2025年5月26日、「いのちのとりで裁判 最高裁での勝訴判決を求める決議」
いのちのとりで裁判 最高裁での勝訴判決を求める決議
いのちのとりで裁判とは、2013年から2015年にかけて強行された、史上最大の生活保護基準の引き下げに対し、全国各地で1000名を超える生活保護利用者が原告となり、基準引き下げが違憲・違法であることを理由に、生活保護減額決定の取り消しや慰謝料の支払いを求め提訴した訴訟である。
各地の地方裁判所から始まった闘いは、高裁、最高裁に移り、2025年5月27日に最高裁の弁論が行われることとなった。同日には、①引き下げの違法性及び慰謝料を認めた、名古屋高裁2023年12月1日判決(名古屋地裁控訴審)に対する、被告国等による上告受理申立事件の弁論と②引き下げの違法性を認めず、原告らの請求を排斥した大阪高裁2023年4月20日判決(大阪地裁控訴審)に対する、原告らが行った上告受理申立事件の弁論が実施されており、この弁論を踏まえ、今夏、この相反する2つの判決に対する、最高裁としての統一判断が示されることになる。
いのちのとりで裁判では、既に多くの判決において、引き下げの違法性が認められている。2025年に入ってからだけでも、福岡高裁(福岡地裁控訴審)、松山地裁、大阪高裁(京都地裁控訴審)、札幌高裁(札幌地裁控訴審)、東京高裁(東京地裁はっさく訴訟控訴審)、東京高裁(さいたま地裁控訴審)、広島高裁(広島地裁控訴審)と、勝訴判決が相次いでおり、これらはいずれも、引き下げの理由とされた「デフレ調整」が、統計等の数値との合理的関連性や、専門的知見との整合性が認められないこと等を理由として基準の引き下げの違法性を認めたものであり、これらは原告ら及び弁護団が、力を尽くして、本件引き下げの不当性を主張立証したことが結実した結果である。
生活保護法は、憲法25条の生存権を保障するために制定された法律であり、生活保護基準は、「健康で文化的な最低限度の生活」を具体化した基準であり、本件のような、生活保護利用者の「需要」(生活保護法8条)の減少に見合わない基準の引き下げは、決して許されるものではない。
自由法曹団は、最高裁判所に対し、原告らの弁論を踏まえ、本件引き下げの違法性を認める統一判断を示すことを求め、ここに決議を挙げるものである。
2025年5月26日
自 由 法 曹 団
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