2026年3月21日、常任幹事会において「アメリカ及びイスラエルによるイランへの攻撃の即時停止及び日本政府に国際社会における法の支配を徹底する立場に立つよう求める決議」を採択しました
アメリカ及びイスラエルによるイランへの攻撃の即時停止及び日本政府に
国際社会における法の支配を徹底する立場に立つよう求める決議
2026年3月21日
自 由 法 曹 団
2026年3月常任幹事会
1、2026年2月28日、アメリカ及びイスラエル両国は、イランに対する軍事攻撃を行い、イラン国内の軍事拠点等を空爆し、最高指導者であるハメネイ師をはじめとする相当数の指導層を殺害した。これまでにイラン国内では2000人を超える死者が出ており、その大部分が非戦闘員であると伝えられている。
2、この攻撃について、トランプ米大統領は、アメリカの権益を守る軍事行動で、イランが核兵器を製造する可能性があるので「先制防衛した」と強弁している。
だが、国連憲章は、武力による威嚇又は武力の行使を禁じ(2条4項)、国際紛争を平和的手段によって解決する義務を定めている(2条3項、33条)。このアメリカ及びイスラエル両国によるイラン攻撃は、国連憲章をはじめとする国際法に明らかに違反している。
また、両国による攻撃の時点で、イランがアメリカやイスラエルに対して武力の行使または武力による威嚇を行った事実はない。今回の軍事攻撃はアメリカとイスラエルに具体的に差し迫った危機が存在しない中でなされた、自ら認める「先制攻撃」にほかならないのであり、国連憲章51条に規定される自衛権の行使にもとうてい該当しないものである。
今回のアメリカとイスラエルによるイラン攻撃は、両国が最初から認めているようにイランの体制転覆をねらったものであり、無法な侵略以外のなにものでもない。イスラエル・ネタニヤフ首相は、占領下のパレスチナ・ガザ地域に対する全面的な弾圧を貫徹するためにはイランを潰さなければならないと公言しており、アメリカも攻撃前からイランの体制転覆を呼び掛けていた。両国は、今回の軍事攻撃が、西アジア全域を軍事的、経済的、政治的に完全支配するという自らの目標に沿うような政権交代を促すため、そして、占領下にありジェノサイドが続くパレスチナの人々から、この不法な占領に抵抗し解放する能力に対する支援を奪うために行われているという事実を隠そうともしていない。こうした安保理常任理事国であるアメリカとイスラエルによる振る舞いは、かつての大戦の教訓からつくりあげた国際法に基づく世界秩序を踏みにじり、国際協調と紛争の平和的解決を原則とする努力を進めてきた世界の歴史に逆行する暴挙であって、けっして許してはならないものである。今回の軍事攻撃は、2025年6月の攻撃と同様、国連憲章及び国際法に明白に違反する武力行為であって、断じて許されないものであり、自由法曹団は、これを強く非難する。
3、このアメリカおよびイスラエルによる国際法無視の暴挙に対し、NATO諸国の政府は明示的な非難を避けたが、諸国民のイラン攻撃反対の世論の盛り上がりを受けて、戦争の継続には反対し、アメリカ政府による協力要請を拒むようになってきている。
しかし日本政府は、この国際法違反の侵略的な軍事攻撃を非難しないばかりか、2026年3月19日に実施された日米首脳会談では、高市総理が「世界に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだ。諸外国に働きかけてしっかりと応援したい」などと述べ、事実上の支持を表明した。加えて、外務省の発表では「日米協力」と抽象的な表現でごまかしているが、ホワイトハウスは、今後日本がさらにミサイルシステムを急速に増大させることを発表しており、今後さらなる軍拡と増税がもたらされるおそれが高い。世論調査では8割以上の国民が無法なイラン攻撃を支持しないとしているが、アメリカに追従する高市総理の対応はこうした民意にも反するものである。
4、戦争を放棄し、全ての国の人々の平和のうちに生きる権利をうたい、国際的な協調主義を掲げる憲法を持ち、国際社会において法の支配を徹底すべき立場にある日本が取るべき対応は、アメリカとイスラエル両国による無法な軍事攻撃を厳しく非難し、その即時停止を求めることである。
自由法曹団は、1921年の創立以来、基本的人権をまもり、平和で独立した民主日本の実現を目指し活動してきた法律家団体として、アメリカ及びイスラエルに対し、直ちにイランに対する武力攻撃を停止し、国際法に基づく秩序を遵守し、イランの人々が当然に有している生命、身体、財産、居住の権利、移動の自由、教育を受ける権利その他の基本的人権すべてを保障・尊重するよう強く求める。さらに、日本政府に対しては、紛争地域における邦人の保護に万全を期すことはもとより、アメリカ及びイスラエルに対して即時停戦を強く求めるとともに、国際法遵守を求める立場から国際社会に働きかけ、誰もがひとしく恐怖と欠乏から免れ平和のうちに生存できる世界の実現に向けた先頭に立つよう求める。
私たちは、武力による紛争解決をやめることを求める世界の人々と連帯し、努力を続ける所存である。
以上
