴取を必ず行うように求める。 指摘がされるところについては、真摯に受け止めたい。 現在の家庭裁判所の実務では、子どもが別居親を拒否すると、根掘り葉掘り拒否の理由を尋ねたり、どういう条件であれば会ってもよいかというような聞き方で、直接の面会交流が実施されるように誘導し、あるいは、子供が別居親を拒否するのは同居親の刷り込みであると評価して、子供の意思を尊重しないという扱いが見られる。しかし、子どもの意思を反対方向に誘導するやり方は、子どもの意思を拒否することに等しい。面会交流を拒否する場合でも、そのほとんどは子どもの主体的な意思に基づいており、子どもなりの理由や根拠がある。別居親が忘却していても、子どもには、同居中に別居親が威圧的だった記憶が焼き付き、そこで自分の主体性を奪われ、自尊心を損なってきたという心の傷を抱えている場合がある。そのような心の傷は、会いたくないというその子なりの意思表明を否定され、面会を強いられることで一層深まる。その結果、別居親とのよい関係は始まらず、親子関係の改善が困難になるだけではなく、大人不信、社会不信を募らせるリスクも持つ。子どもの意思を否定して子供どもの福祉は図れない。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月10日衆議院法務委員会 本村伸子衆議院議員 臨床の現場では、家庭裁判所で面会交流を決められた子どもたちが、面会交流を嫌悪し、面会をめぐる別居親との紛争にさらされ、あるいは過去のトラウマから回復が進まず、全身で苦痛を訴え不適応を起こして、健康な発達を害されている事例が増えているという状況を改善していくために、どういうふうにしていくつもりなのか。 【法務大臣】
家庭裁判所において適切に判断されるべき事項であるため、法務大臣として具体的なコメントをすることは差し控えたい。
【最高裁判所】
家庭裁判所においても、このような認識を踏まえて、必要な事案で家庭裁判所調査官が行動科学の専門的知見や技法を活用して調査をするなど、親子交流が子に与える影響について十分に検討されているものと承知している。
回答になっていない。現状が改善されるのか不透明である。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月10日衆議院法務委員会 本村伸子衆議院議員 岡村参考人も、DV被害者に対して誘拐罪での刑事告訴、民事裁判、被害者側の弁護士に対する懲戒請求、SNS等での発信、写真や個人情報の公開など、加害行為が別居後にも終わらず、むしろ復讐にも近い形でエスカレートするケースが増えているといっているが、こうした実態についてどういうふうに把握をしているのか。 代表的な方々のお声を聞いて、その状況をしっかり把握させていただく。 現状において、まったく現状を把握しておらず、DV被害者への対策が具体的になされているとはいいがたい。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年4月10日衆議院法務委員会 本村伸子衆議院議員 子どもにどのような習い事をさせるのかですとか、幼稚園や学校の選択、進学か就職かの選択、子にどのような宗教を教育するのか。その次、宗教学校への進学という点は、日常の行為ということで考えられるのか。 ある日に子どもにどのような服装をさせるかや、子にどのような習い事をさせるか、あるいは、風邪の診療等、日常的な医療行為などのように、日々の生活の中で生ずる身上監護に関する行為で子に対して重大な響を与えないものは、日常行為に該当する。
他方で、日常の行為に該当しないものの例として例えば、幼稚園や学校の選択や、進学か就職かの選択、生命に関わる医療行為、子の妊娠中絶、子の住居の決定、長期間勤務する会社への就職の許可などのように、子に対して重大な影響を与え得るものについては、日常の行為に該当するとは言えない。
日常の行為の該当性が不明確だと訴えられるリスクがあるからこそ、明確にする必要がある。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月12日衆議院法務委員会 米山隆一衆議院議員   【修正案・附則】
政府は、改正後の各法律の円滑な施行のため、新民法第八百十九条各項の規定による親権者の定め方、新民法第八百二十四条の二第一項第三号の急迫の事情の意義、同条第二項の監護及び教育に関する日常の行為の意義その他の改正後の各法律の規定の趣旨及び内容について、国民に周知を図る。
本来、立法府において、子の利益に反しないようにするために、「急迫の事情」の意義、「監護及び教育に関する日常の行為」の意義を明確にし、関連法令との整合性、不都合性を確認する必要があるが、かかる作業がなされていないままである。 ⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年4月12日衆議院法務委員会 米山隆一衆議院議員   【附則】
政府は、施行日までに、父母が協議上の離婚をする場合における新民法第八百十九条第一項の規定による親権者の定めが父母の双方の真意に出たものであることを確認する
ための措置について検討を加え、その結果に基づいて必要な法制上の措置その他の措置を講ずる。
具体的に、双方の真意に出た者を確認する措置の内容が不明であり、その実効性確保がなされるかについて不明瞭である。例えば、韓国には、離婚熟慮期間制度があるが、これは離婚受理の前段階の制度である(協議離婚申請書の裁判所提出→裁判所は、離婚の案内と協議離婚期日指定→専門家に相談(オプション)→子育て、親権合意(子供がいる場合、これが無いと受け付けられない)→協議離婚期日(この日までは熟慮期間)に一緒に出席→3ヶ月以内に離婚届を提出する。)。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年4月12日衆議院法務委員会 米山隆一衆議院議員   【附則】
政府は、この法律の施行後五年を目途として、改正後の各法律の施行の状況等を勘案し、父母の離婚後の子の養育に係る制度及び支援施策の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずる。
そもそも、公布後2年以内では、裁判所の人的物的体制を十分に整備することは困難であることから、施行後5年を待たずして見直しが必須となる。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年4月12日衆議院法務委員会 笹川博義衆議院議員 法務省は、この施策を展開するに当たって、司令塔機能を発揮し、各省それからまた自治体との連携を深化をさせていく責任があると思うが、その責任を果たしていくのか。 改正案が成立した際には、まず、一人親家庭支援、共同養育支援、裁判手続の利便性向上といった様々な支援策や体制整備を図るとともに、DV及び児童虐待等を防止して、安全、安心を確保する、こういった措置を取ることがまず優先されるべきだと法務省は、少なくとも法制の面においてはリーダーシップを取れる、そういう意気込みで頑張って取り組みたい。 一人親家庭支援、共同養育支援、裁判手続の利便性向上といった様々な支援策や体制整備を図るとともに、DV及び児童虐待等を防止することが先決問題である。
国会審議における法務省の答弁態度や省庁間の所管の問題等からして、リーダーシップを取るということは、考えられない。
①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年4月12日衆議院法務委員会 笹川博義衆議院議員 全般にわたって法務省自身がしっかりとリーダー的、司令塔機能を発揮することはものすごく大切なことだというふうに思うが。 確かに、その意欲もあるが、省庁間のその所管というところの在り方、これはもう一回議論をする必要がある。行政面、予算面、様々な措置については、非常に多様な子供支援の策があり、また足りない部分もたくさんあり、そういったものの全体像を我々も見てやりたいわけだが、権限としてそれを全部包括できる司令塔になり得るかどうか、詳細な検討が要る。 今後の各種支援策、体制整備すらできるかどうかわからないと自認しており、今後、具体的な整備がなされるか甚だ疑義がある。 ⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年4月12日衆議院法務委員会 笹川博義衆議院議員 党内の議論も昨年から積み重ねたものの、現況の家事裁判や、特にDV関連、親子交流について、出席の議員から厳しい指摘が毎度のことながらあった。裁判所それから調停の在り方について、これほど不信と疑念が寄せられるとは私自身も想定はしてなかった。しかし、事実であり、様々な厳しい指摘について、この委員会でもそうだったが、どう受け止めて、判事、調停委員、調査官へどういう対応をしていくのか。 改正法施行に向けて、裁判官、調停委員、家庭裁判所調査官に対し、改正法の各規定の趣旨、内容を的確に周知するとともに、研修の実施といったことについても対応していく。
裁判手続の利便性向上や事件処理能力の一層の改善、向上に努めることも重要であり、調停の期日間隔等の短縮化に向けた取組や、ウェブ会議の活用の拡充などを含む各家庭裁判所における調停運営改善の取組を支援するほか、調停委員の研修体系の見直しを図っていくことも検討している。
研修を含め、社会の変化にもしっかりと対応できるような取組を引き続きしていく。
裁判所に期待される役割を適切に果たせるよう、必要な体制の整備にも努めていく。
具体的な対策について、回答がない。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月12日衆議院法務委員会 日下正喜衆議院議員 親権に関する明確な基準と透明性の確保を法務大臣に要請し、また、質問でも取り上げてきたところだが、具体的にガイドラインのようなもので分かりやすく例示していく、予見可能性を高めていくという趣旨か。 子の利益のため急迫の事情があるとき、監護及び教育に関する日常の行為について、必ずしも意義が明確でないとの指摘が委員会審議でもなされた。これらの意義については、これまでの審議でも様々な具体例を挙げて質疑され、答弁により、その解釈がかなりの程度明らかにされたと考えているが、法施行までに国民に対する周知が不可欠である。
具体的には、当事者である父母等はもちろんのこと、学校や病院といった関係機関や民間団体も含め、広く国民に対しQ&A、ガイドライン、資料等を作成し、このような解釈の指針を、具体例も挙げつつ分かりやすく示していくべきであると考えている。
立法府において、要件の各文言の意義を子の利益に反することがないように明らかにすべきところ、これを怠り、更に、今後公布後2年以内の施行という短期間の間に、国民的な議論をしない方法でこれから関係府省庁等で検討し、ガイドラインに丸投げするというものである。条例との関係でどうなるのかについても、全く考慮、検討されていない。 ②共同行使を支援する制度が欠落した下での非合意型共同親権における紛争
③子に関する重要事項を決定できないおそれ
④子を高葛藤の父母の間に置き続ける事案の増加のおそれ
⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年4月12日衆議院法務委員会 日下正喜衆議院議員 協議離婚が八七・六%で、父母が互いに協議して離婚及び親権の取決めを行ってきたものの、これは両親の真意から出たものなのか、単独親権制度の下で不本意な決着、妥協するしかなかったという場合も少なくなかったのではないか。
修正案附則の十九条には、改正後の新民法第八百十九条第一項の規定による親権の定めが父母の真意に出たものであることを確認するための措置について検討を加え、その結果に基づいて、必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとある。
これは、協議離婚で親権者を決める際に、DV等の事情によって、父母間の支配、被支配関係によって不適切な合意がされてしまうおそれに対応するために設けられたものだと考えるが、この法制上の措置その他の措置について、どういうことを指しているのか。
協議離婚の際に、親権者を定めるに当たって子の利益を確保するためには、例えば、DV等の事情がある場合、あるいは、父母の力関係によって支配、被支配の関係等の事情によって、真意によらない不適切な合意がなされることを防ぐことが必要がある。
本改正案では、親権者変更の際に、裁判所が協議の経過を考慮することとされ、不適切な合意がなされた場合には事後的に是正することとされてている。また、現行法においても、当事者の真意を確保するため、離婚届には、成年の証人二人以上の署名が必要とされている。
本修正案の附則第十九条は、これらに加えて、例えば、離婚届出書の書式を見直し、離婚後も共同で親権を行使することの意味を理解したか等などを確認する欄を追加することなども含めて、親権者の定めが真意に出たものであることを確認するために、どのような措置があり得るのかについて検討を加え、必要な措置を講ずることを求める趣旨である。
今後の検討に委ねられるのみならず、単に離婚届出書の書式の見直しでは、DVや支配関係に基づく真意によらない合意を防止することができない。事後的に意思確認をするということなのだろうが、どこが行うのか。
韓国には、離婚熟慮期間制度があるが、これは離婚受理の前段階の制度である(協議離婚申請書の裁判所提出→裁判所は、離婚の案内と協議離婚期日指定→専門家に相談(オプション)→子育て、親権合意(子供がいる場合、これが無いと受け付けられません)→協議離婚期日(この日までは熟慮期間)に一緒に出席→3ヶ月以内に離婚届を提出する)。
①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年4月12日衆議院法務委員会 日下正喜衆議院議員 力の不均衡には、経済力や養育力、社会的な力、法的な知識、そして腕力や言葉による攻撃力も含まれるところ、不均衡を事前に補う支援、法テラスやその他の府省庁が行う支援等によって、互いが対等な立場で協議できる環境を整えることも重要だと考えられるが、法務省の所見は。 離婚する父母が対等な立場で協議できる環境を整えるといった点も含め、改正法を円滑に施行するためには、法テラスにおける民事法律扶助を適切に御利用いただけるよう努めるほか、一人親家庭支援や、裁判手続の利便性向上といった支援策や体制整備を図るとともに、DV及び児童虐待等を防止して、安全安心を確保することが重要であると考えている。
法務省としては、本改正案の内容の適切かつ十分な周知広報に努めるとともに、環境整備につきましても、関係府省庁等と連携して取り組んでいく。
具体的な内容が決まっていない。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年4月12日衆議院法務委員会 日下正喜衆議院議員 利用しやすい裁判手続の実現、体制の強化も必要であり、オンライン申立てやウェブによる記述、ペーパーレス化などを行い、利便性の高いものとすることや、夜間や休日における手続なども必要ではないかと考える。この審理のスピードアップ及び裁判手続の利便性のアップについて、最高裁としてどのような所見か。 最高裁においては、各家庭裁判所における調停運営改善の取組の支援の一つとして、家事調停の期日間隔の長期化の点に焦点を当てて、その長期化要因の分析や、あり得る対策を提示するなど、各家庭裁判所に対して一層の調停運営改善の取組のために必要な情報提供をすることとしている。 長期化について、いまだ分析している段階で、具体的な審理の迅速化のための方策がない。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月12日衆議院法務委員会 寺田学衆議院議員 検討事項の中にある一つ、父母の双方の真意に出たものであることを確認するための措置、これを修正合意した趣旨は。 附則第十九条第一項について、民法改正案第八百十九条第一項は、「父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その双方又は一方を親権者と定める。」と定めている。この協議離婚の際に、親権者を定めるに当たっては、子の利益を確保するため、例えば、DV等の事情や経済的に強い立場の配偶者が他方配偶者に強制的に迫ることによって、真意によらない不適切な合意がなされることを防ぐ必要がある。また、どのような親権を定めるにせよ、父母双方の真意による合意があってこそ、それを子の利益にかなうように適切に実行することができる。
そこで、政府に対し、親権者の定めが父母の双方の真意で出たものであることを確認するためにどのような措置があり得るか、検討を加え、必要な措置を講じることを求める趣旨である。
なお、提出者としては、具体的な措置として、例えば、離婚届の書式を見直して、離婚後も共同で親権を行使することの意味を理解したかを確認する欄を追加すること等を想定している。
具体的に、どのように真意による合意を確保出来るのかが不明である。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年4月12日衆議院法務委員会 寺田学衆議院議員 例えば親権者を変更するような手続の場合、子どもの人格尊重権があるので、子どもがこちらの親を親権者にしたいという強い声があれば当然それは聞き入れられるというふうになるという形で、この趣旨がしっかりと生かされていけば、多くの子どもの意見を徴することが可能になる。これは本村委員の質問であった。
多くの議員がこの法案、玉虫色の法案において、立法者の意思、もちろん、国会として、政府としてどういうものなのかということを築き上げていった一部の例である。
この答弁は間違いはないか。
間違いない。 子どもの意見表明権として規定されていない。子どもの人格の尊重の中に、子の意見、意向を適切に考慮するならば、そのように記載した上で、適切に子どもの意見表明権を規定した方が、より一層、子どもの利益に資するのであって、必要性がないということ自体不可解である。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年4月12日衆議院法務委員会 寺田学衆議院議員 最高裁における、この答弁、附帯決議、附則の修正の取扱いについての答弁は。 最高裁として、この改正法案が成立した場合には、これまでの委員会での質疑によって明らかにされた改正法の各規定の趣旨、内容を、事件担当裁判官を始めとする関係職員に的確に周知し、裁判所においてその内容を踏まえた適切な審理が着実にされることが重要であると認識。 多くの子供の意見を徴することである以上、子の利益の見地から、実質的に、子どもの意見表明権が認められたものとして、運用されていく必要がある。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年4月12日衆議院法務委員会 寺田学衆議院議員 裁判所が共同親権と認め得る場合かどうかは、父母間に子の心身の健全な発達を害するような不安もなく、当然、相手側を犯罪者等の誹謗中傷することもなく、親権の行使について、話合いのみならず、共同して決定していけるような関係で、当然、養育費の支払いも履行し、これまでも子の養育に対して適切に関与し、父母間のみならず子供の意見というものをしっかり尊重した形、そういう要素を含めて判断していくことか。 判断に当たり、そういった要素が勘案されることは間違いない。 かかる回答内容であれば、非合意型の離婚後共同親権となる場面が想定されない以上、原則として、離婚後単独親権とし、合意がある場合のみ離婚後共同親権とするのとほぼ等しい結果となるのではないか。現在の不十分な家庭裁判所の人的物的体制でこのような判断をすることは困難ではないか。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月12日衆議院法務委員会 斎藤アレックス衆議院議員 今後更に検討が必要だというふうなことを想定されているのか。 共同養育計画の作成を促進するための措置について検討する。 細部に亘る共同養育計画の作成がかえって、子の利益に反する結果になるところ、共同養育計画の作成の具体的な措置について、十分に検討されず、子の利益に反する結果になる危険性がある。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月12日衆議院法務委員会 本村伸子衆議院議員 立憲民主党の修正項目案では、父母双方の合意がない場合には共同親権を認めないこと、子供の意見聴取、DV被害当事者の方々が望んでいる親権者の変更の厳格化、共同親権の場合に必ず父母の一方を監護者とすることなどが定められていた。この四党提案の修正案の検討条項にはこうした項目は入らなかったわけだがなぜか。 親権者変更の厳格化は確かに明文規定はないが、双方の合意であり、またそれぞれの当事者が様々な趣旨を理解していること、それによって、それは間接的に反映されるものというふうに理解している。 親権者の変更の厳格化について、明文がない。間接的に反映されるならば、そのように明記されてしかるべき。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年4月12日衆議院法務委員会 本村伸子衆議院議員 法案の影響を受ける方々は、全ての子供どもとその子どもの父母を始め何人いると考えているのか。この民法の改定案は多くの方々に関わる法案であり、国民的議論が必要なのではないかというふうに考えるがどうか。 近年では、毎年十数万人の子どもが父母の離婚を経験し、また、子どもがいる父母の離婚件数も毎年数万件である。
本改正案は、父母の離婚を経験する子どもに加え、父母が婚姻中の子どもにも影響があり、また、父母や親族のほか、子どもの生活に関わる方々にも影響がある、三年にわたり議論が行われた。世論調査を踏まえた議論、様々な立場からのヒアリングを実施するパブリックコメントを踏まえた。
3年の議論では、パブコメの多くの懸念の声や国会の審議の内容等からして、子の利益やDV被害者保護の議論や検討が全く足りていない。国際社会で一般的な選択的夫婦別姓の導入は30年間放置されているのに対し、にわかに起きた共同親権の議論は、多くの人に多大な影響を及ぼすにもかかわらず、不十分のまま、国民的議論を経ずに、行政府に丸投げしており、立法府の役割を放擲しているといわざるをえない。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年4月12日衆議院法務委員会 本村伸子衆議院議員 高等学校等就学支援金、高校の学費への補助の影響について。様々な教育、社会保障、税制への影響も懸念をされている。
先日、審議の中で、おおつき議員の質疑に対して、文部科学省は、「高等学校等就学支援金については、保護者等の収入に基づき受給資格の認定が行われているが、保護者の定義は、法律上、子に対して親権を行う者と定めている、そのため、共同親権を選択した場合には親権者が二名となることから、親権者二名分の所得で判定を行うことになる」と答弁をしている。
この答弁に関して、共同親権下では、父母の生計は別という証明をしないと両方の所得で判定されてしまうのでは、それ自体が大きな負担、今と変わらないと言えないのではないかとの声や、共同親権になったら教育無償化ではなくなるという不安の声もある。
【文部科学省】
高等学校の就学支援金に関しては、保護者の収入に基づいて受給資格の認定が行われるところで、保護者の定義、法律上、子に対して親権を行う者というふうに定めている。
このため、今回の民法改正後に共同親権を選択した場合においては、その親権者が二名となることから、親権者二名分の収入に基づいて判定を行
うことになる。委員が御懸念のところは、この就学支援金の受給の資格の認定に当たって、親権者が二名の場合であっても、親権者にある保護者の一方が、DV、ドメスティックバイオレンス、また児童虐待等によって就学に要する経費の負担を求めることが困難である場合においては、親権者一名で判定を行うこととしている。共同親権か否かにかかわらず、同様の取扱いをさせていただくことになる。
これらの判定に当たりましては、個別のケースに応じて判断することになるが、法務省とも連携させていただきながら、適切な認定の事務に努めていく。
離婚後共同親権では、親権者二人分の所得で計算されてしまう場合がある以上、DV、虐待ケースだけではない、高葛藤で話もしないというような形で離婚をする場合でも、二人の親権者の所得で計算されてしまう危険性があり、現状よりも、子どもとともに暮らす親、一人親世帯への経済的負担が増えたり、労力が増えるということになる。 ⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年4月12日衆議院法務委員会 本村伸子衆議院議員 離婚後共同親権では、親権者二人分の所得で計算されてしまう場合があるわけで、DV、虐待ケースだけではない、高葛藤で話もしないというような形で離婚をする場合などでも、二人の親権者の所得で計算されてしまう以上、現状よりも、子どもとともに暮らす親、一人親世帯への経済的負担が増えたり、労力が増えるということになるのではないか。 【文部科学省】
高等学校等の就学支援金の判定に当たり、個別のケースに応じて判断する必要があるところで、子の教育費の負担軽減を図ることができるよう、法務省ともしっかりと連携をして、適切な認定事務に努める。
同上。 ⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年4月12日衆議院法務委員会 本村伸子衆議院議員 文部科学省では、単独親権か共同親権か選べるところ、もめる際には、単独親権でよいということを法務省が言っているということだが、それは事実か。 理念は、父母が離婚後も適切な形で子の養育に関わっていただくことが子の利益になるというもので、先ほど委員が指摘したところは、本改正案の理念に入っていない。 法務省と文部科学省との間で、離婚後共同親権制度についての理解が異なっており、いかに関係府省庁間で、検討不足であるかが浮き彫りになっている一例である。 ⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年4月12日衆議院法務委員会 本村伸子衆議院議員 学校の学費の補助だけではなく、税金の控除、保育園の費用、就学援助、児童扶養手当あるいは母子父子寡婦福祉資金の貸付け、奨学金、様々な一人親支援の制度について影響が出るのか調べて、検証をしているのか。 扶養控除、児童手当あるいは児童扶養手当、保育所の利用申請などについては、これらの制度の根拠となる各法令の規定に基づいて判断されるべきもので、一次的には当該行政手続の根拠となる法令を所管する各府省庁において検討されるべき事項であると考える。その上で、扶養控除等については、いずれも、親権の有無や民法上の監護者の定めの有無をその要件としているわけではないと承知をしており、こうしたことを踏まえると、今般の民法改正後に離婚後の父母双方を親権者と定めたことをもって具体的な変更を生ずるわけではないと承知している。 法務省において、検討するべきことではないとして、真正面から回答していない。その上で、単に親権の有無や監護者の有無を要件にしていないという形式論のみで、具体的な変更がないとしている点で、本質的な問題から避けた、いわゆる官僚答弁の典型例である。すなわち、離婚後共同親権となった場合において、その親権の行使の場面や離婚後において共同親権を有する者という法的地位におかれた場合、法令上「親権」と記載されていなくとも、「保護者」や「扶養者」等の文言に含まれる可能性があるのであって、その法令の文言との関係で、実態として、子の利益やDV被害者に悪影響がないのか、影響しうる場合がないのかについて、適切にリストアップした上で検討し、子の利益やDV被害者に弊害が生じない解釈をする必要性や法令の文言の修正が必要性を検討することが、子の利益に反しないための施策ということになるはずである。ところが、そのような実質的な検討をしたかどうかという質問に対して、形式的な答弁をもって、具体的な変更がないとしており、極めて問題のある答弁といわざるをえない。 ⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年4月12日衆議院法務委員会 本村伸子衆議院議員 様々な一人親支援の制度に関し、あるいは税金控除に関して、どういう影響があるか、全て網羅的に書いた、それを資料として提出をいただきたい。 努力する。 同上。 ⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年4月12日衆議院法務委員会 本村伸子衆議院議員 共同親権の場合、急迫でない手術で、医療機関が双方に合意書を送付すると考えているのか。また、DV、虐待ケースで、別居親にどこの病院に入院するかが分かるということになり、子ども、同居親の安心、安全が図れないという心配の声が出されている。 父母が親権を共同して行使する場合において、子が医療行為を受ける際に、医療機関が父母に求めている手続は、個別具体的な事案において様々であり、別居親への合意書の送付が一律に行われているわけではない。
この点は本改正案においても同様で、現状と異なる対応を必要とするものではない。
論点のすり替えである。離婚後共同親権制度を導入した場合に、具体的なケースを前提に、今後多数生じうる問題を議論しており、現行民法825条のような条文がなく、また、親権の行使の競合、同意権行使と取消権行使の競合といった子の利益に反するような事態が現在よりも多くの問題が生じることが想定されることから、子の利益に反する事態が多数生じることが考えられるところ、それらを防ぐための十分な制度がないままであり、問題であることを指摘しているのである。それにもかかわらず、現行の婚姻中共同親権制度において個別具体的に判断されていることをもって、異なる対応が必要ではないことの論拠とすることはできないはずである。婚姻中の共同親権制度において、全く問題がなく、また、離婚後共同親権の場面でも全く同じ利益状況であればともかく、そうではないことを無視した議論である。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月12日衆議院法務委員会 本村伸子衆議院議員 急迫かどうか、日常行為かどうか、進学、医療などの場面で共同親権の父母が合意しない場合などは家庭裁判所に持ち込まれることになる。そうすると、調査報告書が作成されて、それが相手方に開示をされ、子どもの現状が別居親に伝わることになるのではないか、特にDV、虐待ケースの被害者の方々が非常に心配をしている。 個別の事案の具体的な事情に即して、裁判所において適切に検討される。
その上で、現行法においても、当事者が家庭裁判所調査官が作成した調査報告書を閲覧するには、家庭裁判所の許可を要するものとされている。
家庭裁判所においては、記録の閲覧許可について、個別具体的な事
案の内容を考慮した上で適切な運用がなされていると承知している。
DV、虐待が家庭裁判所の中で軽視をされているということは、参考人質疑の中でも明らかで、現状の家庭裁判所の人的物的体制では問題がある。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月12日衆議院法務委員会 本村伸子衆議院議員 福岡県弁護士会の会長声明、離婚後共同親権の導入について、十分に国会審議を尽くすことを求める会長声明あるが、その中で、どこまで単独で決定できるのかが明確でなければ、後に親権行使の適法性が争われる等の心配により、適時適切な意思決定ができず、かえって子の利益を害するおそれがあるということが指摘をされているところ、どこまで単独決定できるのか。 本改正案の内容については、国会における法案審議の中で明らかになった解釈等を含め、関係府省庁等と連携して、適切かつ十分な周知に努める。 単独で親権行使することができる場合が不明確のままであり、適時適切な意思決定ができず、子の利益を害するおそれがある。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年4月12日衆議院法務委員会 本村伸子衆議院議員 附帯決議案では、「急迫の事情」等の明確化についてガイドラインにより明らかにすると書かれているが、国会審議の中でしっかりと議論しなければいけないところ、それがまだできていない。
資料を出したが、どういう場面で、これが日常行為なのか、日常行為以外だけれども急迫の事情なのか、こういう一覧表がなぜ今の段階で出てこないのか。
様々なケースがあるので、どれほど精査してみても全体を押さえるということはなかなか難しい。 論点のすり替えである。重要な部分についてすら、検討が不足している。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年4月18日参議院法務委員会 仁比聡平参議院議員 現行法下で単独親権で子の高校無償化の支援を受けて学校に通えていたものの、共同親権にされてしまって、高収入の別居親が現実には授業料、養育費を払わないというような場合にも無償でなくなるとすると、これは子の利益に反すると思うが、文科省は検討したか。 【文科省】
検討した。その際、就学に要する経費の負担を求めることが困難である場合には親権者一人で判定を行う。
子ども自身が、就学金、支援金の申請に向けて、家族の事情、特に父母間の事情を把握して相談するというのは容易ではない。 ⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年4月18日参議院法務委員会 仁比聡平参議院議員 現行法で、婚姻中の共同親権の場合に個別のケースでの対応をしているというが、父母のDVや虐待や失踪などによって親に経済的負担を求められないということで合算の例外として認められている例というのは、現行支援策になった平成二十六年度以降、どんな実績があるのか。 親権者が就学に要する経費の負担を求めること
が困難である場合について、認定を行う都
道府県等において、個別のケースに応じて判断す
ることとしていることから、文部科学省において
はその件数を把握してない。
国としては把握しておらず、実際に、弊害が生じないのか不明。 ⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年4月18日参議院法務委員会 仁比聡平参議院議員 学校の現場でどんな柔軟な対応がされているのか把握しているのか。 同上。 同上。 ⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年4月18日参議院法務委員会 仁比聡平参議院議員 金融庁が関わっている日本財団のまごころ奨学金という制度がありる。交通事故や詐欺被害、傷害や殺人などの犯罪に遭遇した子どもの家族が遭遇した子さどもを対象にして、奨学金があるところ、世帯年収一千万円を超えると原則対象外とされる。非合意型の共同親
権の場合、誰の所得証明書を提出しなければならないのか。この制度について法務省からの協議を受けたことはあるか。
離婚後の共同親権が制度化された場合における審査の方法について、現時点では決定をしてない。
犯罪被害者等の支援に係る知識及び経験を有す
る団体として、この日本財団が本制度の運営を担
っているので、一義的に日本財団において適
切に検討が行われる。
この制度に関する協議はしてない。
現場で、子どもの立場に立って、どういう支援を今後していくということになるのか、離婚後共同親権を特に非合意型で定めていくということがそこに混乱を与えてしまわないのか、現実に給付の減少、マイナスをもたらしてしまわないのか、明らかにされていない。あらゆる子ども支援施策について、どのような取扱いがされるのか、基準や運用、これを一律に明らかにすることが先決である。 ⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年4月19日参議院本会議 仁比聡平参議院議員 父母の合意がない場合に離婚後の父母双方を親権者とする必要性は。 どのような場合に父母双方を親権者とすることが子の利益に資するかについて、一概にお答えすることは困難。例えば、親権者変更や親権の停止又は喪失に至らない事案においても、同居親と子供の関係が必ずしも良好ではないケース、同居親による子の養育に不安があるために別居親の関与があった方が子の利益にかなうケースがあり得る。 父母の合意がない場合に離婚後の父母双方を親権者とする具体的な子の利益を示すことができていない。 ②共同行使を支援する制度が欠落した下での非合意型共同親権における紛争
令和6年4月19日参議院本会議 仁比聡平参議院議員 父母の葛藤が子の利益に与える影響は。 父母の意見対立の状況等によっても異なり、一概にお答えすることは困難。例えば、父母の感情的問題等により親権の共同行使、これが困難である状態は子の利益を害
すると考えている。
子の利益に反することが生じる。 ②共同行使を支援する制度が欠落した下での非合意型共同親権における紛争
令和6年4月19日参議院本会議 仁比聡平参議院議員 離婚後の子の養育の在り方に関する日本乳幼児精神保健学会の声明に対する受け止めは。 裁判所が必ず単独親権としなければならないこととしており、懸念にも対応したものとなっている。 裁判所の判断能力、人的物的体制に現状、問題がある。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月19日参議院本会議 仁比聡平参議院議員 親子交流事件の運用に関する、日本乳幼児精神保健学会の声明に対する受け止めは。 個別の事案における具体的な事情を踏まえて家庭裁判所で適切に判断されるべき事項であるため、法務大臣として具体的にお答えすることは差し控える。一般論として申し上げれば、家庭裁判所では、親子交流の安全、安心を確保するとともに、子の利益を確保する観点から適切な審理が行われることを期待している。 同上。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月19日参議院本会議 仁比聡平参議院議員 子の監護に関する事件をめぐる家庭裁判所の運用の検証はどうか。 裁判所の運用に関わる事項であるため、そのような検証を行うかどうかも含め、裁判所においてなされる。 同上。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月19日参議院本会議 仁比聡平参議院議員 親の資力等が要件となっている各省庁の
支援策は。
本改正案が御指摘の支援策に影響を及ぼすかな
どについては、第一次的にはそれぞれの法令を所管する各府省庁において検討されるべき事柄。
本改正案が成立した際には、円滑な施行に必要な環境整備を確実かつ速やかに行うとともに、国民への周知広報の在り方の検討も含め、関係府省庁等と連携していく。
支援策について、検討がなされていない。 ⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年4月19日参議院本会議 仁比聡平参議院議員 共同親権の場合における高等学校等就学支援金の取扱いは。 高等学校等就学支援金は、親権者等の収入に基
づいて受給資格の認定が行われるため、今般の民
法改正後に共同親権となった場合には親権者が二名となることから、基本的には親権者二名分の収入に基づき判定を行う。他方で、親権者が二名の場合であっても、親権者である保護者の一方がドメスティック・バイオレンスや児童虐待等により就学に要する経費の負担を求めることが困難である場合には親権者一名で判定を行うこととしており、これは共同親権となった場合においても同じ。これらの判定に当たっては認定を行う都道府県等において個別のケ
ースに応じて柔軟に判断することとなる。
離婚後共同親権では、親権者二人分の所得で計算されてしまう場合がある以上、DV、虐待ケースだけではない、高葛藤で話もしないというような形で離婚をする場合でも、二人の親権者の所得で計算されてしまう危険性があり、現状よりも、子どもとともに暮らす親、一人親世帯への経済的負担が増えたり、労力が増えるということになる。 ⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年4月23日衆議院法務委員会 寺田学衆議院議員 急迫の事情として許されるもの、日常として許されるものをマル・バツでやっていた中で、人工妊娠中絶の手術の判断がバツになっていたことで、中絶手術も単独ではできないのかという声があるが、人工妊娠中絶における急迫性が認められる期間というものに何かしらの差異を設けているのか。 中絶手術につき、母体保護法によって可能な期間が制限されていることに加えて、一般に時期が後になるにつれて母体への負担が大きくなることなどを踏まえれば、妊娠初期であっても急迫の事情に該当し得る。子の利益のため急迫の事情があるときに当たるかどうかは、適時に父母間で協議ができるかどうかも含めて、最終的には個別具体的な事情に応じて判断されるべきで、中絶手術につきましては、妊娠初期であっても急迫の事情に該当し得る。 「該当する」ではなく、「該当し得る」とし最終的には個別具体的に判断ということでは、適時かつ適切な妊娠中絶を受けられない危険性がある。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月23日衆議院法務委員会 寺田学衆議院議員 離婚後の共同親権になった場合、一方の親が単独行使したことに対してもう一方の親が単独でそれを取り消せるという無限ループになるという懸念に対してどのような対処を考えているのか。 父母の一方がある事項に関して単独で親権行使をした後に他の一方がこれと矛盾するような親権行使をすることになるところ、子どもが被る不利益の内容及び程度や、その矛盾するような親権行使の目的などの諸般の事情に照らして、他の一方による親権行使が権利の濫用として許されない場合があり得るもので、親権行使、親権者の指定あるいは変更の審判において考慮要素となる。 濫用となる場合が抽象的で不明確である。その結果、学校、病院、子どもが右往左往することになるところ、およそ健全な環境ではない。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月23日衆議院法務委員会 美延映夫衆議院議員 DVについて、現状において、父母双方の協議によって離婚した場合においても、力による支配が行われている場合が多い。合意型共同親権を選択した場合に、DVや虐待が紛れ込む危険性がある。結局、話合いがつかず、裁判所での決定となれば時間がかかり過ぎて子どもの不利益が生じるし、双方の話合いでは力を持つDV加害親の言いなりにならざるを得なくなり、子どもにとって不利益が生ずることは考えられるが、どうすれば力関係が生じている元夫婦が対等に話合いをすることができ、子どもの利益にかなうようになるのか。 父母のみで協議をするのではなく、ADRを利用するなどして、中立的な第三者がその協議に関与したり、資力の乏しい方については、法テラスの民事法律扶助を利用したりすることにより、父母が対等に協議することができる環境を整えることができる場合がある。
その上で、父母の力関係を背景とする不適切な形での合意によって親権者の定めがされた場合には、それを是正する必要があることがあると考えられるため、本改正案におきましては、家庭裁判所の手続による親権者の変更を可能とし、その際には、家庭裁判所がADRの利用の有無などを含めた父母の協議の経過、その他の事情を考慮すべきことを明確化することにした。
具体的な体制、対策が決まっていない。たとえば、韓国には、離婚熟慮期間制度がある。これは離婚受理の前段階で〈協議離婚申請書の裁判所提出→裁判所は、離婚の案内と協議離婚期日指定→専門家に相談(オプション)→子育て、親権合意(子どもがいる場合、これが無いと受け付けられない)→協議離婚期日(この日までは熟慮期間)に一緒に出席→3ヶ月以内に離婚届を提出する〉制度がある。
なお、附則19条1項に関する部分としては、具体的なものとしては、離婚届出書の書式を見直す等というものが挙げられているものの、「離婚後も共同で親権を行使することの意味を理解したか等などを確認する欄を追加する」という程度で、実効性はない。むしろ、かかる欄が追加されると、かえって「真意」の証拠にされてしまい、いったん共同親権に合意すると、監護親が当該事案で「共同親権の行使が子の利益にならない」ことを家裁申し立てで立証する必要があり、後戻りが困難な仕組みとなる懸念がある。

 

 

①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年4月23日衆議院法務委員会 本村伸子衆議院議員 子ども名義の場合は、親Aが同意した場合、親Bは取り消すことができないのか。 法定代理権は、基本的には両親で共同して行使をするので、親Bの方が共同名義で行為をした場合については、民法八百二十五条で保護の規定があるが、単独名義で行使をした場合には、現在の民法百十条という表見代理の規定、他方の親権者による取消権の濫用というような構成もできるところではある。 不明確であり、法的安定性を欠くのみならず、子の利益に反する結果をもらたす危険性がある。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月23日衆議院法務委員会 本村伸子衆議院議員 裁判所はどのくらいでの時間で判断ができるのか。 それは裁判所がお答えするべきことである。立法府の議論においてこういうやり取りがあるということは裁判所もしかと認識する。したがって、いつまでも、長くかかることがいいことだというふうには判断されないだろう。しかし、即決というわけにもいかないかもしれない。ある程度の議論、それは必要。良識の範囲の中で裁判所が判断される。 具体的に子どもの利益になるような判断をするための時間を立法府において決めておらず、現状の極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制からすると、適時にかつ適切に子ども利益に反する危険性がある。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月23日衆議院法務委員会 本村伸子衆議院議員 子が髪を染めることを認めるかについて、子に重要な影響を与えるという場面は。 子の髪を染めることについて、一般的には子に対して重大な影響は与えないものと考えるが、例えば、それが校則違反になって退学の対象になってしまうというような、子の進路に影響する場合というのが考えられる。 日常の行為と考えられると一般的に言われる行為の中でも例外があるということになっているため、不明確であって、結局、適時適切な意思決定が難しくなり、同居をしている親の自由を縛ってしまい、その結果、子の利益を害する危険性がある。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月23日衆議院法務委員会 本村伸子衆議院議員 どのような宗教を教育するのかは日常の行為か。 宗教教育については、例えば、日常的な礼儀作法に関するものから子の進路に影響するものまで様々なものがあると考えられるので、一概に答えることは困難。それが日々の生活の中で生ずる身上監護に関する行為で子に対して重大な影響を与えないものであれば、日常の行為に該当し得る。 同上。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月23日衆議院法務委員会 本村伸子衆議院議員 宗教の信仰等に関する児童虐待等への対応に関しまして、通知等をこども家庭庁は出しているところ、宗教の信仰に関して子に強制することはあってはならないがどうか。 宗教活動などへの参加を強制することも含め、理由のいかんにかかわらず、子どもの体に外傷が生ずる、あるいは生じるおそれのある体罰を行うことは身体的虐待に該当する。言葉や恐怖をあおる映像、資料などを用いて子どもを脅すこと、恐怖の刷り込みを行うこと、子どもを無視する、嫌がらせをするなど拒否的な態度を継続的に示すことで、宗教活動などへの参加を強制することや進路や就職先などに関する児童本人の自由な意思決定を阻害するようなことはいずれも心理的虐待又はネグレクトに該当し得る。 子にどのような宗教を教育するかに関して、親がどう決めようと、子どもの意思の尊重こそ最重要であり、子どもの意思や心情の尊重こそ必要であるが、子どもの意見表明権として認められていない。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月25日参議院法務委員会 友納理緒参議院議員 常時身上を監護する側の片方の親権者が国内で転勤をするような場合、他方の親権者の同意が得られずに、審判を経ていては間に合わないという状況にもしなった場合は、これは急迫の事情があると判断してよいか。 同居親の転勤が決まった後の父母間の協議の状況ですとか別居親が子の転居に同意しない理由などの個別の事情を踏まえて判断されるべき事柄。例えば、かかる事情を踏まえた上で、父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては同居親の転勤時期までに子の居所を変更するかどうかを決定することができず、その結果、子の利益を害するおそれがあるときは急迫の事情があると認められ得る。 審判申立てから結果が出るまでそれなりの時間が掛かるので、辞令交付から転居に至るまでに間に合わないということが生じ、監護を諦めるか仕事を諦める場合も生じうるところ、そのことが子どもの利益に反するおそれがある上、適時に適切な判断がなされるか不明。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月25日参議院法務委員会 友納理緒参議院議員 近場で引っ越す場合、職場の近くに引っ越したい場合、家賃のもう少し低いところに移動したい場合、これらの引っ越しも、必ず共同行使というわけではなくて、子に対して重大な影響を与えない場合は日常の行為としてできるのか。 基本的には子の生活に重大な影響を与え得るものと考えるので、基本的には日常の行為には該当しない。 学区も変わらず近くに移動する場合もあって、子どもに重大な影響を与えるかどうかというと、その範囲で、どのぐらい子に重大な影響を与えるのか
疑義がある上、このレベルで紛争が生じることが懸念される。
②共同行使を支援する制度が欠落した下での非合意型共同親権における紛争
令和6年4月25日参議院法務委員会 友納理緒参議院議員 受け手である学校や医療機関である場合は困ってしまう場合がある。本会議での大臣の答弁は、本改正案では、父母の相互の協力義務等を新設し、親権は子の利益のために行使しなければならないとあり、事案によってはこれらの義務に違反するという回答だ
った。それでは現場はどう対応すべきかという問題が残っている。日常の行為とは、日々生活の中で生ずる身上監護に関する行為で、子に対して重大な影響を与えないものとのことだが、衆議院で幾つか例が挙げられていたものの、実際の判断というのはなかなか難しいのではないか。自身が行う行為が日常の行為かどうかという判断かについて、例えば、親権者が自身の行う行為を日常の行為と確信が持てない場合に、確認する手だて、は、実際にはない。
ガイドラインがあってもグレーな部分というのはあり、責任を持っ
て答えられるかどうかという不安がある。
左の発言は、質問ではないため、答弁はない。 同左。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月25日参議院法務委員会 友納理緒参議院議員 国として制度をつくる以上は起こり得るトラブルを想定しておく必要があると考えるところ、例えば一方の親権者が、日常の行為を、実際超えてしまった行為を単独で行ってしまった場合に、どのような責任を負うかというか。かかるトラブルや不安を解消する方法は。 事案によっては他の一方による親権行使が権
利の濫用として許されない場合があり得る。
その上で、種々の日常の行為をめぐって父母間の意見が対立するなどをし、父母の一方による親権の行使が権利の濫用として許されないような事態に至り、共同して親権を行うことが困難であるというような場合には、必要に応じて親権者変更
の申立てをすることもあり得る。
十分な回答になっていない。結局、子に関する重要事項を決定する際に、責任追及されるリスクがあるため、萎縮効果が生じ、その結果、子の利益に反する結果となる危険性がある。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月25日参議院法務委員会 友納理緒参議院議員 医療現場でこの新しい制度が導入されることで混乱やそれによる萎縮が発生しないかという懸念がある。共同親権であることを把握するタイミングや方法、説明をし、同意を得る
際に親権者双方との調整をするということは負担になってくる。どの程度の急迫の事情ですとか日常的な医療の
範囲か、急迫の事情がどの程度のものかということを厚生労働省が主体となって改正法の解釈を、例えば医療現場とか学校教育の現場に当てはめたものを具体的に示す必要があると考えるが、厚生労働省の見解は。
【厚生労働省】
今後、医療機関の状況等を注視するとともに、法務省とよく相談しながら、ガイドライン等の必要性についても検討していく。
医療機関側の懸念の具体的な事案として、令和四年十一月十六日
に大津地裁で裁判例が一件ある。面会禁止された父親に説明、同意なく子供の手術が行われたという事例で、裁判所はこれ不法行為を認めた。このような事例があると、医療現場では単独行使できる場面かどうかの判断に慎重になってくる。判断に窮する場面や一定の混乱が生じることが想定される。具体的にもう少し進めていかないと混乱が発生する。
③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月25日参議院法務委員会 友納理緒参議院議員 八百二十四条の二の、親権は父母が共同して行うとある「共同して行う」の意義について、親権の行使を妨げる明示の意思がなければ同意があると考えることができるのか、無関心のような事例も黙示の同意と評価していいのか。 この場合の他方の親の同意は黙示的なものもあり得るが、現行法の婚姻中の場合でも同様である。どのような場合に黙示的な同意があったと評価されるかについては個別具体的な事案に即して判断されるべき事柄。父母を通じて他方の同意を得るように促すとともに、父母の一方が他方に対して連絡をしたにもかかわらず相当な期間内に何ら応答しない又は明示的に反対しない場合などでは、黙示の同意があったと評価され得る。 子に関する重要事項を適時にかつ適切に決定することにより、子の利益に資するようにするために、明確に規定すべき。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月25日参議院法務委員会 友納理緒参議院議員 家事事件手続法に既にあるということと、改正法八百十七条の十二の一項の、父母が子の人権、人格を重する、尊重とあることにもう含まれているということだが、家事事件手続法は手続法であるから、その子どもの意見を聞くと、確認するということは、単に手続の問題ではなくて、実体法上においても適切に規定をして、子どもの権利、適切に認めていくべきではないか。親権を判断するに当たって、子どもの意向を考慮することを八百十九条七項の考慮要素に、その年齢及び発達の程度に応じた子の意向、心情を明示すべきではないか。 本改正案では、父母が子の人格を尊重すべきことを明確化することとしており、ここにいう子の人格の尊重には、子の意見が適切な形で考慮され、尊重されるべきであるという趣旨を含むもので協議上による離婚の際に、父母が親権者の定めをするときにも、父母は、子の意見を適切な形で考慮することを含め、子の人格を尊重しなければならないこととなる。 手続法のみならず、実体法上の子の権利とすべきではと質問しているのに、適切な回答になっていない。子の意見表明権が実体法上明確に認められていない。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月25日参議院法務委員会 友納理緒参議院議員 裁判所の審理期間の短縮の必要性について。改正法が施行された場合、親権の行使の合意ができない場合に審判がされていくことになるが、現状の家事審判、特に監護者指定の審判の平均審理期間は。 令和五年の速報値で子の監護者の指定事件の調停審判の手続を通じた平均審理期間は約九・一か月である。 極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制の結果、審理期間が長期化し、子の利益に反する危険性がある。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月25日参議院法務委員会 牧山ひろえ参議院議員 共同親権は、一方が決めたことに対して他方が拒否権を発動できるということを意味する。親権に関する家裁での審判について、判断の根拠として厳密な証明を求めない以上、仮に誤判でなくとも、ある一定割合は家庭裁判所というハードルをくぐり抜けてDV加害者に共同親権が付与されることになる。ハードルをくぐり抜けてDV、虐待加害者が共同親権者となった場合、拒否権、介入権、支配権を与えることになる。リーガルハラスメントという行為に対して親権という強力な武器を与えてしまうおそれはないのか。 親権者の変更という申立てをすることもできるわけで、予防措置はしっかりと組み込まれている。 事後的な対応策は、予防措置ではない。また、救済策として不十分である。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月25日参議院法務委員会 牧山ひろえ参議院議員 DV、虐待ケース
を除外する具体的な方法は。
DV、虐待加害者が共同親権者となることを
排除できると当局は保証できるのか。
親権者の変更を可能とするとともに、家庭裁判所が父母の協議の経過その他の事情を考慮すべきことを明確化する。裁判離婚の際にも、裁判所が必ず父母の一方を親権者と定めなければならない場合の例として、虐待等のおそれがあると認められるとき、DV被害を受けるおそれ等の事情を考慮して父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるときを挙げている。したがって、DV被害を受けるおそれ等がある場合には、父母双方が親権者と定められることはない。実務上、裁判手続等において、DV等が資料等に基づき適切に認定、判断されてきているものと認識しており、裁判所において研修等を通じて運用の在り方を検討されるものと承知している。適切かつ十分な周知広報に努め、環境整備につき、裁判所の取組への協力、関係府省庁と連携する。 現状、適切にDV、虐待事案を適切に除外することができていない上、極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制に加え、具体的にどのように体制を整えるのか不明である。さらに、これまで子の利益のためといいながら、肝心の子の利益に反する危険性のある制度について、関係府省庁で検討が不十分であったにもかかわらず、今後、適切に検討され、十分な体制を整えられるか明らかではない。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年4月25日参議院法務委員会 牧山ひろえ参議院議員 真意ではない合意によって共同親権となったケースの救済策はどのような手段が考えられるか。 親権者変更の際に裁判所は協議の経過を考慮することとされ、不適正な合意がされた場合には事後的に是正をする。衆議院では、その附則において、施行日までに父母が協議上の離婚をする場合における親権者の定めが父母双方の真意に出たものであることを確認するための措置について検討を加え、必要な措置を講ずるものとする検討条項が改正により追加された。具体的な措置については、衆議院法務委員会における法案審議では、例えば、離婚届出書の書式を見直し、離婚後も共同で親権を行使することの意味を理解したか等を確認する欄を追加することなどが考えられるとの指摘もあった。 事後的な対応策では、救済策として不十分である。極めて不安定な状況となり、子どもの利益にもならない。入口から真意ではない共同親権の合意の成立を抑止するべきであり、具体的には共同親権を選択した場合の真意の確認を組み込む必要があるが、具体的な体制、対策が決まっていない。たとえば、韓国には、離婚熟慮期間制度がある。これは離婚受理の前段階で〈協議離婚申請書の裁判所提出→裁判所は、離婚の案内と協議離婚期日指定→専門家に相談(オプション)→子育て、親権合意(子どもがいる場合、これが無いと受け付けられない)→協議離婚期日(この日までは熟慮期間)に一緒に出席→3ヶ月以内に離婚届を提出する〉制度がある。
なお、附則19条1項に関する部分としては、具体的なものとしては、離婚届出書の書式を見直す等というものが挙げられているものの、「離婚後も共同で親権を行使することの意味を理解したか等などを確認する欄を追加する」という程度で、実効性はない。むしろ、かかる欄が追加されると、かえって「真意」の証拠にされてしまい、いったん共同親権に合意すると、監護親が当該事案で「共同親権の行使が子の利益にならない」ことを家裁申し立てで立証する必要があり、後戻りが困難な仕組みとなる懸念がある。
①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年4月25日参議院法務委員会 福島みずほ参議院議員 共同親権について、相談して決めることができそうな人たちにとっては必要がない、相談することができない対立関係にある人ほど強く欲する制度が共同親権になっている。うまくいっているならば問題ない。子どもの、結婚している段階で子どもの目の前で子供の養育方針で言い争っていることは子どもにとってよくない。それが、ようやく離婚してそれが解消されると思いきや、そうではなくて共同親権によってまた続くとすればそれは子どもの利益にはならない。共同親権というのを望む人がいるこ
とも理解はできるが、それは合意でなければならず、不同意共同親権というのは認めないということが必要ではないか。父母の同意がないが、強制的に共同親権になることがどういう場合に子どもの利益になるのか。
片方の親が、駄目だ、嫌だというだけで単独親権にいく前に子どもの利益というものを考えるステップがあっていいだろう。 回答になっていない。一歩間違えると家父長制に基づく父権介入、支配とコントロール、介入する口実を与えることになる。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月25日参議院法務委員会 福島みずほ参議院議員 単独で行使できる急迫の事情、法務省はこれを広く説明をされているが、子の利益
のため必要かつ相当な場合というふうに直すべきでは。
親権の単独行使が可能な場合を更に拡大することは、子の養育に関し父母双方が熟慮の上で慎重に協議する機会を狭めることとなるので、子の利益の観点から相当ではなく、御指摘のような修正も相当ではないと考えている。 多くの離婚事件は、家を出ていくときに対立が起きたり殴られたりするから、決行日を決めて家を引っ越すところ、DVより少し時間がたっていれば急迫とは言えなくなったり、あるいは、証拠がないので急迫じゃないじゃないかと言われかねない。子どもを連れて妻が家を出ていったら誘拐罪だと訴えるケースもある。夫の監護、育児の時間は圧倒的に少ないく、多くは女性が子どもを育てていて、その子どもを連れて家を出ることが困難になる。DVや虐待がなくても、夫といさかいを続けることは多大なストレスだから家を出るところ、別居して安心して子育てし、支配やコントロールから逃れる際には、狭過ぎる定義である。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
④子を高葛藤の父母の間に置き続ける事案の増加のおそれ
令和6年4月25日参議院法務委員会 福島みずほ参議院議員 家庭裁判所でもDVやその認定がされないこと、理解されないこと、いい夫さんじゃないですかと言われることなどしょっちゅうあり、DVと認めてもらえないため、この法案に心配しているのだが、どうか。 虐待のケースあるいはDVのケースにつきましては、その避難等に支障はないというふうに考えている。 実際の裁判実務上の問題を適切に把握していない。すなわち、DVや虐待があったケースでさえも裁判所により面会交流がなされたケースもある。現状の極めて不十分な家庭裁判所において適切に判断できるか疑義がある上、具体的にどのような計画で、予算措置を講じて、人的・物的体制を整備するのかが全くもって議論されていない。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月25日参議院法務委員会 福島みずほ参議院議員 パスポートの取得に関して衆議院で議論になり、外務省は四月十一日、これについて衆議院の委員会に提出しているので、説明してほしい。 未成年者の旅券発給が行われた場合、この申請については、現状においては親権者である両親のいずれか一方の法定代理人署名欄への署名をもって両親の同意を代表する者とみなして申請書を受け付ける。ただし、署名を行っていないもう一方の親権者があらかじめ子の旅券申請に対する不同意の意思表示を国内旅券事務所又は在外公館に対して行う場合があり、その場合は、同親権者に改めて旅券申請同意書の提出意思を確認し、その同意書の提出をもって旅券を発給することとしている。旅券法に基づく旅券の発給申請は公法上の行為であり、今回の民法改正案によっても、未成年者の申請についてのこうした現行の手続は基本的に変更する必要はないと考えている。 子どもが修学旅行に行くためにパスポートを取得したいが、別居親が反対ということを旅券の事務所に言ったらその子は行けなくなるところ、家庭裁判所で判断されることになるが、それ自体が子の利益に資するのか疑義がある。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月25日参議院法務委員会 福島みずほ参議院議員 子の氏の変更について、離婚し、妻は旧姓に戻るものの、子は大体九五%、夫の姓で戸籍に入っている。子の氏の変更をしたいという場合、子の氏の変更に関して共同親権の別居親が反対したらどうなるのか。 父母の意見が対立したときは、改正民法第八百二十四条の二第三項の規定により、家庭裁判所が父母の一方を当該事項につ
いての親権行使者と定めることができる。
共同親権だったら、一方が反対したら子どもの氏を変更することは今まで
は簡単にできたが、家庭裁判所で判断されるところ、適時になされず、子の利益に反する危険性がある。
③子に関する重要事項を決定できないおそれ
⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月25日参議院法務委員会 福島みずほ参議院議員 養子縁組において、女性が離婚して子どもを連れて新たな人と再婚する、子どもをその新たな夫と養子縁組するということは比較的よく行われているが、その場合、共同親権の別居親、元の夫が養子縁組に反対だと言った場合養子縁組できないのか。 十五歳未満の子を養
子とする場合には、親権者、法定代理人の代諾が要る。代諾が取れ
ないという場合、第七百九十七条第四項において、その代諾に係る親権の行使について、八百二十四条の二第三項に規定する請求を受けた家庭裁判所は、第一項の縁組をすることが子の利益のために特に必要であると認めるときに限って、同条第三項の規定による審判をすることができる。
共同親権は新たな生活で何かをやるときに拒否権として発動されるところ、連れ子養子の際にも、審判を経る必要が生じる以上、子の利益に反する危険性が生じうる。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年4月25日参議院法務委員会 仁比聡平参議院議員 改正案の趣旨として、適切な形で子の養育に関わる適切な形の関与というのは、これ一体何のことを言っているのか。 子どもの幸せのことで、これは、親になった方々は子に対して同じ思いを当然持っている。 子どもの利益が分からない親がおり、虐待が問題になっているのであり、そもそも、かかる認識に問題がある。学会から、現在の司法は科学的、実証的な視点を軽視していると指摘されている。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年4月25日参議院法務委員会 仁比聡平参議院議員 取組が制度上あるいは実際に行われている中で、親権者変更や親権の停止又は喪失に至らない事案において同居親の関与があった方が子の利益にかなうケースは。 例えば、同居親と子との関係が必ずしも良好でないために、別居親が親権者としてその養育に関与することによって子の精神的な安定等が図られるケースや、同居親の養育の状況等に不安があるが、児童相談所の一時保護の対象になるとまでは言えないようなケースについてもこれに当たり得る。 いかなるケースであるか不明瞭であり、実際には、子の利益に反するケースが生じうる。診断書で加害親から子どもを守る必要がある意見書を裁判所に提出しても、それが役に立たないこともある。児童精神科医師からは、法の領域に入ってしまうと守ってあげられないという話や、診断書に記載したのに今も結局加害親との関係性を続けるように裁判所からの指示が出ているという話がある。さらに、カンファレンスでは、別の担当者の児童が加害親との面会交流を継続することを裁判所から指示され続けていて児童の具合が悪くなっているという症例がある。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 熊谷信太郎弁護士   DV被害の方などの御意見を聞くと、養育費の支払合意を協議離婚の成立要件にしてしまうと、DV被害の方の場合には離婚ができなくなってしまうということもあるようなので、その点に関して、DV被害の方に関する対策、DV被害の方が離婚するための対策が別途必要、手当てが必要である。 現状では、DV被害者の離婚をするための対策が不十分である。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 熊谷信太郎弁護士   離婚に関する支援体制の充実について、法律はできても、結局、支援体制が十分でないとうまくワークしない。地方自治体の相談体制、民間の相談団体の支援、こういったものも必要である法テ
ラスの相談案件が非常に多いところ、協議離婚をしているその養育費の問題や離婚の際の子どもの対応、支援が十分でない。費用も予算も人員も足りない。
離婚の支援体制が不十分である。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 木村草太東京都立大学教授   子の医療や教育、引っ越しなどの決定権と面会交流とは別の制度である。 同左。 ★報道等において、よく誤解される点
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 木村草太東京都立大学教授   離婚後共同親権のメリットは、父母が前向きに話し合える関係にある場合、つまり合意型共同親権のメリットで、非合意強制型のメリットではない。合意型と非合意強制型は全く別の制度ですから、両者を分けて議論をする必要がある。 同左。 ★報道等において、よく誤解される点
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 木村草太東京都立大学教授   父母の一方が共同親権に合意しない場合とは、現に父母に協力関係がなく、話合いができない関係である。こうした父母に共同親権を命じれば、子供の医療や教育の決定が停滞する。つまり、非合意強制型の共同親権は、子どもから適時の決定を受ける権利を奪う。 同左。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 木村草太東京都立大学教授   法務省は、法案八百二十四条の二第一項によって共同親権下でも日常行為、急迫の場合であれば父母がそれぞれ単独で親権を行使できるから適時の決定ができると説明した。だが、この条文によれば、学校のプールや修学旅行、病院でのワクチン接種や手術の予約などの決定をいつでももう一方の父母がキャンセルできる。その結果、いつまでも最終決定できない状態が生じる。 同左。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 木村草太東京都立大学教授   病院や学校はどちらの要求を拒否しても損害賠
償を請求される危険にさらされる。条文の狙い
とは裏腹に、病院や学校が、トラブル回避のため、日常行為についても一律に父母双方のサインを要求するようになる可能性もある。この問題は、日常行為、急迫の決定について優先する側を指定しない限り解決しない。だが、解決策を示されなかった。
法務省の回答は、婚姻中にも問題が生じていると述べ、この問題の解決策を回答せず、論点をずらした。その上、そもそも、そのような回答を前提とした場合、婚姻中の問題を解決する手段をつくるべきである。離婚する人の中
には子どもをめぐる決定への困難が離婚原因となっている人もいる。離婚をしてもなお同じ問題が継続するような、場合によってはより悪化するよ
うな制度をつくるのは言語道断である。婚姻は非合意で強制される関係では
ない。合意に基づく父母の強い信頼と協力があってこそ成立する関係であり、原因は様々あれど、信頼や協力が失われた場合に離婚する。
③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 木村草太東京都立大学教授   法務省は、法案八百十七条の十二第二項に父母の互いの人格尊重義務が定められているから適時の決定を邪魔する共同親権の行使はできないと言い続けている。だが、義務違反があったとき、誰が、どうやって、どのぐらいの時間で是正するのか。 法務省は、これまで、相互尊重義務違反の場合、何時間、何日以内に是正されるのかを説明していない。
その是正の際には弁護士に依頼するなど、経済的コストも大きな負担となるが、その点の解決策も示していない。子どもの適時の決定を得る権利に興味がないと評価せざるを得ない。

※実は、政府自身、過去に、安倍首相や山下法務大臣の国会答弁で、離婚後共同親権には子が適時適切な決定を得られなくなる危険があると指摘していた。今回の法案の非合意強制型の共同親権には、政府自身が指摘してきた課題すらクリアできていないという問題がある。

③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 木村草太東京都立大学教授   法案八百十九条七項は、共同親権を強制した方が子供の利益になる場合とはどのような場合なのかを全く規定していない。適時適切な決定のための信頼、協力関係がある場合という文言すらない。これでは、裁判所が法律から指針を得られるはずがない。場合によって
は、適時の決定が得られなくなるケースで共同親
権を命じかねない。
同左。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 木村草太東京都立大学教授   法制審議会で共同親権を強制すべき具体例が挙がったと主張しているが、法制審議会で挙げられた具体例は、小粥太郎委員が示した別居親が子育てに無関心である場合と、佐野みゆき幹事が示した同居親に親権行使に支障を来すほどの精神疾患がある場合だけである。 無関心親に共同親権を持たせる小粥ケースが、なぜ子供の利益になるのか不明である。日々子育てに奮闘しているであろう一方の親に、無関心親と
の調整という著しい負担を課すことになるだけである。また、親権行使に支障を来すほどの病がある佐野ケースなら、もう一方の親の単独親権とする
のが適切である。法制審議会の非合意強制型の共同親権の議論は極めて粗雑。もう一度、離婚家庭の現実を適
切に理解している専門家を交えて、審議会をやり直すべきである。
理論的に、同居親に親権を奪うほどの問題がなく、かつ、話合いは無理と判断して共同親権を拒否している場合に、別居親との話合いを強制することは、問題のない同居親に無意味にストレスを与え、子どものために使えるはずの時間と気力を奪う結果になる。
③子に関する重要事項を決定できないおそれ
★報道等において、よく誤解される点
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 木村草太東京都立大学教授   法務省は、DV、虐待ケースは除外する条文になっていると言い続けているが、法案八百十九条七項の条文は、将来のDV、虐待のおそれがある場合を除外するだけであり、過去にDV、虐待があったことが明白で、被害者がその事実に恐怖を感じ、あるいは許せないという気持ちで共同親権に合意しない場合でも、もう止まった、反省していると認定されれば、共同親権になり得る内容。 実際、同じような内容を持つアメリカのニューヨーク州には、父が十五歳だった母に不同意性交の罪を働いた事案で、母側が拒否しているのに、
もう反省しているという理由で共同親権を命じた例がある。今回の法案の条文でも、夫婦間の殺人未遂や子供への性虐待があり、それを理由に共同親権を拒否している場合ですら、裁判所が反省や加害行為の停止を認めれば共同親権を命じ得る内容である。そうしたくないなら、はっきりと、過去にDV、虐待があった場合は被害者の同意がない限り絶対に共同親権にしてはいけないと書くべきである。
①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 木村草太東京都立大学教授   DV、虐待をめぐっては、家庭内のことで証拠
の確保が困難であること、当人が多大な苦痛を感じていても第三者の理解を得られにくいことなどから、DV、虐待の認定そのものが困難であるという深刻な問題もある。今回の法案は、DV、虐待を軽視し、被害者を置き去りにするもの。
同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 木村草太東京都立大学教授   D Vや虐待を主張すること自体が相互の人格尊重義務違反として扱われる危険、被害者やその代理人、支援者への嫌がらせや濫訴への対策がないこと、家裁のリソース不足に対する具体的改善策の不在など、たくさんの問題がある。 同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 木村草太東京都立大学教授   法制審議会では、DV保護法を専門とする戒能
民江委員が、要綱では被害者を守れないとい
う理由で反対したものの、DV保護を専門としていない委員の多数決で、押し切られた。衆議院では、DV被害者が、法案が可決されれば、再び加害者と対峙しなければならず、場合によっては共同親権を強制される恐怖を涙声で訴えた。衆議院はこの方が安心を得られる努力してない。
同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 木村草太東京都立大学教授   なぜ、恐怖を訴える声が届かないのか。
法務省や衆議院多数派は、DV被害の訴えを極端な被害妄想と見て、その主張をまた始まったと嘲笑しているように見える。
そもそも、法務省は、父母が共に関わるべきだ、どんな親でも子の利益のために行動できると強調し続けてきた。父母の関わりは良いものと留保なく断言する裏側には、シングルの子育てはまともではないという蔑みの感情すら見て取れる。被害者の訴えを退け続ける態度もシングル家庭への差別に由来している疑義がある。シングルでも一生懸命、子どもを幸せにしようと努力している親たちがおり、加害的な親と離れて、安心できる生活を手に入れた離婚家庭の子どもたちもいる。シングル家庭の声に耳を傾けるべきである。欧米では共同親権が主流というスローガンばかりが独り歩きしているが、どの国でもDV被害者の声はかき消され、あるいは虐待の被害者の声はかき消され、その支援者は嘲笑されている。日本の家族法の教科書でも、DV、虐待の問題が中心に置かれていない。日本の民法学、家族法学が欧米や日本の被害者たちの声に向き合ってきていない証左である。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 木村草太東京都立大学教授   DV被害者の声を切り捨てられているのは日本の被害者だけではない。 左の例。
イギリスのブリストル大学のヘスター教授も次のように指摘する。離婚後の親子コンタクトを推奨する専門家たちは、DVを解決済みの問題、既に過去のものと見て、DV被害をまるで違う惑星のもののように扱っている。
アメリカのジョージ・ワシントン大学のマイヤー教授は、アメリカの裁判所で、子どもが別居親との関わりを拒否する場合、別居親の加害行為ではなく同居親の悪口を疑うべきだという理論が蔓延しているという統計研究を発表している。マイヤー教授は、アメリカ家族法学でDV、虐待が周縁部に追いやられている、アビューズの問題を中心に置かなくてはならないとも指摘している。
ドイツやフランスでは、DV、虐待があっても、特別な手続を取って裁判所が認めない限り、共同親権である。ヨーロッパのDVの専門家や支援者か
らは、DV事案を除去できるような法改正の必要が指摘され続けていますが、立法は対応してない。
オーストラリアでは、薬物依存の父親から逃れようと子連れで転居した母親が、無断転居を責められ、共同親権を命じられた事案がある。オーストラリアの家族法の専門家の間では、性虐待の過去を持つ親と子供とのコンタクトをどうやって実現すべきかが検討すべき論点として扱われていた。オーストラリア法にも、被害者の声を軽視してきたという批判がある。
①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 木村草太東京都立大学教授   日本の現行法はまともなのかという疑問の答えは、憲法二十四条とそれによる戦後家族法の大改正にある。 男女平等の親権法の実現はヨーロッパのよりも長い歴史を持っています。フランスやドイツでは、父権に基づく男性優位の制度が二十世紀後半まで続いたのに対し、日本は、新憲法を制定した一九四〇年代に、憲法二十四条の
男女平等の理念に基づく親権法を実現した。婚姻中の共同親権を導入し、離婚後は、女性であっても子どもが親権を持てるようにした、子どもの親
権を持てるようにした。
★報道等において、よく誤解される点
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 木村草太東京都立大学教授   日本の新しい憲法、民法が重視したのは、共同
行為は合意がない限り強制できないという当事者
の意思の尊重する姿勢である。民法の旧規定の下では、戸主の同意がないと婚姻ができず、父母や夫になる男性が女性に婚姻を強要することもあった。新憲法はこれを反省し、両者の合意のみで
婚姻の成立を認め、また、婚姻の効果を合意なしに強制することを禁じた。
憲法二十四条は、合意なしに強制してはいけない婚姻の効果があることを前提としている。合意なしに強制してはいけない婚姻の効果の範囲をどう理解すべきか。その中に、子どもの医療や教育についての話合いの義務付けが入っていないのか。政府は真面目に検討すべきである。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
③子に関する重要事項を決定できないおそれ
⑥関係府省庁での検討不十分
★報道等において、よく誤解される点
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 山崎菊乃特定非営利活動法人女のスペース・おん代表理事   日本社会のDV被害に対する認識はまだまだ薄
く、暴力から逃れることも難しく、相談機関から
さえ理解のない対応を受け続けている。この状
況を改善することなく共同親権にすることは、逃
げることしか許されない日本の被害者が更に逃げ
られなくなる。
同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
④子を高葛藤の父母の間に置き続ける事案の増加のおそれ
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 山崎菊乃特定非営利活動法人女のスペース・おん代表理事   実家や友達から我慢しなさい、子どもがいるのだから離婚なんかしては駄目といった反応は全く珍しくない。身近な人から否定されたことで、逃げられない、DV被害を受けた自覚が持てない状況になっている。
勇気を出して相談機関に行くと、あざがないから、殴られていないからDVじゃない、身体的暴力に比べると大したことないねと言われることはよくある。
日本のDV法では、DVを身体的暴力だけではないとしているが、日本中で、身体的暴力以外はDVじゃないとする運用が行われてきた。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 山崎菊乃特定非営利活動法人女のスペース・おん代表理事   一時保護、シェルターへの避難について、全国の都道府県に公営のシェルターがあり、DV被害者を保護することになっているが、資料のとおり、なかなか一時保護してくれないというのが全国共通の問題。身体的暴力がないからシェルターは入れない、集団生活ができなければ無理、たばこ、お酒、携帯使用は駄目、こうしたチェックに合格して初めてシェルターに入れる。 DV被害者一時保護は十分に機能しているものではない実態があるところ、このような具体的な実態を前提とした法律案に全くなっていない。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 山崎菊乃特定非営利活動法人女のスペース・おん代表理事   生活保護受給の問題にちて、着のみ着のままで避難した方も多く、生活保護を希望することは少なくないが、同居中に受け
た精神的DVの後遺症であるPTSDなどが理解
されず就労を強要される、扶養照会で加害者である配偶者に照会されてしまった例もある。
同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 山崎菊乃特定非営利活動法人女のスペース・おん代表理事   被害者を支援したら、加害者からの大量の訴訟
が起こされ、敗訴するかもしれない。急迫な事
情という条文は、婚姻中の共同親権にも適用され
る規定だからである。被害者の相談に乗る等して加害者の共同親権行為の侵害だという損害賠償の訴訟が相談員や支援団体を対象になされる危険性がある。被害者の一時保護を都道府県が決定したら、同様の訴訟が都道府県、市町村に起こされる危険性がある。訴訟対応で支援機関はストップするだろうし、訴訟というリスクを負ってまで行政は被害者を支援してくれるだろうか。賠償金の支払を命じる判決が出たら、地方自治体はそれでも被害者を守り続けるだろうか。
同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 山崎菊乃特定非営利活動法人女のスペース・おん代表理事   内閣府が精神的DVと見ているものを被害者が
主張しただけで、単独親権になるのだろうか。相手が争ってきたら、どのような証拠で立証しな
ければならないのだろうか。例えば、長時間の
説教、通帳取上げということを家裁がどのように
認定するのだろうか。
同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 山崎菊乃特定非営利活動法人女のスペース・おん代表理事   被害当事者からのメールの紹介。 【メールの内容】→被害実態を前提とした具体的な方策がない現状。
衆議院通過してしまいましたね。何でそんなに共同親権にしたいんでしょう。既に離婚している父母も申請すれば共同親権にできるとの一文を見
ました。きっと、私の元夫は、申請してくるでしょう。政治家はようやく立ち直りかけた私たちにまた闘えと言うのですね。平穏を手に入れたと思
っていたたくさんの被害者たちを、また崖から突き落とすのですね。私のように、身体的暴力の証拠は残っていなく、既に何年も経過している者は、
どうすれば被害者だと認めてくれるんですかね。非常に落胆しています。私と娘と息子は、元夫と一緒にいる間は常にびくびくと機嫌をうかがいながら生活し、逃げてからは、これまでの生活のほぼ全てを捨て、生きていかなければならない現実を受け入れることに必死で、心身のバランスを崩しました。長い時間を掛けて、それでもまだ全員が回復したとは言えないまでも、日々、笑って過ごせるようになった一因に、私が親権を持っているからがあるのは間違いありません。どうか、本当に子供が幸せになる道を見極めてください。子供が心から愛され、守られて、穏やかに安心して暮らすために法律を使ってください。ほかの国がどうかとは関係ありません。
①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 古庄玄知参議院議員→沖野眞已東京大学大学院法学政治学研究科教授 本件は、共同親権、これを導入するかど
うかということが一番大きな問題点だが、本法案が通った場合、離婚した夫婦間の争いは減ると思うのか、増えると思うのか、また、そのように考える根拠は。仮に増えると考えた方、増えても共同親権は導入すべきだというのか、やめるべきだというのか、また、その理由は。
今回の法案によって紛争が増えるかどうかとい
うことについては、様々な局面があるので直
ちには言えない。
現状の実務を前提としない回答であって、紛争が増えることを全く理解しない発言である。これはまさに家庭裁判所の人的物的体制が不十分であることを正解していない証左である。そのような認識を前提にしている以上、公布後2年以内に具体的に家庭裁判所の人的・物的体制を十分に拡充する現実的可能性に大いに疑義が生じる。 ④子を高葛藤の父母の間に置き続ける事案の増加のおそれ
⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 古庄玄知参議院議員→木村草太東京都立大学教授 同上 増えるに決まっている。今、単独親権しか選択肢がないわけだが、共同親権に強制的にできるという内容を入れれば、強制的に共同親権にしてほしいというこれまでなかったタイプの申立てが行われるようになる。 例えば、日本は、令和四年中に全国の裁判所が受理した子の監護関係の受理数が二万件であるところ、日本の人口の約半分のフランスでは、二〇二二年の父母の別離後の未成年に関する申立てが十七万件、アメリカのニューヨーク州では、人口の二千万人ということで日本のおよそ六分の一だが、案件十四万件を家裁が扱っているというふうな数値もある。したがって、共同親権にして紛争が減るということはまずないだろう。また、諸外国の数値を見てもかなりの数が裁判所で争われるのではないかというふうに考えるのが自然である。 ④子を高葛藤の父母の間に置き続ける事案の増加のおそれ
⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 古庄玄知参議院議員→山崎菊乃特定非営利活動法人女のスペース・おん代表理事 同上 協議離婚のときに何をもたらすかというと、力の強い方の要求に応じざるを得なくなってくる。自分が不本意で共同親権になってしまった場合に、後からいろいろな元配偶者から要求が来たときに、こんなはずじゃなかったと思って、親権変更などの申立てをしてももう大変なことになってしまうということで、紛争は多くなる。 同左。 ②共同行使を支援する制度が欠落した下での非合意型共同親権における紛争
④子を高葛藤の父母の間に置き続ける事案の増加のおそれ
⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 古庄玄知参議院議員→熊谷信太郎弁護士 今回の法案で、争いが発生した場合には
裁判所に決めてもらうという立て付けが多いが、今の裁判所、体制的に十分整っていて、その本来果たすべき役割を十二分に果たせるような体制になっているかどうか、この点に
ついて弁護士の立場で率直に御意見いただきたい。
裁判所ももちろん限られた人員、組織、予算の
中でやっている。例えば養育費に関して言えば、申立てをしてからの手続が煩雑過ぎる。弁護士付けないととても無理だというケースがやはり多いIT系のいろんな機器も足りない。ウェブ会議も、家事ではなかなかできないということもある。人員面、組織面、設備面、いろんな面でやや不足が目立つかなと。特に劣化が激しい分野。
現状では、家庭裁判所の人員、組織面、設備面、予算面で十二分に役割を果たせる体制になっていない。真に子どもの利益を考えるならば、まずは、離婚後共同親権を導入する以前にかかる体制を拡充することが先決である。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 古庄玄知参議院議員 実務担当している弁護士はみんな同じような感覚を持っていて、何でもかんでも裁判所
に決めてくれと言っても時間が掛かり過ぎる、弁護士を付けないと無理だと、手続がややこしくて、法的な判断も難しい。そうすると、弁護士をまず探さなければならない。弁護士を探しても弁護士費用を払わなければならない。また、裁判所に行って長いこと調停委員だ、調査官だという人たちと対応してようやく結論が出る。家庭裁判所の裁判官も少ないと。時間が掛かる。私も相談に来る方は、まずどのくらい掛かりますかと聞いて、このくらい掛かりますと言っら、はあって、そこでため息を漏らして、お金はどのくらい掛かりますかと聞かれて、このくらい掛かりますと言うと、えっ、そんなに掛かるんですかと。二度そういうふうなため息を漏らして、そういう人はもう二度と弁護士事務所の訪問しないという、それが実態である裁判所に頼むから裁判所が適切に判断してくれるんだというのは、その現場を知らない、机の上だけしか知らない人
の発想ではないか。
  同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 古庄玄知参議院議員→沖野眞已東京大学大学院法学政治学研究科教授 先生は法制審議会の委員をされていたということだが、裁判所に持ち込んだら時間が掛か
る、それから費用が掛かる、そういうマイナス面については法制審議会のときに議論に出たか。
先ほど、先生の下に相談に行かれた方は二つのため息をついて、そして全く諦められたんでしょうか、それでいいんでしょうかという問題がある。家庭裁判所以外に一体より適切な機関があるのかという問題があるそ。家庭裁判所がその任を果たせるための土壌づくりというのは非常に重要ですので、適切な審理とその体制を整えるということが大変大事だと考えている。 裁判をすること自体のコストなどのデメリットについて検討されたかという質問に真正面からは回答せず、そのマイナス面が子の利益に反するかどうかの回答になっていない、論点ずらしである。
むしろ、裁判手続にたどり着くまでの障壁を前提に議論がなされていないため、実務と乖離した、机上の空論になっている。
①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
②共同行使を支援する制度が欠落した下での非合意型共同親権における紛争
④子を高葛藤の父母の間に置き続ける事案の増加のおそれ
⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 牧山ひろえ参議院議員→山崎菊乃特定非営利活動法人女のスペース・おん代表理事 被害者加害者の双方について、正確にDVを認定することの困難さが指摘されているが、現在の家裁を始めとする司法システムは、このようなケースにおいて、DVの有無についての正しいジャッジが現在のところできて
いるのか。
調停委員、裁判官に、どっちがおかしいのとなったら、取り乱している方に、やはりこっちの方がおかしいよね、こっちがうそついているんじゃないのというふうになってしまうケースが非常に多い。 同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 牧山ひろえ参議院議員→木村草太東京都立大学教授 改正法の施行までの二年間で、家裁がDV加害者を正確に見抜けるようにこの二年間でなると思うか。 DVを見抜くかどうか
ということは、仮に見抜ける能力ができたとして
も問題である。
認定ができないケースというのはたくさんある。どんなに裁判所が認定能力を持ったとしても。非合意の場合には強制しないという形でしか被害者が救われる方法はない。
同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
②共同行使を支援する制度が欠落した下での非合意型共同親権における紛争
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 牧山ひろえ参議院議員→木村草太東京都立大学教授 学校のプール、病院でのワクチン接種などの日常行為については同居親も別居親も親権単独行使ができるとされているため、いつでも一方の親がキャンセル
することができる。その結果、いつまでも最終決定ができない懸念がある。この問題についての防止策が法務省が想定している協力義務違反などしかないのであれば、医療、教育、保育など子どもに関わる業界にどのような事態が生じることが想定されるか。
いつまでも医療や教育に関する決定ができないということになる。
今回の法案は、不思議なことに、どちらかが優
先するではなくて、それぞれ単独で行使ができる
ということになっている。そうすると、一
方が習い事を申し込んでもう一方がキャンセルす
る、いずれもキャンセルも申込みも単独でできる
という信じられない条文になっている。これは賛否を問わず、条文の作り方として粗雑過ぎると言ってよい。
ドイツ法では日常行為については同居している親の側が一人で決定でき
る。
フランス法では、親権の行使があった場合に、同意がないということを知
っていない限りはその相手には同意を得て行使をしているとみなしてよいというような規定がある。
→このような規定がないため、法的に不安定になるリスクを避けるため、同意書がなければ、契約を締結しないという運用がなされる危険があり、更には、子の法的地位が不安定となり、子の利益に反する結果を招来させる。
①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
②共同行使を支援する制度が欠落した下での非合意型共同親権における紛争
⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 牧山ひろえ参議院議員→木村草太東京都立大学教授 法務省はなぜこの簡潔で効果のある解決策を取らないと思われるか。 混乱を甘く見ている。やはり、加害性の強い方というのは親権を幾らでも濫用するということが先ほどの山崎参考人の指摘にもあった上、熊谷参考人からは、ずっと経済虐待が日本でたくさん起きているんだということを訴えている。加害行為に使えるような一方的なキャンセル権を裁判所の命令によって付与するということが何を生じるのかということは具体的に想像していただきたい。 法的に不安定になるリスクを避けるため、同意書がなければ、契約を締結しないという運用がなされる危険があり、更には、子の法的地位が不安定となり、子の利益に反する結果を招来させる。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
②共同行使を支援する制度が欠落した下での非合意型共同親権における紛争
⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 牧山ひろえ参議院議員→山崎菊乃特定非営利活動法人女のスペース・おん代表理事 日本の離婚の九割を占める協議離婚において、強いられて、又はやむを得ず、あるいは誘導されて共同親権に合意してしまうということが特にDV被害者について懸念されるが、現場の実感として、このリスクをどのぐらい感じているか。 これってDVだろうかというような段階で、よく分からなくて、つらくて、それで協議離婚をしてしまう。パートナーが怖いから、離婚してくれるんだったら共同親権でもいいわとなってしまったときに、何かあると訴訟だとかそういったループになっていくというのは非常に懸念している。 同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
②共同行使を支援する制度が欠落した下での非合意型共同親権における紛争
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 牧山ひろえ参議院議員→木村草太東京都立大学教授 法務省は親権者変更の申立てが救済策になると答弁しているのだが、子の親権者意思という救済策の評価は。 親権者変更のためには、
非常に長くの時間と労力が必要になるため、トラブルが起きそうなものは事前に除去しておくにこしたことはない。
それが救済策であるというふうに考えること自体、訴訟コストがゼロであるという非現実的な想定を置いていると言わざるを得ない。
同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
④子を高葛藤の父母の間に置き続ける事案の増加のおそれ
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 牧山ひろえ参議院議員→木村草太東京都立大学教授 合意が必須となればここまでの懸念は相当程度解消すると思うが。 合意型は、これまでは子供の面倒を見るから親権を持つという選択肢しかなかったわけだが、これからは、子供の面倒は見たくないが口だけは出したい、だから別居親になった上で親権者と、共同親権を持つという選択肢が生まれる。これは、共同親権にしなければ何々をしないぞというような取引に使われる可能性があるので、合意の誠実性の担保が必要。 真の自由な意思に基づく合意かどうかについて、単独親権とした上で、二人で共同親権届を出すというような仕組み、合意が失われたら、いつでも同居親の単独親権に移行できると、届出だけで単独親権に移行できるという仕組みを備えれば、合意型の共同親権は十分に実現ができるところ、このような案を検討していない法制審議会の議論に問題がある。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 牧山ひろえ参議院議員→山崎菊乃特定非営利活動法人女のスペース・おん代表理事 同上 共同親権にするんだったら離婚してやるということで不本意な合意というのもあり得るので、本当の合意って何なのかというのがなかなか、どこがどうやって見抜くのかなというのはある。 同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 清水貴之参議院議員→木村草太東京都立大学教授 率が低いにしろ、共同親権を取っている場合は、DVや虐待の問題というのは各国発生しているという認識か。 実際に現地のDV保護の団体とかの声明を見ていると、非常に被害者にとって酷な状況になっているということがうかがわれる。 アメリカの研究、イギリスの研究、ドイツの研究を見ると、共同親権を拒否
すること自体が子の福祉に反する行動をしているとみなされがちで、この結果、DVや虐待を裁判所で訴えるということ自体を被害者が忌避するというような現象が起きているという指摘も非常に多くある。
①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 清水貴之参議院議員→木村草太東京都立大学教授 非合意強制型では、法務省や裁判所は裁判所が判断するという意味では非合意なんでしょうが、ちゃんと状況をいろいろ見たと、状況を見て判断した結果がこうだというような答弁になってくるんだと思うが、これについてはどのように考えるか。 どういう場合に非合意
において強制すべきかということについて、法律は、いつでも典型的な適用例というのを示せるは
ず。窃盗とはどういう例ですかと言われれば、これが窃盗ですというふうに示せるわけであるが、今回の審議を見ていると、どういう場合に非合意でも強制しなきゃいけないかということについての具体的な指摘が非常に乏しい。
命令されると共同親権をやってもいいかなと思う人たちがいるのではないかという想定は非常に非現実的である。共同親権というのは医療や教育についての決定を別居親にわざわざ同意を取らないと決定ができない状態というこ
とになるので、監護のための時間あるいは監護のための労力というものを奪っていく。そういうようなことを監護不十分なケースでやれば、更に監護の状態が不十分になるということが想定される。もしも監護の状況が不十分ということであれば、それはシングル家庭の方に対して、資金援助であるとかヘルパーを派遣するとか、そうした形で改善すべきであって、別居親の同意がないと教育やあるいは病院についの決定ができなくなる状態にすることが監護不十分ケースの援助になる発想は、驚きを禁じ得ない。
③子に関する重要事項を決定できないおそれ
★報道等において、よく誤解される点
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 清水貴之参議院議員→→沖野眞已東京大学大学院法学政治学研究科教授 法務委員会でこの辺りを法務省などに聞いた場合には、いろいろ専門家が、調停委員、専門家がいて、そういった方々が判断をする、子どもにも聞き取りをするとか、例えばゲームなどを使いながら子の本当の本心を見るような工夫をするとか、い
ろいろ法務省も考えているんでしょうが、それでもやっぱり難しい話かなというふうには思っているが。
家庭裁判所の調査官は心理学についての専門ということなので、法律以外の各種の分野の専門の知見を使って、子どもがどういうふうに考えているのかというのを、無理強いすることなく、かつ、自分が選択してしまったというようなことではなく、いかに把握していくかが工夫されていくということであり、そのための人的体制が家庭裁判所で整えられるべきだという議論がされた。 現状では、そのような体制になっていない。今後、体制を拡充するというが、具体的なロードマップは全く示されていない。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 清水貴之参議院議員→→沖野眞已東京大学大学院法学政治学研究科教授 DVの証明、判断も難しいと思うが、法制審の中での議論は。 DV被害防止法自体が裁
判所が保護命令とかそういう話になっているので、そこでいかに確保していくかということに
なるかと思う。それまでの経緯、当事者からの聞き取り等、そういったものを駆使していくということになる。
全くもって、抽象的であり、現実のDV被害の実態に即した検討、回答結果になっていない。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 仁比聡平参議院議員→山崎菊乃特定非営利活動法人女のスペース・おん代表理事 子連れ別居の適法性の実情について、裁判所は、理解したか。 自分一人で調停を申
し立てて、それでやったという方はなかなか、そ
れ本当なのみたいな扱いをされて信じてもらえな
かったというケースは非常にたくさん聞いていまる。なかなか当事者一人では難しい。
同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 仁比聡平参議院議員→木村草太東京都立大学教授 子連れ別居に対して、違法な実子誘拐だ、あるいは不当な連れ去りであるというような裁判上の申立てがされた場合に、裁判所はどのような審査をすべきなのか。今日、どんな基準が裁判所にあるのか。この今回の法案によって、そうしたこれまでの取組、積み重ね
というのは変わるものと考えるか。
今回の法律では、急迫の事情がない限りは子連れ別居ができないという条文にすることによって、子連れ別居がしにくくなるのではないか。
法務省は、家裁に相談する暇がなければ急迫で
すということをずっと言い続けているが、裁判所は、法務省の答弁だとかここでの議論というのは基本的には見ずに、条文だけを見るので、指摘されている危険は決して大げさではない。
同左。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
④子を高葛藤の父母の間に置き続ける事案の増加のおそれ
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 仁比聡平参議院議員→山崎菊乃特定非営利活動法人女のスペース・おん代表理事 この法案が成立した場合の申立て権の濫用や、あるいは親権の
共同行使に当たっての拒否権的な別居親からの関わりと、リーガルハラスメントに対する恐怖は。
逃げてきた方のパートナーが、その逃げてきた方を保護した警察官を公安委員会に訴え、代理人になった弁護士を懲戒請求し、私に対しては刑事告訴をし、行政に対しては、行政に対しても違法行為だということで訴えた、ありとあらゆる手を使ってやってきたケースがある。 同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 仁比聡平参議院議員→沖野眞已東京大学大学院法学政治学研究科教授 濫用については早期適切に却下することが想定されているという御発言だったと思うが、どんな場合に、どのような手続において却下されることが想定されているのか。 濫用であるというのは、例えば親権の変更ということに、親権者の変更になりますと、それを基礎付ける事実が必要ですけれども、そういった事実が想定されないのにもう繰り返し繰り返し短期間で申立てをするというようなものというのは、基本的には濫用という推測が立つのではないか。 リーガルハラスメントの問題である濫訴の問題を単なる親権者の変更の場面のみしかとらえておらず、不当訴訟の不法行為法上の違法性が極めて限られた場面でしか認められず、濫訴の抑止にならないこと等、実務を踏まえた対策について全く考慮されていない。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 仁比聡平参議院議員→木村草太東京都立大学教授 被害者やその代理人、支援者への嫌がらせや
濫訴への対策がないと指摘については。
まず、合意に限定、合
意がある場合に限定するというのが一番の対策。
濫訴は、訴訟や申立ての提起自体が違法であると認定される基準は極めてハードルが高いので、これは濫訴自体が不法行為であるというふうにされることはほとんどないだろう。濫訴の不当訴訟の枠組みで、訴訟の提起自体が不法行為になるというようなことが抑止力になるというのはほぼ現実的な想定ではない。
【濫訴の問題の具体例】
ニューヨーク州で裁判になった事案では、父母が、両方が親権を持っているので、両方が合意しないと旅行が行けない。このために子供のサマーキャンプに行く合意ができなくて、キャンプの機会が失われたケースなどが報告されている。
日本でも、非親権者の別居親である父親が、娘に標準服、制服ですね、の着用を義務付けるのは違法だとして中学校を訴えた事案が現行法でもある。。現行法では、親権者ではなかったということでこの訴訟は棄却されたが、このような訴訟が共同親権ということになれば法的根拠を持って主張され得るということになるので、濫訴というのは、親権者変更だけではなくて、共同親権になった場合にその親権の行使についても今言ったようなケースが
起きる。
そのほか、医療系の学会も、このままでは病院が非常に意思決定が困難になるのではないかという要望書を提出している。
その結果、子の利益に反する危険性がある。
①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 水野紀子白鴎大学教授   急迫の事情については、適時の親権行使をしないと子の利益を害するおそれがあるような場合と解釈されるべきであり、必ずしも狭い概念ではない。常識的な線で運営されるのではないか。 かかる解釈をするならば、「急迫の事情」という狭く解釈される危険性のある文言であることは不適切である。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 水野紀子白鴎大学教授   教育や医療の場面で本当に必要な親権行使が行われない場合については、現状でも現場は子供のために努力している。医療ネグレクトに対しては、親権停止という手続も利用されるが、重過ぎて利用しにくいため、医師が推定的同意や事務管理の法理で子どもを救おうという動きがある。 医師の推定的同意や事務管理の法理だと、適法となる基準が極めて不明確であるため、事後に違法と判断され、法的責任を追うリスクがある以上、同意が得られない場合、子に対する教育や医療行為に対する萎縮効果をもたらす結果、適時にかつ適切な教育や医療を受ける子の利益に反する結果となる可能性が高い。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 水野紀子白鴎大学教授   文科省と厚労省は、児童養護施設に入所中の子
が高校進学について親の同意を得られないときに
柔軟に対応して進学させるように通達を出してい
る。子どもを不当な親権行使から救う、このよう
な現場の努力と整備にこそ、政府や関係官庁が一
丸となって取り組んでいただきたい。
現場の努力ではなく、法律の仕組みとして、子の利益が害されることがないようなシステムを構築するべきである。しかし、その点が十分ではないこと、関係府省庁においても全く検討されてこなかった上、参院でも十分な検討がなされてきてこなかったこと、現場の整備という点でも、DV被害防止のための体制が不十分である現状に加え、具体的にどのような対策をとるか担保されていない。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
③子に関する重要事項を決定できないおそれ
⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 浜田真樹弁護士   日常行為以外で親権行使者について協議が調わ
ない場合、家庭裁判所による親権行使者を決定は迅速に行われる必要が極めて高い。課題は、この急迫の事情ありと当たるか否かをまず判断するのは親御さん本人だということ。急迫の事情ありと言えるかどうかについて、明確な判断基準が示される必要が極めて高い。
現状では、迅速に判断するための家庭裁判所の人的・物的体制がない上、離婚後共同親権が導入されると、紛争が増加する以上、ますます、人的物的体制の整備が求められるところ、公布後2年以内で、具体的に体制を拡充する担保はない。また、判断基準が明確ではないため、子に関する重要事項を決定できない、無用な紛争が生じるリスクがある。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 浜田真樹弁護士   家庭裁判所の事件数や業務は増えているが、裁判官は余り増えておらず、調査官に至ってはほぼ増員がない。支部や出張所では、裁判官や調査官が常駐していないところも多数。子を連れて遠方の裁判所まで出向かないとというような事態も生じる。子に関する調査を行ったり試行面会を行う児童室は、裁判所支部、家庭裁判所支部の約半数には設けられてない。 同左。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 熊上崇和光大学現代人間学部心理教育学科教授   本法案での共同親権は、子の転居、教育や医療
について、双方の合意がないと子どもは希望する進学や医療を受けることができない、父母の合意が必要ということは、一方の共同親権者が拒否すれば、急迫の場合以外は子供が進学や医療を受けることができず、言わば一方に拒否権を与えるものであり、子どもにとって不利益なもの。
19年もの間、家庭裁判所調査官としてのキャリアがある大学研究者において、本法案での離婚後共同親権いよって、子にとって不利益であると指摘している事実を重く見るべきである。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
★報道等において、よく誤解される点
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 熊上崇和光大学現代人間学部心理教育学科教授   合意のないケースで共同親権を家庭裁判所決定にすることが子の利益になるのかという説明が政府からなされていないことも重大な問題。 同左。 ⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 熊上崇和光大学現代人間学部心理教育学科教授   まずは子どもたちの声を聞くべきで子ども自身の意見や意思を抜きにした子の利益は成り立たない。子どもたちのことを子ども抜きで決めるべきではない。ナッシング・アバウト・アス・ウイズアウト・アス、私たちのことを私たち抜きで決めないで。この言葉は国連障害者権利条約の障害者の人々のスローガンだが、同じことが子どもに関する法制度にも言える。 【二〇二四年三月二十九日、国会議員会館内で院内集会における子どもたちの声】
十六歳。これ僕たちにデメリットしかないのでは。何かにつけて両親の許可が必要って面倒なだけ。何か提出するのに期限が、期限に間に合わなかったら国は責任取れますか。今は一人の親権者のサインでいいのに、共同親権になったら面倒だし、誰も得しないじゃないですか。
九歳。共同親権に反対です。お父さんとお母さんが離婚前の別居中に僕の手術が必要になったとき、お父さんが嫌がらせでサインしてくれなかったと聞きました。病院にお願いしても、両親のサインがないと駄目だと言われて、数か月手術が延びたそうです。
十六歳。離婚時に、兄の私立高校をやめさせろと父から児童相談所に要請がありました。理由は養育費が掛かるからだそうです。共同親権になったら今の高校も続けて通うことができるか分かりません。どうか助けてください。
③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 熊上崇和光大学現代人間学部心理教育学科教授   子どもたちの声として、私の知る限りでは、進学
や医療、転居で双方の合意が必要な共同親権を望
むという声はない。離婚家庭の子どもたちは、進学などで双方の許可が要るという共同親権は望んでいないのでは。本法
案に子供の意見表明権や意思の尊重が含まれてい
ないことも問題。
同左。  
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 熊上崇和光大学現代人間学部心理教育学科教授   本法案では、家庭裁判所が単独親権とする条件として、DVやそのおそれを双方話合いが困難であるときとしている。家庭裁判所がDVやそのおそれを判断できるのかという問題があります。残念ながら、家庭裁判所はDVを完全には認定、除外することはできていない。 同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 熊上崇和光大学現代人間学部心理教育学科教授   DVが家庭裁判所で除外されず、四歳の子どもが命を落とした家庭裁判所伊丹支部のケースの紹介。 面会交流は、DVや子どもの虐待ケースについては面会交流しない、除外することになっているが、このケースでは、同居親、母親は、物や家具を投げられたり、部屋の壁に穴が空けられたり、夜中にたたき起こされ、おまえが悪いからやと言われていた。こうした状況の写真を家庭裁判所で示しても、元夫から写真は合成と言われて否定されていた。調停委員から、父母なん
だから子供のことを考えたら連絡を取らないといけないのではないかと言われ、それまで父母が直接連絡していなかったが、調停委員に言われてそうしなければならないと思ったとLINEを交換し、翌日から長文のメッセージが毎日届き、元夫がいつ来るか気が気でない状態になり、調停後初めての面会交流の日に子供が殺害された。
このように、家庭裁判所でDVを完全にしっかりと除外することができず、悲劇が起きている。しかし、まだその検証もなされていない。
①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 熊上崇和光大学現代人間学部心理教育学科教授   父母が対立し話合いができないケースで家庭裁判所が共同での親権や共同監護を命じると、子供は幸せになるんでしょうか。また、スケジュールどおりに子供が父母間を行き来する共同監護計画は子供の利益になるのか。
これについて、米国の離婚家庭の子供を二十五
年間長期にわたって追跡したワラースタイン博士
の古典的研究がある。
【ワラースタイン博士の「それでも僕らは生きていく」】
子どもたちは安心した環境で育ち、子どもは自由にきてよい。同居親と、あるいは別居親との信頼、愛着関係の中で、子どもは行きたい学校に行く、行
きたい病院に行く、やりたいことをやりたいと言い、嫌なことを言うこと、嫌だと言うことができ、会いたいとき、子どもが会いたいときに会えること
ができ、会いたくないときは、友達、会いたくないときや友達との都合を優先したいときにはそれが尊重される。そのような、子どもが安心して過ご
せる環境整備が子の利益である。進学や医療で合意がもらえないかもしれない、家裁にその都度行かなければいけないかもしれないと、子どもを
不安にさせたり諦めさせることがあってはならない。
②共同行使を支援する制度が欠落した下での非合意型共同親権における紛争
③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 熊上崇和光大学現代人間学部心理教育学科教授   非合意ケースにおいて、対立する父母の下で意思決定ができないことが生じれば、子どもの利益にならず、家裁がDVを除外することが困難であることから、共同親権を導入するにしても、子供の意見を尊重することを前提に、父母が対等に合意したケースに限って認めるべき。 同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 田中昌史参議院議員→熊上崇和光大学現代人間学部心理教育学科教授 家族の在り方、子の権利あるいは親の義務について、現状、日本社会での理解というのはどうなっているのか。 三月に署名を内閣府に、この法案をやめてほしいという六万通ぐらい出した。衆議院の議論があって二十三万人に増えた。ようやく国民もこういう法案なんだと。例えば、双方の合意がないと子供と一緒に転居できないんだとか、特別支援学校入るのに事前の許可が、双方の許可が要るんだとか、そういうことを、やっと最近になって、衆院の議論があって増えてきたが、まだまだ十分ではない。国会議員や地方議員にレクチャーすることはある。地方議員の方も知らない方が多い。えっ、離婚後もパパもママも関与できるからいいよね、選択できるからいいよね、それは間違いではない、選択もできるわけなんですけれども、合意していなくても家庭裁判所が決定することもあることや双方の合意がないと子どもと転居できないことについて地方議員の方も非常に驚かれた。 まさに、拙速な審理であり、子の利益に反しないかどうか具体的に対応策が検討されていない、生煮えの法律案であることの証左である。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
⑥関係府省庁での検討不十分
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 福島みずほ参議院議員→熊上崇和光大学現代人間学部心理教育学科教授 合意できないケースで共同を命ぜられた場合の子どもの心理や問題点、あるいはなかなか、それが本当に紛争を激化していくということについては。 合意できないケースで家庭裁判所が共同親権を決定した場合、子どもはどうなるかというと、高校行けるのかなとか、俺これ別居をしている親の許可を得なきゃ行けないんじゃないかとか、許可得られなかったら高校とか行きたい学校へ行けないんじゃないかとか、手術もこの病院で手術受けたいんだけど大丈夫なんだろうかと、ものすごく不安になると思う。家裁でその単独行使が可能かどうか決定できると、こういう立て付けになっているが、家庭裁判所の調停は申し立ててから何か月も掛かる上、合意がそこでできなければ審判ということで更に時間が掛かる。子にとって宙ぶらりんな状態が数か月、一年近く続く。高校へ行けるのかどうかとか手術するのかどうかと、すごく、子どもは諦めてしまう思われる。海外の研究でも同じこと言われ、常に卵の殻を歩いている状態だと言われる。 同左。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 福島みずほ参議院議員→熊上崇和光大学現代人間学部心理教育学科教授 家父長制に基づく父権介入、一緒に監護で、あるいは養育費をちゃんと払って子供のことを愛情を持って見守るというよりも、共同親権がむしろ介入権として登場するんじゃな
いか。
今回の法案では、双方の合意が要るという制度だから、非常に拒否権になっている。日常の問題に対しても、プールを入る入らないとかでも、プールに入れるのか、入れないのかと、そういった非常に日常生活でも不安定な状況になるということで、子どものメン
タルヘルスに及ぼす負の影響というのは大きい。
同左。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 福島みずほ参議院議員→熊上崇和光大学現代人間学部心理教育学科教授 例えば同居親が新た
なパートナーができて養子縁組を子どもとやるのも、共同で合意でないといけないので、別居親が同意をしてくれない限りできないと
子どもの未来をや
はり狭めてしまうのでは。
子連れ養子縁組で、
新しい親と養子縁組するときに、十五歳未満の場
合は別居親の合意が必要となっているが、対立ケースだったら、合意してくれないと諦めるケースも増える。新しい再婚家庭においても進学や医療で別居親の許可が、合意が必要ということにな
る。つまり、再婚家庭に対する、再婚家庭の子どもへの操作が可能になるということになる。
再婚家庭の子どもを縛るようなことがあってもいいのか。再婚家庭の子どもが新たな家庭で安定、安心して勉強したい、学校行きたいなんというのを考えても、別居親の許可を得なければいけない。非常に再婚家庭の子どもたちが不安定になる問題がある。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
④子を高葛藤の父母の間に置き続ける事案の増加のおそれ
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 福島みずほ参議院議員→熊上崇和光大学現代人間学部心理教育学科教授 DVは認定してもらえないケースもあるし、もうそもそも諦めてしまうという場合もある。離婚できればいいから、もうDV主張しないという場合も本当
にあり、DVなどがある場合は単独親権にしますから大丈夫ですよというのは、ものすごく危ういというふうに思うが、どうか。
微妙なケースで、DVかどうか、そのおそれがあるか分からないし、共
同で話合いも多少可能だと裁判所が認定すると、共同親権が決定されて、先ほど言ったような、子どものその後の進学、医療などの成長場面でそのたびごとに不安になり、あるいは家裁の紛争に持ち込まなければいけないということになる。
同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 福島みずほ参議院議員→熊上崇和光大学現代人間学部心理教育学科教授 一度でも暴力振るわれたらもうアウトで、急迫の事情とかDVのおそれといっても、それは怖いから、夫がいないときに家を出るとか子どもを連れて出ようとかいうふうに思うと思うが。 DV、暴力、回数はともかく、非常にトラウマというものが生じてくると、これはなかなか消えない。時代とともに軽減するわけではなく、続く。その場面がどっかに来たりすると。家庭内のDVにおいてもトラウマが生じ、それで、その例えば会ったりするごとにまたトラウマが生じてしまう。その結果、うつ状態になる等、メンタルヘルスへの影響がトラウマにより生じてくる。 同左。  
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 福島みずほ参議院議員→浜田真樹弁護士 子どもの権利に関する
条約が子供の意見表明権と書いているから、あなたはどっちだって詰め寄るのではなく、子どもを本当に尊重して、あなたのことをみんなが尊重しているよという、それは必要だと思うのですが。
丁寧な説明をして、君は自由に意見を言っていいんだ、言わなくてもいいし言ってもいいし、で、君が言ったことについて大人は一生懸命考えるんだよ、なので君の意見を教えてくれないかということを、十分な信頼関係の下に子に質問をする。子が言ってくれたらば、大人側は一生懸命ちゃんと真っ正面から捉えてきちんと検討する、これが大きな枠組みとして考えられるべきであろう。 同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 福島みずほ参議院議員→浜田真樹弁護士 家裁の今のキャパというのは、二か月後とか三か月後とかいうので、キャパなどについては。 家庭裁判所の混雑状況というのはもう本当に、もう実務をやっていると、どうにかならぬかなと思うところである。裁判所の裁判官が増えることも大事だが、それ以外の、例えば調査官、事務的な役職のところ、その辺りもその大幅な増員というのは不可欠だろう。 同左。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 伊藤孝江参議院議員→水野紀子白鴎大学教授 必ずしも同意が当事者間でできていない場
合であっても共同親権になり得る可能性がある仕組みを導入をすることについて、子どもの利益との関係でどのような整理がなされたのか
同居親と子供との関係性が必ずしも良好ではないとか、あるいは、同居親の養育にやや不安があるので、別居親の関与もあった方が子の福祉にかなうと予想されるようなケースもあると指摘された。そこに共同の親権という選択肢が入ると、子供の福祉という観点から、より充実した検討が可能になる。 実際に、本法案が想定している非合意型離婚後共同親権において、かかる回答では、具体的にどのように子の利益になるのかが全く不明である一方で、子の適時にかつ適切な教育や医療を受ける権利等が侵害されるという子の利益に反する具体的な危険性が想定される以上、何ら説得的な回答ではない。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 伊藤孝江参議院議員→浜田真樹弁護士 家庭裁判所で調停委員もされているという立場の中で、現状の、その親が、両親が紛争状態にある、離婚の紛争状態にある子どもに対して、適切な現状の説明であったり、今後どんなことが話し合われて、どんなことを決めていくことになってというような、その説明自体をまず子どもにきちんとなされている事案は。 甚だ不十分である。特に、裁判官、調停委員等が子どもに直接会うという機会はほぼない。調査官は調査官面接の中では会うが、その中でもその状況の説明等ということよりかは調査を、命じられた事項についての調査ということになるので、そこはどうしても十分ではない。 同左。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 清水貴之参議院議員→熊上崇和光大学現代人間学部心理教育学科教授 家裁の体制はどうなんだという、人員は足りているのかとか、この話が必ず出てくるが、その辺りについ
てはいかがか。
小規模な裁判所に勤めていたこともあるが、裁判官が刑事、民事、家事、少年と全部担当し、調査官ももちろん両方やっているので、なかなか家事の調停ができないということもある。だから、本当に増員というのは常
に求めているが、例えば成年後見制度ができたときもほとんど触れて
いない。
現状でも人員が不足しており、増員を求めているのに、増員されない現状があるのに、今後、わずか公布後2年で増員がなされるか甚だ疑義がある。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 川合孝典参議院議員→水野紀子白鴎大学教授 今回の民法改正に伴って、このDV被害者対策と児童虐待対策として速やかに執り行うべき優先順位の高い事項
は何か。
具体的には児童相談所が今ほとんどパンク状態。そこでの人員、かつ今は素人の新入の役員が今一番きついところだというふうなことで児童相談所へ回される。対応する職員自身の心を守るためにもそれなりの訓練が必要。人間を多量に児童相談所などに配置をする、ここにお金を掛けるということが急務だろう。 それほど貧弱な体制を具体的に公布後2年以内にどのように充実した体制にするのかが全くもって不明であり、実現可能性に疑義がある。むしろ、本法案を制定する前にすべきことではないか。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 仁比聡平参議院議員→熊上崇和光大学現代人間学部心理教育学科教授 日本乳幼児精神保健学会の声明の中で、主たる養育者を始めとする周囲の人とやり取りし、優しく温かい声や浮き浮きするリズム、心地よい身体的刺激などの肯定的な交流を得て、脳や神経が成長し、心と体を発達させていく、子どもにとっ
て、主たる養育者とこうした幸せなやり取りができることは、生存と発達の重要な要素である。それゆえ、子どもの成長発達にとって最も重要なのは、安全、安心を与えてくれる養育者との安定した関係と環境が守られることである。こうした指摘についてはどうか。
特に乳幼児については、
子どもが安心して過ごすことができる、安心して寝られる、安心して甘えられる、遊ぶことができる、こういう環境が絶対に必要であるというのはその乳幼児学会のとおり。しかし、例えば、これが共同親権というふうに非合意ケースで決定されて、共同にするか単独親権にするかの争い、あるいは監護者をどちらにするかの争い、監護者が決まらなくて監護の分掌をどうするかの争い、これは日常行為なのかどうかの争い、急迫かどうかの争いと、常に子どもたち、常に親が争いに巻き込まれると、当然親が、監護親が子ども、乳幼児などを安心して育てるということが難しくなるのではないかというふうに懸念する。
同左。 ③子に関する重要事項を決定できないおそれ
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 仁比聡平参議院議員→熊上崇和光大学現代人間学部心理教育学科教授 子どものペースや意思が尊重されるような関係、父母間に、たとえ夫婦としては別れても、子どもの、育てていくということに関してはそういう関係性というのが存在するとい
うことがこの共同監護を子の利益のために実らせていく上での言わば条件といいますか、前提のように思うが。
野球に行きたい、少年野球の試合があっても来なさい、こっちの家に来なさいとか、ピアノレッスン、ピアノ発表会があっても来なさいとか、決まったことだから、裁判所で決まったから、法的義務があるからやりなさいと、こういうことは子ども心に深い傷を残すし、そういうふうに決めてはいけない、非合意なことでは、決めるとそういった子どもの心に深い悪影響を起こす。 同左。 ①DV・虐待事案を除外する方策が講じられていない
令和6年5月7日参議院法務委員会(参考人質疑) 仁比聡平参議院議員→熊上崇和光大学現代人間学部心理教育学科教授 DV、虐待について現在の裁判所が認定できていないという厳し
い批判があったが、これは一体なぜなのか。
なぜ裁判官は、あるいは調停委員会は、そうした深刻な権利侵害を見出せないケースがあ
るのか。
双方の言い分が対立してしまったときに、立場の弱い方を説得してしまうというような構造もあることも否めない。会いたくないと言ったときに、じゃ、一回ぐらいはどうかなとか、じゃ、もうちょっと何回かできるかなとか、そうすると、うん、まあ何とか応じようというような、仮に不安や恐怖を持っていてもですね、そういったことがしばしば行われていて、結果的に家庭裁判所も事件を処理するために調停などでそういった働きかけが行われてしまったり、また、どうしても子どもと会うということは
良いことなんだというような考え方、これはプロ
コンタクトカルチャーなどというふうにも言われ
ているが、そういったことで促すというような文化も今まであった。
同左。 ⑤極めて不十分な家庭裁判所の人的物的体制

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