2026年10月19日、「安保三文書の前倒し改定と大軍拡に反対し、平和外交と市民生活を守る施策を求める決議」
安保三文書の前倒し改定と大軍拡に反対し、平和外交と市民生活を守る施策を求める決議
2022年12月、岸田政権は、安保三文書(「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」)の改定を行った。同文書には、敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有とともに、防衛力の抜本的強化のため、防衛費をGDP比1%に収めるというこれまでの暗黙の枠組みを取り払い、防衛費を2027年までGDP比2%とし、2023年から2027年までの5年間で約43兆円を防衛費に投ずることが明記された。ウォールストリートジャーナルはこの決定を、「眠れる巨人日本の覚醒-防衛戦略・防衛支出で戦後最重要な政策転換を発表」と報じた。
その結果、2023年から防衛費は飛躍的に増加し、2026年までの間に約33兆円の防衛費が計上され、2027年度の概算要求では、過去最大の約9兆円に達している。これは2020年度の当初予算の防衛費5.4兆円のほぼ倍に当たる金額である。
高市内閣は、この大軍拡路線をさらにすすめ、2026年内に安保三文書の前倒し改定を実施しようとしている。2027年度の概算要求では、多くの項目が金額を示さない事項要求とされ、安保三文書改定後に予算化される仕組みとなっている。過去最大の9兆円という防衛費がさらに大幅に増額されることが想定される。
一方、国民生活に目を向ければ、物価高騰と実質賃金の低迷が続き、多くの労働者や市民は生活苦に直面している。労働者の実質賃金は下がり続け、非正規雇用の増加による経済的格差はより深刻かつ危機的な問題となっていて、日本の相対的貧困率はOECD諸国でも極めて高い水準(15.4%、17ヶ国中15位)になっている。これは安倍内閣(アベノミクス)の、大企業の利益を優先、雇用の不安定化と実質賃金の低下、経済的弱者の切り捨て、社会保障を削減・解体によってもたらされたものであるが、現在の高市内閣も、この大企業優先・弱者切り捨て政策を改めようとはしていない。そればかりか、大軍拡の負担を国民に求めようとしている。高市内閣が成立させた防衛特別所得税が2027年1月から始まり、所得税の1%が防衛費として徴収されることとなり、今後もさらなる増税が目論まれるおそれが大きい。年金、医療、介護、教育、子育て支援など市民生活に不可欠な施策の充実こそ求められているにもかかわらず、巨額の防衛費はそれらの財源を圧迫していくことになる。また、近年、地震、豪雨、台風等の自然災害が頻発・激甚化し、防災・減災対策、老朽インフラの更新、避難体制の整備、被災者支援の充実は喫緊の課題となっている。市民の命と暮らしを守るためには、際限のない軍拡ではなく、社会保障の充実と防災対策の強化こそが必要である。
いま日本は、外交と対話による平和構築の道を進むのか、それとも際限のない軍拡によって軍事国家への道を進むのかという重大な岐路に立っている。自由法曹団は、安保三文書の前倒し改定に反対し、更なる防衛費増額を許さず、憲法9条を生かした平和外交と、市民の暮らしと安全を最優先する施策の実現を求めるものである。
2026年10月19日
自 由 法 曹 団
2026年東京・浅草総会
