2026年8月21日、「米国に対しICC幹部への制裁措置を含むICCへの不当な圧力の行使の撤回を求めるとともに日本政府を含むローマ規程締約国に対しICCに対する支援と国際法秩序の維持に努めることを求める声明」を発表しました
米国に対しICC幹部への制裁措置を含むICCへの不当な圧力の行使の撤回を求めるとともに
日本政府を含むローマ規程締約国に対しICCに対する支援と国際法秩序の維持に努めることを求める声明
2026年8月21日
自 由 法 曹 団
団長 黒 岩 哲 彦
1 米国のマルコ・ルビオ国務長官は2026年8月18日、国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長ら2人を新たに制裁対象にすると発表した。[1]
同長官は、去る2026年7月13日、政府全体が一体となってICCの活動能力を組織的に無効化し、米軍兵士や政府関係者を標的にしたり、その他の方法で米国の主権を脅かしたりする行為を阻止するキャンペーンを発表したばかりである。[2]
2 この間、米国トランプ政権は、度重なる国際法違反を犯しているイスラエルに対する裁きが下ろうとするやいなや、それを担う国際刑事司法機関をも攻撃の対象としてきた。このような行為は、国際法秩序を破壊する暴挙であって、決して許されるものではない。
米国の思惑によりICCが解体される事態となれば、時代はニュルンベルク裁判以前の状態へと逆行することとなる。現在の国際情勢ではICCに代わる機関を設立することは不可能であることは容易に想定できるところであり、戦争の違法化を目指してきた人類の取り組みに対して取り返しのつかない事態を招来することになる。
3 私たち自由法曹団は、人権と民主主義の擁護を目的とし、日本国憲法9条の理念を擁護実現することに意義を認めている。戦争や国際紛争における一定の行動に制約をかけるローマ規程は、憲法9条の精神と軌を一にするものであり、ICCへの圧力行動を座視することはできない。
私たちは、日本政府に対し、米国政府の脅しや制裁によるICCの機能を損なう圧力を厳しく批判し、直ちに同政府に対し、その暴挙を撤回するよう申し入れることを求める。本年1月7日、高市早苗内閣総理大臣は、赤根所長の表敬を受け、日本政府としてICC及び赤根所長を力強く支援していく旨述べたばかりである。その赤根所長を含むICC幹部が米国の制裁対象とされ、ICC解体のキャンペーンが進められているにもかかわらず、日本政府として黙認することは、高市首相の前記発言を反故にするものと言わざるを得ない。
また、日本政府を含むすべてのローマ規程締約国に対し、ICCを通じた「法の支配」に基づく国際法秩序を実現するためローマ規程86条等に定められた広範な協力義務及び国際法の守護者としての役割を果たし、米国の不当な圧力に屈せず、引き続きICCへの明確な支持と協力支援を表明することを求める。
くわえて、米国に対しては、大統領令14203号に基づく、ICC裁判官、検察官、職員及びその家族並びにICC協力者への不当な措置の即時かつ無条件の撤廃、ICCの包括的な無効化を目指すキャンペーンの中止、国際刑事司法機関の独立性を尊重する法的義務の承認をすることを重ねて求める。
[2] 2026年7月18日 7月常任幹事会において「ICCへの政治的攻撃及び無力化の動きに反対する決議 ~法の支配と平和のうちに生存できる世界の実現を求めて~」を採択しました | 自由法曹団ホームページ
