2026年3月30日、「国家情報会議設置法案に反対し、国民監視体制の拡充を許さない声明」を発表しました
国家情報会議設置法案に反対し、国民監視体制の拡充を許さない声明
2026年3月30日
自 由 法 曹 団
団長 黒 岩 哲 彦
1 政府は、内閣に首相を議長とする「国家情報会議」を設置し、その事務局として内閣情報調査室を「国家情報局」へ格上げする国家情報会議設置法を特別国会に提出した。日本の情報機関(インテリジェンス機関)としては、内閣情報調査室のほか、防衛省情報本部、警察庁警備局、各道府県警・警視庁の警備局・公安部、公安調査庁、自衛隊情報保全隊などがあるが、同法は、これら情報機関に対し国家情報会議へ情報や資料を提供する義務を定め、国家情報局に情報機関の有する情報を集約する統合調整権を与えるものである。
自由法曹団は、以下にのべるように、国民監視体制強化の第一歩となる同法案に反対するものである。
2 政府は、同法の目的をインテリジェンス機能の強化とするが、昨年8月に石破内閣により「日本はスパイ天国とはいえない」旨の答弁書が閣議決定されているように、具体的な立法事実(立法の基礎となりそれを支える事実)が示されているとは到底いえない。
一方、各情報機関はそれぞれの組織の目的にしたがって情報を収集しているところ、同法により情報の集約が図られるようになると、各情報機関が有する情報が統合され、個人の全体的な人間像が国家により把握されることになる。情報機関による違法な人権侵害行為はこれまで幾度も明らかになってきたが、同法により、違法な情報の収集や利用によって個人の人権が侵害される危険性が高まることになる。
3 政府は、国家情報会議設置法に続いて、外国代理人登録法、スパイ防止法、対外情報庁設置法などの制定を目論んでいる。これらの制度が導入されれば、国家情報会議設置法と一体となって、市民や団体の活動に対する監視が行われ、表現の自由や結社の自由に対する重大な制約をもたらすことになる 。
国家による情報収集については、現状、個人情報を安全かつ適正に管理するための何らの規制もなく、取得、保有及び利用について濫用防止のための何らの制度的保障もない(令和6年9月13日大垣警察市民監視事件名古屋高裁判決参照)。そのような規制・制度もないまま情報機関の権限のみを強化することは、情報機関による人権侵害事件を数多く担当してきた自由法曹団として、到底容認できない。
自由法曹団は、国家情報会議設置法案に強く反対するとともに、国民の基本的人権を脅かす一切の監視体制の拡充に抗議し、同法案の撤回を求めるものである。
