2021年5月集会in東京決議『コロナ禍で働く者の生活確保措置の拡充を求める決議』

カテゴリ:労働,決議

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コロナ禍で働く者の生活確保措置の拡充を求める決議

 

1 昨年から続く新型コロナウイルス感染症(以下「新型コロナ」)の感染拡大により、日本で生活する者の命と健康が危機にさらされるとともに、日本経済は深刻な打撃を受け、労働者の雇用、暮らしにも大きく影響を及ぼしている。
 厚生労働省が公表した「新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報について」(2021年5月7日集計分)によれば、新型コロナの影響による「解雇等見込み労働者数」は、103,000人に上り、昨年から増加の一途を辿っている。
 政府は、新型コロナ対策に協力した事業者への必要な補償を行うとともに、雇用維持のための助成金等を拡充すべきであり、事業者は、こうした助成金等の活用により、安易な解雇・雇止めを行うことなく、労働者の雇用と生活の維持に努めるべきである。
 現在、雇用維持を目的として、雇用調整助成金の特例措置、休業支援金・給付金の支給が行われている。雇用調整助成金は、売り上げの減少等に対応して労働者を休業させた場合の休業手当相当額を公的資金により助成するものであるが、これを活用することなくなされた整理解雇を無効とする仮処分決定が出されている。事業者は、雇用助成金の活用等により、解雇や雇止めを回避すべきである。
 また、事業主がシフト制の下で働く労働者に対し、シフトを組まないことにより「休業」を発生させないようにし、休業手当の支給を逃れようとする事例もみられたが、シフト制労働者については、下限労働時間や最低保障賃金についての規制を強化すべきである。
 労働者が自ら給付を申請する休業給付金も、シフトおよび就労日数を事業主が証明する欄があり、これへの記入を事業主が拒む例もみられる。このような事業主の対応は、雇用責任を負う者として許されるものではない。
 政府は、こうした事業主の対応もふまえ、安心して休業措置がとれるよう雇用調整助成金の特例や休業支援金・給付金を縮小することなく延長するなど労働者の雇用維持のための支援制度をより十分なものとするとともに、事業主、とりわけ中小零細事業主が利用しやすい手続にするよう改善を検討すべきである。

2 政府は、新型コロナの感染拡大を防止するための対策として、更には収束後の新たな働き方として、テレワークを推進している。しかし、2021年3月25日発表の厚労省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」では、使用者の労働者に対する労働時間把握義務を緩和したり、事業場外みなし労働時間制の要件を緩和するなど、大きな問題を有している。一方で、使用者によるテレワーク中の労働者に対する監視の問題、多くの事業場で各種機器の費用を労働者が負担しているという問題等については十分な対策が行われているとはいえない。
 テレワークの名のもとに労働諸法規が潜脱されたりしてはならないのであって、労働者の命、健康、プライバシー等の基本的人権を第一としたテレワーク制度を構築するようにすべきである。

3 各地でおこなわれている労働相談や失業者、貧困者等を対象にした相談会にも、毎回多くの相談が寄せられているが、その相談内容はどれも深刻である。
 とりわけ、新型コロナの影響は、女性や非正規労働者により深刻なダメージを及ぼしている。安易な雇止め、派遣切り等が横行しないよう政府としても対策を強めるとともに、失業保障、職業訓練、子育て世帯支援、生活資金援助等の措置を拡充すべきである。
 また、新型コロナが原因で失職した者が、プラットフォーム労働等の「非労働者」として就労することも増加している。こうした「非労働者」は、労働法の適用、社会保険制度の利用等の点で、十分な保護が受けられず、結果として、極めて不安定で、かつ低収入での生活を余儀なくされている。フリーランス等の労働法が適用されない就労者に対する十分なセーフティネットを構築することが求められる。いま、新型コロナに対する緊急事態宣言等が続いている現状に鑑み、持続化給付金等の支給再開が急務である。

4 自由法曹団は、新型コロナの影響下でも、働く者が人間らしい働き方、健康で文化的な最低限度の生活を送ることのできるよう、政府に対し必要な措置を講じることを改めて求めるとともに、不当な解雇・雇止め、契約解除、賃金・代金不払い等を許さず、働く者の生活と権利をまもるために、たたかうことを決意するものである。

 

2021年5月22日

自  由  法  曹  団
2021年5月研究討論集会

 

 

 

 

 

 

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